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関谷 亮太(24歳・JR東日本)投手 180/83 右/右 (日大三-明治大出身) |
「不安定」 2015年度の 関谷 亮太 は、投げて見ないとわからない不安定な投球が続いた。明大4年の時の、日米大学野球で魅せた快刀乱麻の投球をイメージする人も多いと思うが、あの当時の絶対的なボールの威力・安定感は今はない。ストライクが全く入らず試合を壊したり、ボールを制御して物足りないピッチングをする、そんな関谷の投球が続いた一年だと言える。 (投球内容) 社会人に入り、より角度を活かす投球フォームに変えたせいで、どうも自分のリリースポイントが掴めていないのではないかという疑問が残る。それが上手く制御できるときは、持ち前のゲームメイクできる技術を魅せるつける反面、制御できないとストライクを取るのすらままならない状況に陥る。そのどっちが顔を出すかは、投げてみないとわからない。 ストレート 130キロ台後半~MAX148キロ 元々明大時代の関谷は、常時140キロ前後で試合をまとめてくる好投手タイプだった。しかし4年春は絶好調、その勢いで挑んだ日米大学野球ではコンスタントに145キロ前後を出せるまでになり、イメージが変わってくる。もし大学4年時にプロ志望届けを提出していれば、間違いなく3位前後で指名されただろう。 その後の関谷は、140キロ前後で試合をまとめる時と、140キロ台中盤の力のある球を投げ込んで来るときとで、日によってだいぶイメージが違っていた。角度を生かし球威もついてきたボールには見応えがあるが、ストレートのコマンドは低く、コントロールを乱れ出すと修正できない。キャパを落として投げている時でも、結構真ん中や高めのゾーンに甘く入ってくることが多い。いずれにしてもこの投手の投球は、いかにストレートが制御できているかで決まる。 変化球 フォーク・スライダー・チェンジアップ・カーブなど 元々は、スライダーやチェンジアップなどを織り交ぜる、コンビネーション投手だったと記憶する。しかし社会人に入ってからは、フォークとのコンビネーションばかりで、先発でもリリーフ投手のような投球に。そのためイニングが進むにつれ、投球が汲々として来るのだ。 フォークの落差は確かにあるが、ストレートが走っていないとこのフォークも見極められてしまう。むしろストレート以上にコントロールできる、スライダーやチェンジアップでカウントを整えつつ、威力のあるストレートやフォークを勝負どころに持ってくる配球はできないのかと疑問が残る。余裕が出てくれば、ブレーキの良いカーブもあるのだから。 フォークへの依存度をもう少し緩和し、スライダー・チェンジアップでカウントを整うことができれば、もっと投球は楽になるはず。元々変化球のコマンドもキレも、けして低い選手ではないのだから。 その他 走者を刺すような、鋭い牽制を持っている。特に二塁牽制が上手く、この点は候補の中でもトップクラス。フィールディングは、無理にアウトにしようとせず、丁寧に確実に処理するタイプで平均的。クィックは1.15秒前後であり、標準的なタイムだと言える。 (投球のまとめ) 今年は、ストライクも全然入らないようなピッチングを魅せられたかと思えば、プロ相手に老獪に抑えるピッチングを魅せる時もある。しかし彼のピークと思われる、大学4年夏の日米大学野球。あるいは、社会人1年目に相手を見下ろすように投げていた、都市対抗予選の頃から比べると、信じられない一年だった。 ただしアンバランスだったピッチングが安定してくれば、やはり今年の社会人の先発候補ではNO.1の投手だという評価は変わらない。この辺は、投手育成にも定評がある、ロッテの手腕にも期待したい。やはり今年の社会人の投手の中で、二桁を意識できる投手は、この選手しかいないだろう。 (成績から考える) 今年春先の成績~都市対抗予選までの(本戦と日本選手権は計算に入れず)成績を合計して、傾向を考えてみた。ちなみにその下には、ルーキーイヤーの成績を載せているので、比較検討してみて欲しい。 15年度 9試合 29回1/3 28安打 8四死球 28奪三振 防御率 3.07 14年度 17試合 71回2/3 66安打 23四死球 60奪三振 防御率 2.39 1、被安打はイニングの80%以下 △ 被安打率は、95.6%(昨年は92.2%)と、今年も昨年も基準を満たしていない。ヒットの多くは、甘く高めに浮いたストレートが多く、ストレートのコマンドの低さが課題としてあげられる。また社会人に入り、フォークとの単調なコンビネーションになり、打者からは的が絞られやすくなったことにも大きな原因がありそう。 2、四死球は、イニングの1/3以下 ◯ 全くストライクが入らず試合を壊すイメージが大きいが、今年の四死球は27.3%(昨年は32.1%)であり、むしろ昨年よりも良くなっている。別の見方をすれば、ストライクが全く入らず試合を壊した試合も含まれての数字だから、ボールが制御できている時の四死球率は遥かに低いことがわかる。 3、奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◯ 縦の変化を多投するように、1イニングあたりの奪三振率は 0.96個と極めて高い。昨年も、0.84個と先発投手としての基準を超えている。現状の被安打の多さからも、今の関谷は先発よりもリリーフでの方が持ち味が出るタイプなのではないのだろうか。 4、防御率は2点台以内 △ 防御率は、3.07と僅かにファクターには届かず。しかしこれは、無失点で降板した都市対抗や日本選手権などが含まれていないので、実際は2点台まで到達していたかもしれない。 昨年度は、2.39 という防御率なので、絶対的なではないものの、基準を満たすだけのものがある。 (成績からわかること) 全くストライクが入らず試合をぶち壊した試合を何試合か見たものの、数字そのものは昨年よりも良化している部門も少なくない。都市対抗以後の投球が未確認に終わっていたが、それ以後はリリーフで登板する機会が多かった。また一時体調を崩し、登板していない時期も存在する。 現状の不安定さを考えると、先発よりもリリーフの方が計算が立ちやすい・即戦力になりやすいという感じがする。先発にするにしても、少なくても最初は、リリーフから段階を踏んで先発に移行する形が良いのではないのだろうか。 (最後に) まずは、ストレートとフォークだけで押すようなピッチングはやめるべきだろう。カウントを整えピッチングを広げることができる、スライダーやチェンジアップを織り交ぜ、その中で速球やフォークを有効的に使ってゆくべきではないのだろうか。好調時のコンビネーションは、手がつけられない。 また今年のルーキーの中でも、1年目から二桁を意識できるのは、大学生の 今永 昇太(駒沢大-DeNA1位)投手・多和田 真三郎(富士大-西武1位)投手が、無事怪我から回復して投げられた場合。そして安定感を取り戻した時の、この 関谷 亮太 の3人のみではないのだろうか。 今年の不安定さからいって、来年確実に二桁勝てるという確信は持てないものの、自分の投球を取り戻せばその資格を持つ3人のうちの一人だと評価する。しかし今年のピッチングを見ていると、より即戦力・計算がたつのは、やはりリリーフではないのだろうか。全くダメという不確定要素は秘めているものの、新人王の可能性も充分秘めた選手だと言える。そういった選手を、2位で指名できたのだから、ロッテは面白い指名をしたとも言えるであろう。果たして来年、どちらの関谷が顔を覗かせるのか? 蔵の評価:☆☆☆ (中位指名前後ならば) (2015年度 都市対抗) |
関谷 亮太(24歳・JR東日本)投手 180/82 右/右 (日大三-明大出身) |
「社会人NO.1投手」 今年の社会人候補の中では、頭一つ抜けた存在なのが、この 関谷 亮太 。明大時代でもプロ志望届けを提出すれば、2位か3位あたりで消えていただろう存在。JR東日本に進んでからも、都市対抗予選や都市対抗本戦魅せた堂々たるピッチングでエースとして君臨。順調に行けば、一年目から10勝前後を期待できる力があると言える。2015年度になっても、DeNAとのプロアマ交流戦で、5回を無失点で抑える好投。順調な滑り出しをしたとみて良いだろう、あとは本番である都市対抗予選や本選において、どのぐらいのパフォーマンスを示せるかではないのだろうか。 (投球内容) 昨年よりも腕の角度をむしろ緩和したのではないかというフォームになっている。もっと背中をのけぞって投げていた感じのフォームが、2015年度では多少元のフォームに戻りつつあるのかなと感じられたのは気のせいだろうか? ストレート 常時135~MAX88マイル(140.8キロ) DeNAとのプロアマ交流戦では、まだ2月だということもあり、大学下級生時ぐらいの常時135~MAX141キロの程度の球速に留まっていた。そのため見た感じでは、ストレートが手元まで来ている感じはしなかった。また2回ぐらいまではボールも高めの甘いゾーンに浮いており、結構危なっかしい投球だったのを、うまさで切り抜けていた印象。 しかし昨夏の都市対抗の時期ならば、常時140キロ前後~中盤を連発。大学4年時の日米野球の頃なんかは、140キロ台中盤を連発し、ストレートで押すという今までの関谷のイメージを一変させる投球を魅せている。ストレートに関しては、夏場に向けていかに上げてゆくかで、彼の評価も定まって来るだろう。 変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ・カットボール・ツーシームなど この選手は、完全に変化球とのコンビネーションで仕留めるタイプ。特に緩いカーブが一つアクセントになり、的を絞り難くしている。更に右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップなどを織り交ぜつつ、追い込むとフォークという絶対的な武器があり、相手から狙って空振りを誘うことができる。 そういった組み立てや、どうすれば相手を抑えられるかの術を、非常によく熟知している。これは、元々が球速の物足りない好投手タイプだったゆえに、力に頼らない仕留める術を培ってきたからではないのだろうか。 その他 牽制は、走者を刺すような鋭いものを混ぜて来る。特に二塁牽制で、走者を刺せる選手は中々いない。クィックは1.15秒前後と平均的で、フィールディングも並といったレベルだろうか。 (投球のまとめ) 元々持っている投球術やセンスが高く、それを活かしたピッチングでゲームメイクができる。多彩なコンビネーションを織り交ぜつつ、追い込むとフォークという絶対的武器を持っている。どうすればゲッツーが取れるのか、どうすれば三振を奪えるか、逆算としてピッチングが組み立てられる数すくないアマチュアピッチャー。 (投球フォーム) 実際フォームが変わっているのか、改めて観てみましょう。比較の対象となるのは、大学4年生時のフォームですが。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 引き上げた足を、高い位置でピンと伸ばせており、お尻は一塁側に落とせます。そのため体を捻り出すスペースは確保できており、カーブやフォークといった球種を投げるのにも無理はありません。 「着地」までの粘りも、適度に前に足を逃がせており、悪くはないでしょう。体を捻り出す時間もそれなりなので、いろいろな変化球をモノにできる下地があります。実際多彩な変化球をすでに操っていますし、その精度・キレも悪くないです。この辺は、大学時代と変わっていません。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲での地面への押し付けは出来ているのですが、それほど長く地面を押し付けられていないように見えます。そのため充分な下半身のエネルギー伝達や、低めにコンスタントに集まるという部分では、不安定なのかもしれません。 <故障のリスク> ☆☆ お尻を落とせるフォームなので、カーブやフォークといった体を捻り出して投げるボールでも、肘を痛める要因にはならないように思います。 しかしながら背中を後ろに傾けながら、腕を執拗に上から振り下ろすので、背中~肩にかけての負担は尋常ではありません。昨年とくらべても、それほど緩和されていないことがわかりました。そういった意味では、年間とおして良い状態を維持できるのかが、やはりこの選手の最大のチェックポイントではないのでしょうか。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りは悪くなく、体の「開き」も大学時代よりは抑えられているように思います。それでも、極めて平均的ではあるのですが。 腕は体には絡んで来るものの、それほど腕の振りが良い方ではありません。またボールに体重がグッと乗って来るタイプではないので、その辺が手元まであまりボールが来る感じがしない理由ではないのでしょうか。この辺の微妙なバランスが、まだ自分の中で掴めていないのかもしれません。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、いずれも大きな欠点はないものの、優れた部分もない平均的なフォームだということがわかります。肩への負担が大きいのと、ボールが上吊りやすいなどの欠点もあり、けして実戦的だと推せるフォームではありません。 (最後に) ルーキーイヤーは、あまりに角度を意識しすぎたフォームと、フォークに依存しすぎるピッチングが心配でした。しかし今年の投球を見ると、フォークだけに頼らず、いろいろな球を活かした投球が実践出来ていたことには好感が持てます。 この方向性で、都市対抗に向けてストレートを磨いてゆけば、充分に期待に応えうる活躍ができるのではないのでしょうか。けして凄みのある投手ではありませんが、確かな実力の持ち主。順調に行けば、今年の社会人NO.1 その地位は揺らがないだろうなというのが、確認出来た試合でもありました。投球フォームに関しては、大学時代からそれほど変わっておらず、思ったほど負担を軽減されているわけでもないようです。むしろ社会人では、より角度を意識したフォームにしているといいます。それだけ肩への負担の大きなフォームであり、年間をとおして良い状態を持続できるのかが見極めのポイントではないのでしょうか。 いずれにしても、今度は都市対抗予選・本選あたりで、どんな投球を魅せてくれるのか、そこで最終的な評価を決めて行ければと思っています。 (2015年 プロアマ交流戦) |
関谷 亮太(明治大・4年)投手 180/82 右/右 (日大三出身) |
「日米野球で燃え尽きた」 3年制までの 関谷 亮太 と言えば、135キロ~140キロ台前半ぐらいまでの球速でもあり、ドラフト候補というよりはアマの好投手との印象が強かった。しかし日米大学野球の全日本メンバーに選出され、その舞台で投げた関谷は140キロ台中盤を連発。元々総合力の高いピッチングに加え、ボールの威力を増したのだから、ドラフト候補と見て間違いない内容だった。 しかしその日米野球で燃え尽きたのか? 秋のリーグ戦では、反動が出てイマイチ。3年春から4年春まで続けていた防御率1点台の成績から、最後の秋は 4.38 と低迷した。しかし日米野球の投球を見た人間からすると、この春進むJR東日本でも、エース格としての活躍が期待される。年間通した活躍ができるのかが、社会人でのポイントではないのだろうか。 (投球内容) ノーワインドアップから、背中をかなり後ろに傾けて投げる独特のフォーム。腕を真上から、振り下ろしてきます。 ストレート 常時130キロ台後半~MAX147キロ それまでは、130キロ台中盤~出ても140キロ前半で、ボールにも自己主張の薄い球でした。しかし4年春になり、そのストレートの勢いが増します。特に大学選手権では、MAXで145キロを記録。日米野球では、先発をしてもMAX147キロまで到達し、ボールの勢い・伸びにも見るべきものがありました。日米野球の時の関谷の投球は、全日本でも一番だったのではないのでしょうか。 そのストレートを、外角中心に集めてきます。両サイドに投げ分けるコントロールは良いのですが、全体的にストレートは真ん中~高めに集まりやすい傾向にあり、ボールがかなり走っていないと時々痛打を浴びます。 変化球 スライダー・チェンジアップなど 主な変化球は、曲がりながら落ちる独特のスライダーとチェンジアップ。更に、カーブやシンカー・ツーシームなども投げて結構コンビネーションは多彩。変化球のキレ・精度も悪くないのですが、気になったのは右打者の外角低めに投げているスライダーを、意外に簡単にはじき返されてしまう点。普通あそこに決めていれば、ゴロで仕留められそうなものなのですが・・・。いずれにしても、変化球とのコンビネーションで勝負して来るタイプです。 その他 素晴らしいのは、牽制の技術。特に二塁牽制で刺せる技術を持っている選手は、中々いません。クィックも1.15秒前後でまとめられ、ほぼ基準レベル。フィールディングに驚くほどの上手さは感じませんが、冷静に処理できているのではないのでしょうか。 (投球のまとめ) 凄みのなかったストレートに、一時期とはいえ凄みが出たのは、彼の今後の可能性を知る上では大きかったはず。コースにボールを散らせながら、打たせて取るのが身上だった投手が、力で空振りが取れる能力もあるということを証明。 そういった投球を、年間を通じて発揮できるだけの基礎体力・筋力・精神力を養えば、プロでも即戦力で二桁勝利の期待をも抱けます。社会人の2年間で、そういった体づくりができるのかどうかが、今後の観戦ポイントではないのでしょうか。 (投球フォーム) <広がる可能性> ☆☆☆☆ 引き上げた足を、高い位置でピンと伸ばせており、お尻は一塁側に落とせます。そのため体を捻り出すスペースは確保できており、カーブやフォークといった球種を投げるのにも無理はありません。 「着地」までの粘りも、適度に前に足を逃がせており、悪くはないでしょう。体を捻り出す時間もそれなりなので、いろいろな変化球をモノにできる下地があります。実際多彩な変化球をすでに操っていますし、その精度・キレも悪くないです。 <ボールの支配> ☆☆☆ グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲での地面への押し付けは出来ているのですが、やや押し付け自体が遅く、その効果が薄いように思います。そのためボールは上吊りやすいのかもしれません。更に「球持ち」も悪くはないのですが、もう少しボールを押し込めるようになると、もっと低めにボールが集まるのではないのでしょうか。 <故障のリスク> ☆☆ お尻を落とせるフォームなので、カーブやフォークといった体を捻り出して投げるボールでも、肘を痛める要因にはならないように思います。 しかしながら、背中を後ろに傾けながら腕を執拗に上から振り下ろすので、背中~肩にかけての負担は尋常ではありません。春季大会~日米野球まで休みなく高いパフォーマンスを示した反動で、秋はまともに投球できませんでした。故障や疲労が非常に溜まりやすいフォームであり、リスクが高いのは間違いないでしょう。それ故に、社会人で年間を通じての活躍ができるのかが、チェックポイントになるわけです。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りは悪くないのですが、体の「開き」は少し早いように見えます。そのためコースを突いた球でも、打ち返されてしまうのではないのでしょうか。外角低めに決めたスライダーを、簡単に打たれたのはそのせいでは? 私がフォーム分析をしたのは秋季リーグのものだったのもあるのでしょうが、秋は振り下ろした腕が身体に絡まないなど腕が振れていなかったのも気になります。これでは、速球と変化球の見極めがされても仕方ありません。ボールへの体重の乗せ具合、下半身の体重移動は悪い選手ではないので、その点は悲観しなくて良さそう。 (フォームのまとめ) フォームの4大要素である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」と「球持ち」が少し物足りません。この辺をもう少し社会人で意識して取り組めるようだと、より実戦的なフォームになるのではないのでしょうか。 またボールが上吊りやすい点、肩への負担が極めて高い点などが、気になる材料としてあげられます。 (最後に) 日米野球では、全日本で一番信頼できる投手は 関谷 だったと誰もが思ったことでしょう。そのぐらい、あの当時の彼の投球には素晴らしいものがありました。 パワフルなアメリカの打者達を相手に充分通用したのですから、好調時の投球を維持できれば、社会人での活躍、プロでの即戦力への期待も高まります。それだけ基礎となる投球術・変化球・制球力にもしっかりしたものを持った投手だから。 まずは、体の立て直しに成功して状態を戻すこと。そして課題を克服しつつ、年間を通した活躍ができれば、2年後は上位でドラフトされるはず。そういった力のある投手として、今後も見守って行きたいですね。あえて日米野球の投球から、☆ をつけてみたい選手でした。プロ志望届けを提出していれば、ドラフト指名されたでしょう。 蔵の評価:☆☆☆ (2013年 秋季リーグ戦) |
関谷 亮太(日大三)投手 180/78 右/右 |
(どんな投手?) 2年春の春季関東大会の時に、初めてみた選手です。均整の取れた体格・投手としてのセンスの良さ、フォームの土台の良さなど、将来が非常に楽しみな投手です。しかし今年に入りその成長ぶりを確認しに、春季東京大会に足を運んだ時は、正直伸び悩んでいてガッカリでした。しかし、今回の甲子園では、立て直しに成功し、その素材の良さを改めて実感させてくれました。 (投球フォーム) 柔らかいの身のこなしのフォームの投手で、土台の良さを感じさせます。また、その投球は、まさに「投球の出来る投手」といった感じで、マウンド捌きにもセンスの良さを感じます。 球速は、常時130キロ台後半~MAX141キロ。球威・球速に際だつものはありませんが、球筋が良く高い将来性を感じさせます。変化球は、カーブ・縦・横二種類のスライダーがあるのでしょうか?特に狙って落とせる球があるのも、投球の幅を広げております。また左打者には、シュート回転して沈むチェンジアップも多く投げて来ます。 右打者には、両サイドを適度に投げ分けて来ます。特にインハイを厳しく突くことが出来る選手です。左打者には、チェンジアップと速球のコンビネーションです。ただ制球はアバウトで、特に武器でもあるチェンジアップが高めに甘く入る時は要注意です。 牽制も鋭く、フィールディングも上手いです。ただクィックは、1.3秒前後と、けして上手くありません。マウンド捌きは洗練されており、「間」を調節して投げたりと、投球にもセンスが感じられます。典型的な先発タイプの好投手です。 (今後は) 恐らく有力大学に進むことになると思います。まだ絶対的な凄みはありませんが、順調に伸びれば3,4年後はドラフト上位候補として注目されるだけのものがあると思います。ただ課題は、綺麗で素直なフォームだけに、その素直さをいかに補って行けるのか。ただその素直なフォームは、筋力UPをすれば、それがそのまま結果に反映されやすいタイプかと思います。先輩である近藤一樹(オリックス)の高校時代に比べると、球のキレでは劣りますが、投手としてのセンス・総合力ではヒケを取らない、いやそれ以上のものがあるかもしれません。将来が非常に楽しみな投手だと、改めて実感させてくれる投手でした。 (2009年・夏) 個人的には、全く知らない選手でした。骨太で均整の取れた体格の本格派です。球速は、まだ120キロ台後半~130キロ台前半程度ですが、ボリューム感のあるビシッとした速球と癖のないフォームに、来年への期待が高まる本格派です。 特にスライダーなど含めて、現状際だつ球速・変化球などがあるわけではないのですが、フォームの土台の良さと投手としての破綻の無さ・フィールディング・牽制などからも、野球センスも悪くないように思えます。一年で見違えるような投手になれる可能性を秘めているだけに、覚えていて損のない投手ではないのでしょうか。 (2008年・春季大会) |