13ky-10
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喜多 亮太(敦賀気比3年)捕手 176/67 右/右 |
「強肩・強打だということだが・・・」 選抜出場校がひと通り出揃った時に、プロのスカウトが注目するドラフト候補の一覧を各スポーツ誌は掲載する。そんな中に名前を連ねているのが、喜多 亮太 。個人的には、下級生の時から見てきた選手なので、敦賀気比でも最も注目すべき野手だとは思っていたが、プロ側の評価がここまで高いとは知らなかった。 (プレースタイル) 捕手としては打てますし、確かにある程度ディフェンスのできる選手で、バランスの良さを感じます。ただ個人的には、突き抜けるインパクトがないなぁというのが率直な感想。ボールを払うような独特のスイングに、一つ大きな特徴があります。 (ディフェンス面) 捕手としては、内角の球を巧みに使い、単調に陥りやすい速球とスライダーのコンビネーション投手である、岸本 淳也 を上手く導いています。ボールを押し込むようなキャッチングも良く、審判からもストライクコールを引き出しやすいはず。そういった周りの見えたプレーは、高校生としては上位レベル。 気になるのは、グラブを一度地面に下げてしまう癖があり、低めの球やワンバウンド処理への対応に立ち遅れてしまう可能性があること。そしてスローイングは、塁間1.9秒前後~2.0秒ぐらいで投げ込んできます。地肩自体は、ドラフト候補としては平均的。それ以上にコントロールが安定しないところが、個人的には気になります。 (打撃内容) センターに右に左へと、どの方向に強い打球を飛ばせます。特に右方向には強くライナー性で。センターから右方向に、ポーンとあげて長打も期待できます。 <構え> ☆☆☆ 前足を軽く引いて、グリップは高めに。腰の据わり具合・全体のバランスは好いのですが、少しクロス気味に入ってくるので、両目で前を見据える姿勢は良くありません。ただ打席ではリラックスできており、構えとしては大きな欠点は感じられません。 <仕掛け> 早めの仕掛け 早めに始動して来るように、アベレージ打者の傾向が強いタイプ。いろいろな球にに幅広く対応する、打率を重視したスタイル。 <足の運び> ☆☆☆☆ 足を早めに引き上げ、まわしこんで来ます。始動~着地までの「間」が取れているので、速球でも変化球でも幅広く合わせやすい打ち方。ただベース側に踏み込むので、外角を強く意識していることがわかります。しかしそうかといって、踏み込んだ足のつま先は開き気味。甘めの球ならば、強引に引っ張って来ることもあります。かなりコースへの対応も瞬時に判断し、いろいろなバリエーションを持っていると考えられます。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 早めに打撃の準備である「トップ」を作るのですが、ボールを呼び込むときに少しグリップを引き上げるヒッチする癖があります。まぁ始動全体が早いので、そう悲観することはないと思いますが。 バットの振り出しは、バットを寝せて振り出すので、けしてインサイドアウトではありません。そのためボールを捌くには、ある程度懐にスペースが欲しいタイプ。そのため、内角の捌きが一つ課題になります。 それでもバットの先端であるヘッドは下がらないので、ドアスイングにはなりません。大きな弧を描きつつ、最後でキッチリ払います。スパンと外の球を捌く姿は、一種独特のボール捌きです。 <軸> ☆☆☆☆ 足を上げ下げしますが、ゆっくりと静かにジワ~と回しこむので、大きくは目線はブレません。インパクトの際にも足元はブレず、開きを我慢。軸足も地面から真っ直ぐ伸びて、綺麗な軸回転でスイング出来ています。 (打撃のまとめ) ボールを呼び込んで捉えるまでの感覚に優れており、捕手として必要な打力を持っています。右方向に鋭くはじき返す打球の鋭さ、甘い球をスパンを爽快に振りぬく潔いスイングには好感。けして長打力で魅了するタイプではありませんが、捕手としては合格点レベルの打力だと言えるでしょう。 (最後に) キャッチングの形と安定しないスローイングには疑問が残りますが、対応力のある打撃と捕手としてのセンスの良さは買います。ただ最終的には、高校からプロまでの領域には達しず、東都などの有力大学に進学し、4年後への可能性を探る形になるのではないのでしょうか。現時点では高校からプロと言うほどの凄みは、そのプレーからは感じられませんでした。 (2013年 選抜) |