13ky-29



 
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岸里 亮佑(花巻東)投手 180/75 右/左 
 






                   「身体能力は極めて高いが」






 

前回は投手としてのレポートをお送りしたが、今回は野手・岸里 亮佑 について考えてみたい。高校先輩である大谷翔平(日ハム)同様に、投打に非凡な才能があると評判の選手です。

(第一印象)

 大型選手らしく、動き出しの反応がワンテンポ遅い気がします。守備にしても走塁にしても、このワンテンポの鈍さがプレーに影響しています。



(守備・走塁面)

 送りバントするような、あらかじめ走りだすのがわかっている時は、塁間3.9秒ぐらいで走り抜けるなど、50メートル5.9秒と言われる速さを実感させます。しかし普段の走塁を見ている限り、最初の一歩目は遅く、それほど際立つタイムは出ません。また打球も転がすような打球は少ないので、計測できる機会も極めて少ないと言えるでしょう。それでも岩手大会6試合で4盗塁と、動ける身体能力があるのは確か。将来的には、走塁技術を身につければ、足でアピールできる選手になれるかもしれません。

 打球への反応なども、ワンテンポ遅いように思います。キャッチングは平均レベルありますし、動き出してからはそれなりではあるのですが。普段のポジションニングも、深すぎる気がします。高校生としては平均レベルの守備力は有りますが、プロなど上のレベルでは、まだまだ鍛えないと厳しいのではないのでしょうか。地肩も140キロ台を連発できるはずなのに、スローイングは思ったほど強くありませんし、返球のコントロールも安定していません。現状は、プロなら左翼手ならばといった感じです。



(打撃内容)

 安楽 智大(済美)の豪速球にも対応できるように、スピードボールへの反応は非凡。しかし低めのボールになる球の見極めができず、現状そこを我慢することができません。まだまだ捌ける球は、極限られているように見えます。

<構え> ☆☆☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスなどもよく、懐深く構えられています。構えとしては集中力も感じられ、理想的ではないのでしょうか。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきったところで始動するので、平均的なタイミングと言えます。ある程度の対応力と長打力を兼ね備えた、中距離打者が多く採用するスタイル。

<下半身> ☆☆☆☆

 始動~着地までの「間」も取れており、速球にも変化球にある程度合わせられるはず。あとは、ボール球を見極める「眼」を養いたいところ。ベース側にインステップして、インパクトの際にもブレません。そのため外角や低めの球にも、喰らいつくことができます。

<上半身> ☆☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るのも自然体ですし、スイング軌道にも悪い癖がありません。けしてインサイド・アウトの最短距離で振りぬくわけではないのですが、綺麗な弧を描き振り抜けています。少し内角を捌く時に、懐にスペースが欲しいタイプ。

<軸> ☆☆☆☆

 足の上げ下げが小さいので、目線は殆ど動きません。体の開きも我慢出来ていますし、軸足にも強さを感じます。対応力の高いアベレージヒッターというよりは、野手と野手の間を鋭く抜けて強打者としての色彩が強いです。



(最後に)


 走攻守すべてに持っているポテンシャルは、まさにプロ級。しかしまだまだ走力・守備力に関しては身体能力に頼ったプレーで技術的な課題が少なくありません。打撃も低めの変化球を見極められない欠点があり、まずボール球を振らない選球眼を身につける必要があります。そこが出来てはじめて、他の打撃が広がってゆくのではないのでしょうか。

 素材的な魅力があるので、プロのスカウトが好むタイプだとは思います。しかし私はまだプロ入りの「旬」の時期ではなく、いまプロに入るのが好いとは思いません。ただこういうポテンシャルの高い選手を育てるのは、アマよりもプロの方が上手いことが多いのも確か。少し長い目で見てくれる環境に、進まれることを期待します。


(2013年夏 甲子園)








 岸里 亮佑(花巻東)投手 180/75 右/左
 

 




                   「投手としては・・・」




 

チームの3番兼エースという、攻守の中心的存在。しかし夏の大会では、岩手大会では登板できず甲子園でも済美戦でリリーフしたのみで不完全燃焼。それでも秋の国体では、140キロ台中盤の球を投げ込んでいたという話です。今回は、投手としての 岸里 亮佑 について注目して行きたいと思います。

(第一印象)

 スラッとした投手体型が目を惹く選手ですが、まだ持ちえる能力を活かしきれていない印象を受けます。まだまだ発展途上ですが、持っているポテンシャルはかなり高そう。



(投球内容)

 球速は常時140キロ前後を刻み、変化球はスライダーとのコンビネーション。まだ球筋が定まっていない印象はありましたが、ボールは適度にコースに散っていました。ストレートも球速の割にビシッと来る感じはなく、調整不足は否めません。それでもパッとマウンドを外したり、思ったよりも投手としてのセンスの片鱗も感じます。けして荒削りな素材型というよりは、肉体的、技術的にも未完成なだけで、今後の導き方次第では、まだまだ伸びる要素を秘めています。

<長所>

 引き上げた足を比較的高い位置でピンと伸ばせるので、お尻を一塁側に落とせます。すなわち体を捻り出すスペースを確保できるので、カーブで緩急をつけたりフォークのような縦の変化球を投げるのにも無理がありません。将来的には、いろいろな球種を覚えて、ピッチングの幅を広げて行くことも可能ではないのでしょうか。

 お尻が落とせるフォームなので、肘への負担も少ないはず。振り下ろす腕の角度にも無理がないので、肩への負担も少ないでしょう。順調にステップアップして行ければ、故障の少ない体を、将来的に作れる気が致します。

 グラブを内に最後まで抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲での地面への押し付けがもう少し早くなれば、低めにもボールを集められるようになるのではないのでしょうか。大型の割に、制球に大きな問題を抱えていないのは明るい材料。

<課題>

 体の「開き」が早く、打者としてはそれほど苦になりません。そういった相手に与える印象がそれほどでもないので、今後は相手を意識した投球にまで踏み込めるかだと思います。

 状態が悪かったのもあるのでしょうが、甲子園では腕が振れず体に絡んできませんでした。更にボールに体重が上手く乗せられておらず、作り出したエネルギーを後の動作に伝えることが出来ていません。将来の可能性 持っている素材としての奥行き、投手としてのセンスなどを考えると、将来的には楽しみな素材だと言えます。しかし肉体的には発展途上ですし、技術的にも課題も少なくありません。プロ志望届けも提出しておりますが、まだまだ「旬」とは言えない気がします。果たしてプロ側が、投手として評価するのか野手として評価するのか、何より高校からの指名があるのか? 個人的には、今の段階でのプロ入りはどうかと判断します。


(2013年夏 甲子園)