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斎藤 英輔(青山学院大)投手 178/76 右/右 (青森山田出身) |
「好調時のボールはビッグ3」 好調時のボールは、今年のドラフト候補の中でも、3本の指に入るのではないのだろうか。しかし昨年そういったボールを見られたのは、シーズン中ではなく、日米野球の選考会だった 平塚合宿 のあたりだけ。この春もシーズンを棒にふり、ようやく秋のシーズンに戻って来た。 (投球内容) ゆっくりと、足をうねりあげるように足を引き上げて行きます。 ストレート 常時140キロ台~MAX91マイル(145.6キロ) まず気になるのは、好調時にはドラフト候補でも3本の指に入るであろう程のストレートを投げる彼が、どの程度スピード能力を回復しているのかということ。この日は、先発ということもあり、リリーフ時よりは抑え気味だったのかもしれません。それでも神宮のスピードガンでは、MAX147キロまで記録。実際にストレートの勢いは、8割・9割は回復しているように感じます。ただ昨年見た時の、150キロ前後を連発していた時のような、ストレートでグイグイ押せる迫力はまだありません。 コントロールは、おおよそ両サイドには散らせますが、ストレートが上吊る傾向は変わりません。ストライクを先行させて有利にピッチングをすすめるとか、ここぞという時に狙って決められる本当のコントロールがないのは気になります。 変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップ 変化球は、縦・横二種類のスライダーと緩いカーブ、それにチェンジアップなどがあります。昨年見た時は、少し球速を殺したカットボールで上手くカウントを整えていた印象がありますが、今回はそういった球はよくわかりませんでした。 変化球の精度も、ストライクゾーンの枠の中でカウント稼いだり、速球との緩急で相手のタイミングをズラすことは出来ても、相手を仕留めきるほどの球がなし。この秋のリーグ戦でも、18回2/3イニングで三振は12個ですから(1イニングあたり0.65個)、平均的だと言わざるえません。 その他 クィックは、1.05秒前後と素早いものの、鋭い牽制は見られず、あっさり盗塁を許す場面も少なくありません。そういった走者を背負った時の投球に、まだまだ課題があると言えるでしょう。 (投球のまとめ) ボールの勢いは8割・9割回復してきていますが、課題である制球力・変化球、それに投球術に改善は見られず。高校2年の時に、甲子園で145キロ級のボールを投げ込み、翌年までの成長を期待されましたが、そのまま伸び悩んで最終学年を終えてからも、殆ど成長が感じられない部分。今は短いイニングを、いかにスピードで圧倒できるかにかかっています。 (最後に) 今回は細かくフォーム分析は致しませんが、課題が改善されていないことを見ると、特にフォームを大きくいじってはいないのではないのでしょうか。 すでにプロ志望届けを提出しているように、プロ志望の強い選手。力で勝負したい選手だけに、ちまちまアマで実戦力を高めることを目指すべきかは微妙でしょう。 課題が克服出来ていませんし、また怪我の不安もよぎりますから、高い評価は各球団できないでしょう。能力は好いものを持っているので、下位指名ならば指名して来る球団が出てきても不思議ではありません。好い時の思わず唸らされるボールを見てしまうと、厳しいよなと思っていても、何か賭けてみたいと思わせる選手ではあります。あとは、指導力のあるチームに入団して、欠点の改善・修正を図れることを期待します。即戦力としては計算できませんが、上手く導けば面白いとは思います。 蔵の評価:☆ (2013年秋・東都リーグ戦) |
斎藤 英輔(青山学院大3年)投手 178/76 右/右 (青森山田出身) |
「久々に凄い斎藤をみた」 日本代表を決める平塚合宿において、久々に凄い球を投げる 斎藤 英輔 をみた。この日投げた投手の中でも、斎藤の指にかかったボールは際立っていた。今年のリーグ戦では、スッカリ疲れきった彼の投球をみるか、見に行っても投げなかったりと、物足りないシーズンが続いていただけに、この日の斎藤は返って新鮮に見えた。 (投球内容) 中背ながらガッチリした体格で、馬力を感じさせる投球。 ストレート 常時145キロ前後~MAX92マイル(147.2キロ) この日のMAXは、私のスピードガンで92マイル。更にこのすぐ後に行われた、全日本VSベイスターズ戦では、MAX150を記録。この球速表示以上に感じさせる、ボールの勢い・ボリューム感があり、こういった球が投げられる選手は、2013年度の東都リーグには他にいないだろう。このストレートをコンスタントに投げられる状態ならば、ドラフト上位指名は間違いない。ただ、この投球がいつも出来ないところに、この選手の問題がある。 ハッキリ言って、細かいコントロールはありません。あくまでもストライクゾーンの枠の中に集めるといった感じで、ボールも高めに浮く球も少なくない。細かいことを気にせずに、ボールの威力で圧倒するのが、この選手の投球スタイル。 変化球 スライダー・カットボール・チェンジアップ 明らかにストライクゾーンでカウントを整えのが、カットボールなのだろう。スライダーは、曲がりながら沈むので、一見スライダーには見えない代物。他にどうも、チェンジアップ系の沈む球もあるように思える。変化球も上手く低めにコントロールできればいいが、制球はアバウトなので狙って中々三振は奪えない。 その他 ランナーへの目配せはするものの、牽制などを殆どみられない。そのためベイスターズとの壮行試合では、ルーキーの桑原将志に、二盗、三盗を決められるなど走者への甘さを露呈した。クィックは、1.1秒前後と、基準を満たすたけのタイムで投げ込めているのに。 (投球のまとめ) けしてコントールや投球術、変化球に見栄えのする投手ではないので、ストレートが走らない時は退屈な投手です。しかし指にボールがかかった時の勢いは、2,013年度の候補の中でも、指折りのものがあります。150キロ近い速球で押す姿は、まさにドラフト上位の球。そういった姿を、今年いかに安定して見せられるのかが、ひとつ大きなチェックポイントではないのでしょうか。 (成績から考える) 何処か痛めているのを誤魔化し誤魔化し投げているのか、中々良い時の投球をみることができません。これだけのボールを投げながらも、通算で6勝程度。なんとも、惜しい投手であります。今回もいつものように、ファクター別に成績を考えて行きます。 通算 33試合 6勝7敗 112回2/3 81安打 50四死球 90奪三振 防御率 1.92 1,被安打はイニングの70%以下 △ 中央の大学リーグの選手なので、被安打は70%以下を設定したい。そうやって考えると、被安打率 71.9% 基準を満たしていない。これは、やはりアバウトな制球力が影響して甘い球を痛打されているのではないのだろうか。 2,四死球は、イニング1/3以下 ✕ 四死球率は44.4%で、基準である33.3%を大きく上回る。やはり本当のコントロールがないので、無駄な四死球が目立つ。特にプロのような圧倒的打力がある相手だと、仕留め切れないままカウントが悪くなり、結局四球ということを繰り返し、ヒットを打たれなくても失点を重ねる、そういった危険性も考えられる。 3,奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◯ 奪三振率は、1イニングあたり0.8個。一応、先発しての数字は基準を満たしている。ただ上のレベルを想定すると、仕留めきれるほどの変化球に乏しいので、結構苦労するのではないか、そんな気がしている。 4,防御率は、1点台以内 ◯ 通算の防御率は、1.92 。1点台後半ということで物足りないが、中央のリーグであることを考えると、まぁ基準は満たしている。特に2年春は、0.36でリーグ1位。2年秋も1.06で2位 と、持っている能力が高いことは、すでに証明されている。 (データからわかること) やはり実際の投球で見た通り、制球がアバウトであることは気になる材料。あとの部分も、まだ絶対的な数字ではないので、今のままの内容ならばプロで即戦力になり得るのかは微妙だと言わざるえない。 やはり最終学年で、どのぐらいのピッチングを、年間通して魅せてくれるのかが、大きなポイントとなりそうだ。 (最後に) ハマった時のストレートの威力は、今年のドラフト候補でも3本の指に入るぐらい素晴らしい。その投球を安定して発揮できること、ワンランク上の制球力・変化球の習得、このことを示すことができれば、1位指名の12名に入って来ることになりそうだ。ぜひ昨年のリーグ戦はピリッとしなかっただけに、今年はリーグ戦でもモノの違いを魅せつけて欲しい。彼が復調してくれば、ドラフト戦線も大いに盛り上がるだろう。 (2012年 平塚合宿) |
斎藤 英輔(青森・青森山田)投手 178/78 右/両 |
(どんな選手?) 昨夏の甲子園でも登板し、145キロを記録し、一躍注目された選手。しかし、この一年では完全に伸び悩んだまま、最後の夏を迎えてしまった。 (投球内容) 甲子園の東農大二戦では、リリーフとして登場。すべて投げ込んだ球は、ストレートだったのではないのだろうか。殆どの球が140キロ台を記録し、MAX143キロまで到達していたが、球速表示ほど球に勢いは感じさせない球質で、むしろ内容的には昨夏の方が良かったのではないのだろうか。 昨夏は、威力こそイマイチだったが、スライダーを投げ込んでいた。しかし青森予選では、11回2/3イニングで、奪三振は僅か5個と、その球速の割に、三振が奪えないことが気になるところ。 現状は、球は速いが課題の多い投手であると考えて間違いないようだ。もう少し、別の試合の模様を観て、投球の詳細を詰めたいと思う。 (今後は) まあ、高卒プロはないと考えて良いだろう。また、この一年では殆ど伸びていないと言うか、むしろ退化しているように見えるのだが、その原因はなんなのだろうか? 速い球が投げ込められると言う意味では、希少価値のある選手であり、今後も大学などで野球を続けて行ける素材だろう。ストレートを活かす術・投球をまとめる能力など課題は多いが、一つ一つ地道に課題をクリアして行って欲しい。素材的には面白いものを持っているので、3,4年後にはドラフト候補として騒がれる存在になっていて欲しい。このままで終わる男ではないと、信じている! (2009年・夏) |
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斎藤 英輔(青森・青森山田)投手 176/73 右/両 |
「球のボリューム感は、ドラフト級!」 青森の逸材と云えば、MAX146キロを記録する下沖 勇樹(光星学院)投手が、すでに全国的に知られた存在である。しかしそのライバル校である青森山田には、彼以上の才能を持った剛球投手がいる。その男の名前は、斎藤 英輔。 作夏の甲子園、スカウト達が甲子園を去ったあと、この男はベールを脱いだ。けして無理をしなくても、常時140キロ以上をマークし、最速で145キロを記録。少し目の肥えた人が見れば、彼が来夏、ドラフト候補として注目される存在であることは、その球を見ればわかるはずだ。球威と球速を兼ね備えた本物のストレートを投げ込む男に、今回は注目してみたい。 (投球スタイル) 甲子園での投球は、常時141~MAX145キロ。球威と球速を兼ね備えたボリューム感のある速球が、ミットに突き刺さる。それも、けして無理して力を絞り出しているのではなく、ごく自然にそういった球を投げ込む彼のキャパシティの高さに、私は驚かされた。 それでも甲子園と云う大舞台、やはり彼も緊張していたのだろう。その速球の多くが、指先には引っかからず、ストライクゾーンの枠より遙かに高いところまで、抜ける球が多かった。 変化球は、スライダーとのコンビネーション。現状この球に、特別な威力は感じられなかった。作夏の青森県予選では、僅か2回2/3イニングながら、奪三振は5個。四死球も0個だったことを考えると、彼はまだまだ自分の力を充分に出し切れていなかったかもしれない。 ただ現状は、球の勢いで圧倒するタイプで、やはり細かい制球力はなく、また絶対的な変化球は、持っていないのではないかと考えられる。青森山田は、秋の東北大会に駒を進めたが、2試合とも斎藤は、リリーフとして登板。それが、彼の現状を物語っているかもしれない。 (投球フォーム) いつものように「野球兼」の2008年12月9日更新分に、彼の投球フォーム連続写真が掲載されているので、そちらを参照しながら読み進めて欲しい。 <踏みだし> ☆☆☆☆ 写真1を見ると、ワインドアップで振りかぶった時の、背中の反り具合・お尻の大きさや肉の盛り上がりなどを見ると、やはり華奢と云う感じはしない。170センチ中盤の体格から、苦になく140キロ台をすでに連発出来る背景には、背筋や下半身の筋力が、かなり高いからだと推測される。 また写真2までの、足を引き上げる勢いがあり、その高さは並ぐらい。フォーム序盤から勢いをつけて高い捻出力を得る、典型的なリリーフタイプの投手なのかもしれない。 <軸足への乗せとバランス> ☆☆☆ 写真2の軸足の膝から上に注目してみると、膝がピンと伸び気味で、力みが感じられるところが気になる。その辺が、余計な力が入り、制球を乱す一つの要因になっているのかもしれない。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと 1,フォームに余計な力が入り力みにつながる 2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい 3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い などの問題が生じる。 ただ全体的なバランスは、真上に直立するような形では立っておらず、ある程度バランスが取れている印象を受ける。 <お尻の落としと着地> ☆☆☆ 写真3の際には、お尻の一塁側への落としは、さほど悪くないように見える。更に身体が突っ込まないように、幾分二塁側(見ている我々の方向)に、足を送り込むことでバランスを取っている。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しやすいことにつながるからだ。 ただ残念なのは、これでも写真4までの着地が早く、全く粘りを感じさせないところなのだ。着地を遅らせる意味としては 1,打者が「イチ・ニ~の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ~の」の粘りこそが、投球動作の核となる。 2,軸足(写真後ろ足)~踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。 3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。 通常フォームと言うのは、上半身の回転と下半身の回転が一致し、最大限のエネルギーが発揮出来る箇所がある(ボクシングのストーレートを打つとイメージしやすい)。野球の場合、その回転の一致を見つけることが、最も理想的なフォームであるように思える。 ステップが広すぎず、狭すぎず。すなわち重心が立ち投げにならない程度で、それでいて深く沈みすぎない箇所と言うのが必ず存在する。そのため日本古来の指導だと、膝小僧に土が着く程の重心の沈み込みが良いとされたが、それに関しては私は沈み込み過ぎだと考える。どうしてもステップが広過ぎると、踏み込んだ足と軸足の間にお尻が沈んでしまい、前に体重が乗って行かないからだ。その辺は、フィニッシュの動作を見ていると、何処が適正だか見えて来る。ただ間違っても重心の沈み込み過ぎを回避するために、お尻を一塁側に落とさないで良いと言う、浅はかな指導だけは避けてもらいたい。お尻の一塁側への落としとは、その深さではなく、むしろ横のポジションニングを指しているからだ。 <グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆☆ 写真6を見ると、投げ終わったあとでもグラブを内に抱えることが出来ている。グラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。 写真5の右足スパイクに注目してみると、足の甲で深く地面を捉えているのがわかる。ただ残念なのは、その時間が非常に短く粘りに欠けるのだ。足の甲で地面を押しつける意味としては、 1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ 2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える などの働きがある。これだけ見ると、もう少し彼のコントロールが良くてもと思うのだが、それ以外に制球を乱す要因があるのだ。 <球の行方> ☆☆☆ 写真3を見ると、前の肩と後ろの肩を結ぶラインが、打者に真っ直ぐ伸びてしまいボールを隠せていないのがわかる。ただ写真4の着地の瞬間には、大きく胸を張り、ボールを持った腕は頭の後ろにあり、球の出所は見難い。けして身体の開きが早いわけではないようだ。 気になるのは、写真4の時のテイクバック~写真5のリリースまでが、低い位置から高い位置に向かって行われているところである。通常腕の振りと云うのは、高いところから低いところへ向かって投げ降ろすから、ボールはストライクゾーンに収まるのだ。極端な言い方をすると、下から上に向かってリリースするような投げ方だと、どうしても高めに球が浮いてしまう。テイクバックの時に肘を上げて、更に地面に向かって振り下ろす軌道に変えないと、この高めに球が浮く傾向は修正されないだろう。ここが、将来的に改善出来るのかが、この投手の一番のポイントだと考える。 腕が下がっている分、無理な腕の引き上げはないので、身体への負担は小さいだろう。また球持ち自体も悪くはないように見える。ボールを長く持つ意味としては 1,打者からタイミングが計りにくい 2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる 3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい などがあげられる。 <フィニッシュ> ☆☆☆☆ 腕の振りが非常に鋭く、写真6のフィニッシュの場面でも、腕が身体に絡みついている。また前へも重心が乗っており、それでいて意外に投げ終わったあと、バランスを崩すこともない。 (投球フォームのまとめ) 投球フォームの4大動作である、着地・球持ち・開き・体重移動の観点で見ると、着地の粘りの無さが顕著で、フォームに淡泊さを与える。この粘りの無さと、下から上に向かって球を押し出す、腕の軌道を修正することが、この選手の今後に大きな影響を及ぼしそうだ。 楽天 (最後に) 馬力のある球を投げ込むと云うことに関しては、2009年度の候補でもトップクラスの素材だろう。ただ現状は、ただの球の速い奴で終わってしまう可能性も否定出来ない。それだけに、課題を克服しないと、完成度不足と云うことで、指名に至ることは難しいと考える。素材としては、非常に面白いものがあるのだが・・・。またあともう一つ注文があるとすれば、やはりプロを目指すのであれば、もう一回り、二回り身体が大きくなって欲しいかなと云う願望がある。このままだと、単なる中背の力投派で終わってしまうからだ。この課題をクリアして来ると、一躍上位候補に躍り出られる可能性を秘めている。春に、また会えることを楽しみにしている! この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2008年・夏) |