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猿川 拓朗(岩手・花巻東)三塁 181/80 右/左 |
(どんな選手?) センバツでは、145キロ級の球を連発して、投手として個別寸評を残した程の選手です。ただ今大会は、まだ登板なし。そこで野手として、取り上げてみたいと思います。 (守備・走塁面) 選抜では一塁手でしたが、この夏は三塁手として出場しておりました。キャッチングには少々危なっかしさを感じますが、ボールへの反応も良く、深いところからでも、自慢の強肩でノーステップでもアウトに出来る選手です。長崎日大戦では、散々打球を飛んで来ましたが、見事にノーミスでボールを処理しておりました。見た目のごつさで心配になりますが、よく鍛えられていると思います。 走力に関しては、塁間4.55秒弱ぐらいと、正直動ける選手ではありません。元々打撃で勝負といったタイプなので、走力がないのはご愛敬と言うことで。 大型野手だけに、三塁手としてソコソコ守れたところをアピール出来たのは良かったと思います。ただ走力がないので、その辺をどう評価されるのか気になるところです。 (打撃内容) 非常にごつい体格をしているので、構えた時から威圧感があります。元来、それほど本塁打連発と言うタイプではありませんが、ツボにはまればスタンドインのパワーは充分秘めていそうです。 やや脆い印象は相変わらずですが、長崎日大戦では三遊間・センター前へとヒットを放っておりました。強烈な打球で、野手の間を抜く、存在感のある強打者です。 (今後は) センバツ後の練習試合で、彼を生で見ましたが、実際投手としての力量・可能性はあるものの、完全にマウンド捌きなどは、野手そのもので、将来的にも投手としてはどうかな?と不安を覚えました。 ただ野手にしても、まだまだ粗い選手で、上のレベルで確実にモノになると言う程のレベルにはまだありません。今後も野球を続けて行く素材だと思いますが、その打力を何処まで高めて行くかが重要だと思います。少し長い目で、見守って行きたい選手でした。ただ、やはり投手・猿川も、ぜひこの夏見てみたいところです。 (2009年・夏) |
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猿川 拓朗(岩手・花巻東)一塁&投手 181/80 右/左 |
「こんな投手が、控えていたなんて・・・」 センバツ大会も10日目になって、ようやくこの男はベールを脱いだ。まさか2009年度のドラフトの目玉・菊池雄星のいる同じ花巻東に、もう一人こんな超逸材が控えていたことは、私にとってセンバツ1のサプライズであった。 それまでは、チームの4番・一塁手として出場。下級生の頃から、強打者として注目されてきた。しかし今回は、投手・猿川 拓朗 として考えてみたい。 (投球スタイル) 上記の動画を見て頂けるとわかると思うが、恵まれた体格を生かした速球派投手である。その素材のスケール感に、センバツ組でもトップクラスの可能性を強く実感させられる。 ストレート 135~MAX145キロ ノーワインドアップから繰り出される球の勢い・球威・球筋などは悪くない。更に本格的に投手としてのトレーニングに集中出来れば、伸び+球威・+球速のボリューム感溢れる速球が期待出来そうだ。 スライダー 115~120キロ弱 スライダーといっても、縦に割れる割合の強いスライダーを投げてくる。速球とのコンビネーションで、投球に欠かせない球となっている。 カーブ 100~110キロ弱 緩急・カウントを稼ぐと言う意味でも、重要な役割を果たしている。やや腕の振りから、上のレベルで使える代物なのかは微妙だが、高校生レベルならば投球にアクセントを付ける意味でも重要だろう。 その他 元々内野手と言うこともあり、フィールディングもまずまずで、クィックも1.1秒台と素早く、大型の素材型の割には、投球以外の部分は出来ている。ただ投球の「間」の取り方など、総合的な投球には、それほどセンスを感じられるタイプではないので、現状は短いイニングで、エネルギーを集約させる投球の方が、向いている印象は強い。 <右打者に対して> ☆☆☆ アウトコースに速球とスライダーを集めてきつつ、カーブを投げて投球にアクセントを付ける。ただ気になるのは、カーブが真ん中高め近辺に、スライダーが比較的高めで曲がるため、狙われると痛打を浴びることが多そう。 ただボールが先行して、投球を苦しくすると言うほどでは、制球は悪くないようだ。将来的に縦の変化などが覚えられそうなフォームだと、まだまだ可能性は広がって行くのだが。 <左打者に対して> ☆☆ 基本的に右打者と違い、スライダーを生かすことが出来ない。そのため速球とカーブ中心の配球となっている。そして何より、ストライクゾーンの枠の中に投げるだけと言う感じで、コースの投げ別けは出来ないなど制球力に課題を残している。 (投球のまとめ) まだまだ球の威力に頼ったピッチングスタイルで、制球力・変化球・マウンド捌きなどに課題を残す。ただその割には、クィックやフィールディングなどは上手く、意外に器用な一面も伺える。 (投球フォーム) 将来的に縦の変化などを身につけられるかは、投球フォームによるところが大きい。そこでいつものように「野球拳」の2009年4月30日更新分に、彼の投球フォーム連続写真を掲載してあるので、そちらを参照して頂きたい。 <踏みだし> ☆☆☆ まず、写真1を見て欲しい。ノーワインドアップで構え、かなりお尻が大きなところが目につく。両足の横幅をしっかり取り、速球派ながら制球を重視しているのが伺われる。 写真2までの足の引き上げは、ゆっくりで高さは平均的。どちらかと言うと自分の「間」を重視して投げているので、ランナー背負ってからのピッチングに課題を抱えるタイプなのかもしれない。フォーム序盤のエネルギー捻出としては、それほど際だつものはない。 <軸足への乗せとバランス> ☆☆☆☆ 次に、写真2の軸足の膝から上が、真っ直ぐ前に伸びていないか注意して欲しい。それほど膝に余裕があると言う程ではないが、身体が直立はしていない。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと 1,膝に余計な力が入り、力みにつながる 2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい 3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い などの問題が生じる。彼の場合、背中上手く後方に預けバランスを取ることが出来ている。そのため軸足の股関節への体重の乗せ具合や全体のバランスも悪くない。 <お尻の落としと着地> ☆☆☆ 写真3を見ると、引き上げた足をピンと高い位置で伸ばせている。こうなるとお尻は、一塁側に落としやすい。また幾分捕手方向に足を送り込むことで、突っ込みやすいバランスを保つことが出来る。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労することにつながるからなのだが、彼の場合そういった心配はない。 ただ残念なのはここまで素晴らしいのだが、写真4の着地までに、全く粘りなくあっさり地面を捉えてしまっているところだ。これでは、お尻を一塁側に落とした意味も半減されてしまう。着地を遅らせる意味としては 1,打者が「イチ・ニ~の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ~の」の粘りこそが、投球動作の核となる。 2,軸足(写真後ろ足)~踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。 3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。 などの効果がある。通常フォームと言うのは、上半身の回転と下半身の回転が一致し、最大限のエネルギーが発揮出来る箇所がある(ボクシングのストーレートを打つとイメージしやすい)。野球の場合、その回転の一致を見つけることが、最も理想的なフォームであるように思える。 ステップが広すぎず、狭すぎず。すなわち重心が立ち投げにならない程度で、それでいて深く沈みすぎない箇所と言うのが必ず存在する。そのため日本古来の指導だと、膝小僧に土が着く程の重心の沈み込みが良いとされたが、それに関しては私は沈み込み過ぎだと考える。どうしてもステップが広過ぎると、踏み込んだ足と軸足の間にお尻が沈んでしまい、前に体重が乗って行かないからだ。その辺は、フィニッシュの動作を見ていると、何処が適正だか見えて来る。ただ間違っても重心の沈み込み過ぎを回避するために、お尻を一塁側に落とさないで良いと言う、浅はかな指導だけは避けてもらいたい。お尻の一塁側への落としとは、その深さではなく、むしろ横のポジションニングを指しているからだ。 <グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆ 写真6を見ると、グラブは最後まで身体の近くにある。グラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。 ただ写真5の右足スパイクに注目してみると、足の甲の押しつけが浅く、やや重心が高くなってしまっている。足の甲で地面を押しつける意味としては、 1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ 2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える などの働きがある。 <球の行方> ☆☆☆ 写真3を見てみると、前の肩と後ろの肩を結ぶラインが、打者に真っ直ぐ伸びてしまいボールを隠すことが出来ていない。いわゆる打者に正対するのが早いと言うことになる。また写真4の着地の時点では、ボールを持った腕は打者から見え始めている。すなわち身体の開きが早く、球の出所が早いことを示している。これでは、例え150キロ級の球を連発しても、その効果は薄いだろう。 ただ写真5の腕の角度を見ると、無理がなく適正な角度で振り抜かれている。そのため身体への負担は小さく、故障のし難いフォームだと言えそうだ。更にリリースポイントに注目してみると、球持ちはかなり長くボールを持っているのがわかる。ボールを長く持つ意味としては 1,打者からタイミングが計りにくい 2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる 3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい などがあげられる。 <フィニッシュ> ☆☆☆ 写真6のフィニッシュに注目してみると、綺麗に縦に腕が振り抜かれ、身体にも投げ終わった腕が絡みついている。ただ残念なのは、地面の蹴り上げに乏しく、上手く体重移動が出来ていないことが、伺うことが出来る。 (投球フォームのまとめ) 大型の割に、投球フォームに破綻がない一方で、特筆すべきポイントも見つからない。投球フォームの4大要素である、着地・球持ち・開き・体重移動の観点では、着地・開き・体重移動に課題を抱えるなど、まだまだ実戦的な技術には欠ける印象は強い。ただお尻の落としが出来る選手なので、着地までの時間を稼げるようになれば、将来的に緩急の効いたカーブやフォークのような縦に鋭く落ちる球種を身につけることは、けして不可能ではないだろう。プロ入り後の最も大事な要素の一つに、こういった緩急・縦系の修得がポイントにあがるのだが、彼にはそういった心配は薄 (最後に) 素晴らしい肉体的なポテンシャルに恵まれた素材で、センバツ組の中では、菊池・今村に次ぐ素材としての魅力がある。ただあくまでも素材型であり、まだまだ技術的には課題が多い。そんな中、夏までにどのぐらいの上積みを魅せてくれるのか期待したい。個人的に投手・猿川の投球は、センバツ組一番の収穫だった。 蔵の評価:追跡級! この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2009年・センバツ) |
(どんな選手?) 花巻東の4番・一塁を務める選手で、旧チームから目立つ存在でした。ただ確かに強打者ではあるのですが、長打連発と言うよりは、アベレージ傾向の強いタイプです。また打者としての才能よりも、将来的には投手として期待したい選手でもあります。しかし今回は、野手としての部分にクローズアップして取り上げたいと思います。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、4.55秒前後と左打者としては、かなり遅い部類です。新チーム結成以来の41試合で2盗塁と言うように、完全に足を売りにするタイプではありません。 一塁手としても、それほど上手いと言うわけではないと思います。むしろ投手が、一塁も兼ねていると考えた方が、自然なのかもしれません。 (打撃) 左打席から、足を早めに引き上げ回し込むスタイルです。それだけに着地までに時間を稼ぎ、幅のある打撃が出来るのが特徴です。特に打球をレフト方向に流す打球が多く、ミートポイントでボールを捉えるセンスも悪くありません。またヘッドスピードは鋭く、球足が速い選手です。 (今後は) ただ守れない・走れないと言う上に、アベレージ傾向が強いので、けして対応力は低くありませんが、かなり選択肢は狭まり評価されにくい選手だと思います。打者としても上のレベルで野球を続けては行けると思いますが、やはり才能は断然に投手としての方だと思います。エースの菊池の陰に隠れておりますが、本格的に投手としての才能を磨いていって欲しい選手ではないのでしょうか。次回は、投手としてじっくり考察してみたいと思います。 (2009年・センバツ) |
はっきりしたサイズはわからないのですが、大型打者です。2年生でチームの4番を任されており、構えや打撃スタイルが、元ベイスターズの鈴木尚典に良く似ております。この選手も、レフト方向へ打ち返す技術を有し、スラッガーと言うよりは、アベレージ傾向の強いタイプかと思われます。 残念なのは、左打者ながら塁間4.5秒台(基準は4.2秒)と言う走力の無さ・一塁と言うアピール度の薄いポジション。守備・走での魅力に欠けるところでしょうか。ただ秋季大会では、大型左腕としても登板していたようです。 打撃に関しては、背筋を伸ばした構えで、グリップを下げ気味に添え、非常にリラックスして打席に立てているのが良いです。始動も平均的な中距離タイプ。足をまわし込んで着地するタイプなので、打てるポイントが広い選手だと言えるでしょう。 スイング軌道も良いのですが、気になるのはトップを作るのが少し遅いこと。打撃の準備段階のトップ(バットを振り出す位置)が遅れると、どうしてもスイングが後手後手になり、速い球に対応仕切れなくなります。軸足にも強さを感じ、粘りのある下半身が魅力です。 こと打撃技術に関しては、かなりレベルが高いことがわかります。安定した強打で、09年度の岩手大会を盛り上げてくれる選手だと思います。打撃でガンガンアピールして、次への扉をこじ開けていって欲しいと思います。 (2008年・夏) |