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岩橋 慶侍(京都産業大)投手 185/75 左/左  
 


 


                   「変わっているのかと言われると疑問」






 

京産大1年の頃は、球速以上に感じさせる勢いのあるストレートが魅力の投手でした。しかしリーグ戦で活躍するために、制球を重視したピッチングスタイルになり、確かにコントロールは大幅に向上致しましたが、ボールの魅力は薄れました。最終学年では、そんなピッチングに変化が出るか注目していました。

(投球内容)

 セットポジションながら、足をダイナミックに引き上げて投げ込んできます。しかしテイクバックを小さめで、ボールを置きに行くような腕の振りが気になります。

ストレート 常時130前後~135キロ

 大学選手権では、スピードガン表示の厳しい東京ドームでの登板でした。そのため球速表示より5キロ程度は、コンスタントに速く感じるキレはありました。また球筋にも角度が感じられ、ボールを低めやコースに集められる制球力は高く評価できます。この春も74回2/3イニングで、四死球は24個で、四死球率は31.1%とイニングの1/3位内に抑え安定しています。

変化球 スライダー

 殆どは、速球と曲がりながら落ちるスライダーとのコンビネーションで投球が組み立てます。その球をストライクゾーンに入れたり、低めのボールゾーンに投げて振らせたりとしますが、三振はズバッと好い所に決めたストレートで、相手の見逃しで奪うことがが多い感じ。

 三振自体は、74回2/3イニングで51個であり、1イニングたり 0.68個 と平均的な数字に留まっています。基本は、低めやコースに集めて、打たせてとるピッチングスタイル。

その他 

 左腕らしく牽制は上手いのですが、クィックはあまり見られません。走者を出しても、ピッチングに集中したいタイプということでしょうか。それとも走者を誘うために、あえて使わないようにしているのでしょうか。

(投球のまとめ)

 コントールが安定しているので、四死球で自滅することはありません。特に「間」や微妙な駆け引きに長けているようには見えませんが、安心して見ていられます。

 ボールに特に凄みはありませんし、フォームにイヤラシさもさほど感じません。悪い投手ではないのですが、パンチに欠ける印象は否めません。コンビネーションも単調なので、イニングが進むにつれて馴れられてしまいます。「コントロールの好い左腕は買い」という私の格言がありますが、あとはどのぐらい実戦的なフォームなのかも重要だと考えます。

(投球フォーム)

<広がる可能性> ☆☆

 足を地面に向けてピンと伸ばしているので、お尻は三塁側に落ちません。そのため見分けの難しいカーブを投げたり、縦に鋭く落ちるフォークのような球種は適さないでしょう。

 また昨年見た映像では、「着地」までの粘りがあるように見えました。しかし今年の大学選手権のフォームを観るかぎり、地面にあっさり足を下ろしてしまっています。そのため体を捻り出す時間が充分確保できず、今後もいろいろな変化球で投球の幅を広げて行けるのかにも疑問が残ります。

<ボールの支配> ☆☆☆

 グラブは内に抱えられず暴れているのですが、テイクバックを小さく取って肘でポイントを作り制球を定めます。足の甲の地面への押し付けも遅いのですが、「球持ち」をよくして指先の感覚でボールを扱います。大胆に腕が振れないのは気になりますが、ボールは上手くコントロールできています。

<故障のリスク> ☆☆

 お尻を落とせないフォームなので、肘への負担は考えられますが、現状はストレートとスライダーぐらいしか投げないので、それほど大きな影響はないのでは?

 また執拗に角度をつけて投げており、けして肩への負担が少なくはありません。ただ力投派ではないので、体へのダメージは大きくないと考えます。フォームには無理はありますが、体を存分に使っていないのでそれほどでも。

<実戦的な術> ☆☆

 「着地」までの粘りの無さがあるので、打者としては苦にならないタイプ。球の出どころも見難いわけではないので、合わせにくいことはないでしょう。それを、コントロールで補います。

 腕の振りも体に絡むようなことがないので、速球と変化球の見極めもそれほどでも。ボールへの体重乗せは悪くないのですが、いかんせん球速不足。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点で言えば、「着地」に課題があり「開き」や「体重移動」は平均的。「球持ち」に良さがあると言えるでしょう。

 制球を司る動作は良くないのですが、肘でポイントを作ったり指先の感覚で補ったりします。また負担の大きなフォームでもありますが、力投派ではないので故障の可能性は低そう。

(最後に)

 球威・球速の物足りなさを、上手くコントロールで補っています。しかしそういったタイプの割に、それほど実戦的なフォームとはいえず、投球やフォームにイヤラシさが感じられません。

 こうなると特徴を見出し難く、現状プロとして推せる材料が足りません。コントロールの良さを生かし全く使えなくはないかもしれませんが、社会人で様子を見た方が得策ではないのでしょうか。特に昨年からの成長が感じられず、伸び代の点でも不満が残ります。1年生の頃からある程度のレベルにあっただけに、現状の投球は期待ハズレ。残念ながら、大学からプロ入りへの評価は出来ませんでした。



(2013年 大学選手権)










岩橋 慶侍(京都産業大3年)投手 185/75 左/左 (京都すばる出身) 





                   「関西で最も注目集める存在」





2013年度の関西の大学球界においては、右の 工藤 悠河(立命館大)と共に、この左の 岩崎 慶侍 が、最もドラフト候補としては注目されるはず。1年春からリーグ戦に登板し、この秋は自らの投球でチームを優勝へと導いた。

(投球内容)

スラッとした投手体型が目を惹くサウスポー。

ストレート 135~140キロ強ぐらい

 球速自体は、135~140キロぐらいと物足りないのですが、糸を引くような球筋の良さが魅力です。以前よりは、球威の無さや高めに集まりやすい部分も、かなり改善されてきているのではないのでしょうか。

変化球 カーブ・スライダー

 変化球は、殆どは曲がりながら落ちるスライダーとのコンビネーション。緩いカーブは、あまり見られません。以前は、右打者に使う変化球がなかったのですが、外角からストライクゾーンに入ってくる外スラを上手く扱えるようになり、これを外角低めにコントロールする術も身につけました。

(投球のまとめ)

 特にマウンド捌き、制球力に破綻はなく、試合を作ることが出来ています。特別微妙な「間」の取り方やコースの出し入れをするような制球力は感じませんが、大崩れしないまとまりは健在です。ただ1年春から、現在のような球は投げていたので、肉体の成長面としては極めて乏しい印象は否めません。

(成績から考える)

 2年秋には防御率1位・3年秋には最優秀投手賞などのタイトルも獲得してます。通算では、40試合 18勝11敗 防御率 1.61。今回は、本格化した2年秋~3年秋までの3シーズンの成績をまとめて考察したいと思います。

この3シーズンの成績は

22試合 15勝4敗 192回 118安打 64四死球 138奪三振  防御率 1.13

1,被安打は、イニングの60%以下 61.4% △

被安打率は、61.5% 。地方リーグの選手だけに、60% を目安にするも僅かに届かず。 まぁ、ストレートとスライダーのコンビネーションだけで、これだけ抑えられるのはある意味凄い。

2,四死球は、イニングの1/3以下 ◯

 四死球率は、ちょうど 33.3% で、イニングの1/3以下に。この数字を満たすように、制球力は悪くないが、絶妙というほどの精度ではないことがわかる。そうこの選手は、それほど細かい制球力までは有していないようだ。

3,奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 △

 奪三振率は、1イニングあたり0.72個。基準は満たしていないが、比較的三振でアウトを取っていることがわかる。キレのある速球が空振りを誘え、スライダーに威力があるので、この球でもある程度三振が奪えるということなのだろう。

4,防御率は、1点台以内 ◯

 通算の防御率は、1.61、この3季では 1.13 と安定感を増している。これまで0点台の絶対的な数字は残していないが、リーグの最優秀防御率やこの秋は、1.04 と限りなく0点台に近い数字を残している。最終学年には、ぜひ 王台 を達成して、文句なしの内容でプロ入りを実現して欲しい。

(データからわかること)

 データ的には、その投球と同様で、絶対的なものがないのが気になるところ。そのためにも最終学年では、あと一歩突き抜けて欲しいという気持ちがある。それでも、目に見えてボールが変わってきているとは思わないが、投球のコツみたいなものは、確実にものにしつつあるのではないのだろうか。

(投球フォーム)

 ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込みます。足はゆっくりですが、高い位置まで引き上げられ、エネルギーを捻出。軸足一本で立った時のバランスも、足を上手く二塁側に持ってきてバランスよく抱えられています。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げられた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は三塁側に(左投手の場合)落とせません。そのためカーブで緩急をつけたり、縦に鋭く落ちる球種は適さない投げ方。

 それでも「着地」までの粘りは作れているので、それ以外の球種ならばモノにできる投げ方。それだけにスライダーだけでなく、もう少し別の球種も覚えて投球を広げて行くことも期待できます。

<ボールの支配> 
☆☆☆

グラブが抱えきれず後ろに抜けてしまうので、フォームが暴れて両サイドへの投げ分けはイマイチ。それでも足の甲で地面を押し付けることが出来ているので、ボールを以前よりも低めに集めることが出来ています。「球持ち」はあまり良いと思いませんし、指先の感覚も並み程度。それほど細かい制球力がないのも、このせいかもしれません。

<故障のリスク> 
☆☆

お尻を落とせない投手ではありますが、カーブやフォークなどを多投しないので、それほど問題ないのでは。ただ腕の角度をみると、グラブを持っている肩は下がり、ボールを持っている肩は上がっているように、肩への負担は感じさせます。また思った以上に力投派なので、意外に消耗の激しいフォームかもしれません。故障には十分注意して、取り組んで欲しいものです。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆

 「着地」までの粘りは悪くないので、けして合わせやすいフォームではありません。「開き」も遅く、ボールの出どころも隠せているように見えます。

 しいて言えば、振り下ろした腕が身体に絡んで来ないなど、意外に腕が振れていないところ。速球と変化球の見極めが、簡単についてしまう危険性があります。それでもボールに体重を乗せられているので、球速の割にボールに勢いを感じます。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」以外は良いフォームだと思います。もう少し腕が絡むぐらいの粘っこさが出てくると、また投球の感じも変わってくるかもしれません。

(最後に)

 まだ投球でも、成績的にも、突き抜けたものがありません。それでもこれだけの成績をあげられるのは、ピッチングがある程度できることと、理にかなったフォームで投げることができるからでしょう。

 左腕で試合が作れる存在として、今年の大学生では3本の指に入るサウスポー。もうワンランク、投球に厚みが出てきたら、上位指名も夢ではないのでは。


(2012 秋)


 







岩橋 慶侍(京都産業大)投手 185/75 左/左 (京都すばる出身) 

(どんな選手?)

 まだ線は細いのですが、スラッとした投手体型の本格派左腕で、球筋も良く将来楽しみな投手です。この春は、9試合に登板して、2勝1敗 防御率 1.82の好成績を残しました。同じく1年生で活躍した山田 和毅(紫野出身)と共に、チームの将来を担います。

(投球内容)

 ストレートは、常時135~MAX87マイル(139.2キロ)を記録するなど、結構勢いのある球を投げ込んできます。ただまだ、ボールにボリューム感はなく、甘く入ると長打を食らう危険性は感じます。実際試合でも、高めに甘く入る球を痛打され、失点を重ねておりました。

 変化球は、カーブ・スライダー。しかし投球の多くは、ストレートで押してきます。特に右打者には、使える変化球が少なく、その傾向が顕著になります。マウンド捌き・制球力などなど、まだまだ総合力は物足りない印象は否めません。

(今後に向けて)

 身体ができてくると、将来は140キロ台をバシバシ記録してくれそうな本格派左腕です。これといった変化球や、投球センスは感じませんが、そうかといって極端にノーコンであったり、力任せで加減がわからないタイプではありません。上手くパワーアップできると、最終学年では、関西を代表する左腕として、プロからも注目される存在になれそうです。

(2010年 春季リーグ)