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藤沢 拓斗(23歳・西濃運輸)三塁 174/82 右/左 
 






                         「全くノーマーク」





大分の柳ヶ浦高校時代には、高校通算28本塁打の長打力で活躍。そして社会人に進み、着実に力をつけてきた。今年の都市対抗には、東邦ガスの補強選手として出場。最後の試合となった日本選手権では、一番・サードとして出場している。



(プレースタイル)

 ボールを懐まで呼び込んで、思っきり引っ張ったく、そんな表現がぴったりな強打者。打球は右に左へとはじきかえすが、スタンドインする長打よりも、強烈な打球で野手の間を抜けて行くような球足の速さが自慢。ただ見ていると、結構荒っぽい選手との印象を受けます。

(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、4.2~4.3秒ぐらいと、チームの核弾頭としては際立つ速さはありません。ほぼドラフト候補としては基準レベルであり、ベースランニングを観る限り加速するタイプにも見えず。恐らく昔はもっと速かったのかもしれませんが、ウエートなどをして逞しくなる一方で、体が重くなったのではないのでしょうか。

 残念ながら都市対抗の模様を二試合ほど見たのですが、殆どまともな打球が飛んできませんでした。しかし数少ない守備機会を観る限り、打球への反応が素早く守備範囲は広そう。更に高校時代投手も兼ねていたというだけあって、肩も基準以上の強さがありそう。

 ニ遊間を担うような守備力は無さそうですが、三塁手としては足を引っ張ることはなさそう。走力も、ほぼ平均レベルと見て好いでしょう。



(打撃内容)

 守備・走塁は平均的なので、やはり打撃でいかにアピールできるかではないのでしょうか。しかし今年の都市対抗では7打数1安打、日本選手権では5打数1安打と、全国大会でのアピールが物足りません。もちろん都市対抗で補強されるぐらいですから、東海地区では目立つ存在なのだと思います。ただし私が都市対抗予選に足を運んだときは、4番・三塁手として出場。しかし結果を残せず特に気になる選手ではありませんでした。

(打撃フォーム)

<構え> ☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップを下げて構えます。背筋を伸ばし、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢は平均的。カカトを踏み踏みして、自分のリズムで打席に立てているのは好いのではないのでしょうか。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下がり始めるときに始動するように、アベレージ打者の傾向が強い選手。強打者ですが、けして打球が上がるタイプではないようです。

<足の運び> ☆☆☆☆

 足を引き上げて、まわしこんで打ちに来ます。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でも合わせやすいはず。ベースに離れた方向に踏み出すアウトステップを採用しており、内角を強く意識していることがわかります。

 それでも内角よりの球は思っきり引っ張りますが、真ん中~外角よりの球に対しては、センターからレフト方向へはじき返すことも少なくありません。踏み込んだ足元も、なんとかブレずに我慢。そのため体の開きを我慢して、低めや外角の球にも対応できます。

<リストワーク> ☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るのは、けして遅くはありません。「トップ」を深く取ることで、弓矢の弓を強く引くが如く、強い反発力が期待できます。バットは少し体がから離れて振り出されるので、ボールを捉えるまでに若干のロスを感じます。それでも大きな孤を描き、ボールを思っきり引っ叩きます。

 ボールを捉える能力には粗さを感じますが、強く・思いっきりバットを振れるというのが、この選手の一番の魅力ではないのでしょうか。けしてプロの球にも、力負けすることはないはず。

<軸> ☆☆☆

 足の上げ下げはありますが、頭の動きは平均的。体の開きも我慢出来ていますが、軸足の粘りが足りないように思います。その辺が、打撃の安定感に欠ける要因かもしれません。

(打撃のまとめ)

 現状は荒っぽいですが、思っきり叩けるスイングに魅力を感じます。ボールを捉える能力には課題を感じるものの、打撃の感性は悪くなさそうです。

(最後に)

 とりあえずサードをきっちり守ってくれて、打撃で存在感を示してくれればといった評価ではないのでしょうか。持っている資質は悪くなさそうなので、プロの指導でいかに粗さを改善して行けるのか。即戦力ではないと思いますが、今後の成長ぶり密かに注目して行きたいと思います。ただし残念ながら今年は、指名リストに載せるまでの評価には至りませんでした。


(2013年 都市対抗)