14dy-20
野間 峻祥(中学院大)外野 180/80 右/左 (村野工出身) |
「東海地区から絶賛の声」 中部学院大の試合は毎年何回か見ているのですが、数年前から同校からプロにゆくとするならば、この選手をおいて他にはないと思いマークしていました。しかし私の想像以上に、東海地区で彼を良く知る人々からは絶賛の声が尽きません。しかし私には、そこまで図抜けた素材なのか?と言われると、正直ピンと来ません。今回は改めて 野間 峻祥 を考えてみました。 (守備・走塁面) 野間の一番優れた資質は、一歩目のスタートの良さにある。一塁までの塁間は、4.1~3.9秒ぐらいと、確かに俊足ではあるもののプロレベルは図抜けてはいない。しかし盗塁をしかけて来るとき、ヒットやタッチアップなどで塁上からの判断の良さは、まさに彼が足を売りにできる選手だというのを実感させてくれる。ある程度の試合数さえ確保できれば、プロでも結構な数の盗塁を決められるのではないのだろうか。 その一歩目の良さを活かした、中堅守備の広さも魅力。落下点への入りにも迷いはなく、ことキャッチングに関してはプロでも充分通用しそう。地肩に関しては、物凄い強肩ではないものの、プロに混ぜて中の上ぐらいだろうか。しかし気になるのが、ことごとく返球が逸れるということ。中継の選手に上手く送球できない、ダイレクトでは逸れたり・オーバーしたり、そういった意味で考えると、中堅の守備ではまだまだ改善の余地がありそう。個人的には、守備は言われているほとではないのではという気はしている。 (打撃内容) 強く鋭く射抜くような隙無しの打撃をするのではなく、難しい球を見事拾って見せたり、コースに逆らわない打撃を魅せる天才肌。その一方で甘い球を打ち損じたり、ボールになる球が見極められず打ちに行ってしまったりと、プロの一流打者ならば出来ることが、まだ上手くできない。打撃に関しても、結構苦労するのではないのだろうか? <構え> ☆☆☆ 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えます。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか。物凄く構えた時に、隙なしの鋭さを感じるとか、そういった凄みまではまだありません。 <仕掛け> 遅めの仕掛け 投手の重心が下がりきって、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。これは、ボールを引きつけて叩くスラッガーや生粋の二番打者が採用する始動。昨年までは、「平均的な仕掛け」を採用していたので、少し調子が落ちていて始動自体が遅れ気味だったのかもしれません。 <足の運び> ☆☆☆ 始動が遅い割には、足をあげて回しこんでと動作が忙しいのが気になる。始動~着地までの「間」は短いにので、あらかじめ狙い球を絞って叩かないと、結果が出ません。その割に、いろいろな球を追ってしまう傾向にあります。それでもベース側に踏み込んだ足元は、インパクトの際にはブレません。踏み込む分、内角の捌きが窮屈な反面、外角の厳しい球や低めの球には喰らいつけます。この辺が、左方向に逆らわない打撃を得意とする理由だと考えられます。 <リストワーク> ☆☆☆ 打撃の準備を作るための「トップ」を作るのも、少し遅れがち。こうなると一定レベル以上の球速・キレのある球を投げる投手に対し、苦労するかもしれません。バットの振り出しは悪くないのですが、けしてインサイド・アウトの軌道ではなく、大きな弧で振っています。そのため内角の捌きを、あまり得意にしていないように見えます。 気になるのは、甘い球を逃さないような「鋭さ」に物足りなくミスショットが多いこと。なんでも打ちゆく傾向にあり、ボールを絞り込めない欠点があります。またスイングの弧は大きのですが、ヘッドスピード・スイングの強さはけして図抜けてはいません。むしろとっさに難しい球に対応出来てしまう、天性の反応の良さを素質として評価したい。 <軸> ☆☆☆ 始動が遅い割に動作は忙しいので、目線はそれなりに動きます。体の開きは我慢出来ていますし、軸足にも粘りや強さという意味では悪くはありません。 (打撃のまとめ) 難しい球に対応出来てしまうような天才肌の才能は感じますが、まだまだプロレベルのスピード・キレのある球に対し、確実に結果を残す域にまでは到達していないと考えます。そういった意味では、プロのレギュラーになるだけの打力を身につけるには、数年はかかると判断します。 (最後に) 守備・走塁で潰しが効くので、ある程度打てなくても我慢して起用される可能性はあります。その時にどのぐらいの率を残せるのか、また首脳陣がどのぐらいまで我慢するのかでも出場機会は違ってきそう。特にショートや捕手というポジションではないだけに、ディフェンスの貢献度が高くてもある程度打てないと困ります。その点では、今の打力は気になる材料ではあります。 一年目は期待込みもあって結構起用されると思いますが、不動のレギュラーにとまでは行かないのではないのでしょうか。本当の意味での真価が問われるのは、二年目以降かと思います。その後世代を代表する野手に育ってゆくのか、松本啓二朗(DeNA)や野本圭(中日)のように伸び悩むのかと言われると、私には後者の可能性の方が高く思います。個人的には、何か内から沸き上がるような凄みが感じられず、最後までピンと来ることはありませんでした。 蔵の評価:☆☆ (2014年 神宮大会) |
野間 峻祥(中部学院大・3年)中堅 180/80 右/左 (村野工業出身) |
チームの3番・中堅手を担い、今春のリーグ戦では打率.426厘 0本 11打点 でベストナインやMVPにも選出。今春の大学選手権でも、上手く体を残してレフト前にはじき返しました。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間を、4.0秒を切るような俊足で走り抜ける脚力もあり、中堅守備も安定した三拍子揃った好選手。地肩は、基準レベルぐらいで際立つものはありません。 (打撃内容) 逆らわない打撃が身上で、強打者というよりは好打者の印象を受けます。 <構え> ☆☆☆ 前足を引いた左オープンスタンスで、グリップは高めに添えます。腰の据わり具合、全体のバランスとしては平均的ですが、両目でしっかり前を見据えられているのは好いところ。 <仕掛け> 平均的な仕掛け 投手の重心が下がりきったあたりで始動する「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の対応力と長打力を、バランスよく兼ね備えた中距離打者・ポイントゲッターが多く採用する仕掛けです。 <足の運び> ☆☆☆☆ 足を引き上げ回し込み、ほぼ真っ直ぐ踏み込んできます。ある程度「間」を作ることができるので、緩急への揺さぶりにも対応。真っ直ぐ踏み出すように、内外角を幅広く対応しようとします。踏み込んだ足元もブレないですし、重心を上手く残してレフト方向への打撃も上手く行います。 <リストワーク> ☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」を作るのは平均的で、バットの振り出しもインサイド・アウトというわけではありません。ある程度懐にスペースが欲しいタイプではあるのですが、バットの先端であるヘッドを立てて、綺麗に振りぬきます。それほどスイングに力感は感じず、上手く合わせることに重きを置いたスイングだと言えそうです。 <軸> ☆☆☆☆ 足の上げ下げの割に、頭の位置が安定し目線が上下動しません。体の開きも我慢出来ており、軸足にも粘りを感じます。体軸は安定しており、調子の波が少ないタイプではないのでしょうか。 (最後に) 来年のドラフト候補というほどの凄みは感じないのですが、リーグでの実績や想像以上の脚力を持っているかもしれません。そういった意味では、来春も一度チェックを入れてみる価値はありそう。あとは「強さ」や「鋭さ」を追求して取り組めば、来年楽しみな存在に成長しているかもしれません。 (2013年 大学選手権) |