12ky-3



著者 : 蔵建て男
パブー
発売日 : 2014-02-06




溝脇 隼人(九州学院)遊撃 178/63 右/左 


 1年生の頃から活躍するなど、高校球界では名の知れたの好選手。俊足、好守、好打の三拍子バランスの取れたプレーヤーで、特に粘り強く、相手に嫌がられるプレーを実践する高い野球センスが自慢。

(第一印象)

 同じ左打者で、1年生から活躍する 萩原 英之 と比べると、個人的には印象に残らない選手でした。その最大の理由は、ミートセンスに優れるのですが強く叩けないスイングに、何かピンと来るものが感じられなかったから。強打者タイプの萩原に比べると、溝渕はセンスのある好打者タイプと言った感じのプレーヤーです。



(守備・走力)

 一塁までの塁間は、4.05秒前後と中々の俊足です。新チーム結成以来の122打席で5盗塁ですから、プロの1シーズンに換算すると18個ぐらいのペースで走ります。高校生としては、中の上レベルぐらいの脚力でありますが、上のレベルで売りにできるほどの絶対的な走力は感じません。ちなみに、このタイムを2012年度ドラフト指名された左打者のタイムで偏差値化すると、彼の走塁偏差値は 56 となります。

 遊撃手としても、フットワーク・キャッチング・スローイングと、中の上レベル。ドラフト候補としては、平均的な遊撃手かと思います。地肩も同様の印象で、プロを想定すると突き抜けるほどの守備力ではないと考えます。

 大学などでは、二遊間を担うセンス・守備力・走力などはありますが、プロに混ぜてしまうと埋もれてしまうかなという印象は否めません。更に精度を高めてから、プロなどを意識した方が得策だと考えます。

(打撃内容)

 非常にボールを当てる技術・打撃センスは光ります。技術的には、かなり完成度の高い打者だと評価します。特に早めに始動する、アベレージ打者の傾向が強い打者だと言えるでしょう。

<長所>

 足を引き上げて回し込んで来るので、始動~着地までの「間」が取れ、いろいろな球に対応できる幅のある打撃が持ち味。真っ直ぐ踏み出すように、内角の球でも外角の球でも幅広く打ち分けてきます。踏み込んだ足下もブレないので、外の球でも開かずに我慢して捌くことができます。

 打撃の準備である「トップ」を早めに作り、バットの振り出しもよく、ミートポイントまで素直に当てることができます。スイング自体に強さや鋭さは感じないのですが、ボールを捉えることには優れたスイングです。

<課題>

 技術的に、何か大きな欠点があるわけではありません。ただスイングを観ると、プロ仕様の強い・鋭いスイングではないんですね。この辺が、多少粗くても強く振りきれる荻原との違いだと思います。ただこれは、どちらが好いとか悪いとかの問題ではなく、打者としてのタイプの違いでもあると思います。



(今後は)

 強打で勝負する荻原とは違い溝渕の場合は、総合力・状況に応じたプレーなどで評価されるタイプ。高校からプロに入るような打者は、そういったセンスや技術で勝負するのではなく、肉体のポテンシャルが図抜けた選手の方がプロからは好まれます。そう考えると私は、大学などを経由して着実に総合力を引き上げてからの方が好いと評価しますし、恐らくスカウトもそういった考えではないのでしょうか。

 現状は、守備・走力・打撃などすべての面で中~中の上タイプであり、プロに混ぜたら埋もれてしまうそいだなというのが率直な感想。中央の大学でやって行けるセンスがあるだけに、そこでの成長を見守ってからでもと思う次第です。

(2012年 選抜)