外崎　修汰　（富士大４年）遊撃　１７５／７２　右／右

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「スピード感溢れる遊撃手」

　最初の一歩目の鋭さ溢れる遊撃守備、甘い球を逃さない「鋭さ」、出塁すればすかさず盗塁を仕掛ける走塁と、三拍子バランスの取れたプレーヤー。今年の大学・社会人の中でも、数少ない指名意識できる素材。それがこの　外崎　修汰　だ。

（守備・走塁面）

　一塁までのタイムは、右打席から4.35秒（左打者換算で4.10秒に相当）際立つ数字は計測できませんでした。しかし実際は、もう少し速く走れる選手に見えます。今年の大学選手権・福岡大戦でも出塁するとすかさず盗塁。3年秋のリーグ戦では、シーズン8盗塁を決めて盗塁王に輝くように、足でアピールできる能力があります。

　昨年大学選手権に出場した時には、二塁手として出場。明大戦でも、切れ味鋭いスピード感のあるプレーを見せていました。特にこの選手が素晴らしいのは、最初の一歩目の反応・スタートが速いこと。そしてボールの正面に素早く回りこみ、いち早く送球体勢を作るまでのスピードにあります。ニ遊間に一番必要なのは、このスピード感だと私は考えているので、その点でこの選手は素晴らしい。キャッチング～スローイングまでの流れも良いですし、深いところからでも刺せる地肩の強さもあります。プロに混ぜても、ニ遊間で勝負できるはず。

こう考えると、守備・走力は、プロでもアピールできるものがあると考えます。

（打撃内容）

　昨年の大学選手権でも3番を担い、山川　穂高（西武）の前を打っていました。今年も三番打者として出場していましたが、春のリーグ戦.244厘と数字は上がらなかったようです。しかし大学選手権・福岡大戦では、高めに浮いてきた初球のストレートを見逃さずレフト前にはじき返します。打球が上がるというよりは、鋭く野手の間を抜けてゆくタイプ。

＜構え＞　☆☆☆

　軽く前足を引いて開き気味に構え、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢は悪くありませんが、少し前傾姿勢なのが気になります。それでも意識を集中させ、甘い球を逃しません。

＜仕掛け＞　平均的な仕掛け

　投手の重心が下がりきったあたりで始動する、「平均的な仕掛け」を採用。これは、ある程度の対応力と長打力をバランスよく兼ね備えた中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターが扱う仕掛け。彼のような三番を担う選手には、合った仕掛けだと言えるでしょう。

＜足の運び＞　☆☆☆☆

　始動～着地までの「間」はそれなりで、速球にも変化球にもある程度対応できるはず。特に興味深いのは、踏み込むタイミングまで図っているので、合わせるのが上手い。ベース側にインステップして踏み込んで来るように、外角の球を強く意識しています。その分、内角の捌きが窮屈になっているのが気になります。

＜リストワーク＞　☆☆

　打撃の準備である「トップ」の形を作るのが、少し遅れがち。そのため速い球に対し、ワンテンポ差し込まれやすいのが気になります。また振り出しも肘が下がっている上に、バットの先端でるヘッドが体の外へ外へ向いて軌道しているので、インパクトまで遠回りに感じます。ある程度外の球を打つのには構わないのですが、内角よりの球には中々ヘッドが出てこないのが気になります。緩急の揺さぶりに対し合わせるのは非凡ですが、真ん中～内角よりの球を捌くコースに課題を残します。それでも甘い球を逃さない「鋭さ」があり、ヘッドスピードも鋭くひ弱さは感じません。

＜軸＞　☆☆☆☆

　足の上げ下げはありませんが、静かで目線は大きくズレません。体の開きも我慢でき、軸足も地面からまっすぐ伸びて綺麗に回転出来ています。

（打撃のまとめ）

　スムーズに出てこないスイング軌道・内角の窮屈さを改善できるのかが今後の課題。スピードの変化に、ボールをあわせる技術・甘い球を逃さに「鋭さ」・鋭いヘッドスピードと持っている点は好感が持てます。

　ただしプロで通用する打撃を身につけるには、数年かかる可能性があります。大卒ですが、即戦力というよりは数年先を見越しての指名となるでしょう。

（最後に）

　指名確実という位置づけの選手ではありませんが、個人的には面白い選手だと評価しています。けしてA級の素材ではありませんが、努力と意識でしぶとくプロの世界で生き残って行ける内面の強さを感じます。

　私の見立てでは、下位指名～育成枠あたりでの指名があっても不思議ではありません。将来的にプロ志望ならば、大学からプロに入るべき選手ではないのでしょうか。指名リストに、名前を載せてみたいナイスな選手でした。

蔵の評価：☆

（２０１４年　大学選手権）