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飯塚 悟史(日本文理・3年)投手 185/76 右/左 |
「目に見えた成長はなかったが」 昨秋~今春の選抜までの間に、見違える程の成長を魅せた 飯塚 悟史 。 しかし春~夏にかけては、目に見えて大きな成長は見られなかった。しかし私の中では、今まで将来像がイメージできなかった選手から、大いにその将来を見通せる選手へと評価は一変した。今回は、その理由について述べて行きたい。 (投球内容) この冬の間に、テイクバックを小さく取るフォームに変えることで、安定した制球力を身につけました。その分投手としてのスケールは、かなり限定されてしまった感は否めません。 ストレート 130キロ台後半~MAX145キロ 特に甲子園初戦の大分高校戦は、ボールの走り・コントロール共にイマイチで、高い評価をするのには厳しい内容でした。特にスカウトのように、甲子園初戦で球場をあとにする人たちへのアピールといういう意味では、かなり物足りなかったでしょう。しかし続く東邦高戦では、彼らしい粘っこい投球を披露。 この試合では、球速は130キロ台後半~最後の打者に投じた145キロがMAX。両サイドに、丹念に投げ分けて来るのが彼の持ち味。ドラフト候補としては、ストレート自体の伸び・球速共に平均的で、けして図抜けた存在ではありません。しかし力を入れて投げれば、いつでも140キロ台中盤を投げ込む能力も秘めていますし、コントロールで自滅することはありません。ヒットを打たれることはあっても、連打をそう許すタイプではないということ。 変化球 スライダー・フォークなど 最大の持ち味は、右打者外角のストライクゾーン~ボールゾーンに逃げてゆくスライダーを振らすこと。左打者には、内角に食い込んで来るスライダーを魅せつつ、外角にフォークを落として来るパターン。このフォークも、ストンと落ちるというよりも、少しチェンジアップ気味にドロンと落ちるので、それほど空振りは奪えません。そのため新潟県予選でも、38イニングで35個ぐらいの奪三振に留まりました。 その他 走者を刺すような鋭い牽制は見られませんが、春よりも素早くなった1.0秒を切るような高速クィックが魅力です。春~夏に抜けて、こういった投球以外の部分を高めて来ていることに意識の高さが感じられます。 春は淡々とただ投げているだけの投手に見えたのですが、一球一球のコントロール・配球などを見ていると、まるでプロのローテーション投手のような投球をしています。そういった組み立ては、高校生にして極めてハイレベルだと感じました。 (投球のまとめ) 新潟大会決勝戦でも、リードされるなか味方の反撃を信じ、ひたすら自分の投球に徹する姿をみて、この選手の精神力の強さを実感しました。元々野球への取り組み、意識の高さは感じていたのですが、この忍耐力には頭が下がります。 またコントロールや高度な配球などを見ていると、ボールの威力さえ増せば、プロのローテーションにも比較的早く入ってくるのではないか、そういったことを強く実感するようになりました。 (投球フォーム) 選抜の時にフォーム分析をしているので、春から変わって点にクローズアップして今回は考えてみましょう。 最も変わった点は、それまで投げるときに地面から浮いてしまった足の甲が、地面を捉えられるようになりました。これにより、力を入れると高めに抜けていたボールが減り、ボールが比較的真ん中~低めに集まるようになってきました。 また力を入れると上吊ってしまうため、力をセーブしないとコントロールがつきませんでした。しかし今は、その心配が減り、腕を強く振れるようになったところが成長の証。 (最後に) まだまだプロの投手としては、ストレートのスピード・質の点で物足りません。プロ入り後、ストレートが良くなるかが大成への大きな分かれ目だと考えます。 土台である投球術・コントロール・変化球などは良いので、ストレートが化けられるかどうか?そのためには、現状の小さめなテイクバックが良いのかも考えなくてはいけないかもしれません。 しかし忍耐力のある精神面、野球に取り組む姿勢などのハートの面は素晴らしく、その点では今年の候補の中でも1,2を争う存在だと評価します。プロ入り後は見違えるように良くなり、2,3年目で一軍のローテーション投手に昇りつけるかもしれません。そういう未来像に期待して、私は彼を高く評価することに致しました。 蔵の評価:☆☆☆ (2014年夏 甲子園) |
飯塚 悟史(日本文理・3年)投手 185/76 右/左 |
「格段に成長」 日本文理高校で多くの選手をプロに送り込んできた 大井 道夫 監督が、「日本文理史上最高の素材」と絶賛する 飯塚 悟史 。しかし私には、今まで彼の良さがさっぷりわからなかった。しかし一冬越えて迎えた選抜、格段に良くなっている彼の姿を観て、監督が言っていることも頷けるようになってきた。 (投球内容) 185/76 という恵まれた体格ながら、テイクバックを小さく取り、けして無理して力を込めようとはしない力みのないフォームが特徴。 ストレート 130キロ台後半~MAX143キロ 神宮大会では、腰痛のためリリーフのみの登板に終わりました。この選抜では、けして力を入れなくても、コンスタントに130キロ台後半~MAX143キロを記録しており、何よりズシリとミットに収まる厚みのあるボールに変化。その球を、左右の打者の外角一杯にコントロールしてきます。格段にボールの質・コントロールが成長しており、高校からプロを意識できるボールになってきました。 変化球 スライダー・フォーク? カウントを稼ぐスライダーと、低めで空振りを誘う2種類のスライダーを使い分けているように見えます。他にも、チェンジアップ気味にシュート回転して沈む球があり、これはフォークなのかもしれません。ただし現状は、圧倒的に速球とスライダーのコンビネーションで構成されています。 その他 鋭い牽制は混ぜてきませんが、クィックは1.05秒前後と素早いものがあります。投球術が巧みだとか、そういったピッチングの上手さは感じられませんが、適度に投球ができる投手との印象は残ります。 (投球のまとめ) ピンチになっても、自分の投球スタイルを貫く精神力の強さを感じました。実際めい一杯力を入れて投げて来ないので、秘めたるポテンシャルは、まだまだこんなものじゃないだろうという、底知れぬ素材としての奥行きが、この選手の最大の魅力。現時点での実力よりも、今後への伸び代を期待しての評価になるのではないのでしょうか。 (投球フォーム) ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。足を、スッと高い位置まで引き上げます。 <広がる可能性> ☆☆☆ 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側に落とせません。したがって体を捻り出すスペースは充分確保できず、カーブで緩急をフォークのような縦に鋭く落ちる球種には適さないフォーム。 それでも地面に着きそうなぐらいから前への一伸びがあり、着地のタイミングを遅らせることが出来ています。すなわち体を捻り出す時間が、ある程度稼げているわけです。これによりカーブやフォークといった球種でなければ、ある程度いろいろな球種を、モノにして行ける土台があることがわかります。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは最後まで体の近くで抱えられ、両サイドの投げ分けは安定。更にフォームが縦に推進するフォームで、「球持ち」もよく指先の感覚に優れ、ボールを上手く扱うことが出来ています。 しかし足の甲での地面への押し付けが浮いてしまっており、恐らく全力で投げるとボールが高めに抜けてしまう。そのため、力を充分入れて投げられないのだと考えられます。ボールをある程度コントロールするためには、かなり力をセーブしているのではないのでしょうか。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻は落とせていないのですが、カーブやフォークといった体を捻り出して投げるボールを使わないので、それほど肘への負担は心配しなくて好いでしょう。 以前よりも、腕の角度を緩和させて肩への負担も軽減させました。これにより、故障の可能性はグッと減ったものと考えられます。まして力投派ではないので、そういった心配は薄いと考えます。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りは悪くないのですが、フォームが直線的で体の「開き」も早くなりがち。打者としては、けして合わせにくいフォームではないでしょう。 振り下ろす腕の振りもまだ弱く、ボールへの体重の乗せも発展途上であり、肉体的・技術的に成長途上の投手であることがわかります。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」において、「球持ち」「着地」は悪くありませんが、「開き」「体重移動」に課題を抱えます。 制球を司る動作や故障し難いフォームなど、推せる材料は少なくありません。まだまだ発展途上ですが、秋~春への格段の成長を見ると、これからも課題をどんどん改善して行けるのではないかという期待が持てます。 (最後に) まだまだその将来性がイメージし難いのですが、これからの更なる伸び代を期待して、それなりの評価でドラフト指名されることになるのではないかと思います。春~夏までの成長を実証できれば中位~上位へ、夏へのアピールが足りなければ、中位~下位指名あたりでの指名になろうかと思います。今後の成長が気になりますが、高校からプロにゆく素材だと思います。野手としてのレポートは、また別のところで。 蔵の評価:☆☆ (2014年 選抜) |