13sp-6


 
amanatu.com




浦野 博司(24歳・セガさサミー)投手 178/70 右/右 
 

 

        
                「好調時の投球は、社会人NO.1」



愛知学院大4年生の時、ドラフト終了後の明治神宮大会で150キロの球を披露して、何故ドラフトで指名されなかったのだと不思議がられた 浦野 博司 。しかし社会人に進んでからは、中々その時のようなピッチングを見せることはなかった。

 ドラフト解禁となる2年目も、春先は物足りない投球が続く。しかし都市対抗のかかった東京都予選では、その勢いが戻ってきてMAX150キロ記録。強豪・JR東日本を二度に渡り撃破した快投は、まさに社会人NO.1投手と評価したくなる隙無しの快投だった。

しかし都市対抗本戦では、140キロ前半の物足りない投球に戻り、先日観戦した東アジア選手権の壮行試合でも、都市対抗予選のようなピッチングは見られなかった。そうこの投手、滅多に凄い投球が見られないので、一体何処が彼の本当の力なのか掴みきれない。

(投球内容)

ストレート 130キロ台後半~MAX150キロ

 とにかくキレで勝負するタイプなので、ある程度球速が出てないと見栄えがしません。彼の場合145キロを越えて来るような勢いが出て来ないと、ボールに厚みがないので物足りない。その割に時々高めに不用意に浮く球があるので、その球を苦になく長打されてしまう場面が目立ちます。

変化球 スライダー・カットボール・チェンジアップ・フォークなど

 小さく横滑りするカットボール・大きく曲がりながら落ちるスライダー・小さく沈むチェンにアップ。投球に多く織り交ぜるフォークなど、球種はかなり多彩。速球が走っている時は、ストレートと変化球とのコンビネーションが抜群で、相手も的を絞れず翻弄されます。

 ただストレートが走らない時は、フォークに便り過ぎて、ピッチングが汲々としてしまうことも少なくありません。速球よりもむしろ変化球に自信を持っている投手なのでしょうが、ストレートあってこその変化球とは、まさに彼のピッチングのことだと思います。

その他

 牽制も鋭く、走者を刺すような鋭さがあります。またクィックも、1.0秒前後~1.1秒ぐらいで投げ込めるので、これまた上手い。特に走者を背負ってからは、ボールを長く持って、走者や打者を焦らすように「間」が使えるし、走者への意識も常に持っていられるので、中々次の塁を奪うのは難しいはず。こういった技術は、アマでも屈指ではないかと思います。

(投球のまとめ)

 冴えている時の投球は、今年の候補でも屈指の存在だと思います。こういった投球をいつも出来るのであれば、1年目から二桁も期待できるでしょう。

 しかし逆に、そういったピッチングが滅多に見られないのが気になります。縦の変化球を投げすぎているせいなのか、肘の調子が好い時じゃないと速い球が投げられないとか、根本的に基礎体力が低いとか、何かしら速い球が投げられない理由がそこに存在するはず。

 そういった意味では、長く険しいシーズンを過ごさないといけないプロの世界では、正直どうなのかな?という疑問は残ります。一週間に一度というローテーションを刻めれば、充分体調を維持できるのか? その辺の判断は、なかなか外からは伺うことができません。

(投球フォーム)

<広がる可能性> ☆☆☆☆

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばせているので、お尻は一塁側に落とせます。身体を捻り出すスペースは確保できているので、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種を投げるのに無理はありません。

 「着地」までの粘りは並で、身体を捻り出す時間はそれほどでもありません。もう少し下半身を上手く使えるようになると、変化球のキレ・精度もワンランク向上するのではないのでしょうか。

<ボールの支配> ☆☆☆

 グラブは体の近くにはありますが、しっかり抱えられているわけではありません。そういった意味では、時々制球が甘くなるのも頷けます。足の甲の地面への押し付けも浅く、上体が少し浮きがち。特にストレートを投げた時に高めに甘く入る時があるのは、この辺の動作が大きく影響しているのでは。

 それでも指先の感覚は好いのか、普段の制球は安定。けして、四死球で自滅するタイプではありません。

<故障のリスク> ☆☆☆

 お尻を落とせるフォームなので、肘への負担は少なそう。それに腕の角度にも無理がないスリークオーターなので、肩への負担も少ないでしょう。ただ縦の変化を多投するので、それでも肘への負担は通常の投手よりも大きいと考えておくべき。日頃から、アフターケアには充分注意してもらいたいと思います。

<実戦的な術> ☆☆☆

 「着地」までの粘りは並で、体の「開き」少し早いように見えます。そのため球筋がいち早く読まれ、コースを突いた球でも踏み込まれたり、フォークを見極められてしまうことも少なくありません。

 振り下ろした腕も、体には巻きつく柔らかさは感じるものの、それほど強さは感じられません。フォークが見極められてしまうのは、もっと腕を振れる必要があるのではないのでしょうか。またボールに体重を乗せきれていないので、どうしても打者の手元まで球威のある球が行きません。あくまでも上半身と腕の振りの鋭さで、キレを生み出して行くしかなくなるわけです。それがいつもできれば好いのですが、なかなかキレのある球を持続させることは容易ではありません。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「球持ち」は並で、「開き」「体重移動」には課題を残します。そういった意味では、打者にとって厄介なフォームではありません。

 制球を司る動作にも甘さがありますし、縦の変化に頼りすぎる投球からも肘への負担も心配されます。

(最後に)

 短期間や短い年数ならば、物凄い活躍を見せることはあるかもしれません。しかしプロのような消耗の激しい世界では、好い時と悪い時の差が激しい選手はプロ向きではありません。そういった意味では、どうしても強く推すことができないというのが率直な感想。

 好い時のピッチングは二桁を意識できますが、そういったピッチングは滅多に見られません。それだけに、プロではサッパリ活躍できずに終わる可能性も否定できません。また縦の変化球を見極められて、自分のピッチングを見失う危険性も感じます。悪い時に悪いなりにというピッチングができないので、ドラフト上位で消える素材ですが、かなり割り引いて考えた方が好いと思います。


蔵の評価:☆☆☆


(2013年 東アジア選手権壮行試合)










浦野 博司(24歳・セガさサミー)投手 178/70 右/右 (愛知学院大出身) 
 




                「やっぱ勢いがないと物足りない」





再びドラフト解禁の年を迎えた社会人2年目。西武との交流戦で、浦野 博司 の投球を見た。昨秋の関東選抜リーグで見た時と同様に、ボールに勢いがないので、観ていて物足りない。しかも球威がない分、甘く入ったら怖いなという印象は否めない。この投手の場合、ある程度球速がないと、投球に見栄えがしないのだ。

(投球内容)

ストレート 130キロ台後半~MAX90マイル(144キロ)

昨秋の関東選抜リーグで見た時は、殆どの球が135~後半程度。大学4年の神宮大会で150キロ前後を連発していた時に比べると、なんともボールがおとなしい。元々キレで勝負をするタイプなので、打者の空振りは誘えるが、ボールが軽い。そのためプロの投手が投げるボリューム感がなく、いかにも弱々しい。

ただコントロールはコースに散っており、甘く入らなければという条件付き。この日はまだ3月上旬ということで今後の球速の上積みは期待できるが、2回限定のリリーフ登板だったこと、4月中旬ぐらいの温かさあったことを考えると微妙なところ。

変化球 スライダー・チェンジアップ

この投手のスライダーは、横滑りする代物。その多くは、真ん中~高めに決まるので、観ていてヒヤヒヤする。しかし西武2軍の打者達は、この球を面白いように空振りをする。その最大の要因は、速球と見分けが困難なこと。速球だと思って振ると、完全にタイミングを狂わされるのだ。登板した2イニングで4奪三振を奪ったが、その多くがこのスライダーによるものだった。

昨年あたりから、速球とフォークだかチェンジアップ気味な球とのコンビネーションが目立つようになってきた。この球は、どちらかというとドロンとしていて、打者の空振りを誘うというよりは引っ掛けさせる球。この日も左打者の外角低めに、上手くコントロールはされている。もう一つこの球の特徴をあげるとすれば、スライダーとほぼ同じ球速で変化するということ。スライダーとは真逆に曲がり・横滑りではなく少し逃げながら落ちて行く。

(投球のまとめ)

球速が140キロ台後半ぐらい出ないと見栄えはしないし怖いのだが、2つの変化球を上手く駆使し、コントロール出来ている。一見高めに甘く浮いているように見えるが、コースには投げ分けられているので痛手は食い難いのかもしれない。速球と同じ振り・同じ軌道という、実戦的な変化球が売りであり、ストレートと共に空振りが誘える。

現状は、リリーフである程度の勢いを追求して行くべきだろう。先発だとどうしても、底の浅さが出てしまい、イニングを重ねると怖い。恐らくこのまま順調に過ごせば、ドラフト指名は間違いない。あとは、これから暖かくなってきた時に、どのぐらいのボールを投げ、結果を残せるのか。それによって、順位は大きく変動することになるのではないのだろうか。中途半端にまとまっている先発よりも、あえて今年はリリーフで勝負して欲しい。まだ評価は保留するが、中位前後での指名になるのではないのだろうか。

(2013年 プロアマ交流戦)










浦野 博司(23歳・セガさサミー)投手 178/70 右/右 (愛知学院大出身) 
 




              「球威のない安倍 建輝(ベイスーた図)みたいだ」





まるでそのピッチングスタイルは、今年NTT西日本~ベイスターズに6位入団した 安倍 建輝 の球威をなくしたような、縦の変化を中心に試合を作るピッチングスタイルになっていた。浦野と言えば、元々はキレのあるストレートとスライダーとのコンビネーションが目立っていたが、大学4年生あたりから縦の変化が目立ってきた。


(浦野 博司という男は)

 愛知学院大のエースとして、何度となく全国大会で活躍。ただアピールすべき、4年春はイマイチだった。しかしドラフト後に行われた神宮大会では150キロ級のストレートを投げ込み、改めて良い投手であったと再認識させられる。そんな私の彼の評価も ☆☆ をつけている。

 ドラフト指名されることなく、社会人のセガサミーに進む。一年目から、チームの主戦に成長。都市対抗では、緒戦の日本通運戦で7回途中まで1失点で抑え責任を果たす。2年目の今年は、有力なドラフト候補として注目される一人。


(投球内容)

ストレート 135~140キロ台前半

 大学4年の神宮大会では、MAX151キロを記録。先発でも大学時代は、コンスタントに140キロ台~中盤は刻んできた。しかし都市対抗では、135~140キロちょっとぐらい。元々ボールに球威がないので、どうしてもある程度球速があって勢いがないと物足りないボールに見えてしまう。

 ただ都市対抗の時がたまたまそうなのかと言われるとそうでもなく、秋の関東選抜リーグで生観戦した時も同じような球速だった。球速が物足りないだけでなく、球威がないのでなんとも物足りない。

 ただリリーフだと結構ラフなピッチングスタイルになるのだが、両サイドにボールを投げ分けるコントロールがある。逆に一つ間違えれば、長打を食らってしまう危険性は秘めているのだが。

変化球 スライダー・フォーク・カーブなど

 今は、圧倒的にフォークとのコンビネーションで投球を組み立てているところは、安倍投手に良く似ている。スライダーの割合は減り、カーブも悪くないのだが滅多に投げない。
 
フォークが空振りをとれるような鋭いフォークではなく、何処かドロンとしたチェンジアップやシンカー的なフォークであり三振は期待できない。相手に内野ゴロを打たしたり、緩急をつける意味合いが強い。

その他

 牽制は中々鋭く、クィックも1.0秒前後と高速。更にセットポジションに入ってからも、じっくり「間」をとってから投げ込むので、中々走者はスタートが切れない。そういった投球以外の技量・野球センスにも優れている。

(投球のまとめ)

 愛知学院大時代から経験豊富で、マウンド捌きにはさすがのものがあります。ストライクをポンポンと稼ぎ、有利な状況を作り出します。更に走者を背負えば、逆にじっくり「間」を使って投球できます。

 そういったマウンド捌きは、プロの一軍投手を見ているようです。ただそれほど細かいコントロールがあるわけではないのと、球威が物足りない点は、大学時代と変わっていません。またその大学時代から、目に見えて成長している感じは致しません。





(投球フォーム)

 ノーワインドアップから、勢いよく足を引き上げてきます。ゆっくり足を引き上げてくる先発型かとおもいきや、足を勢いよく引き上げてくるリリーフタイプなところが興味深いところ。

<広がる可能性> 
☆☆☆☆

 足を高い位置でピンと伸ばすので、お尻が一塁側に落とせます。そのため体を捻り出すスペースが確保できるので、無理なくカーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦の変化も投げられます。

 前に大きくステップすることで、着地までの時間を稼げます。すなわち体を捻り出す時間を確保できるので、良い変化球を投げられる下地があります。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブはしっかり内に抱えられているわけではないのですが、最後まで体の近くにはあります。これにより、ある程度両サイドにボールを散らすことができます。

 足の甲での地面の押し付けが遅いので、ややボールが上吊る傾向が見られます。「球持ち」も平均的で、指先の感覚にもそれほど優れているようには見えません。それでも力の入れ加減、抜き加減は身につけているので、ポンポンとストライクを先行させる制球力はあります。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆

 お尻を落とせるので、カーブやフォークなどを投げても負担は少ないはず。振り下ろす腕の角度にも無理はないので、肩への負担も少ないでしょう。ただ頑強な体ではなさそうなので、使い減りして消耗する可能性はあります。そういった使い込まれた時に、どのような投球をするのかが一つの課題ではないのでしょうか。ただ何処かを痛めるという可能性は、少ないと考えられます。

<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りは悪くないので、タイミングが合わせやすいわけではないと思います。しかし体の「開き」は早めなので、球筋はいち早く見極められてしまいます。そのためコースを突いた球でも、打たれてしまう可能性は否定できません。

 振り下ろした腕は体に絡むので、速球と変化球の見極めはつきにくいはず。ただその割りには、フォークで空振りが取れません。体重移動も発展途上なので、ボールに体重が乗ってゆかず、球威のある力強いボールがなげられません。

(投球フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点でみると、「着地」「球持ち」は平均的ですが、「開き」「体重移動」に課題を残します。そのためボールが見やすいので、コースを突いた球でも打たれてしまったり、「体重移動」の不十分さから軽いボールが行って長打を食らいやすい特徴が改善できません。けして、実践型というフォームではありません。

(最後に)

 球速が落ちてしまうと、どうしても体格の無さ・球威の無い球質が幸いして、非常に物足りない投球になります。それでいて、それほど細かいコントロール・フォーム技術を持っていないので、プロの打力を考えると誤魔化しきれるのかな?という不安は残ります。

 これらの欠点を克服するのか、あえてリリーフ限定の素材として勢いを出して行くのか、いずれかの選択になることでしょう。その辺を課題に対しどう取り組むのか、この一年見極めて行きたいと思います。

(2013年 関東選手権)







大学時代までの寸評へ