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若松 駿太(祐誠)投手 180/75 右/右 |
「いや~、まいったね」
中日が7位指名した 若松 駿太 という選手は、これまでの3年間で見たこともなければ、聞いたこともない選手だった。それだけドラフト戦線でも知名度は低く、動画なども殆ど存在しない。調べたところ入場行進の時に顔が写っていたり、バント処理をする一球だけの投球フォームだけ。それもランナーを背負っての場面なので、クィックモーションだけに余計にフォーム分析が難しい。しかしそんな数少ない情報の中でも、どんな選手なのか、その本質に少しでも近づけてみたい。勿論今回も、評価づけはできないので、ご了承願いたい。
(どんな投手なのか?)
180/70 の均整の取れた体格から、角度のあるMax143キロのストレートとカーブを併せ持ち、制球も安定している投手だという。本格的に投手を始めて一年あまりながら、フォームに殆どいじることがないという。
(この夏の成績)
2年夏も2回戦で破れ、3年の春季大会でも一回戦負け。しかし4月の筑後地区大会(九州は春季大会が早いので、夏までの間の大会が充実している)を優勝しているように、けして素材型投手というわけではないようだ。夏も初戦となる2回戦で、いきなり破れている。
8イニング 5安打 0四死球 4奪三振 1失点
この数字が示す通り、四球を出さない制球力があるようだ。カーブとのコンビネーションということで、決め手になる変化球やストレートで三振をバシバシ奪うタイプではなさそう。
(投球フォーム)
これらの情報を元に、フォーム分析をして投球の裏付けをしてみたい。
<広がる可能性> ☆☆☆
引き上げた足は地面に向けて伸ばしており、お尻を一塁側に落とせるフォームではありません。そういった意味では、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球は、基本的に向きません。
それでも「着地」までの粘りはあるので、こういった球種以外はモノにできる下地があります。将来的には、球種を増やし投球の幅を広げて行くことは充分可能だと考えられます。
<ボールの支配> ☆☆☆☆
グラブを最後まで内に抱えられているので、両サイドへの投げ分けは安定していそう。また足の甲での地面の押しつけも出来ていそうなので、ボールもそれほど上吊らないのでは。「球持ち」も悪くなく、コントロールが好いというのも充分頷けるフォーム。
<故障のリスク> ☆☆
一番心配なのは、この部分。お尻が落とせないのに唯一の変化球がカーブだということ。身体を捻り出すスペースが確保出来ていないので、肘への負担は少なくないだろう。
更にリリースを見てみると、ボールを持っている腕の肩は上がり、グラブを持っている腕の肩は下がっており、かなり無理な腕の振り下ろしをして角度をつけている。そういった意味では、肩への負担も少ない。肩・肘両方を痛める可能性があるだけに、故障には充分注意して欲しい。
<実戦的な術> ☆☆☆
「着地」までの粘りがあるので、身体の「開き」は早くない。そういった意味では、打者から合わされやすいフォームではないだろう。
振り下ろした腕も身体に絡み、腕の振りは悪くない。将来的に速球と変化球の見分けの難しいような投球も期待できる。ただボールに体重を乗せるのは上手くなく、重心が三塁側に流れている。広くステップを取りすぎてしまっているのか、打者の手元まで生きた球が行っているのかには疑問が残る。
(投球フォームのまとめ)
投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」には優れ「球持ち」「開き」は平均的。「体重移動」に課題があるかなという印象を受けた。打者の手元まで伸びるような生きた球が投げられるようになるのかが、一つ大きな課題ではないのだろうか。
(最後に)
現状驚くようなボールを投げるというよりは、制球の狂い、フォームに悪い癖がないのもあり、あとは素直に肉付けすれば将来楽しみといったタイプなのだろう。
ただシッカリ二軍で漬け込んだ時に、コチラが見込んでる程の 球威・球速アップが見込めるかどうかは正直わからない。ただボール処理を観ていても動作にも鋭さがあり、ヌボーとした印象はない。このスジの良さを行かしてどんな投手に育つのか、これからも密かに期待して見守ってみたい。
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