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田中 英祐(京都大4年)投手 180/75 右/右 (白陵出身) |
「普通にドラフト候補」 京大の選手という話題性が先行しがちだが、一人のドラフト候補としてみても、普通にドラフト候補としてマークできる素材。むしろその魂のこもった熱い投球には、俺を観てくれ! という強烈なメッセージを感じずにはいられなかった。 (投球内容) 2イニング限定での登板という平塚合宿だっただけに、普段のリーグ戦のような第三戦まで想定したスタミナ配分を考えたセーブする投球とは違っていたのでしょう。全身をめいいっぱい使い、クレバーの先発タイプというよりも、熱いリリーバーと化していました。 ストレート 常時140~MAX92マイル(147.2キロ) 最初の1イニングは、すべてストレートを投げ込みアピール。そのボールの勢い・気迫のこもったボールは、同じような球速で投げていた 七原 優介(名古屋大)よりも、球質・勢いの点で上回っています。一見熱いだけの投球に見えますが、ボールを両サイドにしっかりコントロールされ、計算された上での力投だというのがわかります。高学歴の選手は野球人としては素材型の荒削りなタイプが多いのですが、彼は力と技を見事に使い分けている、野球脳に優れたプレーヤーです。 変化球 スライダー・フォーク・チェンジアップなど 2イニング目は、スライダーやフォーク・チェンジアップなどを交え、コンビネーションでの投球を披露。元々緩いカーブやツーシーム・カットボールなど、微妙に動かす球種もあって多彩です。絶対的な変化球はありませんが、相手に的を絞らせないコンビネーションの豊富さを感じます。 その他 1.0秒前後の高速クィックに加え、鋭い牽制なども交えます。けして、投球だけという投手ではありませんし、チームで不動のエースとして活躍している選手だけに、ある程度投球をまとめることもできます。 (投球のまとめ) 物凄く熱い面と冷静に投球できる二面性を持ち、それを上手く投球にミックスして投げています。ストレートの威力のみならず変化球も多彩で、コントロールや投球以外の部分も一定レベルに達しています。リリーフタイプの七原優介に比べると、こちらは力投派ですが先発タイプの投手だと言えます。掛け値なしに、大学から直にプロ入りできる力があると評価します。 (成績から考える) 今シーズンは、自己最高の3勝をあげるなど、充実したシーズンだったと言えるでしょう。 10試合 3勝5敗 67回2/3イニング 54安打 14四死球 54奪三振 防御率1.73 1,被安打はイニングの70%以下 △ 被安打率は、79.8% と、地方リーグの選手としては図抜けてはいません。やはりリーグ戦だと、かなり力をセーブして投げているのでしょうから、そのときに相手を抑えこむほどの圧倒的なボールは少ないのではないかと想像します。その辺は、馬力で押せる七原との差ではないのでしょうか。それでも多彩な変化球を駆使して、悲観するほど悪い数字ではありませんし、3年秋までの成績に比べると良化傾向にあります。 2,四死球はイニングの1/3以下 ◎ 四死球率は、20.7% であり、通算成績と比較すると、かなり良くなっていることがわかります。余計な四死球を与えないという、投手として大切な能力が備わっています。 3,奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 △ 1イニングあたりの奪三率は、0.79個 とわずかに基準を満たせていません。それでも通算成績に比べると、この点でも大幅に増加しており、良化傾向にあることがわかります。 4,防御率は1点台以内 ◯ ベストナインを獲得した昨秋の1.07に比べると、今春は1.73 と数字を下げました。それでも基準を満たすだけの数字は残しており、悲観するほどではないでしょう。ただ上位指名を目指すならば、1点台を割るような圧倒的な数字は望みたいところ。集大成となるラストシーズンに、どのぐらいの成績を残すのか期待してます。 (成績から考える) 成績をみると、まだ絶対的な数字ではありませんが、段階を踏んで成長して来ている意識の高さを感じます。現状は、図抜けた選手ではないが、適度に各部門バランスが取れており、総合力に優れた選手であることがわかります。 (最後に) 想像以上に熱い男であり、自分を強烈にアピールしようという貪欲さを感じます。まだまだ上位指名という絶対的なものは感じませんが、中位指名ならば充分に指名される力はあると評価します。 まして野球に専念できる環境が整えば、更に資質を伸ばしてゆくことも期待できます。そしてこの選手は、段階を踏んで自分を計画的に進化させることができる選手だと判断します。プロ入り宣言をするのならば、3位前後ぐらいでの指名は期待できるのではないのでしょうか。1年ぐらいファームで漬け込めば、2年目ぐらいからプロのローテーションに入ってこられる可能性を感じます。非常に、将来楽しみな選手だと評価します。 蔵の評価:☆☆☆ (2014年 平塚合宿) |
田中 英祐(京都大・3年)投手 179/72 右/右 (白陵出身) |
この選手は残念ながら実際の投球を見たことがありませんが、動画なども結構あがってるので簡単な感想や残した成績、フォーム分析などをして、少しでも実像に迫られたらと思います。 (第一印象) もっと淡々と投げ込むタイプなのかなと思っていたのですが、一球一球かなり力を込めて投げ込む力投派といった印象を受けます。そのためボールの勢いも常時140キロ台を越えていそうで、MAX148キロの球速には偽りないボールの勢いを感じます。 変化球は、カーブ・スライダー・ツーシーム・フォークボールなど、ひと通りは持っているよう。フォーム的にはスライダー投手なのかなという印象を受けましたが、緩いカーブなども使ってきます。 その他 牽制なども鋭く、クィックなども使ってこられるなど、投球以外の部分もそれなりにこなす能力がありそう。3年間の通算防御率が2.34という数字だけに、ある程度ピッチングができる投手のようです。けして、ただの球の速いだけの投手ではないのでしょう。 ボールの勢いだけ見れば、間違いなくドラフト候補と呼んで良さそうです。京大だからという、色眼鏡はこの選手に不要なはず。あとは、変化球や制球力など含めて、投球の総合力がプロでやれるほどなのかどうか?その辺は、今年実際を確かめてからということになります。 (成績から考える) 1年春からリーグ戦に登場し、2年生になってからは完全にチームの主力として活躍してきています。三年間の通算成績は 45試合 4勝21敗 257回2/3 214安打 85四死球 169奪三振 防御率 2.34 1、被安打はイニングの70%以下 ✕ 被安打率は、83.1% 。設定を甘くして80%以下でも、このファクターをクリア出来ていません。ボールの威力が劣っているというよりは、コンビネーションや変化球も含めて、課題があることが考えられます。 2、四死球は、イニングの1/3以下 ◯ 四死球率は、33.0%であり、基準である33.3%以下を僅かに満たしている。絶対的な制球力はないが、四死球で自滅するような投手ではないということなのだろう。 3、奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ✕ この選手を見ていて一番気になったのが、この奪三振率の低さ。彼の奪三振率は、1イニングあたり0.66個。これは、極めて平凡な成績であり、140キロ台を連発するような速球を持つ選手には、決め手が欠けている印象を受けます。ストレートで仕留めきれず、そうかといって空振りの取れる変化球がない、そういったイメージが浮かびます。 4、防御率は、1点台以内 △ 通算の防御率は、2.34 。2年秋・3年秋には1点台をマークし、特に3年秋には1.06でリーグ4位に。ドラフト指名を意識するのであれば、0点台の絶対領域の安定感も欲しいところ。 (成績からわかること) データから見るかぎり、数字的にはドラフト指名は微妙な位置にいるのがわかります。特に被安打の多さと奪三振の少なさからも、変化球や投球術のレベルがどうなのかな?という不安は残ります。それだけに、その辺を最終学年でいかに払拭できるかではないのでしょうか。 (投球フォームから考える) 次は、投球フォームの観点から今後の可能性を模索してみたいと思います。ランナーがいなくても、セットポジションから、勢いよく足を引き上げてきます。 <広がる可能性> ☆☆☆ 引き上げた足を地面の方に向けて、お尻はしっかり一塁側には落ちないフォーム。そのため体を捻り出すスペースは、それほど確保出来ていません。カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球には適さないのではないかと考えられます。また、腕の振りがスリークオーターなので、こういった球の曲がりも中途半端になっている可能性があります。 「着地」までの粘りは適度に前に足を逃がすことができ、体を捻り出す時間は悪くありません。そういった意味では、カーブやフォークといった球種以外ならば、修得して行ける可能性があります。しかし実際には、カーブやフォークといった球種を持ち球にしているし、データを見るかぎり変化球の精度不足が懸念されるので、この辺は実際に確認してみたいところ。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ グラブは最後まで内に抱えられ、両サイドへの制球は安定。足の甲でも地面を押し付けられており、それほどボールは上吊らないのではないかと考えられます。実際の成績的には、制球は悪くないよう。 ただし結構足を勢いよく引き上げ投げ込む力投派だったり、指先の感覚自体はどうなのかな?という疑問もあり、その辺は生で見てみないとよくわかりません。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻をしっかり落とせない割に、カーブやフォークといった球種を投げるので、その点で肘への影響は気になります。ただし投球において、これらの球種をどの程度投げているのか、その頻度も大事な要素。 腕の角度には無理がなく、スリークオーターなので肩への負担は少なそう。それでも力投派なので、体の消耗は少なくないと言えるでしょう。その点では、日頃からケアには充分注意して欲しいところ。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りがある程度作れているので、「開き」が早そうなスリークオーターの割には我慢して投げられているように思います。コースにしっかり投げていれば、そうは痛手は喰らわないのでは。 腕がしっかり振れるのが最大の魅力であり、速球と変化球の見極めは困難。重心が深く沈んでいるので、「体重移動」はどうかなと思ったのですが、地面を強く蹴り上げられており、ボールに上手く体重が乗せられていることを裏付けます。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「体重移動」はまずまずで、「開き」「球持ち」は平均的といった印象をうけました。しかし、フォームに大きな欠点はありません。 コントロールを司る動作もよいのですが、あとは故障に気をつけて欲しいところ。けしてフォームだけ見ていると、素材型ではないことが伺われます。 (最後に) 成績やフォーム分析や一部動画を見るかぎり、指名確実という絶対的な選手ではないよう。それでも確かな球速があり、ドラフト候補としてはマークできる素材ということでしょうか。 やはり詳細に関しては、実際に見てみないとなんとも言えません。出来れば春季リーグ戦に、その投球を確認してみたいですね。期待して、その日が来るのを今から楽しみにしております。 |