13ky-26


 
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 関根 大気(東邦)中堅手 174/71 左/左
 




                      「とにかく積極的」





どの打席でも、初球からガンガン振って来る積極的なプレースタイル。出塁すればすかさず盗塁を試みるなど、とにかくアグレッシブ。何者も恐れない勢いが、この選手のプレーにはある。まさに 切り込み隊長 とは、こういう男のことを言うのだろう。





(守備・走塁面)

 最大の売りは、なんと言っても走塁にある。セーフティバントを試みた時のタイムは、3.75秒前後。三塁打の三塁到達タイムは、11秒1ぐらいと。普通の内野ゴロでのタイムが計測出来なかったのが心残りだが、ベースランニングも極めて速い。

 ただ速いだけでなく、出塁すればすかさず盗塁。もう技術云々なんか関係なく、がむしゃらに走ってくる。まだまだ技術的には磨かないといけないことも多いだろうが、上のレベルでも足を売りにできるプレーヤー。

 中堅手としても、この脚力を活かして広い守備範囲を誇る。落下点まで入り方、打球への反応に特別優れているとは思わないので、キャッチング自体はどうだろうか。地肩は遠投115メートルの強肩だということだが、観戦した試合の模様では、ハッキリとはわからなかった。

 守備・走塁も技術的にはまだ荒削りに見えるが、持っている身体能力は高そう。プロでも、中堅を任せられる選手になるのではないのだろうか。





(打撃内容)

 野手の間を抜けてゆくような長打はあっても、オーバーフェンスを連発するタイプではない。あくまでも鋭くはじき返すタイプの強打者だろう。

<構え> ☆☆☆

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的で、あらかじめ捕手方向に引いています。背筋を伸ばし、両目で前を見据える姿勢・全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか。柔らかく合わせるといったタイプではなく、バチンとボールにバットをぶち当ててきます。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下がり始めるか、その前かぐらいに足を引き上げる「早めの仕掛け」を採用。典型的な、アベレージヒッターの打ち方だと言えます。

<足の運び> ☆☆☆☆

 早めに足を引き上げて、空中で長く足をまわしこんで踏み込んできます。始動~着地までの「間」が取れており、速球でも変化球でも合わせやすいはず。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも幅広く対応したいという意志が感じられます。踏み込んだ足元もブレないので、外角の球でも低めの球でもついて行けるでしょう。

<リストワーク> ☆☆☆☆

 あらかじめグリップを引いて構えているので、振り出しはトップに近い位置に。そのため柔軟性はないのですが、速い球に立ち遅れる心配はありません。

 バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではないので、内角の球を最短距離で振りぬくとかそういった打者ではないようです。それでも上からバットを被せるように、バットの先端であるヘッドを立てて、しっかり振り抜けます。外の球をキッチリ叩ける分、内角を捌く際には、ある程度のスペースが欲しいタイプ。

<軸> ☆☆☆☆

 足の上げ下げは静かなので、目線は上下に動きません。体の開きも我慢できますし、軸足にも粘りを感じます。軸を起点に、綺麗に回転出来ています。

(打撃のまとめ)

 柔らかい打撃をする天才肌というよりは、努力で培って今の形をつくった努力型という気が致します。特に高めの甘い球を逃さない「鋭さ」があり、内角や低めの球への対応が気になります。

 左投げ左打ちの選手なので、スイングにひ弱さは感じません。レベルの高い投手に相手に最初は戸惑うかもしれませんが、時間をかければ対応して行けるのではないのでしょうか。





(最後に)

 守備・走塁の技術は荒削りですが、すべてに積極的にぶつかってゆく勇気を持ったプレーヤー。この精神を忘れなければ、壁を乗り越えて守備も走塁もかなりのレベルまで高めてゆくことが期待できます。

 打撃も技術的には高いのですが、天才というよりも気持ちと努力で創りだしてきた叩き上げ。下級生の頃から注目されてきた 松井聖 や 三倉進 がチームメイトにいたために、気持ちで負けないでアピールすることを、自然と身につけたのでしょう。そういった天才肌にはない、泥臭さが最大の魅力。

 正直、プロという世界にぶつけて混ぜてみた時に、一体どのぐらいの位置づけになるのかは想像もできません。多少時間はかかると思いますが、それを一つ一つ乗り越えてゆけるだけの、精神的な強さは感じられます。今回の観戦だけでは全容はよくわからない部分もあったのですが、ナイスガイだというのだけは間違いありません。体は小さいのですが、スカウトの心を揺さぶられる選手だと思います。


蔵の評価:☆☆


(2013年夏・愛知予選)