13sp-25
石川 歩(25歳・東京ガス)投手 185/70 右/右 |
|
石川 歩(24歳・東京ガス)投手 185/69 右/右 (中部大出身) |
「久々に観たが」 中部大の下級生時代に、大学選手権で注目された速球派。しかし最終学年では、もう一つアピール不足でプロ入りとは行かなかった。私自身も最終学年の投球を確認できず、久々に春の関東選抜リーグで確認できた。そして今年の都市対抗・緒戦の先発を任されるなど、期待が高いことを証明。そんな 石川 歩 の現状をご紹介したい。 (投球内容) 彼の最大の魅力は、柔らかい腕の振りにある。その身のこなしこそ、彼の高い将来性を期待させる。しかし久々に見て思ったのは、社会人の投手にしては線が細いなぁということ。そのため球威に欠け、ボールのボリューム感がなんとも物足りない。 ストレート 135~MAX143キロ 大学選手権で注目されたときは、MAX146キロを記録。しかし春の関東選抜リーグでは、ほとんどが135キロ前後まで球速が落ちていた。都市対抗では、130キロ台後半~MAX143キロまで回復。ただ球威の無さは相変わらずで、特にシュート回転して中に中に入ってくるのは、どうしても気になった。 変化球 チェンジアップ カーブ など 彼の最大の武器は、チェンジアップ。この球でカウントも整えるし、フィニッシュボールにもなる。また110キロ台のカーブで緩急をつけつつ、カウントを稼ぐ。このカーブは、低めに集まるので有効に使えている。逆に中間球である、スライダーらしき球は殆ど見られない。ただ大学の下級生時代の寸評を読むとスライダーを使っていたようだが、今のようにカーブやチェンジアップのような沈む球はなく、投球スタイルはかなり変化していることに気がつく。この投手の場合、あくまでも速球を魅せ球にしつつ、変化球も織りまぜて抑える総合力で勝負するピッチングスタイル。 その他 出塁したランナーに対しては、鋭い牽制で威嚇する。フィールディングの動きもまずまずだし、クィックも1.1~1.2秒ぐらいで投げ込めるなど、基準レベルにありそうだ。 都市対抗の大舞台でも、適度にマウンドを外したり冷静に対処出来ていた。ルーキーで都市対抗・緒戦を任されるのだから、ハートという意味では強いのだろう。けしてマウンド捌きとか投球術などは、荒々しくはない。 (投球のまとめ) 大学選手権の時にはなかったような、カーブやチェンジアップなどを覚え投球の幅が広がった。ただこれにもう一つ、スライダーなど中間球があると投球の幅は広がりそう。速球がシュート回転する分、カットボールなど逆に曲って行く球も有効かもしれない。 肝心のストレートが、けして遅くはないが甘く中に入って来るのが怖い。もう少しストレートに磨きがかかって来ないと、プロとしては厳しいのではないのだろうか。 (投球フォーム) ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。 <広がる可能性> 引き上げた足が地面の方に向いているので、お尻は一塁側に落とせません。そのため見分けの難しいカーブや縦に鋭くフォークなどの習得には元来適しません。ただ実際にはカーブを多く使って来るのだが、特に腕の振りが緩むようなことはなく上手く使えているので悲観することはないだろう。またフォークはないが、かなり落差のあるチェンジアップを使えているので、この球で代用できている。 また「着地」までの粘りに欠けるので、その他の変化球を身につけるのにも苦労しそうだ。やはりカットボールやツーシームなど球速のある変化球を交えることで、更に投球の幅を広げて行くことを期待したい。 <ボールの支配> グラブは最後まで体の近くにはあり、両サイドの投げ分けは比較的安定。ただ足の甲での地面の押し付けは浅いものの、ボールはそれほど上吊っていない。「球持ち」も際立って良いとは思わないが、ある程度はボールをコントロールできている。 <故障のリスク> お尻が落とせない割にカーブを多投するので、体への負担は小さくはありません。ただ降り下ろす腕の角度には問題がないので、肩への負担は少なそう。肘などを中心に、体の手入れは日頃から注意を払いたい。 <実戦的な術> 「着地」までの粘りに欠けるので、どうしても打者からはタイミングが合わせやすい欠点があります。ただ体の「開き」は平均的なので、甘いところを突いたような球まで打たれることは少ないはず。 振り下ろした腕は体に絡み振れていますが、ボールに上手く体重が乗せられていなく「体重移動」に課題を残します。そのため球威にも欠け、打者の手元までそれほど威圧感のあるボールが投げられていません。 (投球フォームのまとめ) 「着地」の粘りの無さが、打者からは打ちやすい淡白なフォーム。それでも「開き」はなんとか我慢できているのが救い。 「球持ち」は平均的で、将来的にも制球は並レベルだろうか。「体重移動」が不十分なので、これを改善して行かないと、球速ほど活きた球が行かないだろう。ストレートの課題を改善できるのかが、今後の大きなポイント。 (今後は) 年齢的にも大卒選手なので、今後爆発的に資質を膨らませて行くことは難しいと思います。そのため、如何に技術を磨くことで、実戦的な術を向上させて行けるのかがポイントになります。 最大の課題は、「着地」の粘りに欠ける淡白なフォームと、ストレートの球威の問題。ここを改善して行かないと、プロは見えて来ないと考えます。変化球・マウンド捌きは悪くないだけに、この部分を改善を来年までに期待したいですね。現状は、ドラフト候補に名前はあがるかもしれませんが、プロ入りまでは厳しいかなというのが率直な感想。果たしてどんな成長を魅せてくれるのか、密かに期待して見守りたいと思います。 (2011年 都市対抗) |
石川 歩(中部大)投手 185/68 右/右 (滑川高出身) |
「今年も現れた東海の逸材!」 ここ数年、毎年のように東海地区の大学生が、ドラフト戦線を賑わしている。元々東海地区と言うのは、2部・3部にも、プロを意識できる素材がいると言う、全国的にも稀な地域。今年も愛知大学リーグには、プロを意識できる素材が現れた。その男の名前は、石川 歩 。 彼の存在を世に知らしめたのは、昨年の大学選手権・東海大戦。リリーフで登板した彼は、しなやかな腕の振りから、MAX146キロの速球を投げ込み、その素材の良さを印象づけた。 (投球内容) 彼の特筆すべき点は、何といっても柔らかい腕の振りにある。球速は、コンスタントに140キロ台を記録し、神宮では殆どストレートを投げていた。実際高校時代も見た記憶がない選手だった。しかし誰もが、ほれぼれするような身のこなしには、この選手の高い将来性を感じさせる。 ストレートの勢いも確かで、それに加え、変化球はどうもスライダー・チェンジアップがあるように思える。また大学選手権では、140キロのシュートボールと言うかツーシームあたりも持っているかもしれない。ただカーブで緩急・フォークで空振りといった投球はできず、三振の多くは高めの速球で奪っている。 けん制も鋭く、フィールディングも軽快。ただ身のこなしに素材としての素晴らしさを感じさせる一方で、実際の投球内容からは、それほど投球センスの高さは伺われない。ただ両サイドへの制球力はあるので、四死球で自滅すると言うタイプでもなく、破綻のない投球ができるタイプだ。 (課題) グラブをしっかり内に抱え込んで投げ込んで来る投手なので、両サイドへの制球は悪くない。しかし4年間で、一度もイニングに近い数の奪三振は奪えておらず、その速球の非凡さの割に、決め手に欠ける部分がある。 また投球フォームにおいても「開き」こそ早くないが、投球動作の核となるべき「着地」までの粘りに欠ける。また投げ終わったあとに、腕が体に絡みついてこないように、「球持ち」にも、もっと粘りが欲しい。また前にグッと体重が乗ってくるような「体重移動」にも課題があり、「開き」を除く部分で、課題を抱えるフォームだと言えよう。 また足の甲でしっかり地面を押し付けられておらず、つま先のみが地面を捉えて回転している。そのため球全体が上吊り、どうしても低めに生きた球が行かないのだ。 またお尻を基本的に一塁側に落とせないフォームなので、将来的にも見分けの難しいカーブの習得や、縦に落差のあるフォーク系の球種の習得が厳しいフォーム。それだけに、速球は素晴らしいが、緩急・決め手不足を露呈し、伸び悩む要素が多い。 (今年のチェックポイント) リーグ戦でもソコソコの数字は残せるのだが、絶対的な活躍を魅せているのかと言われると、まだまだ物足りない。今年は、リーグでも図抜けた数字を期待してみたい。 技術的にも、プロで活躍するための実戦的なフォーム・配球と言う意味では、課題が多い。それらの欠点を如何に改善したり、違う方法で補ったりできるのか注目してみたい。 そういった努力を惜しまない姿勢や努力・そして自分の立ち位置を冷静に分析できる能力・センスがあるのかどうかが、一つプロで活躍して行けるのかの大きなポイントになるのではないのだろうか? (2009年・秋) |