14kp-29
藤井 皓哉(おかやま山陽3年)投手 181/80 右/左 |
「指名されそうな素材の良さ」 この夏の生観戦候補ながら、緒戦で敗れてしまい確認できず。今回も一部動画でのみの確認ではあるが、どんな選手なのか考察してみたい。サンプルも少なく評価付けはできないが、その僅かな材料を頼りに、少しでも本質に近づいてみたい。 (投球内容) ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。投げ終わった後に一塁側に流れるなど、まだまだ下半身の使い方に課題を残すことがわかります。夏の緒戦で破れた時の、1回の投球の動画がUPされていたので、これを参考に考えてみたい。 ストレート 常時140~147キロ 初回から140キロを越えてそうな、迫力満点のボールが目を惹きます。ボールも適度に散っており、細かいコントロールはなさそうなものの、それほど四死球で自滅するタイプではなさそう。この試合では9回を投げて2四死球の数字からも、このことを裏付けます。ストレートの勢いを見るかぎり、プロを充分意識できる素材ではないのだろうか。これだけの馬力のある投手はそうはおらず、全国でも5本の指に入りそう。 変化球 スライダー・スピリットなど スライダーと小さく沈む球があります、恐らくこれがスピリットかと。破れた就実戦では、9イニングで8奪三振。それほど名の知れた相手ではないので、この三振数をどう見るかは悩みどころ。まぁこれだけの速球がありながら、変化球も良ければ緒戦では3失点して負けないだろうし、評価も遥かに高くなっているのではないのだろうか。 (投球のまとめ) スカウトのコメントを見るかぎり、馬力があるとか素材として素晴らしいというように、現時点では素材型の域を脱していないよう感じます。確かに動画でもボールの勢い・威力は確かでありながら、変化球で三振を奪えるほどのキレ・精度があるかと言われると微妙なところ。 (投球フォーム) ちょっと短い投球だけではよくわからなかったので、フォーム分析をして今後の可能性を考察してみたい。 <広がる可能性> ☆☆ 引き上げた足を地面に向けて伸ばしており、お尻を一塁側に落とせていません。すなわち体を捻り出すスペースは確保できておらず、カーブで緩急を効かせたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種には適しません。 「着地」までの粘りも充分ではないので、体を捻り出す時間も並でしょうか。そういった意味では、好い変化球を習得できるかは微妙。その分、手元で小さく変化するカットボール・スピリットなどの球種を扱うのは納得できるところで、これからも球速のある変化球を中心に、ピッチングの幅を広げてゆくことが予想されます。 <ボールの支配> ☆☆☆ 画像の関係上わかり難かったのですが、グラブは最後まで体の近くにあります。そういった意味では、両サイドにボールは散りやすいと考えられます。また足の甲でも地面を押し付けられているように見え、それほどボールが上吊るタイプではないのかもしれません。しかし「球持ち」は浅く、この辺がボールを低めにまで押し込めない理由ではないのでしょうか。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻は落とせませんが、それほどカーブやスピリットというボールを多投しないので肘への負担は少なそう。 腕の送り出しをみても特に違和感は感じないので、肩への負担は少ないのでは。そういった意味では、それほど故障の可能性が高いようには見えません。 <実戦的な術> ☆☆ 「着地」までの粘りはそれほどでもないので、少し「開き」が早くボールが見やすいように見えます。「開き」が早いと、いち早く球筋を読まれてしまい、コースを突いたような球でも踏み込まれて打たれてしまいます。 これだけの馬力がある割に、腕の振りはあまりよくありません。振り下ろした腕が、もっと身体に絡むような粘りが求められます。ボールへの体重の乗せは悪くないので、打者の手元まで球威・と勢いは衰えていないように見えます。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「開き」「球持ち」あたりに課題を感じます。 制球を司る動作はよく、故障の危険性もそれほど感じません。実戦的とは言い切れませんが、全体に「粘り」を覚えられれば、投球の淡白さも薄まるのではないのでしょうか。 (最後に) 変化球や細かいコントロールに課題は感じますが、速い球を投げるという意味では非常に魅力のある素材だと言えそう。ハッキリ評価づけできるほど見られていませんが、下位~育成あたりの指名ならば、充分有り得るのではないかと感じました。育成力のある球団が、大きく育てて欲しい一人です。 (2014年夏・岡山大会) |