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寺嶋 寛大(ロッテ)捕手のルーキー回顧へ







 寺嶋 寛大(創価大・4年)捕手 183/82 右/右 (興誠出身)





                   「バッティングはいいのだが」





 捕手としては充分合格ラインを与えられるバッティングの持ち主だったが、プロを意識するとディフェンス面であまりピンと来るものがなかった 寺嶋 寛大 。最終学年を迎え、その辺がどう変わっているの確かめに行ってきた。


(ディフェンス面)

 大きな声を出し、野手にもシッカリ指示を出すリーダーシップ溢れる捕手。ミットをハッキリ投手に示し、投手にとって的がつけやすいように構えられています。またグラブを地面に下げる癖はなく、ワンバウンド処理には素早く対応。ボールを後ろに逸らさないという意味では評価できます。

 あまりボールを押し込むような力強いキャッチングをするとか、コースを外れた球に対し全身で止めに行くという感じは致しません。また結構内角を使いたがるリードをする選手でしたが、優勝をかけた東京国際大での大一番において、初回大量失点を喰らうなど、投手への導き・リードといった意味ではどうなのかな?という疑問は残ります。

 イニング間のスローイングを見ると、だいたい1.95秒前後。地肩自体は結構強いですし、走者の滑り込んで来るところに結構コントロールできなど、総合的なスローイングレベルは、プロに混ぜても見劣ることはないでしょう。あまりリードセンスや捕手らしいきめ細やかさをプレーから感じるところがないのが、個人的には引っかかります。


(打撃内容)

 3年秋のシーズンには、首位打者を獲得。リーグでも、初のベストナインに選出。この春もチームの4番打者として、攻守にチームを引っ張ります。オフシーズンのレポートでは、フォーム分析しているので、今回は別の観点から。


(打席への入り)

 前の打者の際にネクストでは、立ちながら相手のモーションに合わせてタイミングを図っています。更に素振りをするときは、足のつま先まで閉じられ、高い意識でスイングをしていることがわかります。投球と投球の合間には身体を動かし、次の打席への準備も怠りません。打席に入るときには、それなりに自分に合わせて足場を馴らしています。このことからも、けして意識の低い選手ではなく、最後まで勢いを緩めないで走り抜けるように、野手としては高く買いたいところがあります。

 しかし実際のプレーを見ていると、捕手としてはちょっと粗っぽい選手で、どうなのかな?という印象を受けます。高校でも下級生の時は他のポジションを任されていた選手で、生粋の捕手といった感じはしません。打席に入る時も、バッターボックスのラインを完全に踏でしまっており、細かいところに気が行くとか、周りの人間の気持ちを察するとかそういったきめ細やかさが感じられません。やはり良い意味での鈍感力を持った、攻撃的な選手だという気が致します。


(最後に)

 元々打撃はプロ級も、捕手としては微妙なレベルだなぁとは思っていました。しかし今回改めて生でみて、やっぱり性格的にも打撃重視のタイプなのだなと実感しました。


 同じ打撃型でも 梅野 隆太郎(阪神)のような、圧倒的な身体能力やパワーがあるといったほどではなく、プロで他のポジションで生き残れるほど突き抜けているかと言われると疑問で、現状は社会人タイプかなぁとは思いました。大学選手権に出場するかはわかりませんし秋まで観て考えたいと思いますが、今回の観戦では指名リストに名前を載せたいと思わせるほどのものはありませんでした。


(2014年 春季リーグ戦)


 






 寺嶋 寛大(創価大・3年)捕手 183/82 右/右 (興誠出身)
 




                    「実績は十分」





今年の大学生捕手のドラフト候補は、六大学や東都といった主要リーグよりも、地方リーグに人材が点在している年と言えるのではないのだろうか。その中で、1年秋から新東京リーグの雄である創価大においてマスクを被り続け、全国大会での経験も豊富な 寺嶋 寛大 は、代表的な存在だと言えるであろう。

(ディフェンス面)

180センチ台の大型捕手には思えないほど、体は小さく固めて構えている。投手にとっては的であるミットがより見やすく、気づかいが出来ていると言えるだろう。ただしプレースタイルを見るかぎり、それほど気づかいや投手の気持ちを察するというタイプのプレーヤーには見えない。

ミットを軽く示し、グラブは地面に下げる癖はありません。そのため、ワンバウンド処理などの対処は悪くないでしょう。そうかといって、ボールの押し込みが良いとか、キャッチングが柔らかいとか、グラブ捌きが抜群に良いというようにも見えません。特にコースを外れたボールに対しては、腕だけを伸ばして捕ろうとするので、少々キャッチングが雑だなと思える一面もあるし、総合的にキャッチングは可も不可もなしといった印象があります。

スローイングも2.0秒前後と驚くほどタイムは早くはないのですが、地肩は結構強いですし、何よりランナーの滑り込んで来るあたりに安定して送球できることで捕殺するタイプです。驚くようなスローイングではないのですが、実戦で刺せるタイプではないのでしょうか。リードは、適度に内角を使ってきます。内角の使いどころが間違っていないかが、今シーズンのチェックポイント。

ドラフト候補と考えると、ディフェンスとしては可も不可もなしといった印象で、際立つ存在ではありません。

(打撃内容)

結構試合を見ていると、長打でのインパクトがあります。この秋は、打率.432厘を残し首位打者を獲得。まさに、打撃でも存在感を示すことができました。打球も、右に左に長打が出る印象があります。

<構え> ☆☆☆☆

前足を軽く引いて、グリップを高めに添えています。腰の据わりも良く、両目で前を見据える姿勢・全体のバランスなどもよく、理に適った構えだと言えるのではないのでしょうか。

<仕掛け> 早めの仕掛け

投手の重心が下る時に始動する「早めの仕掛け」を採用し、対応力を重視したスタイルなのがわかります。この辺が、首位打者にもつながったのかもしれません。

<足の運び> ☆☆☆☆

早めに足を引き上げ、まわしこんでベースから離れた方向に踏み出すアウトステップ。始動~着地までの充分な「間」があるので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。アウトステップするように、元来ならば内角の球を引っ張って巻き込みたいタイプ。

しかし踏み込んだ足元がブレないように我慢できており、外角でも甘めのゾーンの球や高めのボールならば充分に対処できます。その辺が、右に左へと打球を飛ばせる理由でしょう。

<リストワーク> ☆☆☆

打撃の準備である「トップ」を作るのが早く、速い球にも立ち遅れません。バットの振り出しが遠くから出てくるタイプなので、その辺で少しロスを感じます。それでも大きな弧を描きつつ、バットの先端であるヘッドまでは下がらないので、遠心力を活かして右方向の打球も伸びてゆきます。

<軸> ☆☆☆☆

足の上げ下げは静かで、目線は大きく動きません。体の「開き」は最後まで我慢出来ているし、軸足も強く安定しています。タイミングがズレていても、開きを遅らせてボールを捌くことができるので、緩い球でも崩されません。

(打撃のまとめ)

チームでは下位打線ですが、捕手に必要な打力は持ち合わせているように思います。現状図抜けた打力ではないので、更に最終学年でモノの違いを示せるまでになると良いのですが。

(最後に)

打撃は合格レベルですが、ディフェンス力は現状図抜けたものは感じません。そういった意味ではドラフト候補ではありますが、指名レベルまで引き上げられるのかがポイント。春のアピール次第では面白いと思いますが、現状のままだと社会人などに進むことになりそうです。今年の創価大は、塁間3.9秒台をコンスタントに刻む・高橋直樹(国士舘出身)中堅手と、この寺嶋選手に注目すれば良いのではないのでしょうか。

(2013年秋 横浜市長杯)










著者 : 蔵建て男
パブー
発売日 : 2014-02-06