14kp-30





藤井 聖(24歳・ENEOS)投手の最終寸評へ







藤井 聖(23歳・JX-ENEOS)投手 175/73 左/左 (富士宮市立-東洋大)投手 





 「第四の男」





 富士宮市立時代から、静岡県内では知られた投手だった 藤井 聖 。その後は東洋大に進学するも、同期には 上茶谷大河(DeNA)・梅津 晃大(中日)・甲斐野 央(ソフトバンク)の三羽ガラスがいて、目立つ存在ではなかった。それでも4年生のリーグ戦では、左腕から140キロ台後半の球速を叩き出し、その才能の片鱗を示していた。そして社会人に進み、今や今年最も飛躍される投手として注目されるまでの存在になった。果たして、どのような投手なのか検証してみたい。


(投球内容)

 左腕から真上から投げ下ろして来る感じで、イメージ的には 濱口遥大(DeNA)のフォームに似ています。

ストレート 常時140キロ台中盤~後半 
☆☆☆★ 3.5

 それほど細かいコントロールがあるわけではなく、ストライクゾーンの枠の中では結構暴れるタイプ。東洋大時代は、イニング以上の三振も奪うものの同じぐらい四死球を出していた。しかしボールの勢いは確かで、荒れ球で絞り難い傾向があります。ちなみに高校時代は130キロ台で低めを丹念に突くタイプの好投手で、テンポ良くポンポンと投げ込み自分のリズムに相手を引き込むのが上手いタイプでした。

変化球 チェンジアップ・スライダーなど 
☆☆☆★ 3.5

 スライダーでカウントを整えて、右打者外角に沈む強烈なチェンジアップで仕留めるといった投球パターン。高校時代はスライダーが高めに浮いて来ない良さがあったが、今は出力が上がりそこまで低めに丹念に集めるといった感じではなくなった。ただし昨年の都市対抗予選で見た時は、チェンジアップの落差が素晴らしく、この球はプロでも武器になると強く思った。濱口遥大のチェンジアップのような圧倒的な武器になりそうで、濱口よりもスピードがある感じの変化に見えたのだが。

その他

 ちょっと投球以外の部分のメモがないので、この部分は高校時代ものを引用させてください。クィックは、1.05~1.20秒ぐらいでまずまず。牽制は、打者刺すような鋭いものはないものの、適度に織り交ぜて来ると。現状のレベルがどうなのかは、今年の大いなるチェックポイントです。

(投球のまとめ)

 都市対抗や日本選手権での登板の経験はなく、まだまだ期待の若手の一人といった域からは脱してはいない。そのため春先からチームの主力として期待すべく、大事なところを任されて行くことになるのではないのだろうか。そんな環境の中で、いかに実績を積み重ねてゆくかだろう。ボールの威力は確かなものがあるので、制球力などが許容範囲なのかどうか、見極めて行く必要がありそうだ。


(投球フォーム)

今度はフォームの観点から、今後の可能性について考えてゆきたい。

<広がる可能性> 
☆☆ 2.0

 足をピンと伸ばさないまま重心を落としてくるので、お尻はバッテリーライン上に残ってしまいます。したがって身体を捻り出すスペースが確保されず、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種には適しません。

「着地」までの粘りも淡白で、身体を捻り出す時間も足りません。そのため武器になるほどの変化球を取得できるのかが課題なのですが、現状チェンジアップが充分武器になる球種なので、その点は気にしなくても良さそう。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込めている。そのため、両サイドにはボールを散らすことはできている。

 足の甲の地面への押しつけが少し浅いので、どうしても浮き上がろうとする力を抑え込めていない。高校時代は、もっと「球持ち」がよく、低めにまでボールを押し込めていた印象がある。そのため、低めに丹念にボールを集めていた記憶があるのだが・・・。そういった投球は、元々ができていただけにキャパを落とせば可能なのかもしれない。

<故障のリスク> 
☆☆ 2.0

 お尻は三塁側(左の投手の場合は)に落とせないものの、カーブやフォークといった球種はほとんど見られないので、窮屈になる機会が少ないのではないかと。そのため現時点での配球では、肘への負担はそれほど大きくないのではないのだろうか。

 むしろ気になるのは、ボールを持っている肩が極端に上がり、グラブを持っている肩が極端に下るような腕の送り出しの方にある。増して凄く力投派のフォームでもあり、肩への負担は相当大きなフォームなのではないかと危惧する。高校時代は、そんなに投げ下ろすフォームではなかったので故障のリスクは少なかった。ボールの角度と威力を手に入れた一方で、リスクの高いフォームになってしまった気がする。

<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りがな、く元来ならば淡白で合わされやすいフォームになりがち。しかしその一方で、ボールの角度と荒れ球で的を絞らせ難くするという効果が出ている。球の出どころは自体は隠せているので、コントロールミスをしなければ痛手は喰らい難いだろうし、勢いがあるぶん相手も打ち損じをする確率は高そうだ。

 腕の振りは素晴らしく、速球との見分けは困難で空振りを誘いやすい。ボールにしっかり体重を乗せてからリリースできており、地面を強く蹴り上げられている。そのため、フィニッシュの躍動感は素晴らしい。


(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である、「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」に大きな課題を抱えている。ただしこれに関しては、無理にいじろうとせずにうまくこのフォームに合わせたピッチングを模索した方が良いのではないかと考える。

 また制球を司る動作自体は悪いとは思わないのだが、力投するぶん軸がブレやすいのかもしれない。一番気になるのは、身体の負担が大きなフォームで故障へのリスクが高いこと。ただこのダイナミックなフォームにすることで才能が開花した選手でもあり、これを修正してしまうとツマラナイ投手になってしまう恐れもあるのが悩ましい。リスキーな素材ということを認識しつつも、それとうまく付き合う方法を見つけて欲しい。


(最後に)

 何処まで安定した投球ができるのかには不安が残るが、爆発力がある素材であるのは間違いないだろう。そういった意味では、スポニチ大会からどんな投球をして、年間を通して活躍して行けるのか見極めたい。いずれにしても今年の社会人投手の中では、最も楽しみな投手の代表格であるのは間違いないだろう。


(2019年 都市対抗予選) 










 藤井 聖(富士市立3年)投手 174/71 左/左
 




 「穴っぽい存在」





 今年の静岡おいて、注目の投手を抱えていた磐田東。その対戦相手の、富士市立 にも面白い左腕がいた。その男の名前は 藤井 聖 。この夏の登板は確認できなかったが、春季大会で確認。プロのスカウトも、密かに注目していると云う、まさに隠し球的存在。しかし夏の大会では、ノーヒットノーランも達成し一躍注目されることになる。


(投球内容)

球の出どころが見難く、小さめのテイクバックのためにタイミングが合わせ難い。

ストレート 常時130~MAX138キロ

 出処の見難いフォームから、ピュッとキレのある球を投げ込むので、打者はワンテンポ差し込まれる。球速自体は、恐らく常時135キロ前後ぐらい。夏の大会でも、MAXで138キロぐらいだと訊いている。球威・球速自体に驚くものはないが、キレ型の球質のため打者にはそれ以上に感じるのだろう。

 このストレートでポンポンとテンポよくカウントを稼ぎ、対戦の主導権を奪う。特にイニングを重ねるにつれ、丹念に低めにも集ってくる。

変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ

 変化球はひと通り持っているが、その多くはスライダーとのコンビネーション。彼の良いところは、変化球の曲がりが凄いというよりも、低めからボールが浮いて来ないところ。低めのボールゾーンに曲げられるので、どうしても打者は空振ってしまう。

その他

 クィックは、1.05~1.20秒ぐらいとまずまず。牽制は、打者刺すような鋭いものはないものの、適度に織り交ぜて来る。

(投球のまとめ)

 打ち難いフォームから繰り出されるキレのある球を、低めに集められるのがこの投手の持ち味。常に有利な状況を作り出し、精神的に追い込んで低めの球を振らせるというパターン。

 普通こういった打ち難いタイプというのは、結構コントロールはアバウトな選手が多い。しかしこの選手は、低めへの制球も兼ね備えるなど、非常に実戦的な投手だと言える。





(投球フォーム)

実際どの辺が実戦的ななのか、フォームを分析して考えてみよう。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は三塁側(左投手の場合は)には落とせません。そういった意味では、カーブで緩急を効かせたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種の習得には適さず。

 「着地」までのタイミングは平均的で、体の捻り出す時間も並ぐらいでしょうか。そのためか、各変化球の曲がり・キレ自体に驚くほどのものはない。しかし低めに集めることで、その変化球をうまく活かすことができている。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブは最後まで体の近くに抱えられているので、両サイドの投げ分けは安定。足の甲の押し付けは浮きがちで、ボールは上吊りやすい。しかしそれを「球持ち」の良さで補い、ボールをうまく操ることができている。

<怪我のリスク> 
☆☆☆

 お尻を落とせるフォームではないのですが、カーブやフォークといった球種をあまり投げないので、肘への負担は少なそう。腕の送り出しにも無理がなく、肩の故障の可能性も低そう。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆

 「着地」までの粘りはそれほどでもないので、打者としては合わせ難いというほどではありません。しかし体の「開き」は抑えられており、ボールの出処は見難いはず。更に「球持ち」の良さもあり、ボールは中々出てきません。彼の打ち難さは、開きの遅さ+球持ちの良さから生み出されています。

 腕は身体に絡んで来るように、速球と変化球の見極めは困難。そのため、多くの三振が奪えるのでしょう。ボールにはそれほど体重が乗せられていないので、球威という点では物足りません。

(フォームのまとめ)

 投球動作の4大要素である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「体重移動」などの下半身の使い方には課題を残しますが、「開き」と「球持ち」という打ち難さの部分では光ります。

 故障の可能性・コントロールを司る動作は可も不可もありませんが、その割に負担は少なそうですし、コントロールも「球持ち」を活かしてうまく補うことが出来ています。


(最後に)

 球威・球速という意味では、左腕とはいえ高卒プロというのはどうでしょう? 投球スタイルとしては、フォームは違えど、山本 昌(中日)のようなタイプではないのでしょうか。

 個人的には、もうワンランク・ツーランク、球威・球速のUPを望みたいところですが、今後も改善が可能だと判断するのであれば、ひょっとしての指名があっても不思議ではありません。育成枠あたりなら面白いかもと手をだす球団もあるかもしれませんが、個人的には指名リストにまだ名前を記すというほどのインパクトは感じませんでした。果たして秋のドラフト会議・彼の名前は呼ばれるでしょうか。いずれにしても、この名前覚えていて損はないでしょう


(2014年 春季静岡大会)