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 若月 健矢(花咲徳栄)捕手 178/80 右/右
 






                         「今や上位候補」





昨夏は見られなかった選手だったので、選抜で始めて 若月 健矢 をみて、なるほど評判通りの選手だと思いました。その後実際に練習試合などでみたり、夏の埼玉予選・U-18のワールドカップなどでも、この選手を観ることができました。そんな中、少しずつこの選手のイメージが固まりつつあります。

(ディフェンス面)

 ガッチリした捕手体型で、体の重心を低くして構えます。投手にとっては的をつけやすいですし、審判からも低めの球筋が見やすいなど、周りに配慮できる捕手だと思います。ミットはそれほどしっかり示しませんが、グラブは下に下げません。そのため低めの球にも素早く対応できますし、実際ワンバウンドになるようなボールへの対応やグラブの出し方も上手いです。そして何より一球一球ボールを押し込むようなしっかりしたキャッチングができるので、際どいコースでもストライクコールを導きやすい捕球ができます。ことキャッチングに関しては、森 友哉(大阪桐蔭)よりも上手いですし、プレーに雑なところが見られません。体格にも恵まれていますし、森 友哉 よりも、若月 を評価する球団が出てくるのも頷けます。

 スローイングは、モーションが小さいうえに形としても良くありません。それでも二塁までしっかりと届くだけの地肩の強さがあります。際立って精度が高いスローイングだとは思いませんが、1.8秒台をコンスタントに刻むなど、ドラフト候補としても上位のスローイングレベルにはあります。ただ送球の仕方は、プロでかなり修正されたり、鍛えられたりすることになるでしょう。

 生で見ていて気になったのは、自分でガンガン引っ張って行くようなタイプではないということ。これだけ圧倒的な資質を持ちながら、チームの主将を務めていないことからも、その辺は伺えます。周りに対する指示出しや、大きな声で意図を伝えることができないなど、そういった意味では少々頼りないなぁという印象は否めません。自分の役割やバッテリー間のことは考えられますが、チーム全体を引っ張る司令塔としてはドラフト候補とは思えないほど、大人しいキャッチャーに見えます。こういった部分が、今後プロの捕手としてどうなのか? 個人的には気になります。

 しっかりしたキャッチング・頑強な体・配慮できる資質、小さなモーションでも刺せる地肩などがありますが、プロでレギュラーまで昇りつめられるのだろうか? そういった捕手を、上位指名すべきなのか? という疑問は残りました。





(打撃内容)

 下級生の頃は、引っ張ってばかりだったという打撃は、腕っ節の強いスイングからも伺われます。しかし今は、センター方向を強く意識した打撃に変わっています。

<構え> ☆☆

 幾分クローズ気味に構え、グリップは高い位置で捕手方向に引いて添えます。腰は深く沈み、後ろ足に重心をかけています。両目で前を見据える姿勢・全体のバランスとしては、かなり独特の構えでありどうでしょうか。

<仕掛け> 遅すぎる仕掛け

 足を引き上げないので、始動のタイミングがよくわかりません。ただカカトの上げ降ろしを見ていると、どうもリリーフ直前の「遅すぎる仕掛け」を採用しているように見えます。

 今は、木製バットを意識して足を引き上げて練習しているそうです。夏のタイミングを観るかぎり、ボールをできるだけ引きつけて叩く「長距離打者」の傾向が強い打ち方でした。

<足の運び> ☆☆☆

 ノーステップで始動も遅いので、打てるタイミング限りなく「点」となります。狙い球を絞り、その球を逃さず叩くのが、この選手の持ち味だと考えられます。

 真っ直ぐ踏み込むように、コースは内外角対応したいタイプ。しかし少しクローズ気味に構えるように、狙っているのは真ん中~外角よりの球なのでしょう。踏み込んだ足元はブレないので、外の球をきっちり叩くことができますし、打球もセンターから右方向にもはじきかえします。元々引っ張るのが好きな選手なので、特に三遊間方向にゴロで飛んで行く打球も少なくありません。長打は、センターから右方向に合わせた打球の方が多いように見えます。春見られた足元のブレや膝を内側に送り込む悪い癖は、夏には修正されていました。

<リストワーク> ☆☆☆

 あらかじめ捕手方向にグリップを添えることで、始動の遅さを補っています。バットの振り出しは、少し体から離れてところから出てくるので、けしてインサイド・アウトの軌道ではありません。そのため内角を捌くには、ある程度懐にスペースが欲しいタイプ。

 それでもドアスイングというほど極端ではありませんし、最後まで力強く振り切ります。対応力が高そうなスイングではありませんが、球威・球速に力負けするようなひ弱さはありません。

<軸> ☆☆☆☆

 足の上げ下げが殆どないので、目線は常に安定。体の「開き」も我慢できていますし、軸足も強く安定しています。軸は、しっかりしたスイングが出来ています。

(打撃のまとめ)

 確実性が高いスイングではありませんが、意識を集中させ甘い球を逃さないのと、パワフルで力強いのは評価できます。選抜以後夏の大会に至る過程でも、常に結果を残してスカウト達の評価を高めました。

 森捕手のように打撃が売りではありませんが、攻守にバランスの取れた選手だと評価します。高校生の捕手に、これ以上の打撃を求めるのは酷でしょう。


(最後に)

 元々はディフェンスを高く評価されていた選手ですが、この一年で関東を代表する打者にまで打撃を高めて来ました。またツボにハマった時には、スタンドインすることも少なくありません。

 対応力は低いかもしれませんが、2割3分でも年間10本とか打つようなような打力は身につけられるかもしれません。自慢のディフェンス面では、スローイングの修正と指示をしっかり出せるような捕手になれるかでしょうか。

 根は真面目な人間みたいですし、この一年の打力の成長を見ると、課題を時間をかけながらも克服して行けそうな気は致します。プロでレギュラーまで昇り詰められるかまでは不安な部分はありますが、今年の高校生捕手としては森に次ぐ存在であると評価します。私の評価は別にして、実際ドラフト会議でも2位か3位までには消えるはずです。


蔵の評価:☆☆


(2013年 ∪-18ワールドカップ)










 若月 健矢(花咲徳栄3年)捕手 178/80 右/右
 




                      「評判通りの捕手だった」





西の森友哉(大阪桐蔭)・東の若月健矢(花咲徳栄)と評される通り、高校球界でも1,2を争う捕手が、この 若月 健矢。なるほどその前評判どおりの好捕手で、個人的にも大変興味深く映った。

(ディフェンス力)

堂々とプレースタイルは、俺について来い的な存在感がある。その割に体を小さく屈め、投手に的を大きく見えたり、審判から球筋を見えやすい体勢など周りへの配慮も忘れない。キャッチングもしっかりして、ハンドリングの勘の良さもさることながら、ワンバウンド処理では素早く重心を落とし低めの球に対応します。少々手先だけでボールを取りに行ってしまう傾向も見られますが、捕手に一番大事なボールを受け止めるということはシッカリできています。

捕手としての細やかさやリードセンスがあるかと云われる疑問が残る部分はあるものの、小さなモーションでも強い返球ができるように、地肩の強さは一級品。捕って、投げるという部分での資質は、極めて高いことがわかります。頑強な体付きも含めて、全国屈指の捕手であることは、選抜の1試合でも充分伝わってきました。





(打撃内容)

秋に打撃でも存在感を示し、一気に評価が高まります。選抜の県岐阜商業戦では、左中間スタンドに叩き込んだように、体の強さを感じます。ただノーステップで、膝を内に捻り込んでくるフォームには癖を感じます。

<構え> ☆☆

スクエアスタンスで両足を揃えますが、後ろ足に深く重心をかけて構えます。グリップを高めに添えて、重心は深く沈ませています。ただ重心を後ろ足にかけ過ぎているので、全体のバランスとしては疑問。それでも、両目で前を見据える姿勢は悪くありません。

<仕掛け> 遅すぎる仕掛け

基本的に殆ど地面から足を浮かすことがないので、どの時点で始動を始めているのかは掴み難いものがあります。早めにカカトは浮かしていますが、本格的に始動し始めているのはリリーフ直前だと判断。すなわち「遅すぎる仕掛け」だと考えられます。ボールを手元まで引きつけて、思いっきり引っ叩きます。

<足の運び> ☆☆

始動~着地までの「間」が短く、打てるタイミングは非常に限られているように思えます。更に踏み込んだ足元もブレやすいので、基本的には巻き込んで引っ張る打撃を得意にしているのではないのでしょうか。膝を内側にねじり込んで開くので、どうしても作り出したタイミングを、途中で狂わせてしまう危険性があります。

<リストワーク> ☆☆☆

早めに打撃の準備段階である「トップ」の形を作れています。これにより、始動の遅さを補おうという狙い。バットの振り出しは、バットを寝せて大きな弧でスイングされています。ドアスイングというほどではないのですが、けしてインサイドアウトの軌道ではありません。上手く巻き込めれば大きいのが打てるのですが、対応力に優れた打ち方ではありません。

<軸> ☆☆☆

足の上げ下げが小さいので、頭の動きは小さく目線はブレません。体の開きが我慢できないので、センターから右方向への打撃には疑問を残しますが、軸を起点に綺麗には回転できています。ボールを追っ付けてセンターから右方向よりも、懐まで呼び込んで思いっきり腰の回転で引っ張ります。

(打撃のまとめ)

基本的には、狙った球を逃さず叩くタイプの打者です。しかしフォームに癖があり、タイミングの取り方も含めて、打てるポイントは極めて限られていることがわかります。

ボールを強く叩くことはできますが、ボールを捉えるセンス、技術的には課題を残します。それでも捕手というポジションを考えれば、許容範囲の打力はあると評価。打率は低くても、意外性のある長打でたまに活躍するタイプになるのではないのでしょうか。

(最後に)

けして洗練されたタイプではないので、森 友哉(大阪桐蔭)のように、すぐ頭角を現すということはないでしょう。プロでも3年~5年ぐらいかけて、じっくり大きく育てて行きたいタイプ。プロに混ぜて育ててみたい、そう思わせるだけの資質はあります。癖があるので意見は別れるでしょうが、ドラフト会議では3位ぐらいで指名されても、全然不思議はないのでは。できれば一度、ぜひ生で確認してみたい選手でした。夏のアピール次第では、更に評価の上積みも期待できそうです。


蔵の評価:☆☆


(2013年 選抜)