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風張 蓮(ヤクルト)投手のルーキー回顧へ







 風張 蓮(東農大オホーツク)投手 185/86 右/右 (伊保内出身)
 




                     「よくわかねぇよ」





 風張蓮が、昨年から何が変わったのか? 神宮大会では、打者二人目の一塁ベースカバーの際に、後ろ太ももを痛め僅か1イニングで降板。以後登板することなく、大学生活に幕を閉じた。高3の頃から、毎年のようにこの選手の成長を見守ってきたが、目に見えて今年になって良くなっているのかは、この試合を観るだけではわからなかった。

 しかしこの秋は、34イニングで2失点。神宮大会を出場を決めるまでの足取りは、明らかに下級生の時とは違っている。どのように変わっていたのか、推測しながら考えてみた。


(投球内容)

 胴回り・太ももの太さなど、実に立派な体格をしている。しかしそれが、昨年に較べて明らかに大きくなっているかまでは、ハッキリわからない。

ストレート 常時140キロ台~MAX144キロ

 太ももを痛めるまでの投球では、140キロ台を越えてきており、MAXでは144キロ。しかし昨年の大学選手権でも、常時130キロ台後半~MAX144キロを記録していたので、ボールそのものに何か大きな変化があった感じはしない。

 特に立ち上がりということもあり、低めへの球は少なく、相変わらずストレートは暴れ気味。順調にイニングを重ねていれば、140キロ台後半ぐらいまで記録していたかもしれないが、それはタラレバの話しであり、実際のところは良くわからない。残念ながらMAX151キロの成長を、確認するまでには至らなかった。また特に、球筋が安定していたようにも思えない。

変化球 スライダー・ツーシーム・フォーク・カーブなど

 彼の最も信頼を置く変化球は、体の近くで鋭く曲がるスライダーにある。この球は、低めに決まり確実にカウントが取れる。その他に、ツーシーム・フォークなどは確認できたが、緩いカーブは今回投げていなかった。昨年からの変化をあげるとするならば、高めに甘く浮くことが多かったスライダーの精度が、かなり低めに集まっていたこと。この部分は偶然でなければ、大きく成長したポイントだろう。

その他

 元々鋭い牽制が投げられる選手だが、この試合ではよくわからず。クィックは1.15秒強ぐらいであり、昨年からそれほど変わっていない。ベースカバーの際に足を痛めたわけだが、これは二塁手の送球が乱れて無理に体を伸ばしたことでの怪我であり、風張に大きな問題があったとは思えない。ただし試合前に入念のストレッチや全力でダッシュなどを行っていれば、このようなことも防げたのではないか? その疑問は拭えない。

(投球のまとめ)

 スライダーが甘く入らなくなった部分では成長を感じたが、ストレートの勢い・コントロールは、思ったほど変わっていなかった。残念ながら神宮大会の投球のみで、成長の一端を感じ取ることは極めて困難である。


(投球フォーム)

 実際の投球だけではよくわからないので、今年のフォームが以前とどの程度変わっているのか検証してみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆☆

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばすので、お尻は一塁側に落とせます。そのため体を捻りだすスペースは確保出来ており、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる変化球の習得にも無理がありません。

 また「着地」までの粘りは平均的で、可も不可もなしといった感じ。そのため体を捻り出す時間は並であり、それほど変化球のキレ・曲がりなどは特徴が出しにくい。打者を仕留めるほどの絶対的な変化球がないのは、そのせいかもしれません。この辺の動作は、以前と殆ど変わっていませんでした。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 以前から指摘するように、グラブを内にシッカリ抱える意識がありません。けして外に解けているわけではないのですが、両サイドのコントロールが安定してないのは、このへんに原因があるかもしれません。

 足の甲での地面への押し付けはよく、力を入れてもボールが低めに集まりやすい傾向にあります。ボールも前で放せており、「球持ち」も悪くありません。細かいコントロールはありませんが、四死球で自滅するタイプではないでしょう。このへんの動作も、下級生の時と同じです。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆

 お尻を落とせるフォームですし、カーブやフォークなどの体を捻り出して投げる球種も、それほど多くは投げないので問題ありません。肘への負担は、気にしなくて良さそう。

 腕の角度・送り出しも、以前ほど無理は感じられません。そういった意味では、肩への負担も悲観するほどではないはず。あとは、普段からしっかりケアしていれば、痛める心配は少ないのでは。頑強な体付きでもあり、故障し難いフォームだと言えます。今回太ももを痛めたように、ストレッチやダッシュなど、試合前の入念な準備をより意識すべきではないのでしょうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りは平均的で、体の「開き」も可も不可もなしといった感じ。フォームとしては、特に打ちやすいわけでも、イヤらしいわけでもありません。

 素晴らしいのは、しっかり強く腕が振れるところ。これは、空振りを誘う上でも大事な要素。ボールにもしっかり体重を乗せてから投げられており、打者の手元まで勢い・球威が落ちずにミットまで収まります。このフィニッシュの形は、非常に評価できます。以前よりも成長した点は、腕をしっかり叩けるようになったところではないのでしょうか。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点では、「着地」と「開き」は並。しかし「球持ち」と「体重移動」には非常に良いものを持っています。

 グラブの抱えの甘さから、多少ボールがばらつく危険性が。それでも故障のリスクは少なく、プロでもタフな活躍が見込めるのは、推せる材料ではないのでしょうか。

(最後に)

 昨年より良くなったのは、スライダーの精度と腕をシッカリ振れるようになったこと。その辺が、何処まで投球に影響しているのかまではわかりませんが、残した数字やこの秋の活躍がそれを証明しています。

 昨年までは、まだプロ入り確定の絶対的な力量はなく、過去のネームバリューで野球をやっているなという選手でした。今年は若干の成長は感じさせるものの、本当に凄くなっている部分までは確認出来ていないので、評価としては控えめにせざるえません。もしスカウト達のいうように、明らかに成長しているのかどうか、ぜひプロの世界で確認してみたいものです。この評価が正当に彼の能力を把握出来ているかはわかりませんが、成長した部分を考慮して指名リストに名前を残してみたいと思います。


蔵の評価:
☆☆


(2014年 神宮大会)



            
   








風張 蓮(東農大北海道・3年)投手 181/82 (伊保内出身) 
 




                 「同じことを繰り返しているような」





岩手の伊保内高校時代から甲子園とは無縁も、全国のその名前は知れ渡っていた逸材。東農大北海道に進んでからも、一年生の頃からリーグ戦で活躍してきました。しかし毎年のように見るのですが、正直高校時代から変わった印象がありません。そんななか昨秋初めて規定投球回数に達し、実績らしい実績を残しました。

(投球内容)

残念ながら成長した秋の投球は確認できませんでしたが、6月の大学選手権の試合2試合と日米大学野球選考会・平塚合宿での投球は確認できたので、そこから投球をまとめてみましょう。

ストレート 常時130キロ台後半~MAX144キロ

ストレートはビシッと勢いを感じますし、低めで伸びて来ることもあります。しかし全体としては、ボールが暴れて高めに抜けることも少なくありません。ボールの威力はあるものの、思い通りにコントロール出来ているという感じは未だにしません。

変化球 カーブ・スライダー・フォークなど

緩いカーブやフォークのような球種もありますが、殆どは小さく横滑りするスライダー。特にストレートの割合の多い投手なのだが、その数少ない使えるスライダーが高めに入って打たれるケースが多い。それゆえ、益々ストレートに頼る配球になってしまう。

その他

牽制はまずまず鋭く、走者を塁に釘付けにする効果があります。クィックも1.1秒前後と素早く、フィールディングでも素早くマウンドを駆け下りボールを処理できる。特に投球以外の部分に、大きな欠点はありません。

(投球のまとめ)

ボールはおおよそ外角には集まるものの、高めに抜けたり、カウントを悪くすると四球を出してしまったりと細かいコントロールがつきません。というか力の入れ加減抜き加減が、完全にはモノに出来ていない感じが致します。

そうかといって、変化球のコントロール・精度・キレ・活かしたか含めて、高校時代からの成長が感じれず、結局ストレート中心の配球を余儀なくされます。そういった投球を三年間繰り返してきましたが、昨秋は一皮むけたということでしょうか?

(成績から考える)

初めて規定投球回数に達した昨秋の成績は

5試合 4勝0敗 35回2/3 8四死球 37奪三振 防御率 1.26(リーグ4位)

残念ながら被安打数はわからなかったが、その他の部分から考察してみたい。

1、四死球は、イニングの1/3以下 ◎

四死球率は22.5%であり、基準を満たすものがあります。春までの5シーズンでは、34回1/3イニングで19個の四死球を出しており、四死球率が55.4%だったことを考えると、昨秋は格段に制球が良くなったことがわかる。ぜひ球筋の安定した、風張のピッチングを見てみたい。

2,奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◎

1イニングあたり1.04個の奪三振を奪っており、イニング数を越えています。先発ならば0.8個以上奪っていれば十分ですが、それを遥かに越えます。変化球の精度が上がって三振が取れるようになったのか、ストレートに更に磨きがかかったのか? はたまた制球力が故障したからなのか? 非常に気になる数字です。

ですが、それまでの5シーズンでの奪三振率は 1.20個なのでもっと良かったことがわかります。リリーフでの登板が多かったというのも、一つ要因ではあると思いますが。

3、防御率は1点台以内 ◯

防御率1.26という数字を残し、基準を満たすことができました。ただし地方リーグの成績なので、最終学年にはぜひ0点台の絶対領域まで食い込んで欲しいと思っています。

(データからわかること)

被安打のデータがないのは残念ですが、かなり秋は今までとひと味違った投球をしていたのではないか?という期待は高まります。それでもやはりそれが、全国大会でも通用する内容だったのかという部分でも気になります。いずれにしても
最終学年での飛躍に、期待を持たせる数字となっています。

(最後に)

3年春までは、高校時代からの成長が感じられず、いつも同じようなことを繰り返してきた印象。しかし投球は確認出来ていませんが、データを見るかぎり秋は一皮むけた可能性を感じずにはいられません。

ぜひ最終学年では、その成長した姿を全国の舞台で示して頂きたい。彼あたりの評価が浮上して来ると、ドラフト戦線も面白くなります。期待して、そのときが来るのを待っています。

(2013年 大学選手権)








 風張 蓮(東農大生産学部)投手 181/82 右/右 (伊保内出身)

(どんな選手?)


 昨年・岩手の逸材として、プロから熱い視線が送られた選手。結局は進学しましたが、この春は 4試合 0勝0敗 防御率 2.25 とリーグ戦を経験し、高校時代成し得なかった全国の舞台にも登場いたしました。

(投球内容)

 負けん気の強そうな顔から、球威と球速を兼ね備えたストレートを投げ込んできます。その球速は、130キロ台後半~MAX144キロ。変化球は、110キロ台後半の横滑りスルスライダーとのコンビネーション。

 まだまだ細かいコントロール・投球術はないようで、力のある球をストライクゾーンの枠の中に投げ込んで来るといった感じです。制球力・球種・リズム・マウンド捌き、すべてのおいて、これからの投手との印象を受けました。

(投球フォーム)

 お尻を一塁側にしっかり落とせますし、着地までのタイミングは悪くはありません。そのため将来的に、見分けの難しいカーブで緩急をつけたり、縦に鋭く落ちるフォークのような球を修得し、投球の幅を広げてゆける可能性は秘めています。

 足の甲での押しつけは悪くありませんが、グラブを抱える意識がないので、フォームが暴れて制球が安定しません。ボールを前で離せる「球持ち」の良さはありますが、まずは投球フォームの基本を身につけ、ストライクゾーンにボールが行くようにしたいところ。

 「着地」が平均的なため、「開き」も早すぎることはありません。少し無理に腕の角度を付けている印象で、腕の回旋がスムーズでないのは気になります。しかし「球持ち」は、前に肘が出て悪くありませんでした。「体重移動」も悪くないので、もっと腕を強く振れるようになれば、まだまだボールは速くなるはず。土台さえ構築できれば、将来は150キロ近い球速を、連発できるポテンシャルは秘めていそうです。

(今後は)

すべてにおいて、学ばないと行けないことが多い素材型です。これからは、本人の強い意識と教える側の指導にもよりますが、どんな風に育つのかは想像できません。ただ先発で試合を作るタイプと言うよりは、馬力で圧倒するタイプに育つ可能性は高そう。先発は、玉井に任せて、試合の後半を担うような役割になって行くかもしれません。お互い切磋琢磨して、大きく育っていって欲しいと期待します。

(2011年 大学選手権)
 






風張 蓮(岩手・伊保内)投手 180/80 右/右





                「本当に存在していたんだ。」





 彼の名前を、初めてネットで目にした時、その聞き慣れない学校名や劇画チックな名前に、私は本当に実在する人物かどうか疑いを持った。しかしそれからしばらくして、実際に雑誌などでも、その名前を目にする機会も増え、この選手が本当に実在する人物だと納得できた。

 今回は、試合の模様を録画して頂き、お送り頂いた方のおかげで、彼の投球のほとんどを確認することができた。ただ春季岩手大会の風張は、爪を割ってしまい本来の姿からは程遠い内容だったと言う。実際に生で確認した選手でもなければ、本来の彼の姿とは違っていたことからも、今回は、私が見た試合の模様から、簡単に感じたことを書き連ねるに留めたい。


(投球スタイル)

 
想像以上に骨太で、ガッチリした体格の持ち主。投球自体も完成度の低い素材型とか、球威に欠けるひ弱なタイプとか思っていたが、全く持って私の想像は間違っていたことを思い知らされた。まさに、百聞は一見にしかずである。





(投球内容)

 かなりマイペースな選手といった感じで、ランナーを背負っても、自分のペースを乱すようなタイプではない。そのためマウンドでは、随分と落ち着いて投げている印象がある。ゆったりとワインドアップで振りかぶり、そのフォームから投げ込まれる速球は、最速で147キロに到達したと言われる。

ストレート 135~140キロ強ぐらいか

 この日は、爪の割れた影響からか、本来の球ではなかったと言う。しかし一球・一球・非常に球威のある力強い球を投げ込んで来るので驚いた。逆にスカウトが絶賛していたような、伸びのある球と言うよりは、球威で詰まらせる感じに見え、これが普段の彼の球とは、随分と違うと言うことなのだろうか?少なくても球威・球速は感じられ、非常にボリューム感のある速球を投げ込んで来る投手だった。

フォーク 

 爪の影響からか、変化球は速球とフォークとのコンビネーション。このフォークも、ストライクゾーンからボールゾーンに切れ込むと言うよりは、チェンジアップ気味に、カウントを稼ぐ球となっている。落差としては、空振りが誘えない物足りなさはあるものの、すでにフォークを多投して操るだけの術は身につけているようだ。

その他

 変化球は他に、カーブ・スライダー・シュート・チェンジアップ・ツーシームと、普段はかなり多彩らしい。特にブレーキの効いたカーブには定評があるそうで、そういった多彩な変化球を、実際にはどうやって織り交ぜて来るのかは興味深い。

 牽制も鋭く、フィールディングも素早くマウンドを駆け下り、クィックも1.05秒前後と高速。打者の内外角を投げ別けられる制球力に、落ち着いたマウンド捌きなど、けして球の威力に頼ったり、素材の良さに胡座をかくような選手ではない。投手としてのセンス・制球力などに破綻のない、バランスの取れた投手だと言えそうだ。

<右打者に対して> 
☆☆☆

 右打者に対しては、アウトコース中心に球を集めて来る。また時々意識しているのか?球が抜けていたのか?は定かではないが、打者の頭近くに厳しい球を多く投げ込んで来る。この日の風張は、内外角に球を散らせつつ、フォークで仕留めると言う投球パターンだった。

 ただこの日は、外角高めに甘く浮いた球を、狙い打ちされることになる。普段は、もう少し球が低いのか?あるいはこの高さでも、伸びがあるから空振りが取れて大丈夫なのかは、この試合を見る限りよくわからなかった。彼の素晴らしいのは、外角への球筋だと言われている。


<左打者に対して> 
☆☆☆

 左打者に対しても、外角高めに速球、低めにフォークとのコンビネーションでカウントを整えつつ、内角も突いて来る。やはりこの試合では、高めに甘く入った球を痛打される場面が右打者同様に目立っていた。この一番得意なゾーンへの球の伸び・微妙な制球に欠いたところが、花巻東打線に、今まで経験がないほど打ち込まれた要因だったのかもしれない。


(投球のまとめ)

 速球とフォークのみの単調なコンビネーションで、狙い球を絞られ高めの甘い球を痛打されていた。またその高めの速球は伸びを欠いており、この球をことごとく打たれることになる。こうやってみると、やはり爪の影響が大きかったのかもしれないが、悪ければ悪いなりの投球ができなかったことに、まだまだ物足りなさを感じなくはなかった。





(投球フォーム)

 お尻を一塁側に落とせ、更に着地のタイミングも悪くない。そのため将来的にも、見分けの難しいカーブやフォークを武器にできる可能性を秘め、多彩な変化球を操る器用さは兼ね備えていそうだ。

 グラブもしっかり最後まで内に抱えられるので、両サイドへの投げ別けもでき、足の甲での押しつけも、深さ・粘りとも悪くない。ボールが高めに浮いていたのは、フォームが原因と言うよりは、やはりこの日の爪の状態が大きく影響していた可能性は否定できない。

 投球フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」のいずれにも大きな欠点はなく、土台となる投球フォームは素晴らしい。あとは、腕をもっと強く振って、躍動感が出てくるようならば、将来的にもかなり期待できそうだ。この投手は、どちらかと言うと、柔らかさよりも、馬力のある力強さを売りにするタイプのように思えます。

(プレースタイル)

 ランナーを背負っても、ちゃんと一息つくように軽い牽制を入れ、自分を落ち着かせて投球できるなど、かなりマイペースでピンチに動じないタイプであるように思える。そういった肝の据わった部分がある反面、それまでしっかり投げ込んでいたピッチング練習において、最後の球を軽く投げていたのは、爪の調子云々ではなく、普段からそういったピッチングスタイルなのではないのだろうか?こういった最後に抜いて投げるタイプの投手は、詰めの甘いタイプが多く、勝負どころでポカを食いやすい。彼も勝負どころで甘く高めに入る球も多かったので、その辺を夏は注目してみてみたい。





(今後に向けて)

 これで本来なら、常時140キロ級・最速で140キロ台中盤を記録し、球の伸びが素晴らしいのであるならば、上位指名も意識できる素材なのだろう。カーブを中心とした多彩な変化球も織り交ぜられる器用さも兼ね備えるのならば、選抜大会中に岩手で行われた練習試合に、スカウトが殺到した理由も充分に頷くところ。

 心技体の三つの要素でも、才能的な部分では、充分プロの素材であることがわかった。技術的にも、想像以上に土台のしっかりしたフォームであり、多彩な変化球を操れる器用さに、マウンド捌きもけして悪くない。その技量も、高校生としては合格ラインなのだろう。あとは、プロで飯を食いたいんだと言う貪欲さやこだわりが、そのプレーの端々から感じられるようになれれば、スカウト達も自信を持って指名へ動き出すのではないのだろうか。

 その反面、普段から高めに浮くのか?勝負どころでの詰め甘さや投球のメリハリはどうなのかと言う疑問は、この試合で残った。それだけに夏には、ぜひ本調子の彼をみたいと思わせてくれる選手だった。そういった気持ちにさせてくれる投球が見られただけでも、春の時点では大いなる収穫。この試合の模様からだけでも、ドラフト候補のその片鱗は充分に伺うことはできた。あの菊地雄星(花巻東-西武)に続いて、岩手からプロの世界に足を踏み入れて行くのではないのだろうか!


楽天


(2010年 春季岩手大会)