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ルシアノ・フェルナンド(楽天)外野手のルーキー回顧へ







ルシアノ・フェルナンド(白鴎大)外野 176/83 右/右 (桐生第一出身) 
 




                  「今年NO.1のスラッガー」





 今年のドラフト候補中で、NO.1のスラッガーは誰だと訊かれてら、迷うことなく この フェルナンド と私は応えるだろう。世間的には、高校NO.1スラッガー・岡本 和真(智弁学園)内野手の評価が高いが、ホームランを打つ・プロで長打力を売りにするという意味では、フェルナンドのほうが上だと考えている。

 フェルナンドの両親はブラジル人だが、幼少期から日本で育ってきた。桐生一時代も通算20本塁打を放っているが、それほど際立つ存在ではなかった。むしろ才能が開花したのは、白鴎大に進んでから。4年春には6本塁打を記録するなど、輝かしい実績も残している。しかし私が彼を評価したのは、そういった実績やパワーよりも、誰よりも強くバットを振れる点にある。あのフルスイングは、日本人では真似できる代物ではない。


(守備・走塁面)

 下級生の頃はセンターを守っていたし、高校時代は三塁手だったと記憶している。ドラフト後に行われた横浜市長杯では、初日にはライト、二戦目にはレフトで出場している。気になるのは、打球勘があまりよくないこと。そのため、ボールへの判断が結構危なっかしい。それでも球際でのキャッチングには強く、最初の判断を間違えなければ、それほど問題はない。プロで何年か鍛えれば、左翼あたりならば、任せることは可能だろう。

 地肩も中の上レベルぐらいの強さはあるのだが、モーションがやや大きく、返球も低く鋭くではなく、高く遠くにという感じであまり実戦的ではない。

 残念ながら、一塁までの塁間タイムは、ゆるめたもので4.5秒ぐらい。左打席に換算しても、4.2.5秒前後のものしか計測できなかった。しかし速い時には、プロの基準レベル以上で走れる脚力はあったはず。ただし走る姿はドカドカしていて、足を売りにする選手の走り方ではない。この点からも、上のレベルで足を売りにするとは考えづらい。しかし、けして動けない選手ではないし、中堅を任されていたぐらいの身体能力は持っている。

 とかく打つだけのイメージが持たれがちだが、けしてそういった選手ではない。技術云々は別にして、地肩・走力に関しては、基準~それ以上のものは持っている。


(打撃内容)

 日本人にはない、腕っ節の強さとフルスイングが魅力。それも引っ張りだけでなく、センターでもレフトでも、ライトスタンドにまで運ぶ、広角に打てる打者でもある。むしろ打球は、力みが抜けたセンター~ライト方向への打球が伸びることが多い。

<構え> 
☆☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。あらかじめ、捕手方向に引いて構えている。腰の据わり具合、両目で前を見据える姿勢、全体のバランスも程よく、打席でもリラックスして構えられている。特に固いとか、力が入りすぎている感じはしない。

<仕掛け> 遅めの仕掛け

 投手の重心が沈みきって、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。これは、天性の長距離打者が採用するタイミングであり、その辺が彼をスラッガーとして評価できる大きなポイントとなっている。

<足の運び> 
☆☆☆

 始動~着地までの「間」は短いので、いろいろな球に対応するというよりは、狙い球を絞りその球を逃さないタイプ。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたい。踏み込んだ足元はブレず、外角や低めの球にも喰らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 あらかじめトップに近い位置にグリップを添えているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しも、ロスは感じませんし、バットの先端であるヘッドもそれほど下がっておらず、スイング軌道に癖がないのも良い所。特に素晴らしいのは、フォロースルーを効かせてしっかりスイングできるので、打球が上がって一伸びするわけです。これも彼が、長距離砲として推せる材料となっています。

 フルスイングして荒々しく見えるのですが、1年春には首位打者を獲得。4年春にも、打率.455厘をマークするなど、ボールを捉える感覚・ミート能力も低くありません。広角に打てる技術もありますし、何よりボールを強く叩くことができる点が素晴らしいところ。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げも大きくないので、目線もそれほど動きません。体の開きも我慢できますし、軸足が地面からまっすぐ伸びて、内モモの筋肉が日本人にはない強さを感じます。またボールを捉える時に、グッと体重を沈みボールに体重を預けるスイングは、日本人にはまず見られないスイングだと言えます。

(打撃のまとめ)

 粗粗しいイメージがつきまといますが、しっかり技術にも裏打ちされていますし、結果も残せています。彼が、プロの世界でどのぐらいの成績を残すのか、個人的には大変興味を持っています。


(最後に)

 プレーに多少のムラッ気と荒っぽさは感じますが、打席に入るときにも入念に足場を馴らすように、打撃にもこだわりが感じられます。持っている資質も素晴らしく、将来30本~40本とNPBで打ってくれるのではないかという熱い期待を抱きます。大学生で、ここまで一発に期待を持たせてくれる選手は、私が見た中では初めてではないのでしょうか。大いに期待して、見守りたいと思います。


蔵の評価:
☆☆☆☆


(2014年 横浜市長杯)