13ky-6
石川 亮(帝京)捕手 180/83 右/右 |
ただグラブを示してからミットを地面に下げる癖がないので、低めの球への対応は悪くありません。全身でボールを止めに行くんだという感じはしませんが、ボールへの対応・反射神経などはよく、天性のボールの捌きでプレーできてしまうタイプ。そのため総合的なキャッチングは、低くはないと言えるでしょう。 |
石川 亮(帝京2年)捕手 180/85 右/右 |
「もっと騒がれるのかと思った。」 帝京前田監督にして「過去に記憶にない」と言わしめた1年夏からのレギュラー捕手。新チームになったら、来年の捕手の目玉と言われないまでも、西の森(大阪桐蔭)・東の石川(帝京)とぐらいもてはやされるのかと思ったが、現時点ではそれほどでもないのに驚いている。その最大の理由は、彼が正捕手についてから、全国大会に出場していないからではないのだろうか。とかく関東に住んでいる私は、一年の頃から彼を見てきたが、全国的にはそのプレーを見た人は極限られる存在だと改めて気がつかされた。そんな 石川 亮 について、今回は考えてみたい。 (どんなプレーヤー) 1年夏に見たときは、打つ・投げるといった身体能力はあっても、捕手として荒々しく、その適正は薄いのではないかと思えるような選手だった。単に身体能力を秘めた、お山の大将 そんな感じのプレーヤー。しかし高校に入って場数を踏むうちに、かなり捕手らしくなってきた。 (ディフェンス面) 元々ガンガン引っ張ってゆく、俺について来い的なキャッチャーです。投手に細かい気配りをして察するよりも、ボールを捕球したらすぐに返球して、テンポを重視したスタイル。ボール押しこむほどのキャッチングではなく、ストライクカウントを取りやすいような捕球をしようとか、身体を小さく屈めて投手や審判にボールを見やすくしようとか、そういった周りに気配りが行き届くそういったきめ細やかさはありません。 ミットを軽く示し、グラブは下げません。そのため、ワンバウンド処理などの低めの球への対応は非常に上手いものがあります。特に身体でボールを止めようとかそういったフットワークの身軽さは感じないのですが、天性のグラブ捌きの良さを感じます。 リードに関しては、前田監督が全幅の信頼を置くように、見た目とは違いかなり考えて出来ています。しいて云えば、逆境になった時に冷静な判断ができるのか、一辺倒にならないのかという課題は残りますが、普段のリードは高校生としては上位だと言えそうです。 スローイングは、1.90秒前後で送球。、超強肩ではありませんが、プロを意識できるものがあります。細かい配慮や逆境での冷静な判断力には課題があるものの、総合的なディフェンス力はかなり高いと観てよさそうです。捕手としては、十分プロを意識できる素材ではないのでしょうか。 (打撃内容) 昨年の夏は、6番あたりを担っていました。スパンと振りぬいた時の打撃には、みるべきものがあります。打撃も彼の売りの一つですが、最終学年で圧倒的なポテンシャルを示せるのか注目したいところ。 <構え> ☆☆☆☆ 前足を軽く引いて、グリップを高めに添えて構えます。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスと非常に理にかなった構えだと言えそうです。 <仕掛け> 遅すぎる仕掛け 投手の重心が沈みきった時にベース側につま先立ちし、再度リリース直前にステップし直す打ち方。そのため始動は「遅すぎる仕掛け」に属し、打撃準備が後手後手にまわってしまいます。 <足の運び> ☆☆ ボール到達まで時間がないので、足の上げを小さくして間に合わそうとします。そのため始動~着地までの間が取れず、狙い球をあらかじめ決めていないと瞬時に対応できません。 真っ直ぐ踏み出した足元が、インパクトの際に早く地面から離れる、典型的な引っ張り専門のスイング。こうやってみると、緩急にもろく、打てるコースも引っ張り込める球に限られるという、幅の狭いスイングになっています。 <リストワーク> ☆☆ 遅すぎる始動のため、バットを引いて「トップ」の形を作るのも遅れています。バットの振り出しは、少し身体から離れて遠回り。ボールを捉えるまでに、ロスが感じられます。それでもバットの先端であるヘッドを立てており、ドアスイングになるのを防ぎます。大きな弧を描きながら、フォロースルーを大きくとってボールを運びます。 <軸> ☆☆☆ 足の上げ下げが静かなので、目線は大きく動きません。ただ身体の開きが我慢できないタイプなので、右方向への打撃は期待できそうもありません。軸足に関しては、少し前に崩れがちでしょうか。 (打撃フォームのまとめ) 綺麗に振り抜けた時のスイングの形は見事ですし、打球の速さには目を見張るものがあります。ボールを捉える感覚も悪くないように見えますが、技術に課題があり、その改善が求められます。今のままだと、上のレベルで通用するだけの対応力を身につけるのには時間がかかりそう。 (最後に) 広い視野でプレーをしたりとか、細かい部分まで追求するという部分では不満が残るものの、総合的なディフェンス力はプロを意識できるものがあります。 その一方で、1年生の頃から示してきた打力も、実はまだまだ課題が多いことがわかりました。こういった部分が、最終学年に向けていかに変わって来るのか? それによって指名の有無も変わって来るのではないのでしょうか。 毎年有力な捕手を配置する帝京においても、個人的には歴代でNO.1の素材ではないかと思います。1年生の頃に見たときは、もっとオフェンス型とのイメージが強かったのですが、むしろ今は逆なのではないかとさえ気がしています。あとは、それに相応しいだけのパフォーマンスを示せば、高校からドラフトで指名されることになりそうです。 (2012年 夏) |