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石岡 諒太(中日)内野手のルーキー回顧へ








石岡 諒太(23歳・JR東日本)一塁 187/87 左/左 (神戸国際大附出身) 





                     「指名するなら2年前だろ」





 この選手を指名するのであれば、ドラフト解禁となった2年前だった気がする。当時ならば21歳であり、例え素材型でも若さ故に将来性を買ってというのもありだったと思う。しかしあれから2年、石岡 諒太 が、その時から何か変わったのか?と言われると、私には全然わからない。

(プレースタイル)

 187センチの大型内野手ですが、動ける身体能力を持っています。しかしながら、何度か外野を守らせたこともあったものの、結局一塁に落ち着きました。とても気迫を全面に出す選手であり、高卒1年目から都市対抗の舞台で出場するなど意識の高さは高卒離れした選手でした。しかしその当時から、何か状況が変わったようには思えません。

(走塁面:走塁偏差値:48.2)

 一塁までの到達タイムは、左打席から4.15秒前後。これをプロ入りした左打者のタイムで偏差値化すると、48.2 ぐらいであり、ほぼ平均弱であることがわかる。しかし試合によっては4.0秒強ぐらいだったこともあった気がするので、もっと走力を秘めていた可能性が高いと考えられます。

 実際2014年度の成績を調べると、84打席で2盗塁。プロのレギュラー選手ならば、500打席ぐらい打席に入るので、年間12個 ぐらい1シーズンに走る計算に。しかし今シーズンは、この計算でゆくと24個ペースで走っており、積極的に盗塁を試みたことが数字からは伺われます。こういった積極性を評価して、中日は指名リストに彼の名前を刻んだ可能性が考えられます。

(守備面)

 元々一塁専任をするような身体能力の選手ではないので、守備は上手い部類のはず。ボール捌き・打球への反応なども悪くないですし、上背があるので少々ボールがそれてもカバーしてくれる一塁手。しかし他のポジションが担えるのか? と言われると疑問が残ります。あくまでも一塁手としてみた場合は、上手い部類だと評価できます。

(打撃内容)

 大型の一塁手ですが、長打で魅了するタイプではありません。と言いながらも、当てるのが非凡だとかいう 駒田 徳広(元巨人-ベイスターズ)内野手のような、打者とも違います。昨年の公式戦の打率は、237厘。今年も、その成績はほとんど変わりません。緒戦で敗れた都市対抗でも、4打数で好い所はありませんでした。 それでは、技術的に大きく変わったのか? 3年前のフォームと比べてながら考えてみましょう。

<構え> 
☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランスは並ぐらいで、両目で前を見据える姿勢は悪くありません。

 以前から構えた時に、あまり体を動かさないまま立っているので、何処か固さが感じられる構えでした。今もその点は、あまり変わっていないように思います。

<仕掛け> 遅すぎ

 今は、もう投手がリリースを迎える直前に動き出す「遅すぎる仕掛け」を採用。これでは打つまでに余裕がなく、出たとこ勝負のスイングになってしまいます。以前見た時は、まだ「遅めの仕掛け」ぐらいだったので、始動が遅くても許容範囲だったのですが・・・。

<足の運び> 
☆☆☆

 始動~着地までの「間」は殆どなく、狙い球を絞ってその球を逃さず叩く点の打撃になってしまいます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプ。踏み込んだ足元は、インパクトの際になんとかブレずに我慢でき、外角の厳しい球や低めの球にも喰らいつくことができます。

 以前は、ベース側にインステップして外の球を強く叩くことに主眼が置かれていました。今は真っ直ぐ踏み出すことで、よりなんでも打ちたいという意識が感じられます。

<リストワーク> 
☆☆☆

 あらかじめグリップを捕手方向に引いており、トップの形を作っておきボールを呼び込みます。この打撃の1番のメリットは、無駄な動作がなく、速い球に立ち後れないこと。欠点は、グリップを後ろに引いていることで前肩が後ろに引かれ、リストワークが力みから柔らかく使えなくなる欠点が生まれます。そのため打てる球が、限られてしまうわけです。

 バットの振り出しは、インパクトまでロスは感じません。ボールを捉える時も、バットの先端であるヘッドは下がらず、広い面でボールを捉えることができています。特にボールを捉えたあとも、スイングの弧を以前より大きく取ろうとしているようには見えますが、フォロースルーを使って遠くに運ぶとかそういったタイプではありません。しかしスイング軌道自体は、癖のない好いスイングだと言えるでしょう。

 以前は、もっとスイングに柔軟性が目立っていました。しかし当時は、スイングに強さがあまり感じられませんでした。しかし今は逆で、スイングは強くなったものの、固さが感じられるようになっています。

<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げが殆ど無い割には、目線が結構動いてしまっています。体の開きは我慢でき、軸足の形も大きくは崩れていません。元々軸足には粘りが感じられる選手で、その点は悪くないと思います。そのため体勢を崩してでも、ボールに喰らいつく執念みたいなものが感じられる選手でした。

(打撃のまとめ)

 以前よりも柔軟性が損なわれて、打てる球が限られているように感じます。より強く叩けるようにはなっているかもしれませんが、対応力は低下しているかと。けしてこの2年間で、好い方向で進化したようには思えません。


(最後に)

 高卒1,2年目は、若いのに意識も高く、プレーに賭ける意気込みが違って目立つ選手でした。しかしここ3年ぐらいは、なんだか石岡いるなぁ程度で、たまに おっ!と思えるプレーは魅せてくれても、何か大きく変わった印象はありませんでした。

 実際残している成績やフォーム分析してみても、内容が良化していたわけではないので、そう感じられたのは当然だったように思います。非常に使い勝手の難しい選手であり、あえてこの選手を今更指名したのかは理解に苦しみます。明確にここで使おうというものがない限り、持て余ししまうのではないかと危惧します。気持ちの強さから、代打の切り札・一塁のバックアップ。そういった役割でしょうか? 個人的には好きなタイプの選手ですが、残念ながら指名リストに名前を残そうという気にはなれませんでした。


(2015年 都市対抗) 









石岡 諒太(21歳・JR東日本)一塁 187/84 左/左 (神戸国際大附出身) 
 




                         「意識が違う」





 高卒2年目の選手が、日本屈指の社会人チーム・JR東日本でレギュラーを張るということは並大抵のことではない。そんな中スタメンで起用されるためには、生半可な意識では勤まらない。その覚悟を、この選手のプレーの端々から伝わって来るプレーヤー。

(守備・走塁面)

 プロを目指すには、ファーストというポジションはアピール度がとても低いポジション。元々打球への反応はよく、ボールの扱いも非常に丁寧な選手。大型ですが、動きが緩慢ということはありません。左投げなので、一塁以外となると外野ということになります。的が大きいので、他の内野手としては有り難い存在なのでしょう。

 一塁までの塁間は、4.15秒前後と基準以上。187センチの大型選手ですが、一生懸命走りますし実際に速く見えます。ただ盗塁などをバシバシするとか、そういったタイプの打者ではありません。また状況次第では、セーフティバントを仕掛け、相手の隙を突いたり揺さぶったりしてきます。

 確かにプロに混ぜてしまうと、守備位置は限定され、走力も並です。しかし意識が高い選手なので、その身体能力以上のものを魅せてくれるプレーヤー。よ~く考えて、状況に応じたプレーは唸らされます。

(打撃スタイル)

 とにかく柔らかいバッティングが持ち味で、大型なのですが長距離打者ではありません。何より、よくボールに喰らいついて粘る。ただじゃ転ばないというのは、こういう選手のことを言うのではないのでしょうか。時には、セーフティバントを決めて揺さぶります。

<構え> 
☆☆☆

 両足揃えたスクエアスタンスで、グリップは下げ気味に構えます。腰の据わり・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスなども好いのですが、身体を殆ど揺らがないので構えは少し固く見えます。高校時代は、腰高で安定感がない構えだったのですが、今はそういった不安定さはありません。

<仕掛け> 遅めの仕掛け

 投手の重心が下がりきって、前に移動する段階で始動する「遅めの仕掛け」を採用。これは、天性の長距離打者か、生粋の2番打者が多く採用するスタイル。彼の場合は、本質的には後者のタイプではないかと思います。

 高校時代は始動が早すぎるぐらいの選手でしたが、今はボールを手元まで引きつけて叩く真逆のバッティングをしています。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を軽く引き上げて、ベース側にインステップして踏み込みます。強打者らしく、外の球を強く意識。踏み込んだ足元もインパクトの際にブレないので、外角の球や低めの球に開きを我慢して対応。

 外の厳しい球でも、上手く三遊間方向に合わせます。しかしその一方で、内角の球に対しては、豪快に振りぬく強打者ぶりを魅せます。だからこそJR東日本でも、中軸を任されているのでしょう。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備であるトップを作るのは、平均ぐらいでしょうか。バットの振り出しは好いので、ミートポイントまでロスなく振り抜けます。外角の球でも、ヘッドを立てて上体を残し上手く捌きます。

 逆にスイングに「柔らかさ」が目立ち過ぎて強く叩くという部分では、高校時代から物足りなさを感じます。特にスイングの弧を大きくとってバットのしなりを生かすとか、フォロースルーを使ってボールを遠くに運ぶような強打者らしいスイングではありません。

<軸> 
☆☆☆☆

 高校時代は、頭が結構動く選手でした。しかし今は、足の上げを小さくし目線を大きく動くのを防ぎます。身体の開きは最後までつま先が閉じられていますし、軸足も粘りを感じさせます。ただ軸を起点にという打者ではなく、多少体勢を崩してでもボールに当ててゆく、しぶといタイプ。

(打撃のまとめ)

 高校時代はバットに当てる上手さはあったのですが、イマイチ芯からズレていることが多く、根本的なミート能力には疑問を持っていました。しかし今は欠点も改善され、かなり結果に結びつけられる打撃が出来ています。

(最後に)

 若干二十歳で、こんなに意識の高い選手がいるのかと驚かされます。確かに守備・走塁のアピールは低く、長打力よりはミート力が目立つ好打者タイプ。スカウトから見れば、食指が伸びにくいタイプです。そういった意味では、ドラフト候補としてはどうなのかな?という疑問は残ります。

 ただこの若さで、このタダで転ばない精神と技術は、この一年間追いかけてみる価値があるのではないのでしょうか。期待して、今後も見守って行きたい選手でした。


(2012年 都市対抗)









石岡 諒太(兵庫・神戸国際大附)一塁 184/76 左/左 
 
(どんな選手?)

 大型ですが、カーブを上手く貯めて打ったりする柔らかい打撃と、思いっきりの良いフルスイングも出来る選手です。打撃では中々面白いものを持っているので、チェックを入れてみました。

(守備・走塁面)

 大型ですが、一塁の打球処理などを観ていると、結構動きが良いですし、ボールを丁寧に扱う点は好感が持てます。大型故の緩慢さはあまり感じられず、外野なども担える身体能力はあるのかなと思います。ただ地肩などはよくわからないですし、上背も大きい左投げ選手なので、一塁が適任なのでしょう。ただ長打力がさほどあるタイプではないので、将来的に一塁を任せられるかは微妙です。

 一塁までの塁間を4.15秒前後で走り抜けるなど、左打者のプロの基準である4.2秒を上回る走力がある選手です。けして足を売りにする程ではありませんが、動けない選手ではありません。一塁と言うポジション柄、アピール度には欠けますが、これに地肩があるようだと、将来的に左翼あたりへの可能性も広がります。





(打撃内容)

 少々腰高の構えは気になりますが、比較的リラックスして構えているところには好感が持てます。ちょっと「早すぎる仕掛け」なんで、投球フォームでタイミングを狂わされる可能性はあるのですが、バットに当てるのは上手い選手です。ただ当てるのは上手いのですが、芯で捉えるミートセンスに欠けるようで、その辺で微妙に打ち損じている部分が多く、木製バットでは誤魔化しが効かないかなと思えます。

 その最大の要因は、足を大きくあげて降ろす動作の際に、上下の目線がブレ過ぎている点。これによりミートポイントが微妙にズレる要因を作り出しているように思えます。ただ踏み込みをするタイミングを空中で計る高度な技術もありますし、踏み込んだ足下もブレないので、足の上下運動を小さくすることで、今のスタイルを維持出来れば、もう少し的確に射抜けるのではないかと考えます。

 ただ当てるのが上手いだけでなく、内角の球には豪快に振り抜く思いっきりの良さも兼ね備えます。その辺が、この選手の魅力であるように思えます。まだ線の細さから、スイング自体の「強さ」に物足りない部分はありますが、一冬超えてどのぐらい逞しさを増しているのか注目したいです。

(今後は)

 素材としては「柔らかさ」を活かした柔軟な打撃が、最大の魅力です。またカベをギリギリまで我慢して崩さない、粘りのある打撃が出来るのも良いです。その反面、線の細さから来る芯の弱さがあり、また「怖さ」に欠ける部分があるのが、今後の課題であるように思えます。打つことに関しては、かなり良いものを持っているので、一冬超えて課題の改善と逞しさが出てくると、面白い存在ではないのでしょうか。

(2009年・神宮大会)



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