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東方 伸友(浜田商)投手 191/81 右/右 
 




                  「あと一つ勝ってくれれば・・・」





残念ながら、この投手を見たことがありません。夏の島根大会でも、あと一つ勝ってくれればテレビ中継だっただけに残念です。したがって集めた情報と動画を見つけたので、それを参考にレポートを作成して行きたいと思います。

(投球内容)

 190センチ台の上背がありますが、真上から投げ下ろすというよりも、少し前に倒れ込むようなスリークオーターから投げ込んで来る力投派といった印象は受けます。

ストレート MAX147キロ

 動画を見る限り、140キロ台を越えていそうな勢いのあるボールを投げ込んできています。ボールに力や勢いがあるのは、間違いないのではないのでしょうか。

変化球 スライダー・チェンジアップなど

 前に倒れこむようなスリークオーターですから、球種もカーブやフォークといった球ではなく、スライダーやチェンジアップ系で組み立てているのは納得。特に腕を強く振れるようで、高速で切れ込むスライダーに威力を感じます。

(投球のまとめ)

 動画を見る限り、力投派でボールの勢いで抑えるタイプに見えます。実際情報をまとめると、細かい制球力・投球術には欠け、精神面に脆い部分があるなど、まだまだ素材型の域を脱していないとのこと。逆にこれだけの体格とボールの勢いがありながら、育成枠の2巡目まで残っていたのかと考えると、そういった実戦的な部分に大きな課題が見え隠れ致します。





(成績から考える)

この夏の4試合の成績から、この選手の本質に迫れればと思います。

4試合 32イニング 20安打 13四死球 36奪三振

1,被安打はイニングの70%以下  ◯

 細かい投球術や多彩な攻めのバリエーションがあるわけじゃないと思うのですが、被安打率は62.5%で基準を満たしています。すなわちボールの威力は、高校生レベルでは圧倒しているということではないのでしょうか。

2,四死球は、イニングの1/3以下 ✕

 四死球率は、40.6%で基準を満たしておりません。ただしノーコンというよりは、細かいコントロールはない程度といった感じがします。もちろんこれがプロの打者相手になれば、この粗さがもっと顕著に出る可能性はありますが。

3,奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◎

 奪三振率は、1イニングあたり1.13個。イニング数以上のペースで三振を奪えており、ボールの威力が勝っている、決め手があると判断できます。

(数字からわかること)

 投球術や制球力に不安を感じておりましたが、思ったほどは悪くないのかなという気が致しました。ボールの威力は素晴らしいようなので、この部分が更に伸びるようだとプロでも楽しみ。



(投球フォームから考える)

今度は、フォームの観点から実態や今後の可能性に迫ってみたいと思います。

<広がる可能性> ☆☆☆

 引き上げた足をピンと伸ばさないまま重心を落として来るフォームであり、前に背中を折って来るのでお尻は一塁側に落とせません。お尻が落とせないということは、身体を捻り出すのに必要なスペースが確保できないわけで、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球を投げ込むには適していないわけです。

 「着地」までの粘りは思ったほど悪くはありませんでしたので、ある程度はカーブやフォークといった球種以外ならば、ピッチングの幅を広げて行けるフォームではあります。

<ボールの支配> ☆☆☆

 グラブは最後まで体の近くにあるようなので、両サイドへの投げ分けは安定。足の甲も映像ではわかり難かったのですが、地面を捉えているように見えます。これでも制球がアバウトなのは、「球持ち」が浅く指先の感覚が悪いのか、まだリリースが不安定だからではないのでしょうか。将来的には、改善できる下地は持っています。

<故障のリスク> ☆☆☆

 お尻は落とせないフォームですが、カーブやフォークを投げ込んでいるわけではないので、肘への負担は問題なさそう。腕の角度にも無理がないので、肩の故障の可能性も低いのでは。ただし力投派で消耗は激しいだけに、登板がキツくなると、どっかしらに症状が現れる危険性はあります。

<実戦的な術> ☆☆☆

 「着地」までの粘りも悪くなく、体の「開き」もスリークオーターの割には抑えられています。コースに投げていれば、そうは痛打されないのではないのでしょうか。

 腕は強く振れており、身体に絡んできます。強い腕の振りを活かして、スライダーなどの威力はあるよう。ボールへの体重の乗せは、身体が流れてしまっていて充分とはいえず、エネルギーをロスしている感じが致します。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「開き」は悪くなく、「球持ち」「体重移動」に課題を残します。

 「球持ち」に課題があるということは、コントロールに不安があります。「体重移動」に不安があるということは、ボールの質に影響します。

 それでも故障の可能性が低いフォームなので、どんどん投げ込んで欠点を改善して行って欲しいと思います。荒削りではありますが、充分に将来的に修正が可能なフォームではないかと考えます。



(最後に)


 身体に力がありそうですし、フォームや成績を見る限り、思ったよりは荒れ荒れな選手ではないのかなと思いました。近い将来、先発よりもリリーフで頭角を現すかもしれません。

 ただしこれだけの素材でありながら、ここまで指名がなかった理由が何なのか?それはそれで、引っかかる部分ではあります。精神的な部分で、何か大きな欠点を抱えている可能性も無きにしもあらず。ただちょっと調べた感じでは、中々の好素材ではないかと思うのですがどうなるでしょうか。ソフトバンク三軍戦は、ネット中継などもあるので、機会があればぜひ確認したいと思わせる選手でした。