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小林 誠司(24歳・日本生命)捕手 178/72 右/右 |
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小林 誠司(23歳・日本生命)捕手 178/72 右/右 (同志社大出身) |
「嶋 貴宏(楽天)ぐらいはやれそう」 同志社大に在籍していた2011年度のドラフトにおいて、もしプロ志望届けを出していたら2位以内で消えていただろう。それが、この 小林 誠司 。その力は本物で、ルーキーイヤーから名門・日本生命の正捕手を任された。都市対抗では、同じく新人だった 吉原 正平 投手の2試合連続完封を演出するなど、そのディフェンス力は即戦力級。一年目からプロでも正捕手として抜擢された 嶋 基宏 (楽天)級の活躍は、期待できる素材だと言えよう。 (そのディフェンス力とは) ここ数年見た、大学・社会人の捕手では、ディフェンス面で一枚抜けた存在です。最大の魅力は、視野の広いリードと、誰もが認めるリーダーシップ。リードは、一試合をトータルで考えられるリードをしてきます。けして打たれても、打たれてはいけない場面で抑えられればという考えのリード。的確に見方に、指示の出せる選手。 捕手としては、身体をコンパクト固めミットを示し動かしません。これにより、投手に的を絞りやすく効果があるのと同時に、審判からも球筋が見やすい形をつくります。この姿勢を常に意識しているだけで、この選手は周りに配慮のできる、捕手らしい性格のプレーヤーだとわかります。 ボールを捕球するときも、ミットを全く動かしません。審判としては信頼のおける捕手であり、球筋がシッカリ見えない時でも、ここにミットがあるならストライクだなと思わせることができます。低めのボールを追うときに、上から被せることも少なくないのですが、その割にキャッチングミスも少ない捕球。グラブを下に下げる癖はありませんし、素早く予期しないところにボールがきても対応できるフットワークはあります。また何より柔らかいタッチの、グラブ捌きが最大の魅力。 二塁までを、1.8秒前後で投げ込めるスローイングも一級品。ただプレッシャーのかかる場面では、球筋が乱れる傾向があります。その辺が、今年の一番のチェックポイントであり、安定して刺せるスローイングができるのかが最大の関心事となります。すでにファームで勉強してもしょうがないレベルにあるので、一年目から1軍で試合を任せてくれるような、捕手不足の入団が期待されます。それか中日や巨人のように、絶対的な捕手がいて、数年後スンナリ移行できるようなチームでも良いかもしれません。 (打撃内容) ルーキーイヤーだった今年は、都市対抗・日本選手権の2大大会で6試合に出場。 17打数 3安打 0本 3打点 打率.176厘 と相変わらず、全国レベルの大会では打力の無さが目立ちます。それでも同志社大時代の81試合の通算打率は、.298厘ですから、全く箸にも棒にもといった選手ではありません。実際、技術的な観点でみると、大きな欠点はないぐらい。 (打撃フォーム) 今回は、大学時代のフォームと比較しながら考えてみたいと思います。基本的には、右に左へと内野の頭を越えたり、間を抜けて行くはじき返す打撃を得意としています。ちなみに塁間は、4.55秒前後。左打者に換算して、4.3秒前後です。もう少し速く走れる能力はあるかもしれませんが、足でアピールするつもりはなさそうです。 <構え> ☆☆☆☆ 前の足を少しだけ引いて、グリップを打撃動作に入りまでバットを倒しておきます。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスとよく、打席ではリラックス出来ていて良いのではないのでしょうか。 <仕掛け> 早めの仕掛け 大学の最終学年あたりから「早めの仕掛け」を採用。都市対抗でも、同様のタイミングで始動していました。この仕掛けは、典型的なアベレージヒッターの打ち方であり彼も対応力を強く意識しているのだと考えられます。 <足の運び> ☆☆☆☆ 始動~着地までの「間」も取れており、速球でも変化球でも合わせやすいタイプ。実際見ていると、ストレートに合わせていることが多いように思います。大体踏み込みも、ほぼ真っ直ぐ踏み込んで来るタイプで、内角でも外角でも捌きたいといったタイプ。緩急の変化にも、コースへの対応なども幅広くできる選手です。 踏み込んだ足元もブレないので、外角の厳しい球や低めの球にも対応できます。ただ体勢を崩してまで喰らいつくような貪欲さはなく、何処か綺麗に、スマートにプレーしてしまう部分が物足りません。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは遅くありません。バットの振り出し自体も、大学の下級生の頃はやや遠回りにバットが出ていたのを、今はロスが感じられなくなりました。バットのしなりを生かすような大きなスイングではないのですが、最後までシッカリ振り切るスイングを心がけます。遠くには飛びませんが、鋭い打球は期待できます。 <軸> ☆☆☆☆ 足を上げ下げしても、頭は動かず目線は安定。身体の開きも我慢出来ていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて、空振りの時もフォームが崩れません。好不調の波は、少ないタイプだと考えられます。 (打撃のまとめ) 大学時代も評価しましたが、技術的には非常にシッカリしたものがあります。ただそれが、素直に結果になって現れません。実際試合を観ていても、タイミングが全然合っていないとか、空振りの三振とかは少ないように思います。バットに当てて捉えていても、野手の正面だったり、後一歩の押し込みが足りないような打球が目立ちます。 社会人一年目は、殆ど打撃に関してはフォームをいじっていない。いや打撃のことすら、眼中になかった可能性さえあります。とりあえず捕手は守ることが第一という意識が強いのか、打撃への愛情・欲というものが薄いのではないのでしょうか。しかしプロを目指す、プロで年間やって行くということは、最低限の打撃は求められるわけで、もう少し打撃にも欲も持ってもらいたい。けして、それができない選手ではないのだから。 (最後に) まぁ打撃でもディフェンス面でも、昨年から変わった印象はありません。ある意味、このぐらいやれる力は元からあったといえるでしょう。本人が、どのぐらいプロへの意識があるかはわかりませんが、今年のテーマは「欲」です。いかに彼のプレーから、それを感じることができるのか、ここにかかっているのではないのでしょうか。仮に今のままプロ入りしたとしても、中途半端な選手で終わってしまう、そういう危険性も感じなくはありません。あえてドラフト1位でプロ入りするのだという、そのぐらいの気構えで挑んで欲しい年ですね。 (2012年 都市対抗) |
小林 誠司(同志社大)捕手 178/70 右/右 (広陵出身) |
「責任感が強すぎるだろうね。」 2011年度のドラフト戦線において、大学・社会人でNO.1と言えるのが、この 小林 誠司 だろう。ただあまりに責任感が強いのだろうか?大事な場面で、大きなミスをしてしまうことが多い。平常心のプレーは素晴らしいのだが、プレッシューのかかる場面では目に見えてミスが多い。そんなアマNO.1捕手の実情をみてみたい。 (ディフェンス面) 日米野球の代表合宿。昨年もこの選考会に参加しており、最終学年で日本代表に選ばれることは濃厚だった。しかしここでも、彼のミスが連発する。普段は絶対しないようなキャッチングミスやスローイングの乱れ、そして打撃でも精彩を欠き、下級生捕手達に代表の座を奪われた。チームメイトの誰しもが認める高いリーダーシップ、それが逆に大いなる仇となった瞬間だった。 体を小さく屈めて構え、ミットをしっかり示し、投手に的を絞りやすい体勢を作り出す。グラブを下に下げる癖もないので、ワンバウンド処理にも素早く対応。体を張ってボールを止めに行く姿勢にも好感が持てる。特に素晴らしいのが、柔らかいキャッチング。ボールを押し込むような力強いキャッチングではなく、柔軟にどのコースにもミットを出せる柔らかいグラブ捌きが素晴らしい。アマチュアレベルでは、A級のリードセンスを兼ね備え、高いリーダーシップでチームを引っ張るまさに司令塔。ことディフェンス能力に関しては、2010年組に匹敵する捕手はいなかったと言えるレベルの捕手だろう。 また塁間1.8秒台で投げ込めるスローイングの素早さ・地肩の強さもアマ球界でも指折り。ただ気になるのは、プレッシャーのかかる場面になると、力が入りすぎて送球を乱すケースが多々見られると言うこと。圧倒的なスローイング能力がありながら、実戦ではあまり刺せない課題が改善されていなかった。それでもディフェンス面に関しては、大学・社会人の中でも、一枚抜けた存在だと評価していい。 (打撃内容) むしろ気になったのは、昨年から全国レベルを意識すると物足りない打撃にある。大学選手権や日米野球のセレクションでも、全くいいところが魅せられなかった。今春のリーグ戦では、13試合 0本 10打点 打率.239厘と低迷。ただ打率の割に、打点が多い点は評価できる。この春までの通算では、打率.279厘。シーズンによっては3割を越えるシーズンもあるが、関西学生リーグと言う地方リーグであることを考えると、やはり全国レベル、ましてプロを想定するのには打撃の弱さがネックになる。そこで今度は、技術的な観点からも考えてみよう。 (打撃フォーム) <構え> ☆☆☆ 前の足を軽く引きながらも、グリップの高さは平均的。腰の据わり・全体のバランス・両目で前を見据える姿勢などは悪くない。ほぼ構えに関しては、昨年と変わっていなかった。 <仕掛け> 早めの仕掛け 昨年までは、「平均的な仕掛け」を採用していたのだが、少し対応力を上げようと考えたのか、始動を早めている感じがする。すなわち「早めの仕掛け」を採用する、アベレージ打者の傾向が強くなった。しかし実際にはアベレージは下がっており、まだこのタイミングでの始動が板についていないのかもしれない。 <足の運び> ☆☆☆☆ 足を早めに引き揚げて、まわし込んで打ちに行きます。そのため「間」が取れており、打てるポイントは多いタイプ。真っ直ぐ踏み込んだ足下も、インパクトの際にもブレません。その開きが我慢できていおりますし、どのコースの球にも無難に対応できる、万能型の打撃ができています。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 打撃の準備段階である「トップ」を作るのも遅くありませんし、バットの振り出しも悪くありません。昨年は、少し遠回りにバットが出ていたのですが、その辺も改善されてインパクトまで綺麗に振り抜けています。スイングの弧は平均的で、最後までしっかり振り抜いてきます。ボールを捉える動作には、大きな問題は感じません。 <軸> ☆☆☆☆ 頭の動き小さく、目線は安定。体の開きも我慢できていますし、軸足にも大きな崩れは感じられません。 (打撃フォームのまとめ) 対応力に課題があるのは、技術の問題よりも、勝負どころでの力みと根本的なボールを捉えるセンスに課題がある可能性があります。広陵高校時代に全くピンとこなかったのは、この打力に非凡なものを感じられなかったからでしょう。ただ箸にも棒にもかからない技術でもスイングでもないので、もう少し打撃への意識も高めれば、将来的には、捕手として最低限の仕事をこなせる資質はあると評価します。 (最後に) 今春は特に不甲斐ないのですが、それでも2011年度のドラフト戦線においては、大学・社会人においてNO.1だと評価します。ことディフェンス面の資質は素晴らしいのですが、ここ一番でのスローイングミスや打撃内容の悪さが、その実力以上に悪く見えてしまうのが、なんとも惜しい選手です。 人間的にも買える素晴らしい選手なので、逆にこのレベルの捕手を下位で獲れるとなれば、ある意味美味しい指名だとも言えると思います。打撃での即戦力は厳しいのですが、ディフェンス面では1年目から一軍に混ぜて使える選手。そういった意味では、捕手不足のチームには加えておきたい1人だと言えそうです。プロでの環境適応には少し時間がかかるかもしれませんが、いずれ出てくる男と言う気がしております。 蔵の評価:☆☆☆ (2011年 日米大学野球セレクション) |
小林 誠司(同志社大)捕手 178/70 右/右 (広陵出身) |
(どんな選手?) 広陵時代は正直ノーマークの選手でしたが、今や学生球界を代表する捕手として、2011年度のドラフト上位候補と期待される存在です。ただ今春は、怪我のためシーズンの大部分を棒に振りましたが、なんとか大学選手権には間に合いました。 (ディフェンス面) グラブをしっかり投手に示し、そのまま降ろさないでキャッチングできる選手です。ミットも動かさずにしっかり捕球できますし、低めの球への対応も立ち後れません。打球への反応・フットワークも好く、昨秋までの課題であった、少し小手先だけでボールを捕りに行くキャッチングにも進歩を感じます。また地肩もプロに混ぜてもA級の素材で、塁間1.8秒台前後をコンスタントに記録します。ただ世界大学選手権の選考会では、力みから制球を乱す場面も多く、まだまだそのポテンシャルを安定して引き出す能力には課題があります。それでも捕手としての資質・センスなどは、2010年度組にはいない大物です。 (打撃内容) その一方で、打撃に関してはあまり印象がありません。恐らく高校時代ノーマークだったのは、その辺に影響があるものかと思います。スクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり・全体のバランスも良く、両目で前を見据えも悪くありません。身体を軽く揺らぎ自分のリズムで立てるなど、構えには大きな問題がありません。 仕掛は「平均的な仕掛」を採用しているようで、中距離・ポイントゲッタータイプ。足を回し込み、打つまでに「間」を作れることからも、緩急に対応しうるタイプです。真っ直ぐ踏み込んだ足下もブレることなく我慢できます。以前は、もっと足を引き上げる際に、内側に膝を閉める傾向にあったのですが、その辺は改善されてきているように思えます。 打撃の準備段階である「トップ」を作るのは並レベルですが、以前よりもボールを捉えるまでのスイングが、遠回りにバットが出ているように思えます。スイングの弧・フォロースルーなどはしっかり取れているので、見かけ以上にボールを運ぶ長打力は秘めているように思えます。 頭の動きは小さめで、目線のブレは小さいです。腰の逃げは早いのですが、足下がブレないで開きをある程度で抑えます。軸足にも強さが感じられておりますので、体軸の安定感は好い選手です。 対応力・長打力共に、それほど際だつものはありません。ただそうかと言って、けして破綻があるほど打力がないわけでもありません。まずは、ボールを捉えるまでのスイング軌道を、もう少しインサイドアウトのロスの少ないものにする必要があるのではないのでしょうか。 (今後は) 全国大会や国際大会などをどんどん経験して、志しを高く持って頑張って頂きたい選手です。これだけの大学生捕手は、数年に一度レベル選手だけに、プロレベルに見合った打力が備わって来るようだと、一気にドラフト最上位指名も期待できる素材です。 昨年までの欠点である膝の閉めや小手先のキャッチングを改善できるようになってきているなど、課題を修正する意欲とセンスを感じさせます。打力の成長とディフェンスの安定を身につけられれば、本当に楽しみな選手です。 (2010年 大学選手権) |
(どんな選手?) 全日本にも入る、学生球界を代表する捕手です。広陵時代は、正直気に留めたことのない捕手でしたが、同志社大入学後、みるみる頭角を現してきました。関西5リーグ対抗戦や今回のプロアマ交流戦などの模様から、取り上げてみたいと思います。 (ディフェンス面) 体を小さく屈め、グラブをしっかり示し、投手に的を大きく魅せるキャッチングに心がけます。ミットを余計に動かさないキャッチングで、構えてから降ろさないので、低めへの対応も悪くありません。打球への反応・フットワークも良く、必要に応じては動くことができる選手です。 しいて言えば、もう少し全身でボールを取りに行く姿勢を魅せても良いのかなと思える部分と、勝負どころでインコースを使いたがるリードには、少しリスクの高さを感じます。また肩で投げるような感じのスローイングですが、コンスタントに1.9秒台の送球は、地肩・精度共に学生球界ではトップランクです。全体には、すべての面でバランスの取れた捕手との印象を受けました。 (打撃内容) 際立つような長打力や対応力があるわけではないのですが、体が強いので打球にも力を感じます。バランス良くスクエアスタンスで構え、「早めの仕掛け」を採用し、打てるポイントも少なくなさそうです。 足をあげる時に、膝を閉めてしまうのは気になりますが、真っ直ぐ踏み込んだ足元が、インパクトの際にブレないのは好感です。打撃の準備段階である「トップ」を作るのもそれなりですし、インパクトまでも悪くないので、ボールを的確に捉えられます。 スイングの弧の大きさ・フォロースルーもしっかり取れるなど、技術的にも上のレベルで通用する良い形ができております。頭の位置も安定し、開きも我慢でき、軸足にも安定感を感じさせるなど、打撃技術には大きな欠点がありません。 (今後は) 打撃の意識を高めれば、もっと成績が残っても不思議ではない選手です。ディフェンス面も、非常にすべてにバランスの取れた好捕手です。2010年度組には、彼ほどの力量の捕手はいないような気が致します。 ただそうかといって、攻守に図抜けたものは、まだ感じさせてくれません。これからは、チームを、日本を背負って立つのだと言うぐらいの気構で、すべてに貪欲にレベルアップを図って欲しいですね。来年、再来年どのぐらいの選手に育つのか、大いに期待して見守りたいと思います。 (2009年・プロアマ交流戦) |