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岡本 健(21歳・かずさマジック)投手 177/81 右/右 |
「生で観ると物足りないだよなぁ」 テレビで観ると、ボールにも球速以上に伸びを感じる球質に好い物を感じるのだが、実際生で見てみると、球威・体格と物足りなく見えてしまう選手、それが 岡本 健 。今年も春のスポニチ大会、ベイスターズとのプロアマ交流戦などを間近で見て、それを強く実感した。 (投球内容) 中背の体格から、綺麗なフォーム・素直な球筋のボールを投げ込んできます。野球センスの高い選手で、その投球からも筋の良さを感じます。その反面、ボールやフォームからは凄みが感じられません。 ストレート 130キロ台後半~140キロ台中盤 球威はないのですが、打者の空振りを誘える伸びがあるのが特徴。ただそのボールが全体的に高めに集まりやすく、苦にならないフォームも相まって痛打を喰らうことが目立ちます。実際この投手は、かなり微妙なところで投げている投手かと。ただしボールを両サイドに散らすコントロールには、精度の高さを感じます。 変化球 スライダー・チェンジアップ・カーブなど 右打者には小さく横滑りするスライダーでカウントを整え、左打者には外角にチェンジアップで投球を組み立ててきます。特に意図的なのか無意識なのかはわかりませんが、チェンジアップがフォークのように低めに落ちて、空振りを奪えることも少なくありません。カーブのブレーキもよく、投球に余裕が出てくると使ってきます。 その他 牽制も中々鋭く、クィックも1.05秒前後で投げられるなど素早いものがあります。こういった投球以外の動作もしっかりできていて、野球センスの高さは感じられます。 (投球のまとめ) ボールやフォークに凄みや嫌らしさがない分、コースに散らすコントロールと、間合いやテンポ・投球術で相手を抑えて行くタイプ。 気になるのは、コースを突いた球でも高めの球は簡単に合わされてしまうこと。またそういったボールは、けして少なくないということでしょうか。そのためアマならば抑えられたり誤魔化しが効く部分を、プロの打者が見逃してくれるのかは正直疑問が残ります。特にベイスターズとの二軍戦では、調子も良くなかったとはいえ、苦になく打ち込まれていました。 (投球フォーム) では投球フォームの観点から見て、どのぐらい実戦的なのか考えてみましょう。 <広がる可能性> ☆☆☆ 比較的高い位置で足をピンと伸ばすことができ、お尻は一塁側に落とせます。そのため体を捻り出すスペースは確保できるので、見極めの難しいカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球を無理なく投げられます。 「着地」までの粘りも平均的で、けして悪くはありません。体の捻り出す時間はある程度確保できているので、いろいろな変化球を投げられる下地はあります。実際そういった投球ができるのですが、もう少し「着地」に粘りが出てくると、変化球のキレ・精度も増すのではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは最後まで内に抱えられているので、両サイドの投げ分けは安定。ただし足の甲の地面への押し付けは、足が完全に地面から浮いてしまっています。そのため浮き上がる上体を抑えられず、ボールがどうしても上吊ってしまいます。それでも「球持ち」や指先の感覚はよく、四死球で自滅するタイプではありません。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻は落とせるので、カーブやフォークなどを投げても肘への負担は少なそう。ただし気になるのは、腕の送り出しが急に縦回転になるので、送り出しに無理があり肩への負担は少なくないのではと思います。故障には充分注意して、取り組んで欲しいところ。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りが悪いとは思いませんが、実際「開き」は早く見えます。そのため、コースを突いた球でも踏み込まれて打たれてしまいます。また早く球筋を見極められてしまうので、意外に変化球で空振りが誘えません。上手くチェンジアップが低めに決まらないと、空振りを狙えないように思います。 腕はしっかり身体に絡んでくるように、腕の振りは好いです。ただ足の甲が完全に地面から浮いてしまっているので、ボールに体重が乗せられず、打者の手元までに球威のある球は投げられません。どうしてもこうなると、上体や腕を鋭く振ることで、キレを生み出すしかないのでしょう。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」」では、足の甲の抑えが効かないので、下半身のエネルギー伝達ができず体重移動に課題があるのと、体の「開き」が早く、いち早く相手に読まれてしまう欠点があります。 制球を司る動作もボールが上吊る欠点があり、腕の送り出しの関係から肩への負担が感じられ故障が心配されます。投球は実戦的ですが、投球フォームには課題やリスクが点在します。 (最後に) ボールやフォームの物足りなさだけでなく、技術的にも不安要素があることがわかりました。その辺をセンスやコントロールで、いかに補ってゆけるのか。典型的な先発タイプですが、プロのローテーションに入る程の器かと言われると疑問で、現状は特徴を見出し難いリリーフでの起用になってしまうかもしれません。 年齢は若いのですが、かなり完成された投手なので早い段階から期待したいタイプ。かなり微妙なところで投げているので、どう転ぶかも難しいですね。現状はファームレベルならば通用しそうだけれども、一軍レベルではどうかな?といった疑問は拭えず、プロ入りはもう少し待った方が良かったじゃないかと判断します。ただしまだ若いんで、ここから球威・球速を増す、課題を改善して行ける、そういった可能性はあると思いますが、結果の求められるプロの世界でそれができるのか? 確信は持てなかったので、指名リストからは外してみました。 (2013年 日本選手権) |
岡本 健(21歳・かずさマジック)投手 177/81 右/右 (神戸国際大附出身) |
「筋はいい」 神戸国際大附時代から、全国でもトップクラスの好投手として注目されてきた 岡本 健 。177センチの体格の通り中背の体格で、それほど素材としての奥行きが感じられず、プロというよりはアマの好投手といったタイプだった。その完成度の高いピッチングを生かし、社会人のかずさマジックに進む。入団2年目には、すでにチームの主戦に成長。順調に解禁の年を迎えている。高卒3年目の社会人投手の中では、最も実績・実力を兼ね備えた投手だと言えるのではないのだろうか。 (投球内容) 高校時代同様に、そのピッチングフォーム・投球内容も極めてオーソドックスな投手との印象を受けます。また投手としてのピッチングセンスや野球センスの高さを、実際観ていてヒシヒシと感じる好投手。ただこの試合では、バント処理の際に足を痛めてしまい、二回のはじめにマウンドを降りてしまいました。 ストレート 130キロ台後半~MAX142キロ 適度な伸びと勢いを感じさせるボールで、ボールに凄みこそ感じませんが、一定の水準にボールはあります。ややボール全体が高いのが気になりますが、ボールの質自体は良いので空振りは誘えます。そのボールを両サイドに散らせるのが、この投手の持ち味なのでしょう。 変化球 スライダー・フォークなど 右打者にも左打者にも、内外角にストレートとスライダーを投げ分けてきます。そしてフォークだかチェンジアップのような沈む球を落としてきます。特別変化球に絶対的な威力はないのですが、変化球もコントロール良くコースに集めることができ、変化球を交えたコンビネーションで相手を打ちとります。 その他 牽制もまずまず鋭いですし、クィックも1.05秒前後とかなり素早い。フィールディングはこの試合で痛めてしまいましたが、それなりのレベルにはあるよう。投球以外のレベルも高く、野球センスの片鱗を伺わせます。 (投球のまとめ) 間合いやテンポなど、高校時代から洗練されていたマウンド捌きは健在。ただストレートにしても変化球にしても、すべてが適度なレベルを持っているものの、絶対的なものがありません。 そういった投球から凄みが感じられないのも相変わらずですが、高校時代よりはワンランク・すべてに関してレベルアップはしているように思います。ストレートが全体に高いのと、コースを突いた球でも簡単に振りぬかれてしまう部分があり、その辺をいかにコントロールとコンビネーションでかわして行けるかではないのでしょうか。 (投球フォーム) では、ボールが合わされやすいのは何故なのか? 投球フォームを見て考えてみたいと思います。 <広がる可能性> ☆☆☆ お尻の一塁側への落としが出来ていないわけではないのですが、やや甘い中途半端な印象は受けます。そのためカーブで緩急をつけたり、フォークを落とすこともできると思いますが、曲がりが中途半端なのも頷けます。 また身体を捻り出すスペースが中途半端なだけではなく、着地までの時間も平凡で充分捻り出すだけの時間も確保できません。多彩な球種を操れる器用さと無理のないフォームでありながら、武器になるほどのキレやブレーキを生み出せないのは、このせいではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは内に抱えられているものの、後ろに抜け気味なので両サイドへの投げ分けにも絶対的なものがありません。足の甲での地面への押し付けに浮きがちで、ボールを上吊る要因を作ります。それでも「球持ち」を含めた指先の感覚の良さがあり、四球で自滅するような危うさは皆無。ストライクゾーンでのボールの投げ分けや高さなど、細かい部分でもうワンランク上の制球力を望みたい。 <故障のリスク> ☆☆ お尻はある程度落とせるので、カーブやフォークといった球種を投げても無理は感じません。ただ振り下ろす腕の角度にも無理を感じるので、肩への負担は少なくないのでは。 高校時代は腰痛、今回もフィールディングであっさり痛め降板するなど、どうも怪我や故障の影がちらつくイメージが拭えないのは気のせいでしょうか?いずれにしても、アフターケアや試合前のストレッチなど、日頃から入念な手入れを強く意識して欲しいところ。 <実戦的な術> ☆☆☆ ボールが合わせやすいのは、「着地」までの粘りが淡白なため合わせられやすいのだと思います。けして「開き」自体は早くはありませんでした。 振り下ろした腕が絡むように腕は振れていますし、ボールにも適度に体重が乗せられており、体重移動は悪くないように思います。特に投げ終わったあとのフィニッシュの形は、バランスが良く素晴らしいものがあります。 (投球フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」までの粘りの物足りなさを除けば、あとの部分は基準を満たすものがあります。フォームに粘っこさが出て来ると、グッと実戦的になりそうです。 (最後に) 投球センスは健在ですし、総合力のある好投手です。このまま順調に主戦としての実績を重ねて行けば、ドラフト指名される可能性は高いのではないかと思います。 ただプロで活躍を考えるならば、もう一歩踏み込んだ深い考察・取り組みが求められるのではないのでしょうか。現状に満足することなく、更に上を見据えた取り組みが感じられると、プロでの即戦力への期待も高まります。都市対抗までに、何処までその投球を高めて行けるのか、今後も追跡して行きたい選手でした。 蔵の評価:追跡級 (2013年 スポニチ大会) |
岡本 健(20歳・かずさマジック)投手 178/80 右/右 (神戸国際大附出身) |
「確認出来ていないけれど」 神戸国際大附時代から、注目された好投手。残念ながら社会人に進んでからは、その成長を確認出来ていない。しかし秋の日本選手権で全国の舞台を経験。今季解禁となる高卒社会人投手では、期待の若手投手としてあげられる。スポニチ大会を前に、一度簡単なレポートを作成しておきたいと思う。 (投球スタイル) 高校時代は、常時135~MAXで140キロぐらいと、驚くような球威・球速はありませんでした。これは、元々中背の体格であり、それほど見栄えも感じないタイプ。カットボール・チェンジアップといった球種を織り交ぜ、総合力で勝負するコンビネーションピッチャーでした。 現在のところのMAXは、144キロぐらい。それほど球速が増しているのかはわかりませんが、両サイドにボールを散らす投球は、相変わらずのよう。ボールの質・投球のメリハリ・コンビネーションの引き出しなど、どの程度変わっているのかみてみたい。高卒で頭角を現している投手の多くが、非常に単純なコンビネーションで投球を組み立てる選手が目立つので、総合力で打ち取れる投手は稀。それだけに、しっかりピッチングできる投手という期待が高まる。 (実績から考える) 秋の日本選手権では、2試合に登板。 6回1/3 4安打 1四死球 4奪三振 防御率 0.00 サンプルが少ないので、あまりデータとしては参考にはならない。ただこの数字を見ると、四死球1からいって、制球に大きな破綻がないこと。被安打・奪三振は共に4個で、ボールの威力・コンビネーションは、際立つほどではないことがわかる。 高校時代もそうだが、そういった意味では凄みのある投球をしているわけではないことが伺われる。適度なまとまりとボールの威力を持って、試合を組み立てているのだろう。 (投球フォームを考える) 昨年の投球フォームの映像があったので、これを元に考えてみたい。 <広がる可能性> ☆☆☆ 引き上げた足を空中でピンと伸ばすことなく、重心を落とすフォーム。お尻は一塁側に落とせないので、体を捻り出すスペースは確保できません。そのためカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種は期待できません。 ただ以前よりも、着地のタイミングを遅らせることが出来ているように感じます。そのため体を捻り出す時間は確保できているので、カーブやフォークといった球種以外ならば、充分にモノにしてピッチングの幅を広げて行ける可能性を感じます。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは最後まで内に抱えられているので、両サイドの投げ分けは安定。ただ高校時代同様に、足の甲での地面への押し付けが浅く、ストレートは上吊りやすいのではないのでしょうか。「球持ち」はそれなりなので、制球を大きく崩す危険性は感じません。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻は落とせないフォームですが、カーブやフォークといった球種は投げないので、悲観するほどではありません。また振り下ろす腕の角度はあるのですが、高校時代ほど無理な感じは致しません。そういった意味では、それほど故障の可能性は高くないのではないかと思います。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 「着地」までの粘りが出てきたので、打者が合わせやすいという淡白さはありません。また体の「開き」も抑えられ、コースを突いていれば痛手は食わないようになっているのではないのでしょうか。 振り下ろした腕は体に絡んでおり、腕の振りの良さが目立ちます。速球と変化球の見極めが難しくなり、打者としては振ってしまう可能性も高まります。またボールにも体重が乗せられており、体重移動という観点でも良くなっています。打者の手元まで、生きた球が投げられるようになっているのではないかと期待が持てます。 (投球フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」こそ平均的ですが後の部分は実戦的。 故障へのリスクも軽減されておりますし、制球もボールが上吊る危険性を除けば、かなり実戦的だと言えそうです。球威・球速が際立つことがなくても、かなり実戦的な投球が期待できそうです。 (最後に) 実際成長した姿を観ていないので、どの程度かはわかりません。ただ投球フォームをみる限り、かなり欠点が改善されており、期待の持てるフォームです。スポニチ大会では、ぜひ見てみたい投手。期待して、解禁となる今年の飛躍を見届けてみたい一人です。 |
岡本 健(兵庫・神戸国際大附)投手 178/75 右/右 |
中背で、それほど素材的に奥行は感じられない素材でしたが、秋の時点では全国でもトップクラスの投手でした。一冬超えて、どのような進化を遂げているのか再度注目してみました。今回は、腰痛の影響もあって万全な状態ではなかったようですが、秋よりもワンランク成長した姿を魅せてくれた気が致します。そんな 岡本 健 の成長について考えてみました。 (投球スタイル) 上げた足を空中で曲げ伸ばし、そこから膝のクッションを活かして投げるフォームです。このフォームが、上手く彼の力を導くのでしょうか?球速こそ135~MAX140キロ程度で秋と変わりませんでしたが、手元までのボール勢い・伸びは良くなり、球質の変化が感じられます。変化球は、カットボール・チェンジアップとのコンビネーション。持ち球もそれほど変わらず、むしろ秋の頃の方が、縦の変化が目立っていたのですが、この春はその球が見られなくなっておりました。 右打者には、アウトコースに速球とカットボールを集め、外の微妙な出し入れで勝負してきます。それでいてインコースをストレートで突き、両コーナーに投げ分けます。左打者にも内角には速球とスライダー、外角にはチェンジアップとおおよそ投げ分けられる制球力はあります。牽制なども基準レベルで、クィックも1.15秒前後と水準以上。マウンド捌き・制球力とも適度にまとまっておりますが、投球の底が浅く、今後の伸び代・奥行きが浅く感じられる点は、秋から変わりません。ただ気持ちも強く闘争心溢れる投球は、秋よりも訴えかけて来るものが増してきた気が致します。 球速・球種と言う意味では大きく変わっておりませんが、球質・気持ち・投球のメリハリと言う意味での成長は感じられました。そういった意味では、こちらの想像以上に、進化が感じられた選抜でした。 (投球フォーム) 基本的に、お尻を一塁側に落とせるフォームではありません。そのため将来的に、見分けの難しいカーブや縦に鋭く落ちる球の習得は困難か、体への負担が大きくなることが予想されます。またグラブをしっかり抱えたり、足の甲で地面を押し付けられる投手ではないので、指先の感覚が頼りのタイプです。 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」と、どれも並みレベルぐらいと、特別優れたところもなければ、大きく劣る部分もありません。ただ足の曲げ伸ばしにより、着地までの「間」は作れておりますが、本当の意味で足を降ろすまでの時間は稼げておらず、フォームに粘りがあると言うのとは違います。ですから打たれ出すと単調になりやすい(特にクィック時)傾向にあるのが、気になるといえば気になる材料です。 腕をかなり縦へ振り下ろすタイプですし、足の曲げ伸ばしなど、体への負荷は大きなフォームです。その辺アフターケアに充分注意して行かないと、中々思い通りのパフォーマンスを示し続けるのは厳しいかもしれません。 (今後に向けて) 高校生としてはA級の投手ですが、体格・奥行・故障などの問題などもあり、高卒プロとなると?がつく選手です。恐らく有力大学へ進む選手だと思うので、4年後の上位候補として、確かな実戦力を磨いて欲しいかなと思います。 まずは、故障しない体を作りから初めて欲しいと思います。 蔵の評価:指名見送り この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2010年・選抜) |
岡本 健(兵庫・神戸国際大附)投手 178/75 右/右 |
(どんな選手?) 中背でそれほど奥行きは感じられませんが、馬力のある投手です。ある程度投球が出来る完成度もあり、現時点での総合力は、全国レベルの力があります。雰囲気的には、同じ兵庫の逸材だった佐藤 翔太(東洋大姫路-東洋大1年)投手に、なんとなくだぶるものがあります。順調に一冬超えれば、選抜でも話題になる投手の一人ではないのでしょうか。この投手の最大の良さは、しっかり腕を振ることの出来るリリースにあるように思えます。 (投球内容) バランスの取れたフォームから投げ込む投手で、球速は135~140キロ強の球速を誇ります。その球には、球威・勢いが感じられ、そういった球をコンスタントに投げ込める肉体にも馬力が感じられます。変化球は、スライダー・カットボール・縦スラ(フォーク)・チェンジアップ系の球もあり、かなり多彩な球種を持ち合わせているようです。そういった球種を使って、狙って内角を厳しく突いたり、確実に縦に落差のある球を投げ込んで空振りを誘うなど、すでに投球がある程度出来る完成度が、この投手にはあります。 1.1秒台後半~1.2秒台後半のクィックは平均的で、牽制なども平均的な技量はあります。打ってもパワフルな打撃をする選手ですが、こういった動作や打撃センスなどを観ていると、それほど野球センスが高いようには見えません。そのため投手らしい、きめ細やかな投球や、「間」を上手く使ったり、ハズしたりと言う駆け引きが上手いタイプ、投球センスが高いタイプとは、少々違うように思えます。 投球フォームを観ると、引き上げた足を空中でピンと伸ばすことなく一気に体重を落とす珍しいメカニズムを採用しております。そのためエネルギーは一気に放出される分、投球にタメなどの「間」作れない傾向にあります。また足の甲の抑えがつま先のみなので、上体が浮き、球が高めに上吊る傾向にあります。彼の最大の欠点は、どちらかと言うと空振りを誘うような質の速球ではない球が高めに甘く行き、その球を痛打される欠点があります。 やや早い着地・開きの投球フォームが、上手く上体が突っ込まない時は良いのですが、これがバランスを崩し始めると怖いですね。かなり身体への負担の大きなフォームをしているので、連投など疲れが貯まってきた時のフォームバランスの維持が一つ課題かと思います。 特筆すべき点は、リリースにあります。腕を強く振ることが出来、それでいてボールをしっかり前で離せる球持ちは特筆ものです。これで一冬超えて、上半身と下半身のバランスが取れてきた時に、一体どんな球を投げ込めるようになるのか、春までの成長がとても楽しみです。 (今後は) それほど今後、上積みが多く期待出来る余力があるのかは微妙です。ただ身体自体は強いですし、腕もしっかり振れる選手なので、一冬超えた選抜ぐらいまでは、更にワンランク・ツーランク伸びてくる可能性は残されていると思います。選抜で常時140キロ前後~MAXで145キロを超えて来るようだと、ピッチングもそれなりに出来る選手なので、ドラフト候補として注目される存在になろうかと思います。縦の変化を狙って投げられるなどの特徴もあり、その点でも興味深いです。それほどスケール・センスは感じませんが、方向性を間違わなければ、高校卒業の時点で有力大学・社会人チームはたまたプロなどの選択肢をも期待出来るぐらいの可能性は、秘めているのではないのでしょうか。 (2009年・秋) |