14dy-21
加藤 匠馬(青学大)捕手 175/74 右/右 (三重出身) |
「強肩ぶりは目を見張る」 捕手にしては体もガッチリしていなく力感に欠ける捕手なので、ドラフト候補には見えない選手でした。そのため読者の方に、肩は東都随一と言われるまでは、正直気に留めたことがない選手でした。また今まで気にならなかった最大の理由は、打撃の弱さにあります。野手はまず、ある程度打てない選手は、私自身評価しないことにしているからです。 (ディフェンス面) 捕手でなければ、ニ遊間を担えそうなぐらいの軽快なプレーヤー。右打席から、塁間4.2秒前後で走り抜けるわけで、これを左打者に換算すれば、3.95秒前後に相当し、プロでもかなり上位の脚力があると言えます。そのせいか、フットワークが素軽いのが、一つこの選手の大きな持ち味だと言えます。 またワンバウンド処理への対応、打球への素早い反応、捕球する際にミット負けすることなくボールを押し込めるキャッチングなどには良いものを持っています。何より最大の売りは、塁間1.85~1.95秒ぐらいで安定してコントロールできるスローイングの良さにあります。この地肩・スローイングに関しては、入団してもすぐにチームでも1.2を争う存在になるのではないのでしょうか。 課題は、インサイドワークだと言われています。結構内角を使いたがるリードをするので、打たれてはいけないところで痛打を浴びるケースが多いのではないのでしょうか。その辺の事情でラストシーズンには、後輩にレギュラーの座を奪われていたのかもしれません。捕手センスに優れた選手である一方で、そういったリード面では、まだまだ学ばないといけないところも多そうです。それでもディフェンス力に関しては、プロで指名されるだけの選手だと言えるでしょう。 (打撃内容) その一方で、打撃の弱さは気になります。3年春からレギュラーになったのですが、4年間の通算打率は、.185厘。最後のシーズンには、一本のヒットも打てないまま終わりました。ちょっとフォーム分析をした映像が観にくかったので、多少細かい部分の見え方に自信がない部分はありますが、考察してみました。 <構え> ☆☆☆☆ スクエアスタンスで両足を揃え、グリップの高さは平均的。腰の据わり・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスと良く、構えとしては理に適っているのではないのでしょうか。 <仕掛け> 遅め~遅すぎ 投手の重心が沈みきって、前に移動する「遅めの仕掛け」の段階~リリース直前である「遅すぎる仕掛け」の間ぐらいに動き出し、相当始動が遅いタイプだと言えます。ボールをよ~く引きつけて叩く長距離打者か、生粋の二番打者タイプということになります。しかしスイングを見ていると、意外に長距離打者みたいなスイングをしているのに驚きます。 <足の運び> ☆☆☆ 始動~着地までの「間」がないので、いろいろなタイミングでは打てません。あくまでも狙いを一点に絞り、その球を逃さないことが求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプ。それでも踏み込んだ足元はブレないので、外角の厳しい球や低めの球には喰らいつけます。 <リストワーク> ☆☆☆ あらかじめグリップを引いて構えているので、「トップ」を作るのが早く、始動の遅さを補います。バットの先端であるヘッドは下がらないのですが、バットの振り出しは少し遠回り。インサイド・アウトにバットが出てくるわけではないので、内角の捌きはどうでしょうか? 思ったよりもスイングの弧は大きく、フォロースルーまで使ってボールを遠くに運びます。 <軸> ☆☆☆ 足の上げ下げは小さいので、目線は上下には動きません。体の開きも我慢出来ていますが、軸足の形はやや崩れ気味で、その辺が気になります。 (打撃のまとめ) 確実性には欠けるのですが、ボールをシッカリ捉えられれば、大きな弧とフォローするーを活かして長打が期待できます。むしろひ弱いというよりは、根本的な対応力に課題があるようです。 (最後に) 強肩を活かしたスローイング・キャッチングやフットワークなどに関しては、充分プロで通用するのではないのでしょうか。その反面、リード面と打撃の根本的な弱さに不安を感じます。 まずは始動を早めるなどして、もう少し動作に余裕を持たせることではないのでしょうか。しかし根本的なタイミングの部分なので、それを習得するのには時間がかかるでしょうし、完全にモノにできるのかは微妙だと言わざる得ません。そういった意味では、あくまでも捕手の競争を煽る、成長しても控えレベルまでの選手、そんな気がしてなりません。現時点では打撃が物足りず、個人的には指名リストに加えるほどだとは思いません。また実際に試合を見ていても、野球で飯を食うのだというギラギラしたものが感じられず、社会人に進んでからのほうが、正直良かったのではないかと評価しています。 (2014年 秋季リーグ戦) |