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山崎 康晃(DeNA)投手のルーキー回顧へ







 山崎 康晃 (亜細亜大4年)投手 177/83 右/右 (帝京出身)





                「だいぶ先発らしくはなってきたが」





山崎康晃といえば、リリーフで唸るようなストレートで抑えこむ強烈なインパクトがある一方で、先発だと上背の無さから来る底の浅さが滲み出る物足りないピッチング。それでも最終学年では球種を増やすなどして、だいぶ先発投手らしくはなっていたのだが・・・。


(投球内容)

ストレート 常時140キロ~MAX147キロ

 この秋見た時は、結構145キロ前後のボールを投げ込むなど、先発でもビシッとしたボールは投げ込んでいました。どうしてもリーグ戦になると、長いシーズンを想定して省エネピッチングになりがち。この投手は合わせやすいフォームなので、140キロ前後~中盤ぐらいだと、打者にとっては苦になく合わされてしまいます。力を入れた140キロ台後半~150キロ台前半ぐらいの、明らかに球のキレが変わって来ないと、打者としては厄介だとは言えないでしょう。それ故に私は、いくら引き出しを増やしてみても、投球の核であるストレートが生きない先発では面白味に欠けると、常に言ってきました。

 合わされやすいフォームなので、コースを突いたような球でも打ち返されてしまうところが悲しいところ。けしてコントロールで、苦しくなるような投手ではないのですが。

変化球 スライダー・ツーシーム・カーブ・ナックルなど

 プロではナックル・ナックル騒ぎますが、この投手は曲りながら落ちるスライダーで三振を奪います。またチェンジアップのような、ツーシームと、この2つの変化球が主体です。たまにパームボールみたいな変な遅い変化球を投げていたのですが、あれがナックルだったようです。カーブ同様にピッチングでは大きなウエートを占めておらず、たまに投げるから効果的であって、けして彼の武器ではありませんでした。

その他

 牽制は結構鋭いですし、クィックも1.0秒前後と高速。走者を背負っても、投球のリズムを狂うわけではないので、その辺はさすがだと思います。

 しかしそれほど細かい出し入れや、間のとり方が上手い選手ではないので、ガンガン力で押す方が彼の性格には合っているのではないのでしょうか。

(投球のまとめ)

 ストレートのコマンドも、変化球のキレ・曲りもけして悪くはありません。ナックルをアクセントに、投球の幅も広がりつつはあります。しかし根本的なストレートの合わされうやすさは改善されていないので、キャパを落として投げると苦になりません。

 やはり相手の打者が合い出すと、スコンスコンと集中打や長打を浴びるなど、打たれだすと止まらない危うさがあります。途中までは素晴らしくても、集中力の糸がキレるとビッグイニングを作ってしまうタイプ。


(投球フォーム)

セットポジションから、スッと足を引き上げて投げ込んできます。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側に落とせません。そのため体を捻り出すスペースは確保できず、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球には適しません。

 それでも「着地」までの粘りはそれなりなので、適度に体を捻り出す時間は確保。カーブやフォーク以外の球種ならば、それなりにモノに出来るフォームとなっています。そういうこともあり、ナックルなどを器用に扱っているのではないのでしょうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブは最後まで体の近くにあるので、両サイドの投げ分けは安定。足の甲での地面への押し付けは短く、低めにボールを集めようとすると、キャパを落として投げないとダメなのかもしれません。「球持ち」自体は悪くないので、力を抑えて投げれば、それなりにコントロール出来てしまうのではないのでしょうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆

 お尻は落とせないフォームですが、カーブやフォークといった球種を殆ど使って来ないので、悲観することはないでしょう。

 振り下ろす腕の送り出しにも無理は感じないので、肩への負担も少ないはず。それほど頑強そうには見えませんが、無理をしなければ、肩への影響は少なそう。インステップがキツイので、その辺が長いシーズンで疲れが溜まってくると、どう出るか?

<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りは平均的で、若干「開き」が早くボールが見やすい感じがします。ボールに角度がある方ではないので、その辺も相まって、苦にならないフォームになっているのではないのでしょうか。

 振り下ろした腕は体にあたっており、速球と変化球の見極めはそれなり。ボールにも適度に体重が乗せられているので、打者の手元まで生きた球が投げられます。力を入れた時のボールの伸び・勢いには目を見張るものがあります。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点でいえば、「球持ち」「体重移動」に優れますが、「開」に課題を感じます。この辺がもう少し変わってくると、先発でもある程度やれるかもしれません。

 故障のリスクもそれほど高くないのですが、足の甲の押し付けが浅いので、力を入れて投げてしまうと、ボールが上手く制御できなくなります。この辺を嫌って、先発ではどうしてもキャパを落として投げざるえないのかもしれません。


(最後に)

 成績だけ見れば、最終学年よりも3年時の方が内容は良かったことがあります。3年時に作成した寸評をみればわかりますが、それでもプロの即戦力を担うには物足りないものがあったことは否めませんでした。東都で無双していた 東浜 巨(ソフトバンク)でさえ、プロで苦労していることを考えると、それより遥かにピッチングセンス・先発での投球技術に劣る山崎が、一年目からローテーションで活躍できるのか?と言われると疑問が残ります。

 即戦力として活躍するのであれば、神宮大会での6奪三振や、大学選手権の近大工学部戦で魅せたような、すべてストレートだけで圧倒するようなボール勢いで勝負するピッチングで、まずは勝負すべきです。逆にそれが出来ないほど劣化しているようならば、リリーフでも厳しいのではないのでしょうか。まずは、一軍で実績を残す、それからでも先発は遅くないのでは。あの時のピッチングを考えれば、やはりそれなりの評価はしないといけないでしょう。リリーフならば、一年目からセットアッパーやクローザー級の活躍も期待できると評価します。


蔵の評価:
☆☆☆


(2014年 秋季リーグ戦) 










山崎 康晃(亜細亜大・3年)投手 177/72 右/右 (帝京出身) 
 




                     「先発だと物足りない」





リリーフ時の投球は実に見栄えがするが、先発だと中背の体格も相まって、底の浅さが見えてしまう 山崎 康晃 。確かに素晴らしい投手ではあるのだが、どうしても1位指名となるとスケール点で見劣りしてしまう。


(投球内容)

常時 140キロ台~MAX151キロ

 リリーフだとコンスタントに140キロ台後半を記録するような勢いを感じるが、先発では140~中盤ぐらいまでで、丁寧に投げようという意識が強くなり、持ち前の大胆さが薄れるのが残念。この投手の素晴らしいのは、ボールに切れがあり、打者の空振りを誘えるということ。その分球威に欠けるところがあり、甘く入ると長打を浴びることも少なくない。

 球速が落ちると、打者からは苦になく合わされやすいフォームをしている。そうさせないためには、コンスタントに145キロ以上のボールを魅せないと、相手が大学生であっても結構打たれる。ボール自体は、打者の外角にしっかりコントロールされているのだが。

変化球 スライダー・チェンジアップなど

 主な変化球は、曲がりながら落ちるスライダー、それにチェンジアップの2つの変化球。これにカットボール・ツーシーム・ナックル・カーブなどもあるが、あまり細かい球種は見ていてよくわからない。

 空振りを取れる球質ながら、意外に奪三振が少ないのは、変化球で三振が奪えないのと、先発だと三振をバシバシ奪うようなピッチングスタイルではないから。

その他

 牽制は平均的で、フィールディングもそれほど上手いわけではありません。それでもベースカバーは早くなり、高校時代よりは上手くなっています。クィックに関しては、1.0秒を切るような高速クィックができ、この点は特筆もの。

 投球は、テンポなどのリズム感は悪くありません。それほど細かい出し入れや「間」を上手く使うわけではありませんが、ノボ~と投げているわけでもなく、可も不可もなしといった感じでしょうか。

(投球のまとめ)

 球種は多彩なのですが、余裕がなくなると一辺倒になる傾向があります。前にも書きましたが、145キロ以上出ないと、打者からは苦になく合わされてしまうフォームであり、彼が持ち味を発揮するのは、それ以上の球を連発できるリリーフのとき。それでもリーグ戦レベルでは極めて安定した投球を魅せており、今の投球でも通用しています。しかし、プロレベルの打者相手ではどうでしょうか?

(成績から考える)

 下級生の時は、リリーフとして頭角を現します。しかし3年生になってからは、春はリーグ1位、秋は2位の防御率を残し、先発でも通用することを証明して魅せました。今回は、この三年間の通算成績から、その実情に迫ってみたいと思います。そこで、この3年間の通算成績は

24試合 8勝2敗 90回 74安打 20四死球 70奪三振 防御率 1.70

1,被安打は、イニングの70%以下 △

 あえてプロの即戦力を期待するのであれば70%以下という厳しいファクターを設けているが、80%以下でも悲観することはない。しかし彼は、82.2%とファクターを満たすほどではないことがわかる。本格的に先発をすることになって3年時の成績でも、被安打率は77.9%と、けして十分な成績というほどではない。この辺は、先発だと簡単に合わされやすいフォーム、精神的に余裕がなくなると一辺倒になりやすいということにも繋がっている。

2,四死球は、イニングの1/3以下 ◎

 四死球率は、22.2%と非常に少ない。これだけの速球派でありながら、四死球が少ないことは高く評価できる。特にボールが、外角や低めに集まりやすく、その球筋の良さは光っている。

3,奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 △

 奪三振率は、1イニングあたり0.78個。この1年に関しては、0.63個と少なく三振があまり奪えない。これは、先発になると投球のスケールダウンを如実に感じるといった通り、三振を奪えない、狙いに行かない、変化球で仕留められるほどの球がないと指摘したことの裏付けにもなる。

4,防御率は、1点台 ◯

 通算防御率でも1点台をマークしているだけでなく、3年春・秋では1点台前半をマークするなど、十分にファクターを満たしている。ただし1位指名を意識するのであれば、0点台への絶対領域への投球を最終学年では期待したい。全国屈指レベルの東都リーグで、中々この数字をマークするのは敷居が高いのだが。

(データからわかること)

 データの上からも、投球の物足りない部分が如実に数字に現れている印象。ぜひ最終学年では、その欠点を改善し数字の上でも向上させて上位指名に結びつけて欲しいと期待します。

(最後に)

 神宮大会では6者連続三振や、大学選手権の近代工学部戦ではすべてストレートで抑えこんだ。三振を奪う投手とのイメージはあるが、成績をみていると実はそうでもないことがわかってくる。あくまでもその投球ができるのは、現状非常に限られた短いイニングや力を入れたときであって、コンスタントに三振をバシバシ奪うような投球をするわけではないということ。

 どうしても先発だと力をセーブして投げるので、中背の体格も相まってスケールの無さを露呈してしまう。最終学年では、先発でも凄い投球を魅せつけるのか?その辺に注目して見守りたい。もし今までと同様のピッチングを最終学年も繰り返すならば、ハズレ1位か2位ぐらいの指名に落ち着くのではないのだろうか。ぜひ最終学年では、文句なしの1位候補へと大きく飛躍して欲しい。


(2013年・神宮大会)









山崎 康晃(亜細亜大)投手 177/72 右/右 (帝京出身)

(どんな選手?)


 帝京高校時代も中背の体格から、鋭い腕の振りを生かしてMAX144キロのストレートを投げ込んでいました。この神宮大会では、緒戦の愛知学院大の先発を任され、MAX147キロを記録するなど、着実な成長を感じさせてくれました。ストレートの勢いだけならば、すでにドラフト上位指名レベルの選手達とも、ヒケを取らないのが彼の最大の魅力でしょうか。

(投球内容)

 手元までしっかり伸びて来る球質で、球速も常時145キロ前後を記録。高校時代よりも、ワンランク球速を増してきた感じが致します。時々甘い球もあるのですが、両サイドにボールを散らせつつ、スライダー・チェンジアップの縦・横の変化を織り交ぜ、相手の的を絞らせません。

 フィールディングはあまり上手くなさそうなのですが、クィックは1.0秒台で投げ込めるなど、動作は鋭いです。それほど間合いやボールを出し入れできるような、高い投球術は感じません。元来はやはり、短いイニングの方が向いているように思えます。

(投球フォーム)

<広がる可能性>

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、カーブで緩急をつけたり、フォークのような空振りを誘うような縦の変化は望めません。それでも「着地」のタイミングは悪くないので、球速の速い変化球を中心に、投球の幅は広げられそうです。

<ボールの支配>

 グラブは最後まで内に抱えられているので、両サイドの投げ分けは安定。ただ足の甲での地面の押しつけが爪先だけなので、どうしてもボールが上吊りやすいのが気になります。「球持ち」はボールを前で離せているので、将来的にはもっと細かいコントロールの習得も期待できるかもしれません。

<故障のリスク>

 お尻が一塁側に落とせないので、縦の変化を多投するのは気になります。ただこれが、フォークではなくチェンジアップならば、肘への負担は軽減されそう。ただ振り下ろす腕の角度も結構つけているので、肩への負担も少なくはないでしょう。結構な力投派なので、日頃から体の手入れには十分な注意が求められます。

<実戦的な術>

 「着地」のタイミングは早すぎることはありません、したがって体の「開き」も平均的でしょうか。高校時代は、かなり体が突っ込む欠点があったのですが、その辺はだいぶ改善されています。

 腕も鋭く振れているので、速球と変化球の見分けは難しいです。ただ「体重移動」は発展途上で、まだ十分体重が乗せられている感じは致しません。この辺が改善されてくると、もっと球威のある球も、打者の手元まで投げられそうです。

(今後は)

 今季は、5試合に登板して防御率 1.17 と安定。更に、イニングを上回るほどの、奪三振を奪いました。そういった意味では、大学球界でもトップクラスの球を、すでに身につけつつあります。

 その一方で、まだ投球が一辺倒な部分があり、投球を磨く必要があるでしょう。一年生の時点で、ここまでのレベルに達してしまったわけです。残りの3年間で、いかに地に足をつけて実戦力を磨けるのか、今後の成長が期待されます。そういった成長を積み重ねてゆけば、最終学年ではドラフト上位候補として注目されるまでになりそうです。

(2011年 神宮大会)

 








山崎 康晃(東東京・帝京)投手 176/70 右/右 
 
(どんな選手?)


 やや上体が突っ込むのが気になりますが、腕や上半身を鋭く振ることで、非常に手元まで伸びのある球を実現しているのが光ります。選抜でもMAX144キロを記録し、その素質の片鱗を伺わせました。

(投球内容)

 中背の体格から、全身を鋭く振って投げ込む力投派です。球速は、コンスタントに140キロ前後を叩き出し、手元までしっかり伸びてくる球筋にも好感です。変化球は、縦・横二種類のスライダー。細かいコントロールありませんが、縦の変化とボールの勢いで、短いイニングならば力で押せる投手です。クィックも1.15秒弱と、基準を上回る素軽さもあり、さすが名門の投手と言う気が致します。

 投球フォームは、ワインドアップから意外に足をゆっくり静かに始動し始めます。お尻を一塁側に落とせる選手なのですが、着地までの粘りがないのが残念。この時間を確保できれば変化球のキレも、もっと増して来るし、フォームにもイヤらしさが出てくるでしょう。

 グラブは、最後まで内に抱えられているのは好感。ただ足の甲の押し付けが浅いので、どうしても球が上吊りやすい傾向にあります。

 何より素晴らしいのは、体の「開き」も早すぎることはないですし、腕の角度も無理がなく、「球持ち」もいいです。そのためボールにしっかりバックスピンがかけられ、手元まで伸びのある球を実現しております。

 上体が突っ込みがちな部分は、ステップをもう少し広く取れるように鍛錬して欲しいですね。腕も強く振れるので、速球との見分けの難しい変化球も期待できそうです。

(今後に向けて)

 試合を作ったり、細かい投球術・制球には不安が残りますが、投球フォームは思ったよりも実戦的であり、更に球威・球速を増して行くことで、素直にそれが結果に現れるタイプだと思います。

 「着地」と「ステップ」に課題の残るフォームであり、「間」や「粘り」と言うことを常に意識して取り組むと、とても良い投手になると思います。腕を鋭く振ることを忘れずにポイントを抑えられれば、高校からとは言いませんが、将来プロへの可能性も充分期待できる素材ではないのでしょうか。今後の更なる進化を期待したい投手です。

(2010年・選抜)