13ky-19のレギュラー選手として3割も残したことのある 横田 真之氏。その父を更にスケールアップしたような強打者が、この 横田 慎太郎 だと言えよう。

走塁面 ☆☆☆☆

 一塁までの塁間を、4.05秒前後で走り抜けるなど、プロの基準である4.2秒を上回り結構速い。当たりによっては、4秒を切っているのではないかと思える駆け抜けも見られ、185/84 の体格にしては加速も速い。

 純粋の走力自体はかなりものだと考えられるが、実際のプレーを見ていると不器用な選手。それだけに相手の癖を盗むとか、そういった盗塁をできるセンスを兼ね備えているかは微妙だと言わざる得ないだろう。この辺は、実際に野手に専念して鍛えてみないとわかりづらく、少しの観戦だけでは推し量ることは難しい。

守備面 ?

 残念ながら昨夏は一塁手で、この夏は投手をする試合ばかりを見ていた。そのため、外野手としての動きはよくわからない。ただしマウンド捌き、身のこなしなどを見ていると、やはり外野手なんだろうなと思える。脚力はあるし、投手としても常時135~140キロ強ぐらいの勢いのあるボールを投げていたことからも、かなりの強肩であるのは間違いない。左翼ならば問題ないと思うが、身体能力的には中堅や右翼も守れるだけのものはある。ただ上記の理由から、打球への判断やキャッチングなどのセンスがあるのかと言われると走塁同様に不安は残る。

 純粋に走力・地肩という意味では、中の上と言うよりもプロでも上位の身体能力があると考えてよさそうだ。ただしそれが、素直に盗塁や守備に反映するだけの器用さ、センスがあるのかと言われると現状は不安が残る。それでも大型の割りには、反応やトップスピードまでの加速はかなり速いと言えよう。

(打撃内容)

 昨年までは、どの方向にもはじき返す幅の広い打撃をする印象が強かった。しかしこの夏は、ファーストストライクから打ちに行き、強引なまでの巻き込みが目立つ大会でもあった。打球は、ライトからセンターまでといった感じで、私が見た試合では左方向への打球は見られなかった。凄みを増した分、打撃自体は粗かったと言えよう。

<構え> ☆☆☆

 両足を揃えて構えていますが、幾分クローズ気味に構えています。左打者がクローズに構えるということは、三遊間方向に体を向けているのですから、それでも強引に引っ張るということは、引っ掛ける打球がどうしても多くなってしまいます。

 グリップの高さは平均的で、腰はピタッと据わって悪くありません。しかしクローズ気味のため、両目で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては、少し疑問が残ります。

<仕掛け> 平均的

 昨年は、ボールをギリギリまで引きつけて叩く「遅めの仕掛け」を採用。しかし今年は、投手の重心が下がりきったあたりで始動する「平均的な仕掛け」になっていました。より始動を早めることで、確実性を増したいということでしょう。これは、中距離打者が多く採用するタイミング。

<足の運び> ☆☆

 足を引き上げて、真っ直ぐ踏み込みます。始動が早くなった分、着地までの「間」が取れたように思えますが、実は「着地」自体が早くなってしまい、「間」としては変わっていないように思います。いち早く地面を捉えてしまうので、もうスイングしてしまうしかなくなります。こうなるとボールを引きつけて流すとか、そういった打撃はできません。一見打撃の幅が広がったように見えますが、打てるポイントは広がっていませんし、打球の方向が引っ張り専門になり返って狭まったとように思います。

<リストワーク> ☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るのは、昨年よりも遅れませんし多少形になってきたと思います。バットの振り出しも、昨年より綺麗にインパクトまで振り下ろせるようになっています。

 それでも彼の良さである、大きな弧を描く豪快なスイングは健在。フォロースルーを使って上手く運ぶのではなく、強靭なヘッドスピードで引っ張ったき巻き込む。そのスイングは、PL学園時代に 福留 孝介(阪神)に似ています。

<軸> ☆☆☆

 頭は動きが小さいので、目線は上下にブレません。引っ張りを重視したスタイルなので、開きを我慢して流す打球が減ってしまったのは残念。それでも軸足に「強さ」が感じられ、強烈なライナーでスタンドに突き刺さる理由もよくわかります。

(打撃のまとめ)

 強引なまでの巻き込みで、打撃の幅を狭めました。しかしその分、強靭なヘッドスピードを誇り、少しでも甘くなればスタンドインの凄みのあるスイングなっています。こういった打球を飛ばせす左打者は、全国でも他にいないのではないのでしょうか。

 今は荒っぽい一発屋になっていますが、元々左方向への幅の広い打撃が出来ていた選手。「間」の取り方、足の使い方を上手く覚えれば、その点も充分改善できそう。バットを強く振る、この点に関しては全国屈指です。

(最後に)

 打撃でも守備でも走塁でも荒削りで不器用ではあるのですが、極めて持っているポテンシャルは高いものがあります。もうこういったスケール型の選手は、アマでチマチマ育てても意味はないでしょうし、プロが責任を持って育てるべきだと思います。

 またその打撃も、なんとか更に良くなろうと試行錯誤のあとが感じられます。そういった意味では、努力できる才能というのがこの選手はあるのではないかと思います。

 そういった意味では、上手く導けば、どえらい選手に育つかもしれません。左の中距離打者で落ち着くのか、真のスラッガーに育つのかはわかりませんが、左の強打者という意味では全国屈指レベル。ドラフトでも中位くらいまでには、消えるのではないのでしょうか。個人的には、夢を抱きたくなる強打者でした。


蔵の評価:☆☆☆


(2013年夏 鹿児島大会)










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