13dy-3
岡 大海(明治大)投手 185/82 右/右 (倉敷商出身) |
「身体能力は図抜けているけれど」 |
岡 大海(明治大3年)投手 185/82 右/右 (倉敷商出身) |
「やっぱり野手なのか?」 前回は投手としての可能性を模索したが、今回は 野手・岡 大海 を検証したいと思う。まずは、彼が大学で残した実績をみてみたい。 2年秋 4試合 0本 2打点 0盗塁 打率 .667厘 3年春 13試合 1本 10打点 0盗塁 打率 .379厘 3年秋 14試合 1本 9打点 2盗塁 打率 .353厘(4位) 本格的に野手としての実績があるのは、3年生の2シーズンのみ。特に目立つのは、1シーズン5点以上の勝負強さと、打率3割5分以上を記録している対応力。逆に長打力・走力に関しては、それほど際立つ数字ではない。 (走塁面) 走塁偏差値 46.7 一塁までの塁間は、4.4秒前後。これを左打者に換算すると、4.15秒ぐらいに相当する。プロの左打者の基準は、各球団4.2秒ぐらいで設定しているので、その基準は満たしている。ただ2012年度のドラフト指名された右打者の走力を偏差値にすると、4.4秒というタイムは、46.7 とやや平均より劣ることがわかる。実際リーグ戦でも、これまで2盗塁が最多。上のレベルで足を売りにすることは、そのプレースタイル走力からも考えにくい。 (守備面) この春までは、外野を守っていた。しかし打球への反応・判断が悪く、相当危なっかしい印象は否めない。11月のアジア選手権の全日本メンバーと明大が壮行試合を行った。そこでは、三塁と一塁を守っている。思ったより、打球への反応・ボール捌きは悪くなかったように思う。元々この選手、投手としてのフィールディングや各動作も良かったので、外野手としてフライを追いかけるよりも、鋭い打球に対応する内野手の方が適しているのかもしれない。投手としては、肩を故障しているとはいえ、元々150キロ級のボールを投げていただけに、強肩であるのは間違いないだろう。大型サードとして育てるのが、現在一番良いのではないのだろうか。 ただ現状は、何処まで安定感があるのかは微妙。けして長打力を売りにする選手ではないので、一塁ではアピールにはならない。そのため野手として評価されるためには、三塁としての適正を示すことが求められる。 (打撃内容) ツボにハマればスタンドインのパンチ力は秘めています。スイングが巻き込み型なので、打球の多くはレフト方向へ引っ張る打球が目立ちます。 <構え> ☆☆☆ 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰はあまり沈まさず、少し前に傾いて構えます。両目で前を見据える姿勢や全体のバランスはそれほどでもなく、特に可も不可なしといった構えです。 <仕掛け> 遅めの仕掛け 投手の重心が下がりきって、前に移動する段階で始動する「遅めの仕掛け」を採用。仕掛けだけみると、ボールを引きつけて叩く、長距離打者の傾向が見られます。実際プレーを見ていると、長距離砲というよりは中距離タイプに見えるのですが。 <足の運び> ☆☆☆ 始動~着地までの「間」は短いので、速球や変化球などに瞬時に対応できる打ち方ではありません。あくまでも狙い球を絞り、その球を逃さないタイプ。 ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップであり、懐のスペースを空け内角を強く意識。その分外角の捌きは甘くなります。あらかじめ踏み込んだ足のつま先が開いていることからも、ボールを引っ張ろうという意識が強いことがわかります。それでも踏み込んだ足元はブレないので、甘めの外角よりの球ならば引っ張り込むことも期待できます。 <リストワーク> ☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」を作るのは平均的で、バットの振り出しには大きなロスはありません。それでも、ある程度懐にスペースが確保できないと、内角は窮屈です。そうなるのは、大きな弧を描くスイングであるから。ただ気になるのは、ボールを捉える時にバットの先端であるヘッドが下がっているので、ボールを捉える接地面が狭く、打ち損じも多いのが残念。 <軸> ☆☆☆ ボールを呼び込むまでに、目線はそれなりに動きます。身体は早めに開くのですが、足元がブレないのであるところまで抑えられます。軸足は地面から真っ直ぐ伸びているので、軸を起点に綺麗に回転出来ています。 (打撃のまとめ) 技術的には、まだまだ改善すべきポイントは少なくありません。元々ボールを捉える技術には粗さが、高校時代から目立っていました。しかしそれでも結果を残せるということは、この選手の持っている潜在的なポテンシャルが高いから。 特に甘い球を逃さないだけの「鋭さ」はあり、打席での集中力は感じられます。ヘッドスピード・打球の速さは特に特別なものは感じませんが、基準を満たすだけのものはありそうです。 (野球への意識) 前の打者との対戦を見ながら、前後策を練るとか、事前に身体を動かして入念に準備するとか、そういった意識の高さは感じません。完全に頭を使ってプレーをするというよりは、天性の感覚に頼ったプレーヤーだと思います。 当然強打者らしく、バッターボックスのラインを踏んで入るように、きめ細やかさはありません。打席に入るまでは、実につまらそうに入ります。ただ一端に打席に入ると、グ~と集中力が高まり、想像以上の力を発揮します。長く集中力を持続させるのは苦手のようですが、打席の中のように短時間に高い集中力を発揮させる爆発力は、この選手にはあります。 (最後に) 守備・走塁でのアピール度は低いのですが、もし野手としてプロを狙うとすれば、三塁手としての適正を示すことが求められます。 打者としては、技術的には課題も少なくないものの、実戦での勝負強さ・集中力の高さにはみるべきものがあります。性格的にも完全に野手であり、野手としての可能性を模索すべきではないのでしょうか。 ただ、まだまだ投手に未練があるのか、打席では実につまらなそう。野手で大成するためには、自分は野手で勝負するのだという、割り切れることが不可欠。これがないうちは、いくら才能があろうとも、素質を開花させることは難しいでしょう。 また感覚的に打っている選手なので、壁にあたるとダメな理由がわからず、不調から中々抜け出せないかもしれません。そういった積み上げてきたものがない選手特有の、脆さみたいなものは感じます。それでも2013年度の大学生野手では、トップクラスの資質の持ち主。その才能だけに頼っていないところを、最終学年ではぜひ見てみたいものです。現状は、どう転ぶのか想像もできませんので、ドラフト指名確実だとは言えません。 (2012年 アジア選手権壮行試合) |
岡 大海(明治大3年)投手 185/82 右/右 (倉敷商出身) |
「斎藤隆そっくりなんだよな」 投手としての 岡 大海 の投球フォームは、メジャーを代表するクローザーにまで昇りつめた 斎藤隆 の投球フォームにソックリだ。下半身がうまく使えず、足が突っ張って投げる下半身の固さはよく似ている。また豪速球というよりは、キレのある快速球タイプの球質もよく似ている印象がある。齋藤隆の場合は、元々野手として大学に入ったが、投手としての才能が変われ東北福祉大の途中で転向。最初から二刀流で挑んできた、岡 大海 とはちょっと状況は違うが、大学で投手・野手 共に経験している経歴には近いものがある。今回は、投手・岡 大海 に注目して考えて行きたい。 (投球内容) この秋に故障してしまい、最終学年に投球ができるのかはわかりません。したがって下級生までのピッチング内容を中心に、今後の可能性について考えてみたいと思います。 ストレート 145~150キロ 岡の最大の魅力は、コンスタントに145~150キロ級のストレートにあります。ただ彼がリーグ戦に登場した2年秋こそイニングを越える奪三振を奪えていますが、その後のシーズンでは奪三振率は、かなり低下しています。 そのストレートの球筋は、おおまかに両サイドに散らし、殆どのボールが真ん中~高めのゾーンに集まります。特にナチュラルシュートするクセ球で、ボールもキレで勝負する球威のある球ではないので、高めでうまく捉えられると長打を喰らう可能性は否定できません。 変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップ など かなり縦に落ちるスライダーにキレはあるのですが、曲がりが早く打者は振ってくれません。他にもチェンジアップ気味な球やスプリット気味の球、緩いカーブなどもありますが、どれも絶対的な球種はありません。本当に頼れる変化球はないのが、これだけのストレートがありながら、安定した投球ができない大きな要因になっています。 その他 牽制は、中々鋭く走者を刺すこともあります。クィックも1.05秒前後と動作は素早く、フィールディングの動きも、普段は野手として守るだけに上手い部類です。そういった運動神経の高さは感じますが、投打共に野球センスを感じさせるタイプではありません。あくまでも肉体のポテンシャルが高い、そういったタイプだと考えます。 (投球のまとめ) マウンド捌きや制球力の無さなどを見ていると、ただ速い球を投げているだけという感じもしてきます。投球に何か意図というか、考えて投げているフシもなく、それほど深く考えて投球しているのではないのでしょう。 それでもボールの威力で圧倒できれば良いのですが、現状見やすいフォームもあり、そこまでの絶対的な投球はできません。ボール自体は見栄ええがしますが、結果抑えるだけの投球は出来ていないことは成績からもわかります。 (成績から考える) 2年秋 4試合 1勝0敗 14回2/3 11安打 4四死球 18奪三振 防御率 0.00 3音春 10試合 1勝1敗 20回2/3 21安打 15四死球 13奪三振 防御率 3.48 3年秋 4試合 1勝2敗 13回2/3 18安打 10四死球 5奪三振 防御率 3.95 こうやってみてみると、彼が登場した2年秋の投球のインパクト・成績が一番だった気がする。むしろ今年などは、惰性で投げている感じすらしてくるような、何か伝わって来るものがない投球を続けていました。この成績をみてもわかるように、3年春・秋は、四死球が多く投球に徹しきれなかったので、防御率もかなり悪くなっている。少なくても3年時までの成績を見る限り、投手としては素材型の域を脱していないことはおわかりだろうか。 (投球フォームを考える) では今後の可能性として、投球フォームを検証し、その可能性を模索してみたい。 <広がる可能性> ☆☆ 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側に落とせません、そのため身体を捻り出すスペースが確保できないので、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種の習得は厳しいでしょう。 また「着地」までの粘りがなく、身体を捻り出す時間も確保できません。このことが、キレのある変化球や曲がりのある変化球を習得できない大きな要因になっています。今のままだと、投球の幅を広げて行くことも厳しそうです。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは抱えられているわけではないのですが、最後まで身体の近くにはあります。そのため、ある程度コースを投げ分けることは出来ています。むしろ問題なのが、足の甲で地面を押し付けているようには見えます。しかし実際ボールは、真ん中~高めに集まってしまう方が彼の場合問題。「球持ち」も悪いように見えないのですが、指先の感覚が悪く、細かいコントロールがつきません。パッと見、動作自体に大きな欠点はないように見えるのですが、腰高のフォームがボールを浮かす大きな原因ということでしょうか。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻を落とせない割に、カーブやフォークなどの負担のかかるボールは投げません。また振り下ろす腕の角度にも無理は感じないので、元来肩に負担のかかるフォームには見えません。これで故障したのは、何故なのか?正直、外からみる感じからはよくわかりません。日頃からのアフターケアなど、怪我の再発には注意してもらいたいものです。 <実戦的な術> ☆ 「着地」までの粘りに欠けるので、打者としては合わせやすいフォーム。身体の「開き」も自然と早くなり、甘くない球でも、踏み込まれて打たれてしまいます。 また意外に手足が長い体型の割に、投げ終わったあと身体に絡んできません。そのため速球と変化球の見分けもつきやすく、打者の空振りを誘えません。また下半身の体重移動が不十分なので、ボールにうまくウエートが乗せられていません。そのため球威のある球が、打者の手元まで行かないわけです。 (フォームのまとめ) 結局ポテンシャルの高さで二刀流を続けてきましたが、深く物事を追求しようという習慣がないのか、投球内容・フォームに成長の跡が感じられません。高校時代から、技術的に課題の多い選手でした。しかし大学になっても、その辺の問題は殆ど変わっていません。これは本人の取り組みだけでなく、周りの関係者の責任も重いのではないのでしょうか。 (最後に) 現時点では、技術的にも、実際の投球にも課題が多く、例え怪我が回復しても今のままでは厳しいだろうという気がします。非常に感覚的にプレーしている選手で、問題意識を持って取り組んできた跡が見られません。こうなると、ボールがゆかなくなればオシマイなわけで、投手としては厳しいように思います。まずは自分自身を見つめなおし、何が問題なのか考えること。そして、そのためには何をすべきか、そういったことを習慣的にして行かないと、自分の技量など伸ばせるはずもありません。次回は、野手としての可能性について、検討してみたいと思います。投手としては、ここまでの選手ではないのでしょうか。 (2012年 春) |
岡 大海(明治大)投手 184/78 右/右 (倉敷商出身) |
高校時代は、投打に注目されたドラフト候補。ただ個人的には、打者としての方が目立っていたように思える。しかし今は、明大で投手として活躍。ボールの勢い・威力だけならば、野村 祐輔(広島1位指名)をも、今や上回るものがある。 (第一印象) 高校時代は、もっとボテッとした体型だったような。今や余分な肉が削ぎ落とされて、体の使い方もシャープになってきた。投球フォームは、どことなくメジャーリーガー斎藤隆を彷彿とさせる。 (投球内容) 常時145~MAX150キロの球を投げ込み、グワ~ンと手元まで迫ってくるボールの勢いは本物。その球に加え、巨人の澤村のような一度浮き上がってから曲って来るようなスライダーに、カットボール、スプリット・チェンジアップと球種も多彩。ただボールは適度に散っているものの、まだまだバラついている印象は否めない。低めに伸びてくる球も少なくないので、これがきっちりコントロールできるようになると、手がつけられなくなるだろう。 元々野手の経験が豊富なので、牽制も鋭く、クィックも1.2秒前後とまずまず。ただピッチングをしっかり組み立ててくるとか、駆け引きするというたタイプではなく、まだまだ力で押してくるリリーフタイプといった投球。 (投球フォーム) お尻が一塁側に落とせない上に、着地までの粘りに欠けるので、どうしても速球に近い感じで変化するスピードのある変化球が主体に。遅い球で緩急をつけたり、大きく縦に落ちるような球の習得には向いていない。 グラブが内にしっかり抱えられないので、両サイドの制球が安定しない。足の甲の押し付けは深いので、ボールが低めに行くことも多い。ただリリースが安定していなく、指先の感覚は良くない。将来的にも、細かいコントロールを身につけられるかは厳しいのではないのか? テイクバックが大きすぎて、体の「開き」が早いのが最大の欠点。そのため打者からは、球筋を見極められやすく、甘くない球でも痛打されることになる。それでも腕の振りは好いので、速球と変化球の区別は困難なのだろう。そのため手元で小さく変化する球が、有効ではないだろうか。 (最後に) すでにボールの勢いは、大学球界でもトップクラス。ここからは、いかに制球を向上させつつ、実戦的な投球を磨いて行くかが求められる。 ただ課題は多いが、それ以上にポテンシャルで圧倒することが許される稀な存在。要所だけを抑えつつ、上手く長所を生かして欲しい。その要所を見極めることこそ、野球人のセンスである。 (2011年 神宮大会) |
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岡 大海(岡山・倉敷商)投手 184/78 右/右 |
「かなり癖があるんだよな。」 昨夏から、中国地区屈指の強打者として注目されてきた選手。150メートル弾も放ったことがあると云われるそのパワーで、野手としての評価がもっぱら高い逸材だ。 (走塁面) 一見あまり早そうに見えない選手なのだが、一塁までの塁間を緩めても4.6秒弱(左打者換算で4.3秒弱に相当)。本気で走り抜ければ、4.4秒(左打者換算で4.1秒)ぐらいで、駆け抜けられる身体能力はありそうだ。通常塁間の目安となるのは、 3.9秒弱 プロで足を売りに出来るレベル 4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類 4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム 4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える となる。ただ彼の場合、岡山予選の5試合で盗塁は0個が示す通り、身体能力はあっても走塁への意欲は低く、盗塁などもするようなタイプではない。よほど今後走力に目覚めない限りは、足を売りにするタイプではないだろう。 また上記の数字は、左打者の目安であり、通常右打者の場合、タイムから、0.3秒を引くと、同等の走力が計測することが出来る。ただし、セーフティバントや左打者が一二塁間に引っ張ったような、最初から一歩目のスタートをきっているような場合は、参考資料とはならない。 (守備面) 守備に関しては、フィールディングなどの動きなどは悪くない。基準~それ以上のものがあるだけに、三塁、一塁、外野手などぐらいならば、適正はあるように思える。特に投手としても、甲子園でMAX144キロを記録したように、大型三塁手として育てて見るのと面白いのではないかと云う印象は持つ。少なくても強肩なので、ライトあたりでの適正は期待出来そうだ。 このことからも、持ち得るポテンシャルは、充分にプロの走力・地肩・運動能力を持っており、ただ打つだけの選手ではないところは、評価に値する。 楽天 (打撃スタイル) 対応 :2~4球目ぐらいから打ちに来るなど、比較的ボールを見てくるタイプ。 狙い球:球種に関係なく、真ん中~外よりの球を好む傾向が強いようだ 打球 :左中間に引っ張ったり、右方向にはじき返したりと幅広い かなり癖のあるフォームなので、内角球の捌きは窮屈だ。そのため打てるポイントは、真ん中~外角の球が多い。打球は、巻き込んで左中間あたりから、センターバックスクリーン方向にも打球が伸び、右方向に打ち返すことなどもあり幅広い。 当たればボールを飛ばせる能力を持つが、本質的には広角に打ち返す中距離タイプだと私は考える。 (打撃フォーム) 上記の動画は、2年夏のものだが、この夏のフォーム分析をしても、癖のあるフォームは殆ど変わっていなかった。 <構え> ☆☆☆ 前足を軽く引いて打席に立ち、グリップの高さは平均的も、脇を閉じ捕手側にグリップを引きながら身体の近くに添えると云う癖のある持ち方。 腰の据わりはそれほどでもなく、全体のバランスはヨロシクない。両目で前を見据える姿勢も並。ただグリップを付近を軽く揺らぎ、打席の中で力みを感じないのは好いだろう。 <仕掛け> 平均的仕掛け 平均的な仕掛け 投手の重心が下がってきて底に到達したときに始動 これが、最も平均的なタイミングでの始動となる。このスタイルは、ある程度の対応力と長打力をバランス良く兼ね備える万能型。主に中距離打者や打点を多く稼ぎたいポイントゲッターが多く採用するスタイルだ。ただ一見完璧そうに見えるこのスタイルも、実はアベレージ打者なのか、長距離打者なのか、どっちともつかずの特徴の見えにくいスタイルに陥りやすい。個性のない打者の多くが、このスタイルを採用しているケースが多い。 <下半身> ☆☆☆ 足をまわし込んで来るスタイルで、変化に対応しやすい幅の広い打撃が意識出来る。そのため対応力も見かけ以上にあり、岡山予選でも打率.563厘をマークするなど、思った以上に打率を残している。 真っ直ぐ踏み込んで来るタイプで、内角の球でも外角の球でも捌きたいと云う、彼の意志が感じられる。こういった幅の広いタイプは、基本的にスラッガーには少ないタイプだ。 踏み込んだ足下が、インパクトの際にブレない。そのため身体の開きやパワーロスを抑えることが出来、ボールにしっかりエネルギーを伝えることが出来る。ただ踏み込みの際に、足のつま先が開いているので、あらかじめ腰の回転を誘発しやすいスイング・悪くいえば腰の開きが早いフォームになっている。ただ足下がブレないので、開きもある程度のところで抑えることが出来ている。外角への厳しい球を打つのは厳しいが、外角の甘めの球ならば、充分これで捌くことは出来るだろう。 <上半身> ☆☆ あらかじめ捕手側にグリップを引いているので、「構え」から打撃の準備段階である「トップ」(バットを振り出す位置)までのグリップの移動にはロスがない。ただこうやってあらかじめグリップを引く選手は、いつも云うようにリストワークが固くなりやすいので、膝を柔らかく使える選手に限られる。ただ彼はそういったタイプではない。またこういった打撃をするのは、アベレージタイプの打者に多く、彼のような中距離~長距離の強打を売りにするタイプではどうかな?と云う気がしなくもない。ただそのおかげで、トップをいち早く作れており、ボールに立ち後れる心配は薄い。 グリップを身体の近くに添えて構えている割に、バットを振り出す時は、随分身体から離れて振り出される。それでも上からバットが出ている上に、インパクトの際にはヘッドがそれほど下がっていないので、ドアスイング気味ではあるが、そこまで大きなロスは感じない。 ヘッドスピードは、ドラフト候補としては並ぐらいだが、ボールを飛ばす肉体のポテンシャルが高いので、打球自体は速い。スイングの弧自体は、多少のロスは感じられるものの、それほど大きいと云う程ではない。また打ち終わった後も、グリップがそれほど高い位置まで引き上がって来るタイプではないので、天性のスラッガーと云う印象は薄い。 <軸> ☆☆☆ 自分からボールに向かって行くタイプで、頭の動きは激しく、目線のブレは生じやすい。腰の逃げも早く身体の開きも早いのだが、足下がブレないのである程度のところで止めることが出来ている。軸足は強く安定しており、見かけ以上に波は少なそうに見えるが、身体が突っ込むことが多いので、それも一概に言えるかは微妙だろう。この選手にボールを飛ばす可能性を感じるとするならば、この軸足に強さを感じる点だろうか。 (打撃の3大要素) 1,ヘッドスピードが基準を満たしているのか? 2,ボールがしっかり見えているのか? 3,的確にミートポイントで、常にボールを捉えることが出来ているのか? この観点いえば、ヘッドスピードは基準レベル。ボールを見る目の良さは、それなり。ただ的確にミートポイントで射貫いているかと云うミートセンスに関しては、少々疑問を持つ選手だろうか。現状は、かなり癖のあるフォームで、まだまだ粗い印象は否めない。 (今後は) 身体能力も基準を満たしており、ボールを飛ばす才能もあることから、指名して来る球団はあるかもしれない。ただ個人的には、中距離タイプだと考えているので、ポテンシャルはあっても、守備・走力が何処まで実戦的なのかには疑問が残るし、対応力を含めた粗さは気になるところ。 タイプ的には、アマでちまちま育てるタイプの強打者ではないと思うが、指名を決断するのは、かなり勇気のいるタイプなのかなと思えてくる。それだけに、まずはレベルが高い強豪大学や社会人あたりで、確かな実力を身につけてからでも遅くはないかなと考える。3,4年後、アマを代表する強打者に育っていることを期待したいし、それだけの資質は秘めている選手だと期待する。文句なしの実績で、プロの門を叩いて欲しい! この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2009年・夏) |