13dy-18


 
amanatu.com




 橋爪 大佑(大商大)内野 174/73 右/両





                  「広い守備範囲が自慢」





ドラフト直前に、関西で大商大の試合を生で見てきた。お目当ては、中日に3位指名されることになる 桂 依央利 捕手。しかし同じチームメイトに、プロ志望届けを堤出している選手がいるということで、それなりに注目しては見ていた。ただ見た感じでは、左の好打者タイプでドラフト指名云々の選手ではないなと思って帰ってきた。まさかドラフト当日、育成枠ながらも指名されるとは思っても見なかった。ドラフト指名後に行われた神宮大会にも出場、そこで改めて2試合ほど観戦することで少し彼の全容が見えてきた。


守備:☆☆☆☆

 最大の売りは、ニ遊間両方を担える守備にあると言えます。しかし私は、二塁手のプレーしか確認出来ていないので、その観点から述べたいと思います。

 とにかく、守備範囲の広さは特筆もの。なんでこんなところに守っているだというぐらい、深く広範囲に守ることができます。ただし地肩は平均的なので、やはりこの選手は二塁でこそ持ち味が生きるのではないのでしょうか。グラブ捌きもいいですしプレーも軽快で、セカンドならば高い評価は得られそう。


走塁:☆☆☆

 一塁までの塁間は、左打席では4.2秒台、右打席では4.35秒ぐらいで走り抜けていました。走力に関しては平均的で、それほど足を売りにするほどの絶対的なスピード感は感じられません。好打者タイプですが、走力でアピールできるほどではないのは物足りない。





(打撃内容)

 リーグ戦で見たときは三番打者でしたが、神宮大会では二番でした。そういった小技やつなぎのバッティングはできるタイプなのかもしれません。しかし神宮大会の2試合では、ヒットは見られず。1年春こそ.343厘を記録しましたが、以後はリーグ戦でも1割台~2割台と、打撃の弱さが気になります。

 右打席でも左打席でもフォーム分析しましたが、細かい部分に違いはあっても、本質的に好打者タイプであるのに変わりはありません。技術的にも似通っていて、どちらがどうという差も感じませんでした。通常スイッチヒッターは、元々の右打席が長打力があって、左打席は好打者タイプなんていう選手が多いもの。しかし彼は、両打席ともスタイルは似ています。

<構え> ☆☆☆

 左打席では前足を引いたオープンスタンスですが、右打席ではスクエアスタンスで、カカトを浮かして立ちます。左打席ではグリップを高めに添えていますが、右打席では平均的。腰の据わり具合・全体のバランス・両目で前を見据える姿勢などは、平均的だと言えるでしょう。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 左打席の場合、投手の重心が沈む途中で始動する「早めの仕掛け」を採用。右打席の場合は、投手の重心が沈む前から始動する「早すぎる仕掛け」を採用。いずれにしても極めて対応力を重視した、アベレージヒッター的な仕掛けだと言えます。

<足の運び> ☆☆☆☆

 始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも合わせやすい打ち方。左打席は、足をしっかり引き上げて降ろす、踏み込み重視の強く叩くスタイル。しかし右打席では、足をあまり上げずにまわしこんで、タイミングをあわせる感じの動きを魅せます。

 右打席でも左打席でも、真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも幅広く対応したいタイプ。踏み込んだ足元もなんとかブレずに我慢して、外角や低めの球に喰らいつけます。打球も右に左へと、幅広くはじき返し広角打者。

<リストワーク> ☆☆☆

 上半身の動きは、両打席共にほとんど一緒。打撃の準備である「トップ」を作るのは平均的ですが、バットの振り出しはそれほどインサイド・アウトではありません。すなわち、ある程度懐にスペースが欲しいタイプ。その変わり、スイングの弧は大きく捉えてからの反発力は大きいと言えます。

 それでもバットの先端であるヘッドを立てて、大きなロスは感じません。特にボールを捉えるセンス・ヘッドスピードの鋭さも感じず、打撃はやや弱いなという印象は受けます。

<軸> ☆☆☆☆

 頭の動きはそれほど大きくないですし、体の開きは我慢出来ています。軸足にも力強さがあり、大きく形を崩すようなことはありません。

(打撃のまとめ)

 通常右利きの選手ならば右打席の方が力強いのですが、この選手の場合むしろ強く叩けるのは左打席のように思います。これは恐らく、右打席よりも圧倒的に左打席で振り込んでいることが多いからもしれませんが、メカニズム的にもそういった特徴が見られます。

 ただしいずれにしても打撃に関しては、プロのそれではないのでプロの指導でいかに才能を伸ばせるかでしょう。打撃がネックで、早期退団ということにならなければ好いのですが・・・。


(最後に)

 改めて神宮大会で見直してみても、打撃の弱さ・走力が並な印象は否めません。いかに自慢の守備で、アピールして行けるかでしょう。これでショートもハイレベルに守ることができれば、プロでも長く生き残って行くことができるかもしれません。今後どんな野球人生を歩むのか、注意深く見守ってみたいと思います。


(2013年 神宮大会)