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石垣 幸大(いなべ総合)投手 179/72 右/右 |
「フォームは中々素晴らしい」 2年春の春季大会で、140キロ台を連発し注目される。秋には三重大会で活躍するも、東海大会緒戦の静岡商業で打ち込まれる。3年春の春季大会では登板がなく、夏も2回戦で打球が直撃して最後の夏を終えた。そのため下級生の頃から名前が知られていた割に、極めて動画など残っていなかったのが、この 石垣 幸大。 私自身、彼の映っている試合を探したが見つからず。そんななか東海地区の知り合いが、3年春の映像を見せてくれた。今回はその映像を元に、フォーム分析を行いレポートを作成してみた。 (投球内容) 僅かな映像だったので、投球の詳細はわからない。映像を見る限り、縦・横のスライダーを多く投げていることに気がつく。映像にはストレートらしき球もあったが、言われているような140キロ台の勢いを感じさせる球ではなかった。そのため、スライダーを多投せざる得なかったのかもしれない。ちなみにこの日のMAXは、130キロ台後半だったとのこと。 (投球フォーム) 投球の映像は数球だったので、フォーム分析をした方が、本質に近づけるかもしれない。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 引き上げた足を、比較的高い位置でピンと伸ばします。そのためお尻は比較的一塁側に落ちて、お尻を捻り出すスペースを確保。高い位置で足を伸ばしてしまうと、通常バランスを取るのが難しいはず。それを二塁側に足を送り込むことで、体の突っ込みを抑えてバランスを整えています。そういった意味では、カーブで緩急を効かせたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種を無理なくなげことはできます。 「着地」までの粘りも悪くないので、体を捻り出す時間も確保。カーブやフォークだけでなく、今後いろいろな球種を覚え、投球の幅を広げて行ける可能性は感じます。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ グラブが最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定しやすいはず。足の甲の地面への押し付けも出来ており、ボールもそれほど上吊るようには思えません。しかしながら一気に大量失点を食らうケースが多いようなので、コントロールに難があるのではないのでしょうか。あと見ていて可能性を感じるのは、「球持ち」が浅く、リリースが不安定の可能性も。フォームの土台は良いのですが、こういった指先の感覚が相当悪い可能性も。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ お尻を落とせるフォームなので、カーブやフォークを投げても無理はありません。実際そういった球もあまり投げていないようなので、肘への負担も少なそう。 腕の角度はそれなりにありますが、送り出しに無理はありません。そう考えると、肩への負担も少ないのでは? フォームを見る限りは、肩・肘の故障の可能性は低そうに見えます。しかし高校時代は、調子が上がらなかったり、怪我に泣かされることも少なくなかったようです。その原因が、いまいちわかりません。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りはそれなりにあるので、打者としては合わせやすいというほどではなさそう。したがって体の「開き」も平均的で、ボールが見やすいから打たれるということはないのでは? むしろコントロールを間違えなければ、そんなに打たれない気は致します。 腕も強く振れており、速球と変化球の見極めは困難。ただしボールにしっかり体重が乗り切る前にリリースを迎えてしまうので、打者の手元まで勢いのある球が投げられないのではないのでしょうか。その辺は投げ終わったあとに、必ず一塁側に上体が流れており、スタンスが的確ではないと考えられます。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」においては、「着地」と「開き」は悪くありませんが、「球持ち」と「体重移動」に課題を残します。 それでもコントロールを司る動作や故障のリスクは少なそうなだけに、根本的な土台はしっかりしていると言えます。指先の感覚の悪さ・体重移動の部分を改善できれば、面白い素材ではあるように思えます。 (最後に) わからない部分が多いので、フォーム分析や残した実績などからイメージをふくらませてしかありませんでした。土台となるフォームは悪くないのですが、まだまだ実戦的とは言えないのでしょう。夏の大会に上手く合わせられない体調管理・好調期間の維持・怪我との兼ね合いなど、プロではかなり不安要素の大きな選手。そんな選手を育成力の高い中日が、どのように導くのか注目されます。ぜひプロで、その勇姿を確認できたらと思っています。 |