14dy-5
江越 大賀(駒沢大)外野 182/85 右/右 (海星出身) |
「実はあまり変わっていなかった」 昨年作成した寸評には、東都で3割を一度越えたことがなく、根本的な対応力に課題があると書いた 江越 大賀 。その不安どおり、最終学年の春のリーグ戦では、打率.184厘 と絶不調に陥り上位候補からこぼれ落ちていった。それでも秋のシーズンには、自己最高の.357厘(リーグ4位)の好成績を残し復調。しかしドラフト後に行われた、明治神宮大会の頃には、また悪い江越に戻っていた。 (守備・走塁面) 右打席からでも、速い時は塁間4.0秒前後で走り抜けるなど、プロでもトップクラスの脚力があります。これを左打者に換算すると、3.75秒前後というとんでもないタイムになります。しかし2年春に6個を記録した盗塁数ですが、ラストシーズンには0個と、足でアピール意識はけして高くありません。この辺がプロに入って、どの程度変わって来るのか気になります。せっかくプロでもトップクラスの脚力があるのですから、それを活かすプレーを期待してやみません。 中堅手としても、ちょっと届きそうもないところまで追いつく、非常に広い守備範囲が特徴。時々打球への判断の甘さはあるものの、高い身体能力を活かしたプレーは必見。また肩でもプロ上位レベルの強肩であり、その身体能力の素晴らしさは図抜けています。今後更に守備力が磨かれれば、プロを代表する名手に育つ可能性も秘めています。 (打撃内容) 東都通算11本塁を放つように、ツボにハマればスタンドインの確かな長打力があります。しかしながら天性の長距離砲とかそういったタイプではなく、あくまでも身体の強さから放たれる中距離打者といった印象は否めません。最大の課題は、根本的な対応力の無さにあります。 <構え> ☆☆☆ 前足を軽く引いて、グリップの高さは高め。腰の据わり具合・全体のバランスとしては並ぐらいですが、昨年よりも両目で前を見据えられるようになり、ボールを錯覚することなく追うことは出来ています。 <仕掛け> 早めの仕掛け 昨年よりは、少し始動を早めて「早めの仕掛け」を採用するようになっていました。中距離タイプだった打撃が、より対応力を重視したスタイルに変わってきています。 <足の運び> ☆☆☆☆ 始動~着地までの「間」はとれているので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいはず。強烈にベース側にインステップして踏み込んでくるので、外角を強く意識しているのがわかります。踏み込んだ足元がブレないので、外角や低めの球でも食らいつくことができます。 江越が悪い時は、窮屈な内角を意識しすぎている間に、得意であるはずの外角の球まで打てなくなるという悪循環を起こすこと。内角は捨てるのだという割り切りができている時に、彼の良さが引き出されます。その覚悟がないのならば、足を真っ直ぐ踏み出すべきではないのでしょうか。 <リストワーク> ☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、これに関しては問題がありません。振り出しも上からミートポイントまで無理なく振り下ろされており、ボールを捉えるまでのスイングに問題は感じません。昨年から指摘するのは、バットの先端であるヘッドが下がるので、ボールを広い面で捉えられずフェアゾーンに中々ボールが落ち難いということ。それだけ、打ち損じが多いことになります。バットに当てるのが下手というよりは、的確にボールを捉えるところに問題があるのではないのでしょうか。 スイングもフォロースルーで運ぶというよりは、しっかり最後まで振り切るスイング。遠くに飛ばすというよりは、しっかり叩くスイングということでしょう。ヘッドスピード・打球の強さには問題がないので、この辺はプロで見劣る心配はありません。 <軸> ☆☆☆☆ 足の上げ下げはあるので、目線の上下動は平均的。体の開きは我慢できており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて問題はありません。 (打撃のまとめ) 対応力の低さは、強烈なインステップのために内角の捌きが窮屈になること。あえてこれを続けるならば、内角は捨てる割り切りが必要でしょう。あとは、ヘッドが下る悪い癖を直すこと。これにより、打ち損じはだいぶ減ると考えられます。 この選手の場合、けしてバットに当てる能力が劣るわけではないので、プロの指導次第では充分改善できると考えています。 (最後に) 快速・強肩・長打力に加え、熱いハートの持ち主という部分でも、この選手を高く評価しています。プロ入り後スイングの改善に少し時間がかかるかもしれませんが、2割6分でも、守備・走塁で魅せ20本ぐらいは期待できるスター候補生。個人的には、ぜひプロの世界で大成して欲しいと思っている一人です。こういう選手を育てられるようだと、阪神の未来は極めて明るくなるのではないのでしょうか。 蔵の評価:☆☆☆ (2014年 神宮大会) |
江越 大賀(駒沢大・3年)中堅手 182/85 右/右 (長崎海星出身) |
「課題は対応力」 長崎海星時代からプロ注目の外野手でしたが、私には対応力が低く当時はピンと来るものがありませんでした。しかし駒大に進み生で見る機会も多くなり、抜群の脚力・強肩・飛距離を誇り、プレーの貪欲さも含めると、2014年度の野手の中でもトップランクの選手なのがわかります。やはり課題は、高校時代から疑問を持った対応力ではないのでしょうか。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間を、4.2前後で駆け抜ける脚力の持ち主で、これを左打者に換算する3.95秒前後に相当する脚力です。2年春のシーズンには6盗塁を記録するように、積極的な走塁が光ります。ただしプロで足を売りにするほど、絶対的な走力・走塁技術があるかは現状微妙でしょう。持っている走力は相当なものですが、技術的には発展途上です。 この俊足を活かし、ちょっと間に合いそうもないところにまで捕球してしまう守備範囲の広さがあります。打球への判断に甘さが残るときもありますが、将来守備でもアピールできる資質があります。地肩も非常に強く、プロでも上位の部類。 そういった守備・走塁のポテンシャルは高く、プロで技術が磨かれれば両面でアピールできる可能性を秘めています。 (打撃内容) 1年春からレギュラーとして出場していますが、通算打率は.216厘。最高打率は、3年秋に記録した .279厘(12位)に留まります。日米野球などを見ていても、国際試合レベルに混ぜると対応しきれないのが目立ちました。当たった時の飛距離は抜群で、通算で9本塁打。ただし、スラッガーという感じはありません。 <構え> ☆☆ 前の足を軽く引いて、グリッピは高めに添えます。腰はあまり据わらず、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢も並ぐらいでしょうか。あまり構えた時にどっしり感というか、強打者としての凄みが感じられないのは残念。 <仕掛け> 平均的な仕掛け 投手の重心が下がりきったあたりで始動する「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の対応力と長打力を持った中距離打者やポイントゲッターが多く採用するスタイル。これは、彼の打撃スタイルとも合致していると言えるでしょう。 <足の運び> ☆☆☆ 始動~着地までの「間」はそれなりにあり、速球でも変化球でもソコソコ対応できるはず。少しベース側にインステップして踏み出すように、真ん中~外側の球を意識しています。踏み込んだ足元はブレないので、外の厳しい球や低めの球に喰らいつくことができます。 <リストワーク> ☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」を作るのは、自然体で問題はありません。バットの振り出しも上から振り下ろそうという意識があり悪くないのですが、その際にバットの先端であるヘッドが下がる癖があり、綺麗に体の内からバットが出てきません。この辺が、打ち損じや対応力の低さにつながっているのではないのでしょうか。 スイングの弧がそれほど大きいわけではなく、最後までシッカリ振り切ることで強烈な打球を生み出します。バットが内から抜けて来ないので、内角球には上手くバットが出てこないのではないのでしょうか。 <軸> ☆☆☆☆ 足の上げ下げはあるので、上下の目線の動きは平均的。体の開きは我慢でき、軸足は地面から真っ直ぐ伸びて綺麗に回転は出来ています。 (打撃のまとめ) キッチリ捉えた時の打球の強さ・飛距離には見るべきものがあります。しかし当たった時のインパクトは強いものの、シーズン通すと打率が残りません。その辺は、やはり内からバットが出てこないスイング軌道の問題もあり、対応力がもう一つだからでしょう。 (最後に) 持っている器としては、白崎 浩之(DeNA1位)よりも上だと思います。しかし白崎が最終学年に、見事に強打者から広角打者に切り替え成績を残したような、そういった対応力はまだありません。ショートと外野の違いという差も考えると、江越は成績を残しても1位よりも2位ぐらいの可能性が高いのではないかと思います。 ただし強打者タイプだけに、アマでちまちま育てられるよりは、プロの指導を煽った方が良いと思います。例え春のシーズンの結果が悪くても、私はプロに進むべきかと。いずれにしても今年の大学生野手では 1、2を争う存在だけに、その内容が注目されます。そして何より、プレーへの貪欲さ、そこに注目して見て頂きたいナイスガイ。 (2013年・秋季リーグ戦) |