13sp-35
阿知羅 拓馬(21歳・JR東日本)投手 190/95 右/右 |
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阿知羅 拓馬(岐阜・大垣日大)投手 187/85 右/右 |
(どんな選手?) 中学時代から話題の大器だったそうですが、故障などもあり伸び悩んでいる本格派です。神宮大会では、試合の最後に少しだけ出てきただけなので、正直よくわかりませんでした。今回少しじっくり見られたことは、大いに参考になりました。 (投球内容) ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。その速球は、常時135~MAXで140キロを超える程度。その球速以上に、ボールに球威・球速がなく、やや物足りないものに見えました。変化球は、少し押し出すように投げるカーブ・スライダー・フォークなどがあるようですが、まだまだ絶対的な球種ではないようです。 制球は、外角中心に球は集められるのですが、ボールが見やすいのか、それほど甘くない球でも痛打される傾向にあります。フィールディングなどは悪くありませんが、試合を作ったりするセンスは並みで、それほど際立つものは感じられませんでした。 投球フォームは、お尻を一塁側にある程度落とせますし、着地も少し前への逃がしがあるので、早すぎることはありません。そういった意味では、将来的にも見分けの難しいカーブや縦の変化も期待できます。 グラブもしっかり内に抱えられているのですが、足の甲の押し付けが浅いので、ボールは高めに抜けやすいです。それを無理に高い位置から腕を振り下ろすことで、抑えようとしているところに、この選手の腕の振り滑らかさを損なっております。 フォームが直線的で、球が見やすいので「開き」も自然と速くなります。腕を無理に高い位置から投げ下ろすので、体への負担が大きく、故障に泣かされてきたことも頷けます。「球持ち」自体は良いですし、腕もしっかり振れるところは魅力です。あとは、「体重移動」が上手く行っていないので、これが上手くできると、もっとウエートがボールに乗って、手元まで勢いのある球が行くのではないのでしょうか。 (今後に向けて) 正直、秋から春に向けては伸びてきませんでした。この冬も順調ではなかったのかもしれませんんが、もう少し腕の振りを緩和して、自然体の角度を身につけたいですね。そうすれば体への負担も減り、フォーム全体にも良い循環が生まれそうです。 あとは、球威・球質が物足りないので、速球のレベルアップを期待したいです。腕の振りもお尻の落としも悪くない選手なので、速球が良ければ、変化球も振ってくれるようになると思います。持っている素材は悪くないので、それを活かす術が身につけば、まだまだ期待が持てます。ただそれは、大学などに進んで、良い指導者に恵まれたり、高い志があってのこと。3,4年後の将来を期待して、今後も見守って行きたいと思います。 (2010年・選抜) (どんな選手?) 神宮大会では、故障明けのため背番号10を付けていた選手です。右の本格派で、将来性豊かな投手です。ただ神宮大会では、決勝戦の最後の最後で登場するなど、まだまだ万全の状態ではなかったようです。 (投球内容) 右の正当派右腕で、悪い癖がないフォームです。ストレートは、135~140キロ前半ぐらいでしょうか。他にスライダーやチェンジアップのような球があるようです。ズバッとコーナーに決まる大胆さが魅力の投手なのですが、まだまだスライダーなど変化球の精度に課題がありそうです。 物凄いスケール・ポテンシャルを秘めている素材かと言われると微妙ですが、破綻のない成長が期待出来る選手で、安心してその成長が見守れる選手です。そのためこの一冬で、何処まで変化球や細かい制球力も兼ね備えた成長が出来るか注目したいですね。選抜では、140キロ台の速球で、全国のファンにその存在感をアピールしてくれそうです。 (今後は) 一学年下に、非常に実戦派の葛西と言う左腕がおります。神宮大会でもほぼ一人で大会を投げ抜き、経験と自信を付けたはずです。その彼に比べるとまだ阿知羅は、経験・実績では劣る部分があるはずです。ポテンシャルでは葛西を上回る球の威力がありますが、総合力ではまだ彼に劣る印象です。 まずは、一冬超えて丈夫な身体をつくり、チームのエースになることを期待したいところです。神宮大会では、まだまだ万全と言う状態ではなかったでしょうから、ぜひ良い状態の彼を観てみたいですね。神宮大会組では、一冬超えた上積みを期待出来る数少ない素材でした。その将来像に触れるのは、選抜までの楽しみにとっておきたいと思います。 (2009年・神宮大会) |