13kp-17
古川 侑利(有田工)投手 178/77 右/右 |
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古川 侑利(有田工3年)投手 178/77 右/右 |
「感性を感じない」 スカウトの中には、古川 侑利 を野手として評価しているものも少なくないという。確かに馬力のある投手だけに、体幹の強さは尋常じゃないので、まともに捉えればビックリするような打球は飛んで行く。しかし彼の打撃を見ていると、ボールを捉える感覚に特別なものが感じられないのだ。高校からプロに入る選手には、何か図抜けた資質を求めたい。 (守備・走塁面) 残念ながら、一塁までの到達タイムは計測できず。投手というポジション柄、佐賀予選の5試合でも盗塁はなし。実際プレーを観るかぎり、足でアピールするようなプレーヤーには見えなかった。 投手としての、牽制・フィールディング・クィックなどの動作を見ていても、切り返しに鋭さは感じられず、打球への反応にも特別なものは感じられなかった。その身のこなしからも、内野手よりは外野手向きなのではないのだろうか。ただ投手として140キロ台中盤を連発できるように、強肩であるのは間違いない。 (打撃内容) 甲子園では、緒戦の大垣日大戦が3打数1安打。次の常葉菊川戦が、4打数1安打だった。打球の多くは、センターから三遊間方向へ引っ張る打球が多かった。 <構え> ☆☆☆ スクエアスタンスで足を揃え、グリップの高さは平均的。腰はあまり据わらず、背筋を伸ばして構えます。両目で前を見据える姿勢や全体のバランスも平均的で、可も不可もなしといった感じです。 <仕掛け> 遅めの仕掛け 投手の重心が下る時に、揃えた足をベース側に持ってきてつま先立ちします。そこから本格的に始動するのは「遅めの仕掛け」。これは、典型的な長距離打者が採用する仕掛けだと言えるでしょう。 <足の運び> ☆☆☆ 始動が遅い分、足を引き上げてから下ろすまでの「間」が取れません。そのためあらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。現状は、それほど「鋭さ」は感じられません。 それでもベース側にインステップして、踏み込んだ足元もブレません。そのため外角の球を上手く捉えることができ、体の「開き」を我慢出来ています。内角の捌きが窮屈になる危険性はありますが、打撃の基本である外角球を打つ基本的な形はできています。 <リストワーク> ☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」の形を作るのが遅れがちで、しっかり作って振り出せません。そのため、中途半端な消化不良のスイングをすることも少なくないのでは? それでも振り出しには癖がなく、ボールを捉えるまでに大きなロスがありません。更に大きな孤を描き、フォロースルーでも最後には高い位置までグリップを引き上げられているので、ボールを遠くに運ぶことができるスイングです。 <軸> ☆☆☆ 足の上げ下げが大きくない割に、目線は結構動いています。それでも、体の「開き」は我慢できています。軸足も少し前に傾くなどツッコミがちで、安定した打撃が望めるかは疑問。ただ軸足の内太もも筋肉は発達しており、ボールを遠くに運べる資質を持っています。 (打撃のまとめ) ボールを捉える技術や感覚には、疑問を感じます。しかしその半面、始動の遅さ、スイングの孤の大きさ、フォロースルーの生かし方、内太もも筋肉の強さなどが感じられ、ただ体幹が強いだけの選手ではなく、真に長距離砲になれる資質の持ち主だと言えるでしょう。スカウトが特別なものを感じるとすれば、このボールを飛ばせる才能を見出しているのではないかと思います。 (最後に) 個人的には、守備・走塁に光るものは感じられず、ボールを捉える感性にも疑問を感じます。しかし今回細かく見てきて、ボールを遠くに飛ばせる才能の持ち主であることがわかってきました。そういった意味では、高校からプロに入る特別な資質があるのかもしれません。ただ現状は、まず投手をやってダメならば、次の選択肢として野手としての可能性がという、順番で好いのではないのでしょうか。いずれにしても時間はかかりそうで、個人的には高校から指名リストに載せることはないと判断致します。 (2013年夏 甲子園) |