13ky-1
森 友哉(大阪桐蔭)捕手 171/80 右/左 |
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森 友哉(大阪桐蔭3年)捕手 170/80 右/左 |
「時々顔を出す悪い部分」 今秋のドラフト会議で、1位指名が確実な 森 友哉 。彼の唯一の欠点は、キャッチングミスが少なくないこと。その欠点は、選抜の遠軽高校戦でも顔を覗かせていた。更に春季大会でも、彼のミスで失点になり敗れたという。 (課題) 藤浪晋太郎(阪神)と組んだ昨夏の甲子園では、そういったキャッチングミスは目立たなかった。しかしその後に行われた∪-18の世界選手権では、キャッチングミスが目立った。すなわち、球筋が予測できる藤浪の球には対処できるが、捕球回数の少ないいろいろな投手を受ける全日本などの舞台では、とっさの対処に課題を残すことを露呈した。この傾向は、プロのように複数の投手の球を捕らなければいけない世界では、余計に顕著になるのではないのだろうか。ましてプロの投手の変化球のキレ・曲がりは大きく、その危険性は増す。 森のキャッチングの課題は、普段の捕球ではない。普段は、藤浪レベルの球でも力負けすることなくボールを押し込むことができ、審判からもストライクカウントを引き出しやすかった。しかし低めやワンバウンドするような球に対しては、天性の反射神経で対応してしまうおうとして、上から被せるように捕球する癖がついている。しっかりボールについていっているときはこれでも大丈夫なのだが、予測の範囲を超えると途端にボールを弾いたり、後ろに逸らすことになるのだ。この染み付いたミットの出し方を修正するのは、結構時間のかかる作業だと私は考える。すなわちプロの球について行けるようになるには、少し時間がかかるのではないのだろうか? (ディフェンス面) 旧チームからマスクを被り、世界の舞台でも物怖じしないでガッツ溢れるプレー。普段はテンポの良いリードを心がけ、ポンポンと相手を自分たちのペースに引きこむ。ミットをしっかり投手の方にむけ、的をつけやすいように示す。小さな体を更に小さく屈め、的を大きく魅せたり審判から低めの球筋も見やすい状況を作り出すように、周りへの配慮も忘れない。 リードもオーソドックスでバランスが取れており、スローイングも1.85~1.95秒ぐらいでまとめられており、捕ってからも実に素早い。プロに混ぜても中の上レベルのスローイングは、期待できるだろう。こと低めへのキャッチングと体格がないことを除けば、実にディフェンス面でもバランスの取れたプレーヤー。ハイレベルな世界で揉まれてきた選手なので、高いレベルの野球にも短時間で入り込めるだけの基礎があります。すなわち実戦の中で、育てて行くことが可能だと言えるでしょう。 (打撃内容) 私が見てきた大阪桐蔭の選手の中でも、どんな球や投手にも対応できるという意味では、大阪桐蔭史上NO.1の打者だと言えるのではないのでしょうか。この打撃レベルがあれば、高卒1年目でも一軍で、2割~2割5分ぐらいは打てて、我慢して一軍で起用してもらえるかもしれません。 <構え> ☆☆☆☆ スクエアスタンスで、グリップを高めに添えます。腰を深く沈めながらも、背筋をピンと伸ばして構えます。全体のバランスもよく、両目でも前をシッカリ見据えられています。しいて気になる点をあげれば、体を動かして構える「揺らぎ」の動作がなく、自分のリズムを作れていないところでしょうか。昨夏から「構え」は、殆ど変わっていません。 <仕掛け> 早めの仕掛け ツボに来ればスタンドインのパンチ力を秘めますが、「早めの仕掛け」を採用するように本質的にはアベレージヒッター。体が強いので、時にはスタンドインさせられますが。この始動のタイミングも、一冬越えても同じでした。 <足の運び> ☆☆☆☆ 早めに足を引き上げ、まわし込んで打ちに来ます。そのため始動~着地までの「間」がとれており、広く線でボールを追うことができます。昨夏あたりから、ベース側にインステップして踏み込んでいたのを、かなり真っ直ぐ踏み出すスタイルに変更。これにより、内角の捌きも楽になっています。 外角の球には逆らわずレフト方向へ、内角の球に対しては強引に巻き込みます。特にインローにツボがあり、ここに来た球を長打するケースが目立ちます。 踏み込んだ足元はブレないので、外角の厳しい球や低めの球にも充分食らいつくことができます。完全なローボールヒッターなので、逆に高めの勢いのあるボールを、どう対処するのか夏は見てみたいポイント。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 昨夏までは、少しバットを引くのが遅く「トップ」を作るのが遅れていました。しかしこの選抜では、そのへんもだいぶ改善。バットの振り出しを見ていると、けしてインサイド・アウトのスイングではないのですが、大きな弧を描きつつ、最後までキッチリ振りぬきます。それでも内角を捌くときには綺麗に振り抜けているので、問題がありません。特に外角の球を捌くときに、上手くバットの先端であるヘッドを立てて、重心を残して綺麗に流します。 この選手は、リストワークが非凡というよりは、膝の使い方が巧みで、ここで上手くボールに合わせてきます。ヘッドスピード・打球も鋭く、充分にプロの球や木製バットでも持ち味を発揮できるのではないのでしょうか。 <軸> ☆☆☆☆ 足の上げ下げはあるものの、頭の動きは小さく目線は動きません。体の開きも我慢でき、軸足にも粘りが感じられます。軸が安定しており、調子の波が少ないのも彼の大きな魅力。それだけ頭一つ、高校球界では抜けた素材なのでしょう。 (打撃のまとめ) 昨夏からフォームとしては、殆どいじっていないようです。唯一気になる材料であった「トップ」を作るのが遅れる欠点も改善されており、ほぼ完成された打撃フォームといった印象を持ちます。 世界レベルの球威・球速も苦にしなかったように、プロに混ぜても力負けすることはないでしょう。高校球界随一の対応力があり、プロレベルの投手にも、ある程度1年目から対応できそうです。 (最後に) 捕手にこれといった人材がいないチームならば、1年目から一軍で育成して行ける選手ではないのでしょうか。その最大の理由は、大人びたディフェンス力よりも、我慢して起用してもらえるだけの最低限の打力はすでに身についていると思われるから。高卒1年目からレギュラー捕手・そんな期待を抱きたくなるようなワクワクさせてくれる選手、それがこの 森 友哉 なのです。夏には更にワンランク上のプレーを、あえて期待してみたい選手です。 蔵の評価:☆☆☆ (2013年 選抜) |
森 友哉(大阪桐蔭2年)捕手 170/78 右/左 |
「大阪桐蔭史上NO.1捕手」 数々の名選手を世に送り続けてきた大阪桐蔭。同校の特徴として、強肩捕手を毎年輩出する学校としても知られている。そんな大阪桐蔭の中でも、森 友哉 は、間違いなく歴代NO.1の捕手だと言えよう。勿論2013年度のドラフト候補としても、上位に位置する一人。 (ディフェンス面) 先輩に物怖じすることなく、ポンポンとテンポの好いリードを心がけます。小さな身体をより小さく屈め、投手からは的をつけやすく、審判からは低めの球筋が少しでも見やすい体勢で構えます。ミットをズバッと構えて動かさず、そのグラブを下げません。何より素晴らしいのが、高校球界最高峰の球威・球速を誇る 藤浪晋太郎のストレートに対し、全くミットが負けないでボールを押し込めるキャッチングにあります。どうやったら、ストライクカウントをコールされやすいのか、投手が投げやすいのか、そんな部分まで踏み込んでプレーできている点は素晴らしいです。 打球への反応も素早く、次のプレーを想定してカバーリングにも素早く入ります。御山の大将やムラッ気の多い歴代の大阪桐蔭の捕手に比べると、リードもオーソドックスですし、プレーに雑なところがみられません。二塁までのスローイングも、1.8秒台後半と、捕ってからの動きもすでに基準以上。AAA選手権でも、再三アメリカチームにタックルを浴びせられながらも、闘争心むき出しでプレーする一面も魅せてくれました。 気になる部分をあげれば、低めやワンバウンド処理への対応。天性の反射神経でミットをコントロールしていますが、低めの球に対し上から被せてはたき落とすような感じでボールを取りに行きます。ボールについて行けている時は良いですが、少しでもタイミングが遅れれば後ろに抜けてしまったり、ボールを弾いてしまいます。夏の大会までは、慣れた藤浪投手相手だったのであまり粗が出ませんでしたが、いろいろな投手をリードしないといけないAAA選手権では、キャッチングの未熟さが随所に見られました。この部分を、夏までに何処まで改善できるのか注目したいです。捕手というのは、肩やバッティングの前に、まずボールを逸らさないことが一番大事な要素となりますから。 (打撃内容) 基本的に、ローボールヒッターですね。特にインローにはツボがあるようで、その近辺の球は引っ張って長打を放ちます。AAA選手権でも2年生ながら一番打者を任されたように、歴代の大阪桐蔭の打者の中でも、対応力は一番ではないかと思わせるものがあります。基本は、広角に打ち分ける中距離ヒッターといった感じです。 <構え> ☆☆☆☆ スクエアスタンスで、グリップを高めに添えます。腰を深く沈め、全体のバランス、両目で前を見据える姿勢にも隙がありません。打席での集中力も高く、それでいて力みのない良い構えだと思います。あとは、凄みとか嫌らしさとか、投手に構えただけでプレッシャーがかけられるぐらいの存在感が出てくれば申し分ありません。選抜の時よりも、力が入り過ぎているのが薄れたのも良いところ。 <仕掛け> 早めの仕掛け 投手の重心が下がり始めるあたりで始動する「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージヒッターが採用する仕掛けです。 <足の運び> ☆☆☆☆ 始動~着地までの「間」が取れているので、速球でも変化球でも合わせやすいタイプ。選抜までは、ベース側にインステップして踏み込んでいたのを、この夏は真っ直ぐ踏み出すスタイルに変えていました。真っ直ぐ踏み出すことで、内角でも外角でも同じように対応。内角の球は強引に引っ張り長打を、外角の球には無理なくレフト方向にはじき返します。踏み込んだ足元がブレないので、外角の球でも低めの球にも対応。緩急・コースにも対応した、穴の少ない打者だと言えるでしょう。 <リストワーク> ☆☆☆ 少しバットを引くのが遅いので、速い球への対応が遅れ気味なのが唯一の弱点。バットを振り出す角度もよく、ボールを捉えるまでにロスは感じません。ボールを捉えてからも、大きな弧を描き最後までシッカリ振り切ります。 この選手は、リストワークが非凡というよりは、膝の柔らかさでボールに合わせて来るタイプ。上背のない分、高めの球への対応が、少し苦手のようにも見えます。それでも上から被せるように、ヘッドを立ててスイングできており、技術的には殆ど欠点がありません。 <軸> ☆☆☆☆ 足の上げ下げも静かなので、目線も大きく動きません。身体の開きも我慢出来ていますし、軸足も大きく崩れず安定。打撃の波が少ないのが、スイングからも伺えます。 楽天 (最後に) ディフェンスでは、低めのボールへの対応。打撃では「トップ」を作るのを遅れないこと。それ以外は、殆ど完成されていて、大きくいじる部分はありません。 捕手としても、非常に周りに配慮してプレーできます。それでいて、気持ちの強さも兼ね備えていますし、プレーに集中力も感じます。体格の無さを、精神的な部分で、補って余りあるだけのものがあります。このまま順調に最終学年をプレーできれば、上位24名の中に入るのは、ほぼ確実な素材ではないのでしょうか。最終学年で、更に凄みを増したプレーを期待しても、けして裏切らない選手ではないのでしょうか。 (2012年 AAA選手権) |