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福田 将儀(楽天)外野手のルーキー回顧へ







 福田 将儀(中央大)中堅 174/76 右/右 (習志野出身)





                    「需要があったのね」





 右のコンパクトヒッターであるだけに、プロで需要があるのか微妙だと思っていた 福田 将儀 。そんな私の心配をよそに、3位指名という高い評価で、楽天から指名された。この選手を見ていると、日大~ 那須野 巧 と共にベイスターズに入団してきた 桑原 義行 という外野手とタブる部分がある。守備・走塁面では、この福田のほうが上。しかし首位打者も経験し、3割5分以上のアベレージを残す事が多かった対応力では、桑原のほうが上だったと記憶している。果たして福田は、プロの世界で生き残って行けるのだろうか?


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、右打席から4.25秒強ぐらい。これを左打者に換算すると、4.0秒強ぐらいに相当。プロに混ぜても俊足の部類ではあるが、図抜けて速いわけではない。1年春からリーグ戦に出場し、17盗塁を記録。しかしシーズンで5盗塁以上の数字を残したのは、4年秋の6盗塁が最高と、それほど図抜けた数字ではない。

 中堅手としては、守備範囲はまずまず。地肩も基準以上であり、ボールに食らいついてゆくガッツは感じられます。しかし図抜けて上手いというレベルではなく、プロに混ぜれば中の上レベル。これを、売りにするレベルまで引き上げられるかが今後の課題。

現状は、守備も走力も、中の上レベルといった感じで、指名の決め手にまではなりません。


(打撃内容)

 1年生の頃からリーグ戦に出場してきましたが、正直気にしたことが殆どない選手でした。その理由は、対応力に特別なものが感じられなかったから。それもそのはずで、リーグ戦で3割を越したのは、この秋が初めてだった。それでもボールに喰らいつくシブとさはありますし、ひ弱かったスイングも、だいぶ改善されてきました。

<構え> 
☆☆☆☆

 前の足を引き、グリップの高さは平均的。腰の据わり・全体のバランス・両目で前を見据える姿勢もよく、打席でリラックス出来ているところは良い所。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下がりはじめる頃に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージ打者が採用する仕掛けで、彼も対応力重視なのがわかります。しかし最終学年では2本塁打を放ったり、二塁打・三塁打も増えてきており、長打力が増してきました。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を引き上げて回しこむように、始動~着地までの「間」は充分取れています。これにより、速球でも変化球でも、スピードの変化に幅広く対応。幾分ベース側にインステップしているように、外角を意識した踏み込み。特に踏み込んだ足元がブレないので、外角の厳しい球や低めの球にも食らいつくことが出来ます。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形は早く作れており、速い球に立ち後れません。バットの振り出し・ヘッドの下がりなどにも癖はなく、大きな欠点はありません。そのかわり、特筆すべきほどのものも感じられず。以前ほどスイングのひ弱さは薄れ、スイングの強さ・鋭さもドラフト候補のそれに近づいてきました。

<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げはそれなりで、目線の動きも平均的。体の開きは我慢出来ていますが、軸足は前に崩れてしまっており、体が突っ込まないことに気をつけたい。

(打撃のまとめ)

 特にボールを捉えるセンスに特別なものは感じられませんが、ボールに喰らいつくシブとさみたいなものはプレーからも伝わってきます。スイングにも強さ・鋭さが増すことで、以前のようなひ弱さを感じられなくなりました。それでも、ドラフト候補の打力としては、まだまだ劣る印象は否めません。


(最後に)

 打撃の物足りさは感じるので、プロの一軍レベルまで引き上げるには数年かかるのではないのでしょうか。それでも守備・走力があるので、我慢して起用してもらえる強味がありますし、気持ちが伝わって来るプレースタイルには、首脳陣のウケは良さそう。

 そういった意味では、長くしぶとく生き残って行ける可能性は充分あると思います。けしてレギュラーになるほどの器だとは思いませんが、一軍の控えあたりで渋い活躍を魅せる選手に、将来的になれる可能性はあると評価します。こういう選手が一人いると、チームも重宝するのかもしれません。ただし私は、打力が一定レベルない選手は評価しない主義ですし、それならばプロで売りにできるぐらいの守備・走力があれば納得はできます。残念ながら、そこまでのものは感じられなかったので、指名リストに名前を残そうとは思いませんでした。


(2014年 秋季リーグ戦)