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大山 暁史(25歳・セガサミー)投手 168/69 左/左 
 






                    「投球に奥行きが出てきた」
 




昨年までは、アバウトな制球と一辺倒な投球で、ポンポンポンと打ち込まれるケースが目立っていた 大山 暁史 。ドラフト候補として常に注目されていた昨年と違い、今年はすっかり忘れられた感が強かった。しかしその間に、投球を大きく改善していたのだ。

(投球内容)

 昨年までは、小さな体をめいいっぱい使って、力一杯投げている印象が強かった。しかし今年は、非常に脱力して落ち着いて投げている。

ストレート 常時135~後半

 昨年は一所懸命投げる分、常時140キロ前後を記録していた。しかし今年は、135キロ~後半ぐらいとボールの勢いは落ちたが、その分力みなく安定してコースに散らすことができている。その辺は、都市対抗予選の8イニングを、2四死球で抑えたことからも伺える。以前のような三振をバシバシ奪うような投球ではないが、痛手を食い難くなったのは間違いない。被安打も3本に抑えられている。

変化球 カーブ・スライダー・スクリュー

 昨年はキレのあるスライダーで三振を多く奪えていたものの、この球が甘く入ることも多かった。しかし今年は、110キロ台の曲がりながら落ちるカーブとのコンビネーション中心になり、投球に緩急をつけることで一辺倒だった投球にも改善の兆しが。

 もちろん球種としては、スライダーやスクリューなどもある。しかしその頻度を減らすことで、見事にモデルチェンジに成功した。

その他

 左腕らしく、牽制は鋭い。フィールディングの動きも軽快で、中々上手い。クィックも1.1秒台でまとめられるなど、投球以外の技術はしっかりしている。

(投球のまとめ)

 ボール自体が高いのは相変わらずなのだが、力を抜いて投げられることで、両サイドへの制球が安定。緩急をつけることで、相手に的を絞られ難くなった。特にカーブでしっかりカウントも整えることができ、精神的な余裕が生まれたのも大きかったはず。力を入れなくても抑えられるんだという、投球のコツを掴んだのが大きかった。

(投球フォーム)

<広がる可能性> ☆☆☆

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばせるようになったが、かなりニ塁側に足を送り込むことで、お尻の落としは少し甘めに。それでもカーブで緩急をつけたり、縦の変化球を投げるのに無理は感じなくなりました。

 「着地」までの粘りも時間を稼げるようになり、平均的なレベルまで。これにより、体を捻り出す時間が以前よりも増しています。またカーブのキレが生まれたのも、このせいかもしれません。

<ボールの支配> ☆☆☆

 グラブは最後まで体の近くにあるので、両サイドへの投げ分けは安定しやすい。ただ足の甲への地面への押し付けが浮いてしまっていて、ボールが上吊りやすいのは相変わらず。「球持ち」もやや浅いので、ボールを低めに押し込めません。

<故障のリスク> ☆☆☆☆

 お尻は一塁側に落とせるようになってきたので、カーブで緩急をつけても無理はないでしょう。そういった意味では、肘への負担は少なそう。

 振り下ろす腕の角度、送り出しにも違和感は感じないので、肩への負担も大きくないのでは。昨年までは力投派だったので消耗が激しそうでしたが、今は落ち着いて投げられるようになり、その辺も軽減しているように思います。

<実戦的な術> ☆☆☆

 「着地」までの粘りは平均的で、体の「開き」も抑えられています。今のフォームならば、コースにしっかり投げ分けられていれば、それほど痛手は喰らわないのではないのでしょうか。

 腕を強く振れるので、身体に絡んできます。速球と変化球の見極めは難しく、変化球を効果的に使える下地はあります。体重を乗せきる前にリリースをむかえてしまっているので、ボールに球威が加わりません。あくまでも上半身と腕の振りで、キレを生み出すしかないのでしょう。

(投球フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「開き」は悪くないので、打者としては合わせ難くなりました。しかし「球持ち」「体重移動」には依然課題を残しているのがわかります。

 制球を司る動作ではボールが上吊りやすい課題を残しますが、故障の可能性は軽減されているのは評価できるポイント。

(最後に)

 昨年はドラフト上位候補とも騒がれましたが、結局指名がありませんでした。その反省から、ピッチングを大きくモデルチェンジしてきて、その効果は着実に現れています。まだまだこの探究心で進化を続ければ、プロでの更なる成長も期待できるのではないのでしょうか。

 投手としてもある程度形はできていますし、年齢も年齢なので一年目からの活躍が求められます。実際仕上がりは早そうなタイプなので、紅白戦・オープン戦など実戦で早くからアピールできそう。そこできっかけをつかめば、一軍での活躍も期待できると思います。

 ドラフト8位での入団ですが、1年目にどの程度やれるかで、おおよそプロで長く生き残って行くのかが決まって行くのではないのでしょうか。好いところを魅せようとオーバーペースになったり、自分の投球を見失なければ、ドラフト8位でも意外な活躍も期待できると思います。今ならば、左のリリーフ投手として貴重な戦力になれそうです。

蔵の評価:

(2013年 都市対抗)









大山 暁史(24歳・セガサミー)投手 168/67 左/左(亜大出身) 
 




                「ボールのキレは一級品!」





亜大時代は、東浜巨 の陰に隠れて、リーグ戦でも目立った活躍をしていたなかった 大山 暁史 。しかし社会人・セガサミーに進んでからは、その才能を見事開花させた。小柄ながら、左腕から繰り出す速球とスライダーのキレは一級品。今やプロが最も注目する、社会人左腕の1人だと言えよう。

(投球内容)

 小柄な身体を鋭く振って、独特のキレのある球を生み出して来る。先発で試合を作るというよりは、ボールの勢いで相手を抑え込むリリーフタイプのサウスポー。

ストレート 常時140キロ前後~MAX89マイル(142.4キロ)

 コンスタントに140キロを記録するストレートは、その球速以上に打者の手元でキレ、空振りを誘える球質だと言えよう。しかし球筋にバラツキがあり、甘く高めに浮いた球を痛打されば場面が目立つ。そのボールも、真ん中~高めに浮くことが多い。

変化球 スライダー・スクリュー

 基本的には、スライダーとのコンビネーションで、たまに右打者外角にスクリュー系のボールを投げてくる。ただこのスライダー自体にはキレがあり、カウントを整えるだけでなく、時には三振を奪うことができる。実際ヒットの多くは、ストレートが殆ど。ただ球速差に乏しい変化球中心なので、相手に合わせられると緩急の差に乏しく集中打を浴びるケースが多い。

その他

 左腕らしく、牽制は鋭い。フィールディングの動きも軽快で、中々上手い。クィックも1.1秒台でまとめられるなど、投球以外の技術はしっかりしている。

(投球のまとめ)

 ボール全体が高く、球にはバラツキがあり、甘く浮いた球を打たれるケースが多い。更にスライダー・スクリューなど、比較的球速のある変化球が中心で、緩急に乏しく集中打を喰らいやすい。どうしても投球における制球の甘さ・一辺倒な配球が、プロの即戦力としては期待し難い。

(投球フォーム)

では実際のところ、これらの欠点を改善するのには、フォームのどの辺をいじれば好いのか考えてみた。

<広がる可能性>

 もう少し引き上げた足を高い位置でピンと伸ばせると、更にお尻が三塁側(左投手の場合)に落とせるようになり、無理なくからだを捻り出すことができるはず。そうすれば、見分けの難しいカーブなどを投げることも期待でき、投球にもっと緩急をつけられるのではないのだろうか。

また「着地」までに、もう少し粘りが出てくると、身体を捻り出す時間も確保できるので、もっといろいろな変化球が使えるようになりそうだ。

<ボールの支配>

 グラブは、最後まで身体の近くにあるので、元来両サイドの投げ訳は悪くないはず。ただ足の甲での地面の押しつけが浅く、充分深く押しつけられていない。そのため上体がた高く、ボールが上吊る要因を作っている。「球持ち」に関しても平均的で、もっと指先感覚を磨いて投げられるようになれば、制球は安定してくるだろう。

<故障のリスク>

 お尻は比較的落とせているので、身体への負担は少ないはず。振り下ろす腕の角度にも、それほど無理は感じられない。そういった意味では、それほど故障の可能性は高くないのではないのだろうか。ただテイクバックした時に、少し背中に肩が入り込むので、その辺が心配と言えば心配な材料。とにかく、日頃から充分に身体の手入れには注意したい。

<実戦的な術>

 「着地」までの粘りがそれほどではないので、打者としては比較的タイミングが合わせやすい。ただ「開き」自体が速いわけではないので、しっかりコースを突いていれば打たれる可能性は低そうだ。

 腕は振れており、あとはもっと身体に絡むような粘りのある「球持ち」を身につけたい。更に「体重移動」自体は悪くないので、ボールにはウエートが乗せられて、質の良いボールを生み出している。

(最後に)

 現状は、貴重な左腕なだけに指名の可能性は高いと考えます。しかし制球の甘さや一辺倒な投球を見る限り、プロで即戦力を期待するのは厳しいのではないのでしょうか。個人的には、もう一皮むけないと指名リストに載せるのはどうかな?という印象を持っています。都市対抗予選・都市対抗本戦などで、見違えるような投球内容を示してくれない限り、大きく評価を変えることはないと思います。

(2012年 関東選抜リーグ)







大山 暁史(24歳・セガサミー)投手 168/67 左/左 (亜細亜大出身 





                 「随分と出世したな」





亜細亜大時代は、通算21試合 1勝5敗 防御率 3.32 とリーグ戦では登板していたが、けして目立つ存在ではなかった。しかし社会人・セガサミーに進んでから大きく成長。ルーキーながら、都市対抗緒戦のNTT西日本戦で先発のマウンドを任された。そしてMAX146キロのキレの好いストレートが評価されて、今やドラフト上位候補の一人として注目されているという。


(投球内容)

ストレート 130キロ台後半~MAX140キロ台中盤

元巨人の 宮本和知 を彷彿とさせるようなフォームから、キレがよく体重もしっかり乗ったボールの勢いが自慢。ただ都市対抗では、制球が定まらず調子はイマイチ。そのため自慢のストレートでも、思ったほど空振りが取れなかった。ただこの選手の場合、変化球のレベルが低いので、どうしてもストレートで押すピッチングスタイルになる。

変化球 スライダー

都市対抗を見るかぎり、カーブやチェンジアップなどの持ち味は殆ど見られず、スライダーとのコンビネーションだった。しかしこのスライダーの制球やキレはイマイチで、あくまでもストレートに集中する目先を交わす程度の役割しかない。もう少し安心して、この球でカウントが整えればいいが、必ずしもそういった精度もなかった。ただ普段は、もう少しこの球で楽にカウントが取れていた記憶がある。

ただ現状、頼れる変化球は、このスライダーのみ。もう少し使える変化球を増やさないと、投球がきゅうきゅうとなってしまう。

その他

牽制は、非常に上手い選手。油断した走者ならば、刺すことも期待できるでしょう。フィールディングも、都市対抗ではピッチャーライナーを好捕。打球への反応は素晴らしく、普段のボール処理も悪くないように思えます。クィックは、1.05~1.15秒ぐらいで投げ込めており、これも充分プロの基準レベルです。そういった投球以外の部分は、しっかりしています。

ただ投球の細かい出し入れ、配球の巧みさ・「間」のとり方などはもうひとつで、プロならばリリーフタイプだと言えるでしょう。現状は、もう少し制球力・球種を増やしてゆかないと、投球を組み立ててゆくことも厳しそうです。

(投球のまとめ)

現状は、左腕としてボールの勢いが優っているので評価されているのだと言えます。実際には、制球力・投球術・変化球レベルとも低く、リリーフでもどうかな?といった感じです。解禁を迎える今年、そういった投球の改善・ピッチングの幅が広がることが、上位指名への大きな条件となるのではないのでしょうか。


(投球フォーム)

<広がる可能性>

引き上げた足を、かなり二塁側に送ります。そのためお尻の三塁側(左投手の場合は)の落としは甘く、見分けの難しいカーブや縦に鋭く落ちるフォークなどの球種には適しません。ただ「着地」までの足の逃がしは上手く、その点では、球速のある変化球を中心に、もっといろいろな球を覚えられそうな土台は持っています。

<ボールの支配>

グラブは最後まで内に抱えられるので、両サイドの投げ分けはできそう。足の甲の地面への押し付けも悪くないので、ボールも低めに押し込めそう。しかし実際は、かなりボールのバラツキが顕著で、細かい制球力はありません。ただ都市対抗では制球が定まりませんでしたが、都市対抗予選では12回2/3イニングで四死球2個と、四死球を出すようなタイプではないようです。ただ「球持ち」は悪いように見えませんが、指先の感覚はイマイチ。そういった意味では、それほど細かい制球力は期待できないかもしれません。

<故障のリスク>

お尻の落としが甘い部分はありますが、カーブやフォークを多投するわけでもないですし、シュート系も投げないので肘への負担は小さいように思えます。また腕の角度にも無理がないので、肩への負担も小さそう。しいて言えば、結構下半身をグッと一気に沈めてくるので、受け止める腰への負担がどうなのかな?という不安は残ります。いずれにしても、力投派なので消耗も激しいでしょうから、アフターケアには充分気をつかいたいところ。

<実戦的な術>

下半身を上手くリードして「着地」のタイミングを遅らせ、更に「開き」も遅いのでタイミングは取りにくいフォームです。これだけ単調な配球でも、それほどヒットを許さないのは、このフォームの影響も大きいのでは?

腕も鋭く振れて体に巻き付いてきますしので、球種も区別もつきにくいはず。ボールにしっかり「体重」も乗せられているので、打者の手元までグッと勢いのあるボールが行きます。フォームとしては、実に実戦的です。


(今後は)

実際の投球には課題も多いのですが、投球フォームとしては実に好いものを持っています。ですから単調なコンビネーションでも、ボールの勢いとタイミングの合わせにくさで、意外に連打を許しません。そういった意味では、中々面白い存在です。

ただプロで通用するだけの投球が出来ていないので、まだ左から速い球を投げられるだけの投手との域は脱しられていません。この辺を今年いかにか改善して行けるのか、注目して行きたいですね。現状は、リリーフで使えるのか? この観点でみて行きたいと思います。まだ、上位指名にふさわしい内容ではありません。


(2011年 都市対抗)