13dp-26


 
amanatu.com




福倉 健太郎(第一工業大)投手 178/70 右/右 
 






                      「5年後しの悲願も実らず」





福倉 健太郎 という男は、私にとって特別な存在だった。そのきっかけとなったのは、彼が3年生の春沖縄で行われた春季九州大会にさかのぼる。私は大会期間中に、噂で「鹿屋中央の福倉というのが150キロ近く出す」との話を耳にしてからだ。そこで私は、北谷球場で試合を確認したあと、すかさず福倉が試合をしている宜野湾球場に車で向かうことにする。しかし当日宜野湾球場周辺では催しがあり、球場周辺の駐車場に止められるところがなかったのだ。土地勘のない私は、仕方なく北谷球場に戻った記憶がある。その時から私にとっては、福倉投手は悔しい思いをした投手として脳裏に刻まれることになる。

 そんな福倉は、第一工業大に進む。第一工業大でも、その速球を武器に活躍するも、3年秋からは肩を故障して公式戦で全く登板がなかった。それでも彼は、プロ志望届けを堤出していたのが、私にはどうしても気になっていた。そしてドラフト会議では、西武にから7位指名されることになる。

 ドラフト後、まだ彼を確認できるチャンスが残っていた。それは、神宮大会の九州代表を決める予選において、まだ彼の所属する第一工業大が残っていたからだ。しかし台風接近に伴い、なかなか飛行機の予約を取るのにはためった。更に公式戦の登板がずっとなかったこともあり、私はその翌日の試合に狙いを定めていて、その試合に勝ったら見にゆくてはずだった。彼は、予想どおり3年秋以来の登板を果たすも、チームは負け私は観る機会を失ったまま、大学生活を終えたのである。

 彼を見たことがない私にとっての唯一の手がかりは、ドラフト会議前日に放送された彼の特集番組。その動画だけを頼りに、今回は簡単な印象を述べたいと思う。もちろん全くわからない選手なので、フォームから推測できる話を中心に進めて行きたい。

(投球内容)

 3年秋以来となる公式戦登板となった九州国際大戦では、試合序盤からリリーフし、4回1/3 イニングで、3安打 3失点。特に交代した直後に、3ランを浴びたという。それでもMAX148キロまで記録し、そのスピード能力は健在だったことを証明。

 変化球は、カーブ・スライダー・フォーク・ツーシームなどがあり、球種自体は多彩。普段はスライダーで、カウントを稼ぎ、低めのコントロールも安定しいているという。



(投球フォームを考える)

<広がる可能性> ☆☆☆☆

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばすので、お尻を一塁側に落とせます。そのため身体を捻り出すスペースを確保でき、カーブで緩急をつけたりフォークのような縦に落ちる球種を投げるのにも無理がありません。

 「着地」までの粘りも思ったより悪くなく、身体を捻り出す時間もある程度は確保。ただし腕の振りがスリークオーターなので、あまりカーブやフォークなど腕を縦に送り出す球種は、あまり変化しないのではないのだろうか。それでも、そういった球種以外ならば充分ものにして行ける下地がありそう。

<ボールの支配> ☆☆☆

 グラブを最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。また足の甲で地面を押し付けられており重心も沈んでいるので、ボールもあまり上吊らないのではないかと思います。ただし腕が外旋して外からブンと振る分、多少アバウトになっている可能性があります。それでも当初思っていたよりも、制球が好いのではないかと推測します。


<故障のリスク> ☆☆☆

 お尻を落とせるフォームなので、カーブやフォークといった球種を投げても無理がありません。実際に、こういったボールも投げているそうです。

 また腕の角度がスリークオーターなので、角度には無理がありません。しかし先にも述べたように、体の遠くを腕が軌道しそこから強引にリリースして来るので、肩への負担も少なくない。肩を痛めたという話も、なるほどこのフォームだと頷ける部分。今後も今のフォームのままだと、また痛みが再発しかねない。

<実戦的な術> ☆☆☆☆

 「着地」までの粘りも悪くなく、体の「開き」もスリークオーターですが早くはありません。そういった意味では、けして合わせやすいフォームではなさそう。

 腕もしっかり振れており、身体に絡んできます。また適度にボールにも体重が乗せられており、球速だけでなく球威も兼ね備えた球を投げるのではないのでしょうか。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」でも、「球持ち」が浅いことを除けば、非常に実戦的なのに驚かされました。

 コントロールを司る動作に優れ、あとは故障しない身体というのが一番のネックだと考えられます。

(最後に)

 動画からフォーム分析したのと、一部の情報からの推測でしかないので、何処まで実際のピッチングの的を得ているのかは自信がない。ただし復帰した九州国際大戦で148キロ記録するほどのスピード能力があり、それでいて意外に低めにボールを集められたり、球種が多彩だという話もある。それは、フォームを観るかぎり納得するものがあった。

 そういった意味では、かなり好素材ではないかという期待は抱く。それでも高校時代には、肘や膝を痛めその膝にはボルト3本が入っているという。更に大学3年秋からは肩を痛めるなど、満身創痍なのでプロの厳しい環境を考えると不安が残る。

 実際どんな投手なのか、5年後しの悲願は、プロの世界へと持ち越しとなった。ぜひ来春は、直に彼の投球を目の当たりしてみたい。