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三上 朋也(24歳・JX-ENEOS)投手 190/85 右/右 |
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三上 朋也(23歳・JX-ENEOS)投手 190/85 右/右 (県岐阜商-法政大出身) |
「少し物足りないけど」 法政大学時代に、☆☆ を付けた 三上 朋也 。社会人では、イニング数以上の被安打を喰らうなど、変化球中心でピリッとしない投球に、何処か物足りなさを感じずにはいられない。それでも都市対抗優勝のJX-ENEOSにおいて、一年目から主戦として活躍。再び解禁を迎える三上に、今何が求められるのか考えてみた。 (投球内容) 都市対抗では、落ち着いて丁寧に投げようという意識が感じられました。元来はテンポよく投げ込んで来るのが、この投手の持ち味。大学の4年生ぐらいから、メリハリがなく淡々と投げていたピッチングに、テンポや「間」というものを少しずつ意識できるピッチングに変化。 ストレート 常時130キロ台後半~140キロ台中盤 大学時代も140キロ前後~中盤ぐらいだったので、厳しい東京ドームのガン表示を考えると、球速自体は殆ど変わっていないのではないかと思います。特にボール自体に、グ~ンと手元まで来るような伸びも、ピュッと来るようなキレもありません。ただストレートの割合は少なく、勝負どころでズバッと低めに決まる大胆さこそが、彼のストレートの持ち味。ボールは角度があることで、バットの芯を微妙にズラします。 立ち上がりは下半身が使えず高めに浮きがちになったりしますが、イニングが進むに連れ球筋は下がってきます。大学時代は、結構内角を突いて詰まらせる投球も魅せていました。しかし都市対抗では、外角にボールを集め痛手を食わない投球に徹っしていました。 変化球 スライダー・チェンジアップ・カットボールなど 投球の多くは、曲がりながら落ちるスライダーとチェンジアップのコンビネーションで組み立てられます。その他にも、小さく横滑りするカットボールのような球があったり、チェンジアップよりも落差のありそうなフォークのような球もありそう。ただいずれにしても、それほど絶対的なボールはありません。 あくまでもコースに集めるといった球で、変化球でもコントロールミス少なく投げられることは高く評価して良さそう。 その他 フィールディングの動きは、平均的。牽制などは中々鋭いものがあります。更にクィックも1.1秒以下で投げ込める素早さで、大型ですが投球以外の部分にも大きな破綻はありません。 (投球のまとめ) コースに淡々とボールを集める投球ですが、変化球が多いなか、たまに投げるストレートが効果的。ストレート自体続けてしまうと、質・球威・球速共に際立つものがないので、狙い打たれてしまいます。それを逆手にとって、変化球中心に組み立てます。 被安打が多いのは、やはり外角中心の配球なので、打者としては狙いがつけやすいからでしょう。元来内角も使える投手だけに、その辺はもう少し幅広くピッチングしたいところ。 (データから考える) ルーキーイヤーでは、社会人の2大大会・都市対抗と日本選手権で5試合ほど登板しているので、その成績を元に、今回は考えてみた。 5試合 27回 33安打 8四死球 17奪三振 防御率 4.33 1,被安打は、イニングの80%以下 ✕ 被安打は、イニング数を上回るなど課題を残す内容。ちなみに大学時代の通算では、ほぼイニング数と同等なので、元々も被安打は多い投手。更に大学時代は結構内角への厳しい攻めをしていたのに、今は外角に集める投球が目立つので、余計に的を絞られやすい。 2,四死球は、イニングの1/3以下 ◯ 四死球率は、29.6% と基準を満たす。外角を突くコントロールは安定しており、四死球で自滅するようなタイプではない。ただ状況次第では、無理して勝負しないこともある。 3,奪三振は、1イニング0.8個以上 ✕ 1イニングあたりの奪三振は、0.63個 。これは平均的な数であり、けして三振をバシバシ奪う投球ではないことがわかる。特に変化球は多彩でも、相手を仕留めるほどの精度はない。 4,防御率は、2点台以内 ✕ 2大大会の防御率は、4.33。これでは、プロの成績としてもイマイチ内容。もう少し、要所締められるようにしたい。これは、本戦だけでなく、予選でも似た傾向の成績となっている。 (成績からわかること) 四死球以外のファクターを満たせず防御率が高いということは、球の威力やコンビネーションに課題があるということだろう。投球全体のレベルアップをしないと、プロで即戦力となると厳しいことがわかる。 (投球フォームを考える) <びろがる可能性> ☆☆ 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側には落とせず。そのため見分けの難しいカーブで緩急をつけたり、縦に鋭く落ちるフォークのような球種には適さない。実際にそういった球も投げるが、投球の中で大きなウエートは占めていない。 前にステップすることで、ある程度着地のタイミングは遅らせてはいる。しかしそれが、身体を捻り出すのに十分な時間かと言われると、現在の変化球のキレ・曲がりの大きさを見ていると微妙なところだろう。特に空振りを誘うほどの、絶対的な変化球がないだけに、この辺はもう少し改善の余地がありそう。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドへの投げ分けは安定。足の甲の地面の押し付けもまずまずで、立ち上がりこそボールが上吊るが、イニングを重ねるにつれ低めに角度よく決まることが多い。「球持ち」はそれほどではないが、外角に丹念に集められる制球力はあり、この部分に問題はなさそう。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻は一塁側に落とせないものの、カーブやフォークといった球種を多投しないので負担は少なそう。更に振り下ろす腕の角度はあるものの、それほど無理は感じられない。元々この角度こそがひとつ彼の持ち味なので、簡単には変えることもできないだろう。一応フォームをみる限り、大きな負担がかかっているというほどではないようだ。 <実戦的な術> ☆☆☆ 足を前にステップさせることで、「着地」のタイミングは平均的。ただそれでも身体の「開き」は早く、球筋は見破りやすい。ボールの質だけでなく、こういった見やすさも、被安打の多い理由ではないのだろうか。 気になったのは、腕の振りの弱さ。振り下ろした腕が身体に巻き付くような粘りや鋭さがないので、速球と変化球の見極めがつきやすく空振りが誘えない。またボールへの体重の乗せも発展途上であり、打者の手元まで勢いのある球が行かない。 (投球フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点では、「着地」「球持ち」「体重移動」は平均的。そして「開き」に課題があることがわかった。可も不可もなしといった感じのフォームだが、「開き」の部分は改善の余地ありだろう。いくらストレート磨いても、開きを改善しなければ、その効果は薄い。 (最後に) 実際の投球を観ていても、ボールの勢い・質という意味では物足りない。そのことは、残した彼の成績からもハッキリしていた。更に投球フォームでも「開き」から来るボールの見やすさや、腕が振れないリリースなどが三振などの少なさにつながっている。 大学4年時の方が、内容的には良かったのではないかとさえ思っている。少なくてもいま内容ならば、例え指名されても、即戦力の期待を担うのは厳しいだろう。地道に資質を伸ばしてきた投手だけに、今季はもう少しボールに訴えるような自己主張が欲しいところ。そうでなければ、2年間社会人に進んだ意味がなくなってしまう。 (2012年 都市対抗) |
三上 朋也(法政大)投手 190/82 右/右 (県岐阜商出身) |
「プロでいけるのでは!」 今までその素質を高くされていたものの、中々実戦でその力を発揮できなかった 三上 朋也。しかし最終学年を迎えて、ようやくその力をマウンドで出せるようになってきた。春の経験を生かして挑んだラストシーズン。三上は、更に成長した姿を印象づけた。 (投球内容) 190センチの体格を生かし、ワインドアップから大きく振りかぶり、角度の良いボールが低めに決まります。この角度と安定した制球力が、この投手の魅力となっている。 ストレート 140~MAX144キロ 投げ込まれるストレート自体に、それほど勢いや凄みは感じない。ただ角度があり、低めに集めるコントロールもあるので、打者としては芯で捉えにくい。 変化球 スライダー、カーブ、チェンジアップなど 独特の曲がりながら沈むスライダーと、チェンジアップを武器に投球を組み立ててきます。更に110キロ台のカーブ、それにフォークのような球も別にあるかもしれません。ただこの選手、速球でも変化球でも、コースを丹念について打たせて取るのが身上です。そのため、絶対的な決め球はありません。 その他 大型なのですが、フィールディングの動きこそ平均的なものの、牽制などは中々鋭いものがあります。更にクィックも1.1秒以下で投げ込める素早さで、こういったところも下級生の時よりも上手くなりました。 しっかりテンポ・投球の「間」を考えながら、ボールの出し入れまで視野に入れて投球できる術を身につけつつあります。安定した制球力・多彩な変化球を駆使して、自分の意志をマウンドに反映させることができるようになってきました。 (成績から考える) 春の成績は 8試合 4勝2敗 防御率 2.27。そしてこの秋は、ここまでに 5試合 2勝1敗 防御率 2.06 と目に見えて数字は変わってきていない。もう少し細かく観てみると 35イニング 31安打 10四死球 24奪三振 特に四死球・奪三振のペースはそれほど変わっていないが、春はイニングの数を上回っていた被安打が、イニングを下回るようになるなど、相手に的を絞らせない投球が、目に見えて変わってきた。 (投球の変化) 下級生までは、大きな身体でメリハリなく淡々と投げ込んできて、面白味のない投球をしていた印象。しかしこの秋は、普段はテンポ良くどんどん投げ込んできて、ランナーを背負うとしっかり時間を取って投球できるようになり、投球にメリハリが出てきた。これにより相手の心理を巧みについた、投球の「間」という時間的概念を強く意識した投球ができるようになってきている。 もう一つは、外角中心の配球ながら、勝負どころではズバッと内角を突く大胆さも観られる。また外角一杯のところで、微妙にコースを突くことができ、いわゆる一球、一球考えて出し入れできる、ピッチングができるようになってきたことは大きい。自分の描くピッチングが、冷静にマウンドでも発揮できるようになってきたのだ。 (心配な点) ようやく法政のエースと呼べる安定感を身につけられたのは、4年春のリーグの後半戦ぐらいから。ここまで時間がかかったのは、彼の性格によるところも大きいのでは。というのも、今の六大学の打者相手ならば、いまの三上も自信を持って投げられるようになってきた。その環境に慣れ、自信を持つまでに3年以上の月日がかかってきたのだ。 しかし三上の精神的な弱さを伺うのは、六大学一の強打者・伊藤隼太(慶大)との対戦を観るとよくわかる。伊藤に対し必要以上に警戒し、勝負どころでも後一歩攻めきれず四球を出してしまうのだ。以前のように対戦すれば、必ずのように打たれていた頃よりは成長しているものの、伊藤を仕留めきれない投球をみると、う~んこの投手、微妙な精神的なバランスで投げているのだろうなあと思えてくる。そういった意味では、プロに入っても結果を残して自信が芽生えるまでに、少し時間がかかるのではないか。少なくても一年目から、バシバシ活躍するような選手ではないのだろうなと思えてくる。 (投球フォーム) 下級生の時はノーワインドアップから投げ込んでいましたが、今はワインドアップで勢いのあるフォームに変わりました。その辺も、球威・球速を伸ばしてきた要因だと考えられます。 <広がる可能性> 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、腕の振りが緩まないようなカーブや縦に鋭く落ちるフォークのような球は修得し難いはず。すなわち緩急を利かしたり、空振りを誘うような縦の鋭い変化は、今後も厳しいかもしれません。 しかし以前よりも「着地」までの粘りが出てきたので、身体を捻り出す時間が確保でき、ある程度の変化球が投げられる下地はできました。空振りを誘えるほどのキレは難しくても、多彩な球種で相手の的を絞らせない投球は期待できます。 <ボールの支配> グラブを内に抱え込み、両サイドへの制球は安定。ただ足の甲での地面の押しつけは、相変わらずつま先のみ。そのため上体が高く、ボールが上吊りやすいフォームです。しかし実際は、かなり低めに球が集まっており、それほどこれを悲観することはありません。ただ「球持ち」はよくなく、ボールを手元でキレないフォームです。それでも上手くボールをコントロールしているので、この点もあまり考えなくても良いのかもしれません。 <怪我のリスク> お尻は落とせませんが、カーブやフォークを多投することもありませんし力投派ではないので、それほど肘などへの影響は考え難いです。ただリリースする際に、ボールを持っている腕の肩は上がり、グラブを抱えている方の肩は下がるなど、肩への負担は少なくありません。そういった意味では、疲れをためないように、日頃から身体のケアには注意を払ってもらいたいものです。 <実戦的な術> 「着地」までの粘りが作れるようになり、「開き」も平均的なレベルになりました。以前は淡泊なフォームでしたが、その辺も角度を生かしてイヤらしさがフォームに出てきたように思えます。 ただ投げ終わったあと腕が身体に絡むようなことがなく、あまり腕が振れていないのが残念です。実際その投球を観ていても、ボールを置きに行くような投球が観られます。また、まだ下半身の使い方が下手で「体重移動」が不十分です。そのためボールにしっかりウエートが乗っておらず、ストレートの球威・勢いが物足りず、それほど凄みのある球が、打者に向かって行きません。 (投球フォームのまとめ) 「着地」や「開き」は平均的で、「球持ち」や「体重移動」に関しては、やや物足りないものがあります。こうやってみると、それほど実戦的なフォームではないのかなと今でも思えます。それを制球力や投球術で補っているのが、今の彼のピッチングなのだと思えてきます。 (最後に) この選手は大型ですが、意外に動ける運動神経の持ち主。そして頭の良さも、兼ね備えます。また年々資質を伸ばしてきたように、課題克服への意識の高さ、努力できる才能があると評価します。 その一方で、4年生になるまで才能開花に時間がかかったところや、伊藤隼太を攻めきれない投球をみると、一軍で活躍するのは、2年目以降なのかなという気が致します。 ただ春~秋に向けて、目に見えて成長してきており、その成長力は高く評価しても良いのではないのでしょうか。上位指名はないのでしょうが、中位以降での指名ならば、しっかり試合を作れる選手だけに面白いと思います。プロ入り後も、まだまだ伸びて行ける選手になるでしょう。 蔵の評価:☆☆ (2011年 秋季リーグ戦) |
三上 朋也(法政大)投手 190/82 右/右 (県岐阜商出身) |
「だいぶ好くなってきた。」 2011年度のドラフト候補として、シーズン前から注目されていた 三上 朋也。これまでの3年間で、20試合もの登板経験はあったものの、通算2勝4敗 防御率 2.60 と、実績的には、とてもドラフト候補と呼ぶのには物足りない数字で終わっている。下記の寸評にもあるように、下級生までの三上は、その投球内容も物足りなかった。そんな三上の、最終学年でのピッチングに注目してみた。 この春のここまでの成績は、 7試合 3勝2敗 38回2/3 48被安打 12四死球 29奪三振 防御率 2.79 これまでの3年間で2勝しかあげられなかった男が、1シーズンですでに3勝をあげていることからも、数字的にも大きく成長していることがわかる。実際の投球でも、大きな変化が見られている。 大きな変化 1,制球力の向上 これまでアバウトな制球だったが、ボール1球1球を追跡してみると、両コーナーにしっかりコントロールされていることがわかる。ストレートの球筋が暴れていたのが、かなり安定してきた。このことは、四死球がイニング数の1/3以下と言う目安をクリアしていることからも、数字の上でも証明されている。 2,球質の向上 これまでは、球速こそ今と変わっていないが、何処かビシッとミットに収まるような力感に欠けていた。しかし今は角度のあるボールが、しっかり捕手のミットに突き刺さって来る。凄みこそ感じさせないが、角度があってイヤラシイ球筋がみられる。 3,変化球の向上 元々スライダーの活かし方は、上手い投手だった。独特の曲がりながら落ちるスライダーは、その役割はほとんどカーブ。これによりカウントをしっかり整え、投球にアクセントを加えることができている。更に下記の寸評ではフォークと記載しているが、恐らくチェンジアップと思われる球を、左打者の外角に使って来る。この球が甘く高めに浮くこともあるが、左打者への投球には重要な役割を果たすようになってきた。 その一方で、まだまだ課題を多く抱えている。 1,イニング数を遙かに上回る被安打 上の今シーズンの成績を見ても、イニング数を上回る数の被安打を浴びている。通常目安としては、イニング数に対し、70%以下は求めたいところ。けして両サイドにしっかりボールをコントロールしているのに、何故打ち込まれるのか? その一番の応えは、投球フォームに原因がある。体の開きが早くボールが見やすい投手の多くが、せっかくコースを突いても打たれてしまうケースが多いのだ。 (投球フォーム) では今度は、投球フォームの変化について考えてみたい。下記の寸評で指摘したポイントに注意しながら、読み進めて欲しい。 まずフォームに入って行くときに躍動感が物足りないと指摘したフォームは、ポンと地面を蹴り上げる勢いが出てきて、だいぶダイナミックになってきた。この辺は、この一冬の間に大きく修正されてきたポイント。そのためフォームにも威圧感が出てきましたし、ボールにも勢いが生まれてきた。 元々はお尻を一塁側に落とせるフォームだったのが、足をピンと伸ばすことなく、足を抱えたまま体重を落とすフォームに変えてきた。一番の欠点は、あっさりと地面を捉えてしまう淡泊なフォームにあった。これを地面に着きそうなところから、大きく前へステップする動作を採用し、その淡泊さの解消に努めた。これにより、単調な投球フォームに変化が生まれはじめた。 と大きな改善に挑み、一定の効果があったものと評価します。しかしこれでも、まだまだ投球フォームに課題を残すので、その部分を指摘したいと思います。 (投球フォームの課題) お尻が一塁側に落とせなかった分、前の肩と後ろの肩を結ぶラインが、終始打者に真っ直ぐ伸びるようになってしまいました。そのため打者からは、ボールの出所が見やすいフォームになっています。この辺が、せっかくコースを突いても、簡単にボールを狙い打たれる大きな要因になっていると考えられます。 前回のフォーム分析では気にならなかったのですが、テイクバックした時に、前の肩と後ろの肩を結ぶラインよりも肘が下がってしまい、ボールを押し出すようなフォームになってしまっています。これだと腕の回旋のスムーズさを損なうばかりか、体への負担も大きくなります。更に彼の場合、角度を売りにしようと言う意識が強いのか、リリースの際にセンターカメラから見ると、グラブを抱えている腕は下がり、ボールを持っている腕は大きく上がって斜めになっているのがわかります。これも体への負担も大きく、無理な角度を作っていると言えます。長身を活かした角度を重視するのは好いのですが、けして体のためには好いとは思えません。 (最後に) これまでは、正直ドラフト候補とは思えない選手でした。しかしコンスタントに140キロ台を叩き出せるポテンシャルに加え、確かなコントロールを身につけつつあります。まだまだ上のレベルで即戦力に成り得るレベルまでは達しておりませんが、それだけの才能があることを証明したシーズンだとも言えるでしょう。 秋までに更なる進化が望めれば、指名もあるかもと言うところまで来ました。結果どうなるかはわかりませんが、秋まで追いかけてみたい選手です。努力できる才能とセンス、そういったものも兼ね備えていることは、一冬越えた大幅な成長が証明してくれています。期待して、ラストシーズンを見守ることができそうです。 この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2011年・春季リーグ戦) |
三上 朋也(法政大)投手 190/82 右/右 (県岐阜商出身) |
「これまで、あんまり気にして観たことなかったな。」 年明け早々のスポーツ紙に、法政大学の練習初めの日 三上 朋也 目当てにスカウ達が集まったと言う記事を読んで、私は彼をここまで真剣に観たことがないことに気がつく。県岐阜商時代は、投手よりもむしろ大型野手として注目されていた選手。本格的に投手として注目されるようになったのは、名門・法政大学に進んでからだった。 (投球スタイル) これまでは、190センチ台の体を何処か持て余し気味で、ビシッとしていない投球に物足りなさを感じていた。確かにリーグ戦での経験も豊富で、過去何度も見てきた投手だが、ピンと来たことがなかった。 ストレート 130キロ台後半~140キロ台中盤 何かそのストレートにも、いまいちビシッとこない印象があるのだが、それでもコンスタントに140キロ台に乗せてきて、140キロ台中盤までたたき出せるポテンシャルは、それなりのものがあるのだろう。ただストレートの球筋は暴れる傾向にあり、うまく制御できていない。 変化球 スライダー・カーブ・フォーク 基本的に、結構縦に落ちながら曲がるスライダーとのコンビネーション。たまにカーブやらフォークなどをおりまぜて来る。この投手の良さは、この変化球が低めに集まるところ。ストレートが暴れる一方で、スライダーのコントロール・生かし方はなかなか良い。 その他 190センチの大型な体格故に、やや緩慢に見えてしまい、実際時間もかかっている。そのためフィールディングは、けしてうまくない。ただクィックに関しては、1.15~1.25秒ぐらいと、ほぼ基準タイムでまとめられている。 特別マウンド捌き・危険回避能力などに優れた印象はない。むしろ淡々と投げ込んで来る印象が強く、投球に抑揚が少ないタイプの投手ではないのだろうか。そのため、短いイニングにエネルギーを集約させるような爆発力のある素材ではない。 (投球のまとめ) その投球は、あくまでもアバウトに両サイドに投げ分けるといった程度。ただストレートが、時々甘いゾーンに入ってくる。ただ四死球で自滅するタイプではなく、ストライクゾーンにはボールを集めることはできている。 ただ淡々と投げている感じで、その投球やボールから、何か訴えかけて来るものがなく、物足りない印象は否めない。まだその恵まれた体格を生かしきれず、消化不良と言った感じ。このへんが、最終学年において、いかに心身共に変化して来るのか注目したい。 (投球フォーム) ノーワインドアップから、足の横幅を広くとって構えます。足を引き上げる勢いや、その高さがないので、どうしてもフォームに躍動感が感じられません。 お尻の一塁側への落としは悪くないのですが、着地までの粘りに欠けるので、充分に体を捻り出す時間をキープできず、見分けの難しいカーブや縦に鋭く落ちる変化球の精度も、現時点では中途半端です。 グラブを最後まで内に抱えられているので、両サイドの制球は安定しやすいです。ただ足の甲の押し付けが浅く、重心が腰高でボールが高めに浮きやすい傾向があります。ただ腕の振りには無理がないので、それほど体への負担は大きなフォームではなさそうです。そのため故障のリスクは、比較的少ないのではないのでしょうか。 投球の4大動作においては、「着地」までの粘りと最後までボールに力を伝える「体重移動」に課題があります。そのためボールに充分体重が乗らず、ストレートの自己主張が薄いのでしょう。「球持ち」「開き」も、けして良いわけではなく平均的といった感じだし、もっと腕を強く振れないと変化球も効果的に使えないのではないのでしょうか。 (フォームのまとめ) やはり大型過ぎるのか?自分の体を上手く使うことができておりません。動作すべてが現状中途半端であり、動きにメリハリ・意識の浅さを感じます。一つ一つの動作の目的意識を噛み締め、深く野球を探求することが求められます。 (今後は) ここ数年プロ入りしていった先輩達に比べると、実績・実力的にも、まだまだ劣ります。今のままでは、法大のエースと言う重責を担えるのかも不安であり、ひいてはプロ入りまでこぎつけられるのかも微妙だと判断致します。 最終学年を迎え、心技体すべての意味で、意識が変わってくることを期待したいと思います。昨秋は、これまでにないほど調子を崩しておりましたが、ぜひ復活し一回り成長した姿を、オープン戦などで確認できればと思っております。あくまでも現状は、ドラフト候補の一人であった上位指名確実は素材ではないと考えます。 この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2010年・秋) |
三上 朋也(岐阜・県岐阜商)三塁 190/77 右/右 |
旧チームでは下位打線を打つなど、打撃よりも三拍子の総合力で評価されている選手。一塁までは、4.5秒弱(左打者ならば4.2秒を切るようなタイム)とプロの基準以上の脚力を秘める。地肩も強く、打球への反応・キャッチング・スローイングも悪くはなさそうだ。 ただ気になるのは、打撃の部分。少しドラフト候補として考えるとヘッドスピードが鈍い。そのため打球のインパクトも物足りず、ミートセンスはそこそこあるが、ドラフト候補として見るのは、現時点で厳しそうだ。一冬超えてどのぐらい逞しくなっているのか。その辺に期待したい。 (2007年・夏) |