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石川 亮(帝京)捕手 180/83 右/右 
 


 




                     「思ったほど伸びなかった」





帝京・前田監督が、過去に記憶がないと言わしめた1年生での正捕手。そういった高い期待を、一年から担ってきた。ただ当時は、キャッチングも滅茶苦茶で、ポテンシャルだけでプレーをしているような荒々しい選手だった。ただ学年が上がるにつれ彼の負担も大きくなり、下級生の頃のようなイケイケでプレー出来ていた思いっきりの良さが、年々薄れてゆく。元々打撃でのアピールも大きかった選手だが、最終学年ではそういった場面がめっきり減ったのが評価を下げた最大の理由ではないのだろうか。

(ディフェンス面)

 完全にチームの核である存在で、まさに俺について来い!的な「お山の大将」。細かいことを気遣うような繊細さはなく、ガンガンチームを引っ張って行きます。とにかく試合では、相手に考えさせないように非常に早いテンポで投球させます。

 体を小さく屈めて構えて投手に的を大きく魅せようとか、審判から低めの球筋を見やすくしようとか、そういった心遣いはありません。またキャッチングもボール押し返すような力強さはないので、際どいコースの球をストライクとコールされ難いのではないかと思います。


 ただグラブを示してからミットを地面に下げる癖がないので、低めの球への対応は悪くありません。全身でボールを止めに行くんだという感じはしませんが、ボールへの対応・反射神経などはよく、天性のボールの捌きでプレーできてしまうタイプ。そのため総合的なキャッチングは、低くはないと言えるでしょう。

 スローイングは、塁間1.9秒前後と、プロとしては平均的。地肩自体は結構強いのですが、まだまだ球筋が不安定な部分があります。プロで指導を煽れば、中の上レベルのスローイングまでは到達するかもしれません。

 この選手で買えるのは、意外にリードセンスがあるということ。相手を細かく洞察して判断することは出来ませんが、配球を1試合トータルで組み立てることができます。試合前半は内角を中心に使い、後半ではアウトコース中心に組み立てたりとか、結構小賢しい頭の良さはあるので、その点ではプロ向きではないかと思います。

 打席に入る時にもラインを踏んでしまうように、バッテリーに不可欠なきめ細やかさがないのが気になります。その辺は、プレー全体に言えることで、投手の心理状態を察したり、打者や審判が何を求めているのか考察できる意識を培ってこなかったことが、今後どう影響するのか気になります。

 それでも頭の回転は結構好い選手ですし、地肩やボール捌きなど天性の資質は高いものがあります。プロで本格的な指導を受けることで、どのぐらいその辺を補えるのか注目したいところ。あとは、投手の信頼を得られるかどうか?

(打撃内容)

 身体に力があるので、しっかり捉えた時の打球は強烈。しかしホームランを、ガンガン放つタイプではありません。最終学年では、ディフェンス重視のプレースタイルになり、打撃でのアピールは極めて薄くなっていました。打撃フォームは昨夏のものを参考にしますが、今年も殆ど変わっていません。それ故に、成長したように見えなかったのは当然だと言えます。

<構え> ☆☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップを高めに添えて構えます。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスと非常に理にかなった構えだと言えるでしょう。

<仕掛け> 遅すぎる仕掛け

 投手の重心が沈みきった時にベース側につま先立ちし、再度リリース直前にステップし直す打ち方。そのため始動は「遅すぎる仕掛け」に属し、打撃準備が後手後手にまわってしまいます。

<足の運び> ☆☆

 ボールの到達まで時間がないので、足の上げを小さくして間に合わそうとします。そのため始動~着地までの間が取れず、狙い球をあらかじめ決めていないと瞬時に対応できません。

 真っ直ぐ踏み出した足元がインパクトの際に早く地面から離れる、典型的な引っ張り専門のスイング。こうしてみてみると、緩急に脆く打てるコースも引っ張り込める球に限られるという、幅の狭いスイングになっています。

<リストワーク> ☆☆

 遅すぎる始動のため、バットを引いて「トップ」の形を作るのも遅れています。バットの振り出しは、少し身体から離れて遠回り。ボールを捉えるまでに、ロスが感じられます。それでもバットの先端であるヘッドを立てており、ドアスイングになるのを防ぎます。大きな弧を描きながら、フォロースルーを大きくとってボールを運びます。

<軸> ☆☆☆

 足の上げ下げが静かなので、目線は大きく動きません。ただ身体の開きが我慢できないタイプなので、右方向への打撃は期待できそうもありません。軸足に関しては、少し前に崩れがちでしょうか。

(打撃のまとめ)

 以前の寸評にも書いた通り、かなり課題の多い打撃フォームでした。それを改善して来なかったのもあり、それでいて打撃への意識も薄れていたので、結果が残せなかったのは当然だと思います。まして一年の頃から出場してきた彼のことを、多くの周辺校は研究してきたのですから、その粗を突いて来られては対処できません。プロで通用する打撃を身につけるのには、根本からスイングを見直す必要に迫られます。

(最後に)

 確かに肉体的資質には優れていますし、持ってる才能は悪くありません。ただ捕手に必要な周りへの気遣い・洞察力といった点を、高校の3年間で伸ばして来られなかったことは大いに気になります。

 また技術的にも実績的にも上積みに乏しかったのは、打席に入るときに足場を馴らさないで入るような、こだわりの無さからも伺うことができます。そういったプレーに対する欲や向上心に欠けるのも、プロとしては不安要素。

 持っている高い資質が、プロの環境に入ることで引き出されることを期待しての指名だと思います。ただ現状の力では、残念ながら指名リストに載せるほどの内容ではなかったと判断します。育成枠を使わないハムが最後で指名したというのが、現状の彼の力ではないのでしょうか。ここから這い上がって行くには、心を入れ替えて取り組まないと厳しいことになるでしょう。

(2013年 春季東京都大会)









石川 亮(帝京2年)捕手 180/85 右/右 





                 「もっと騒がれるのかと思った。」





 帝京前田監督にして「過去に記憶にない」と言わしめた1年夏からのレギュラー捕手。新チームになったら、来年の捕手の目玉と言われないまでも、西の森(大阪桐蔭)・東の石川(帝京)とぐらいもてはやされるのかと思ったが、現時点ではそれほどでもないのに驚いている。その最大の理由は、彼が正捕手についてから、全国大会に出場していないからではないのだろうか。とかく関東に住んでいる私は、一年の頃から彼を見てきたが、全国的にはそのプレーを見た人は極限られる存在だと改めて気がつかされた。そんな 石川 亮 について、今回は考えてみたい。

(どんなプレーヤー)

 1年夏に見たときは、打つ・投げるといった身体能力はあっても、捕手として荒々しく、その適正は薄いのではないかと思えるような選手だった。単に身体能力を秘めた、お山の大将 そんな感じのプレーヤー。しかし高校に入って場数を踏むうちに、かなり捕手らしくなってきた。





(ディフェンス面)

 元々ガンガン引っ張ってゆく、俺について来い的なキャッチャーです。投手に細かい気配りをして察するよりも、ボールを捕球したらすぐに返球して、テンポを重視したスタイル。ボール押しこむほどのキャッチングではなく、ストライクカウントを取りやすいような捕球をしようとか、身体を小さく屈めて投手や審判にボールを見やすくしようとか、そういった周りに気配りが行き届くそういったきめ細やかさはありません。

 ミットを軽く示し、グラブは下げません。そのため、ワンバウンド処理などの低めの球への対応は非常に上手いものがあります。特に身体でボールを止めようとかそういったフットワークの身軽さは感じないのですが、天性のグラブ捌きの良さを感じます。

 リードに関しては、前田監督が全幅の信頼を置くように、見た目とは違いかなり考えて出来ています。しいて云えば、逆境になった時に冷静な判断ができるのか、一辺倒にならないのかという課題は残りますが、普段のリードは高校生としては上位だと言えそうです。

 スローイングは、1.90秒前後で送球。、超強肩ではありませんが、プロを意識できるものがあります。細かい配慮や逆境での冷静な判断力には課題があるものの、総合的なディフェンス力はかなり高いと観てよさそうです。捕手としては、十分プロを意識できる素材ではないのでしょうか。

(打撃内容)

 昨年の夏は、6番あたりを担っていました。スパンと振りぬいた時の打撃には、みるべきものがあります。打撃も彼の売りの一つですが、最終学年で圧倒的なポテンシャルを示せるのか注目したいところ。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップを高めに添えて構えます。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスと非常に理にかなった構えだと言えそうです。

<仕掛け> 遅すぎる仕掛け

 投手の重心が沈みきった時にベース側につま先立ちし、再度リリース直前にステップし直す打ち方。そのため始動は「遅すぎる仕掛け」に属し、打撃準備が後手後手にまわってしまいます。

<足の運び> 
☆☆

 ボール到達まで時間がないので、足の上げを小さくして間に合わそうとします。そのため始動~着地までの間が取れず、狙い球をあらかじめ決めていないと瞬時に対応できません。

 真っ直ぐ踏み出した足元が、インパクトの際に早く地面から離れる、典型的な引っ張り専門のスイング。こうやってみると、緩急にもろく、打てるコースも引っ張り込める球に限られるという、幅の狭いスイングになっています。

<リストワーク> 
☆☆

 遅すぎる始動のため、バットを引いて「トップ」の形を作るのも遅れています。バットの振り出しは、少し身体から離れて遠回り。ボールを捉えるまでに、ロスが感じられます。それでもバットの先端であるヘッドを立てており、ドアスイングになるのを防ぎます。大きな弧を描きながら、フォロースルーを大きくとってボールを運びます。

<軸> 
☆☆☆

 足の上げ下げが静かなので、目線は大きく動きません。ただ身体の開きが我慢できないタイプなので、右方向への打撃は期待できそうもありません。軸足に関しては、少し前に崩れがちでしょうか。

(打撃フォームのまとめ)

 綺麗に振り抜けた時のスイングの形は見事ですし、打球の速さには目を見張るものがあります。ボールを捉える感覚も悪くないように見えますが、技術に課題があり、その改善が求められます。今のままだと、上のレベルで通用するだけの対応力を身につけるのには時間がかかりそう。


(最後に)

 広い視野でプレーをしたりとか、細かい部分まで追求するという部分では不満が残るものの、総合的なディフェンス力はプロを意識できるものがあります。

 その一方で、1年生の頃から示してきた打力も、実はまだまだ課題が多いことがわかりました。こういった部分が、最終学年に向けていかに変わって来るのか? それによって指名の有無も変わって来るのではないのでしょうか。

 毎年有力な捕手を配置する帝京においても、個人的には歴代でNO.1の素材ではないかと思います。1年生の頃に見たときは、もっとオフェンス型とのイメージが強かったのですが、むしろ今は逆なのではないかとさえ気がしています。あとは、それに相応しいだけのパフォーマンスを示せば、高校からドラフトで指名されることになりそうです。 


(2012年 夏)