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高橋 大樹(龍谷大平安3年)外野 181/77 右/右 
 




                「高校NO.1スラッガー」





昨年は、甲子園でも京都府大会でも、ビックリするようなホームランをかっ飛ばしていた 高橋 大樹 。しかし昨年までは、強引なまでの引っ張りる打撃が目立っていた。しかし最終学年になり、右方向への打撃も魅せるようになる。それも、火の出るような、凄まじい球足で。

(プレースタイル)

昨年までは、圧倒的に長打力溢れる打撃が際立っていました。しかし最終学年になり、走塁でもアピールするなど、プレーへの意識がだいぶ変わってきたと言えるでしょう。

(守備・走塁面)

 昨年までは、走力があっても全力では走らなかったり、出塁しても盗塁を仕掛ける機会などは少なかったように思います。昨年計測したときは、一塁までの塁間に4.7秒を費やしていましたが、今年は4.2秒前後。明らかに、意識が変わっていたことがわかります。この4.2秒という数字は、左打者に換算すると3.95秒に相当し、

通常塁間の目安となるのは、

3.9秒弱  プロで足を売りに出来るレベル

4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類

4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム

4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える

その辺の意識の変化は、京都予選の7試合で6盗塁を記録することからもわかります。そういった意味では、上のレベルでも足を売りにできる可能性は秘めているといえるでしょう。

 守備に関しては、可もなく不可もなしといった感じです。プロの右翼手としては微妙ですが、左翼手ならば問題ないレベルだと考えます。ただ問題なのは、肩の故障による影響です。元々中の上レベルぐらいの肩だったのですが、今は8割は回復していると言われても、明らかに送球にかつての勢いはありません。これが今後回復して、以前のレベルまで戻るかはわかりませんが、現状はプロでも左翼手として考えるべきだと思います。昨年からのマイナスポイントは、この守備に関わる部分でしょうか。





(打撃内容)

 元々ビックリするような飛距離がありましたが、今は打球が上るというよりは、ビックリするような打球の速さが目立ちます。この打球の速さ・強さということに関しては、今年見た高校生では、彼がNO.1だと言えるでしょう。

 特に強引な引っ張りも見られますし、何より右方向にも非常に強い打球が飛ばせます。これは、彼の価値を大いに高めたと評価できそうです。

<構え> 
☆☆

 前足を軽く引いて、グリップを高めに添えます。昨年は、スクエアスタンスで足を揃えていましたが、今はボールをより見やすくするために、軽いオープンスタンスを採用。

 元々腰の据わりが良い構えではなかったのですが、今は後ろ足に重心をかけて構えます。しかし両目で前を見据える姿勢や全体のバランスなどを考えると少しいびつで、構えに関しては昨年の方が良かったように思います。

<仕掛け> 早すぎる仕掛け

 始動のタイミングは、昨年同様に投手の重心が下がり始める前に始動する「早すぎる仕掛け」を採用。通常ここまで早い段階で始動すると、まだ投手が自分の投球フォームのタイミングを変えることが可能な段階であり、打者の動きを見てタイミングを崩すことができるのだ。一定レベル以上の野球では、そのためこのタイミングで始動することはない。仕掛けの分類からすれば、完全にアベレージ打者の傾向が強いことになる。

<下半身> 
☆☆☆

 始動~着地までの「間」は充分ぐらいあるので、速球でも変化球でも合わせやすい打ち方。昨年までは、引き上げた足を、相当内側に捻り込んで、その反発で尋常じゃない腰の回転を生み出していたが、今はそこまでのねじり込みはない。

 昨年と変わらないのは、真っ直ぐ踏み込むこと。これにより、内角でも外角でも捌きたいという彼の意思が感じられる。実際に、昨年と違い引っ張っても流しても打ち返せる打者に成長。ただ気になったのは、昨年までは踏み込んだ足元がブレなかったのに、U-18の世界選手権では、インパクトの際に足元がブレてしまっていた。そういった意味では、身体の「開き」が我慢できないスイングになっていたのは残念。

<リストワーク> 
☆☆☆

 早めに打撃の準備である、「トップ」を作ることは出来ている。昨年から観られた、グリップが奥に入る傾向。更に、バットが身体から離れて遠回りに軌道するスイングは、あまり改善されていない。それでもなんとか、バットの先端であるヘッドを立てることで、ドアスイングになるのを防いでいる。
 
特に大きな弧を描くのと、フォロースルーを上手く取れるのは健在であり、上半身の使い方は殆ど変わっていない。ヘッドスピードと打球の速さは、昨年以上に凄みを増してきた。

<軸> 
☆☆☆

 足を上げ下げする割には、目線は安定。昨年は、大きく動く動作で、目線がブレていたのを改善できている。ただその大きな動きを受け止める下半身が不十分になってしまい残念。軸足の形も、打ち終わったあと大きく崩れるなど、軸の安定という意味ではもう一つ。

(打撃のまとめ)

 フォームとしては、大きく変わったところ、変わらないところ様々だった。強引な引っ張りが薄れた分、右方向への打球が増えたことで、バッティングの幅は広がった。かなり独特のメカニズムであるのは確かなのだが、プラスマイナスは0かなぁといった感じだった。

 そのプラス・マイナス0とは、打ちたいところで一発を打つのが薄まってしまったマイナス分。好機で無理なく、右方向への打撃で、チャンスでの打ち損じが減った対応力のプラス分といった感じだろうか。


(最後に)

 こと長打を打つということに関しては、高校NO.1の素材だろう。その彼に、右方向への打撃を覚え確実性が増したことは高く評価したい。

 走力への意識が大きく変わったことも高く評価できるが、肩の故障などで守備面での評価が下がったことは間違いない。ただ長打を売りにするタイプだけに、守備・走力に関しては、そこまで要求する必要はないだろう。恐らくドラフトでは、2位~3位ぐらいで消えることになりそう。和製大砲がいないチームには、ぜひ加えてみたい選手ではないのだろうか。


蔵の評価:
☆☆☆


(2012年 夏)










 高橋 大樹(龍谷大平安2年)捕手&外野 180/75 右/右
 




                   「圧巻の本塁打!」





甲子園でのレフトスタンドへの本塁打も圧巻だったが、京都大会の福祉山成美戦で放ったセンターへのホームランは、センターが全く動かない圧巻の飛距離。中々センターの外野手が、最初から諦める光景というものは見られない。更に続く打席でも、左中間に叩き込んでみせた。一発を放つという意味では、ここ数年にいなかったホームランアーチスト。

(プレースタイル)

 甲子園でもそうなのだが、背番号2をつけていながら、私の観た試合でも右翼の守備に入っていた。現状は、ディフェンス力よりも、完全に打撃で存在感を示している。打席では、カブレラ(ソフトバンク)のように、背中を大きく逸らして打席に入る。すでに下級生にして、只者ではない雰囲気をプンプンと漂わせる。

(守備・走塁面)

 残念ながら捕手としてのプレーを観たことがなく、外野手としてのプレーばかり。右翼手としてのプレーを見るかぎり、打球への反応・追い方・キャッチングという意味では、無難にこなしているといった感じで可も不可もなし。肩もハッキリとはわからなかったが、プロの基準でも中の上レベルはありそうな返球を見せていた。

一塁までの塁間は、4.7秒弱。これを左打者に換算する4.45秒前後とかなり遅い。通常塁間の目安となるのは、

3.9秒弱  プロで足を売りに出来るレベル

4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類

4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム

4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える

 ただ彼の場合、豪快に引っ張るスイングをするので、相当最初の一歩目のスタートが遅いこと。また塁間を全力で走り抜けたタイムではないこと。また走塁への意欲自体が、それほど高くないこともあげられる。持ち得る走力は、もっと速いのは間違いない。ただ走塁への意欲が低いので、将来的にも足が速かろうが、売りにして行くことはないのではないのだろうか。

 現状は、ドラフト候補として観たときに、身体能力があったとしても、守備・走力が高いとは言えない。あくまでも非凡な長打力こそが、彼の評価されるポイントになっている。

(打撃内容)

 では今度は、その自慢の打撃について。実際フォームを見てみるとわかるのだが、非常に癖のある独特のメカニズムで打っている。またもう一つ特筆すべき点は、ボールを見極める「眼」が良いことに驚かされた。

<構え> 
☆☆☆

 スクエアスタンスで、両足を揃えて構えます。グリップは、高めに添えた強打者スタイル。腰はそれほど深く沈めず、両目で前を見据える姿勢や全体のバランスは平均的。ただ常に体を動かし、独特のルーティンを持っている。またカブレラのような背中を逸らすパフォーマンスからしても、相手投手に相当なプレッシャーを与えている。

<仕掛け> 早すぎる仕掛け

 大変興味深いのは、これだけのスラッガーでありながら、極めて早いタイミングで始動している点。投手の重心が下がり始める前に、足を引き上げて来る。通常ここまで早い段階で始動すると、まだ投手が自分の投球フォームのタイミングを変えることが可能な段階であり、打者の動きを見てタイミングを崩すことができるのだ。一定レベル以上の野球では、そのためこのタイミングで始動することはない。

 ただ彼の場合面白いは、ここまで早い仕掛けをする必要があって、非常にボールを打つまでの予備動作が多く、多くの時間を要するのだ。彼の感覚でボールを捉えるためには、ボールを引きつけて叩くのではなく、一連の動きの中でボールを掴まえる「間」が必要なのがわかる。だからこの一見余分な動作にも見える打撃も、彼の独特の打撃を創りだすのには、充分必要なのではないかと考える。あまりにも特殊なメカニズムなので、常識の範疇では捉えにくい。

<足の運び> 
☆☆☆

 早めに引き上げられた足を、かなり捕手側に捻り込んでくる独特の動きを魅せる。まるで投手で言えば、トルネード投法のような動きを、打席で見せているのだ。その強烈な捻りの反発力を活かしつつ、真っ直ぐに踏み出してくる。真っ直ぐ踏み出すということは、内角でも外角の球でも捌きたいという、彼の意志が感じられる。

 ただ現在は、圧倒的に打球を引っ張って巻き込むことしかしてこない。だから打球も、センターからレフト方向に集中している。ただ踏み込んだ足元はインパクトの際にブレないので、意識次第は右方向への打撃も可能だと言えよう。ただ今は、とにかく思いっきり叩くことに主眼を置いているので、右方向への打撃は見られない。

<リストワーク> 
☆☆☆

 あらかじめ捕手方向にグリップを引き、打撃の準備である「トップ」の形は早く作れている。ただ捻りを加える分、相当グリップは体の奥に入り込むが、ボールを捉える時点では体が投手に対し正対しており、それほど悲観することはない。

 ただバットを振り出すときは、体から離れて振り出されている。そのため内角のスペースには余裕なく、窮屈なスイングになっている。ただ面白いのは、一見ドアスイングになりそうなのだが、バットの先端を下げないように意識して、スイングが横に斬るような軌道を辿ること。更にこの軌道を、非常に速いヘッドスピードで振りぬくことで、ドアスイングになるのを防いでいる。

 更にフォロースルーを非常に上手く使える選手であり、ボールを遠くに運ぶことができるのだ。ボールを捉えてから、これにより上手く角度をつけて運んでいる。この技術をできる高校生は、全国的にも殆どいない。一見物凄く癖のあるスイングに見えるのだが、上手く他の部分で修正を加えつつ、自分のスイングに味付を加えている。

<軸> 
☆☆☆

 大きなアクションをしてくるので、目線は大きく動いている。ただその動きの中で、ボールを捉えられる独特の感性を持っている。また一見バラバラになりそうな動作を、しっかり下半身が受け止めつつ、軸足の強さを生かして回転できているという、かなり特殊なスイングなのだ。これはもう通常の指導者では、指導してきれないフォームだろう。ただ不調に入ったときに、そこから脱出するのには、本人の感覚頼みという、難しい打撃でもある。

(今後は)

 こういった選手は、教科書通りの指導をする必要もないし、自分の感覚を信じてプレーをすれば良い。あとはもう本人の感性の領域なので、それで結果が出ようと出まいと周りがどうこう言えるレベルではない。

 ただ守備・走力に関しては、まだ持ち得るポテンシャルを充分生かしているとは言えないだろう。その点では、指導者の人に、厳しく鍛えあげて欲しいと言わざるえない。

 打者としては、独特のボールを捉える感覚と雰囲気を持ち。天性の「眼」の良さとボールを運ぶ技術を持っている。一体どのぐらいの打者に育って行くのか、ぜひ一年間追っかけてみたい!


(2011年夏 京都大会)