12kp-2


 
amanatu.com




 浜田 達郎(愛工大名電3年)投手 183/88 左/左





                     「浜田最終章!」





 神宮大会では、鉛玉のような145キロ級の重いストレートを投げ込む剛球左腕。選抜では、140キロぐらいでもコースを丹念に突く粘り強い投球を披露。選抜後の浜田の評価は、日増しに増すような状態だった。しかし甲子園まで駒を進めた夏は、一回戦でらしくない投球のまま敗退。U-18の世界選手権では、代表にこそ選ばれたものの、肩の調子が思わしくないまま、僅かな投球で終了。そこで、現状の浜田の力はどの程度なのか? 愛知予選の模様を見直し、彼の最終寸評とする。


(投球内容)

 私が確認したのは、愛知予選の・豊田西戦。イメージ的には、コース丹念に突いていた選抜の時よりも、2年秋の神宮大会の時のような投球に近い印象を受けた。

ストレート 常時140キロ台~140キロ台中盤

 中継の模様に、球速表示はされず。ただ実況によると、143だとか145キロを出したとか言っていた。実際少し身体から遠回りに回旋して、腕がブンと外から振られるフォームから、ちょっと普通の高校生では打ち返せないような威力のあるストレートを投げ込んでくる。その見た目は、間違いなく常時140キロ台は出ていそうな勢いがあり、そのボールの威力はそれ以上に感じさせる球だった。とかく不振が噂された夏の浜田だったが、ことこの試合に感じては、そのような感じはしなかった。

変化球 カーブ・スライダー・スピリット

 ただこの試合でも、夏の甲子園でもそうだったが、投球の殆どはスライダーとのコンビネーション。たまにもっと緩いカーブを織り交ぜて来る。選抜では高速で沈むスピリットを投げていたように見えたが、この夏はそれらしい球に出会わなかった。

 浜田は、カーブこそ高めに浮くことはあっても、多く投げるスライダーに関しては、低めに集まる傾向がある。特に低めに切れ込むスライダーに関しては、打者の空振りを誘う。

その他

 牽制に関しては、それほど鋭いものは混ぜないが下手ではない。フィールディングも、上手くはないが冷静に対処。クィックも遅い印象はあるが、1.15~1.35秒ぐらいと、極端には遅くない。

(投球のまとめ)

 一見ラフそうな投球に見えるが、外角中心にボールを集めるコントロールはある。微妙な出し入れや「間」を使った駆け引きに長けたタイプではなく、重いボールでコースを突いて詰まらせるのが身上。

 それほど三振は奪えないが、低めに切れ込むスライダーで空振りを誘ったり、コース一杯に決めて見逃しの三振を奪うことも少なくはない。

 良く云えば、選抜で身につけたりコントロールを元に、球速を出してもその投球スタイルを崩さないで投球できるようになってきた。そういった成長は、感じられる内容だった。しかし恐らく甲子園の頃には、肩に違和感があったのだろう。そういった投球が、すでにその頃にはできない状態になりつつあったのではないのだろうか。ただ今回愛知予選の模様を見て、甲子園でのイメージよりは遥かに良いものであり、浜田の最終形態を確認できたものと考える。


(投球フォーム)

では、投球フォームに関してはどのような変化があったのか考察してみたい。

<広がる可能性>

 引き上げた足を二塁側に送り込むことで、バランスが取っています。この点は、選抜の時と変わりません。ただそのバランスが微妙に狂っていたのか? 選抜の時よりも着地までの粘りがなくなり、早くなっていたように思います。そういった意味では、変化球の切れに微妙な影響を与えていたかもしれません。また着地が早くなることで、打者からも合わせやすくなっていた可能性があります。ようは、身体が早く突っ込んでいたことになります。

<ボールの支配>

 グラブは内に抱えられ、両サイドの制球は安定。ただ足の甲の押し付けができないのは相変わらずであり、「球持ち」も選抜の時より、粘りがなくなっていた感じが致します。そのため選抜の時ほど、微妙なコースを突くようなコントロールは薄れていたように思います。そのことは、愛知予選の46イニングで、イニングの半数近い21個の四死球からも伺われます。

<故障のリスク>

 お尻が上手く落とせなくなったことで、身体への負担も大きくなったかもしれません。腕の角度に無理は感じませんでしたが、肩を痛めてしまったのはU-18の時に明らかになりました。比較的故障の可能性は低そうな印象を受けていましたが、腕が外旋してブンと振るような強引なフォームのため、肩への負担は想像以上だったのかもしれません。

<実戦的な術>

 「着地」までの粘りが薄れましたが、「開き」は早すぎることはありません。ただ振り下ろした腕は身体に絡んで来るような粘りはなくまりましたし、「体重移動」も足の甲が地面から浮いてしまっているのもあり、充分ではありません。ただボールが、グワーンと来る迫力は相変わらずです。

(投球フォームのまとめ)

 「着地」「球持ち」「体重移動」の各動作が春より悪くなったことで、球威・球速はあっても、打ちやすいフォームになってしまっています。おまけにお尻が落とせなくなったことで、身体への負担も増し、変化球の切れを鈍らせていた可能性も否定できません。

 こうやってみると、投球が神宮大会に近くなったのは、球威・球速を取り戻すために、選抜のフォームを捨て神宮大会に近いフォームに戻した可能性があります。このことが、勢いは取り戻したものの、実戦的な投球を損なった大きな要因ではなかったかと思います。


(最後に)

 結局それまで培った実戦的な術を捨てることで、元の球威・球速を取り戻すことはできました。しかしそのことが逆に、勝てない投手へと戻ってしまい、状態云々だけでなく、全国大会で勝てない投手へと後戻りとなりました。

 こうやって考えてみると、浜田は技術的な成長により、選抜以後評価を高めたのではなく、元に戻すことで球威・球速を取り戻し、更に肉体の上積みで秋以上のパフォーマンスを示し、アピールしていたのかもしれません。

 ということは、あまり段階を踏んで成長していたわけではなかったようで、培ってきたものを生かしていたのかは疑問になります。これはどういうことを意味するかというと、悪くなった時にその悪い理由がわかっているのかも疑問であり、良かった時もその理由を理解して良かったわけではなかった。そういった可能性が高いことがわかります。こうなると、今後段階を踏んで成長して行けるのかには不安が残り、更に肩の故障などのマイナス要素を考えると、選抜の時よりは低く評価した方が妥当だという結論に達しました。

 甲子園の内容よりは、遥かに良い手応えは県大会で得たものの、最終的な評価としては、ワンランク下げることで、私の最終評価を決定したいと思います。それでも秋のドラフト会議では、ハズレ1位~2位以内での指名になるのではないのでしょうか。


蔵の評価:
☆☆☆


(2012年 夏)







 浜田 達郎(愛工大名電3年)投手 183/85 左/左 
 




                   「成長の跡ハッキリと」





 明治神宮大会の時に、悪い時に悪いなりの、まとめる投球ができなかった 浜田 達郎 。確かにボールの威力は一級品だったものの、実戦力では物足りない内容だった。しかし、一冬越えた選抜大会。その投球を一変させるほど、大きな成長の跡が伺えた。そんな生まれ変わった 彼の投球を神宮大会と比較しながら考えてみた。


(投球内容)

 この選手は、常にマイペースで、淡々と自分のペースで投げ込んできます。投球に抑揚をつけることなく、常に同じような力加減で、1試合をトータルで考えて投球してくるタイプです。

ストレート 135~MAX140キロ

 神宮大会の時は、ボールにキレや伸びはなく、なんだかグワ~ンと鉛玉が飛んで来るような感じの球を投げてきました。そのため球威こそ感じましたが、打者の空振りを誘えるような球質ではありませんでした。しかしこの選抜では、球速こそ控え気味でしたが、左打者の外角一杯にボールを投げ込む制球力で多くの見逃し三振を奪うことに成功。その球質も、秋よりキレが出て手元までの勢いが出てきました。秋の145キロよりも、この春の130キロ台後半のストレートの方が、打者には速く感じられたのではないのでしょうか。

変化球 スライダー・カーブ・スピリットなど

 球種自体は、秋とそれほど変わっていないと思います。左打者の外角の一番遠くに決まるスライダーを使ったり、その生かし方に大きな変化ありました。秋までは、曲がりが速く打者に見極められやすかったり、制球力もイマイチで、実戦的な球とは言えませんでした。しかし今は、速球と上手くコンビネーションの中で、使うことができています。

 殆どはスライダーと速球のコンビネーションなのですが、本人曰くスピリットがあると言います。私はスライダーを意図的に、左打者の外角低めに落としているように見えたのですが、ひょっとするとこの球がスピリットなのかもしれません。この遠くで沈む球で、左打者からは空振りも奪えていました。こういった変化球の精度・生かし方に、大きな成長を感じます。

 逆に課題は、右打者には殆ど外角にストレートを集めるだけといった配球。右打者が多く並ぶ打線に対し、次回の試合ではどんな投球を見せるのか注目したいと思います。また秋は、右打者の外角に逃げるスクリュー系のボールがあったと記憶しますが、この球がこの試合では見られなかったように見えます。その辺もどうなっているのか、次戦に注目です。

その他

 特にピンチになると、マウンドを外すとか「間」を上手く使う投手ではありません。そのかわり、ピンチでも動じることなく、自分の投球に徹しられる高い精神力があります。

 左投手らしく、牽制はそれなりです。ただクィックよりも、自分の投球に徹するのでクィックを使ってきません。その傾向は、秋以上にハッキリしていました。フィールディングも際立つものはなく、極平均的です。そういった投球以外の部分は、けして高いものがある選手ではありません。

 ただ秋に高めに浮いたりアバウトだった制球力の悪さは、完全に改善されています。左打者にも右打者にも外角にボールが集められ、球筋が安定してきました。インコースを突いたりすることはありませんが、外角に集めるという投球の基本はできるようになりました。

(投球のまとめ)

 秋からの成長は、安定して外角にボールが集められるようになったこと。球速はおさえぎみ気味でも、球質は向上し、打者には秋よりも速く感じられるような球が投げられるようになったこと。

 精神的もムラがなく、常に自分の投球に徹しられる高い精神力。変化球を、しっかりコントロールし、投球に活かせるようななったことなど、大きな成長が見られました。秋の課題を冬の間にしっかり見据えて、確かな成長を遂げてきたと素直に評価できる内容でした。

(投球フォーム)

足をゆっくり引き上げて、自分のペースを常に守り、一定のリズムで投げてきます。

<広がる可能性>

 引き上げた足を二塁側に送ることでバランスを保ち、お尻を比較的三塁側に落とせるフォームです。軸足一本で立った時のバランスがよくなり、「着地」が早くなる欠点を改善しつつあります。

 これにより体を捻り出すスペース・時間が確保でき、変化球のキレ・曲がりも良くなり、だいぶ実戦的な球が放ることができるようになってきました。

<ボールの支配>

 グラブは最後まで体の近くにありますので、両サイドの投げ分けは安定。ただ秋同様に、足の甲が地面から浮いてしまいボールは真ん中~高めに浮きやすい傾向は今も残ります。それでも秋のように、ボールが高めに抜けることは殆ど見られなくなりました。その辺は、「球持ち」が秋よりはよくなり、少しボールを手元でコントロールできるようになってきたからではないのでしょうが。外角への制球は目立ちましたが、本質的にはそれほど細かい制球力があるタイプでは、私はないと思います。やはりキャパ一杯に腕を振ってしまうと、ボールが上手くコントロールできないのだと考えられます。

<故障のリスク>

 お尻は比較的無理なく落とせるので、捻り出すのにも無理がありません。また腕の角度はスリークオーターなので、腕の振りおろしにも無理がありません。比較的体への負担も小さく、タフな体つきであることを考えると、投込みなどしっかり行うことで、フォームを固めたり、新しい球種の修得にも積極的に行なって行けるタイプではないのでしょうか。

<実戦的な術>

 「着地」までの粘りが少し良くなったので、幾分フォームの淡白さが薄れました。そのため打者からは、以前ほど一辺倒な印象は受けなくなったのではないのでしょうか。それでも「開き」は早めなので、けしてボールが見難いタイプではありません。やはりコントロールを間違うと、レベルの高い打者ならば充分に合わせられるフォームです。

 腕の振りは以前より良くなり、少し体に絡むようになりました。これにより速球と変化球の腕の振りの見分けが、打者からはつきにくいはず。体重移動は、足が地面から浮いてしまっているのもあり、けして上手くできていません。しかし上半身や腕の振りが鋭くなったことで、キレを生み出すことで球質の向上を図ることができました。

(投球フォームのまとめ)

 「着地」までの粘りが若干改善されたのは好いのですが、未だに「開き」の早いフォームは改善されていません。そのためコントロールを間違えれば、打者には合わされやすいフォームであることは変わりません。

 また「球持ち」も幾分良くなったことで、制球は安定してきました。「体重移動」は、未だ下半身主導とは行きませんが、上半身を鋭く振ることでキレを生み出すことができるようになりました。ただこういったフォームは、消耗も激しいので、連戦でいかに自分の投球を維持できるのか、今後の試合で注目したいと思います。

 ツッコミどころの多かったフォームですが、秋に比べると、かなり欠点の改善が見られました。それでも、まだまだ実戦的といったレベルではないのですが、少しずつですが成長の跡が見られます。それが素直に、実際のピッチングに現れていると考えられます。


(最後に)

 課題は多いフォームなので、連戦を重ねて行くうちに、あるいはレベルの高い相手にも、同じような投球ができるのか?と言われると、実際のところ疑問が残ります。

 しかしこの選手、非常に精神的に強い投手なので、自分の投球に徹し続けられるタフな投球が期待できる部分もあります。今後の試合で欠点が露出してくるのか、あるいは自分の投球を徹し続けられるのか、今後の試合が楽しみです。ただそれが、最後に出来なかったのkが、神宮大会でした。

 一冬越えた大きな成長は、高く評価できるポイント。大谷翔平(花巻東)や藤浪晋太郎(大阪桐蔭)が、下級生の頃から積み上げてきたものが感じられなかったのに比べると、浜田の場合にそれを強く実感できたことは好感です。左腕という付加価値も考えれば、1位指名は濃厚な素材だと評価して良いのではないのでしょうか。ただ将来的には、こちらの期待する速球派ではなく、技巧派や実戦派としての投球に徹し続けることで、大成するタイプかもしれませんね。意識が高い選手なので、今後も進化し続けることが期待できます。


蔵の評価:
☆☆☆☆


(2012年 選抜)









濱田 達郎(愛工大名電)投手 181/88 左/左 
 




                    「球威は一級品!」





少し肥え気味の体格が気になるが、高校生離れした重いストレートを投げ込む豪腕タイプ。秋の新チームで、彼のストレートをガンガン打ち返せる高校生は中々いない。まして一冬越えたら、どのぐらいに育っているのだろうかという期待を抱かせてくれる。恐らく現時点では、全国でも屈指のサウスポーだろう。


(投球内容)

少しもっさりした感じの投手で、投球にリズム感が感じられないのが残念。

ストレート 130キロ台後半~MAX145キロ

 ボールの伸びやキレというものとは無縁で、重く勢いのあるストレートがグワ~ンと打者のところまですっ飛んで来る。そのため空振りを誘うような球ではなく、バットをグシャッと押し返すような球で、殆どの打者はつまらされる。

変化球 スライダー・スクリュー

 スライダーは、曲がりが早く効果的だとは言えない。ただ比較的に低めに集まることが多く、もう少し打者の近くで曲がるようになれば、空振りも誘えるだろう。また右打者の外角低めにも、スクリュー系のボールが投げられる。この球も、もう少し打者の近くで曲がれば、空振りの取れる球にはなりそうだ。現状は、投球の多くがストレートで構成されているし、本当に信頼できるのは速球だけのようだ。

その他

 現状は、ピンチになってもマウンドを外すことがあっても、投球リズムは一定。そのため「間」を上手く使うとか、厳しいコースを突くような制球力はなく、あくまでもストライクゾーンの枠の中に淡々と投げ込んでくる。ボールが上吊ることが多く、アバウトな制球力。

 牽制は適度に織り交ぜ、ランナーへの警戒は平均的。フィールディングは、その体型に似あわず動ける印象。ただクィックに関しては1.25~1.45秒ぐらいと鋭くない。そういった投球以外のレベルは低く、投球センスもイマイチ。現状は、まだまだ圧倒的な肉体の資質に頼ったピッチングだと言えよう。

(投球のまとめ)

 ストレートも夏観た時と、正直あまり印象は変わらなかった。東海大会まで、圧倒的な内容で勝ってきただけに、更なる成長を期待していたのだが。ただ2回戦では、緒戦よりもかなりボールに勢いが感じられた。

 ただ残念なのは、思った以上に変化球レベルが低く、制球がアバウトだった点。特に状況が苦しくなっても、結局ストレートで押すことしかできず、投球の引き出しの少なさを露呈した。これから来年に向けて、もう少し投球の幅を広げて行きたい。

(投球フォーム)

 ノーワインドアップから、ゆったりと踏み出して来る。軸足一本で立った時のバランスは、中々良いものがあります。

<広がる可能性>

 引き上げた足が高い位置でピンと伸ばされているので、お尻は三塁側(左投手の場合は)に落とせています。しかし「着地」までが早いので、充分身体を捻り出す時間が足りません。したがって現状は、スライダーやスクリューなどを中心に投球を組み立てるフォーム。腕の角度もスリークオーター気味なので、左腕らしい大きなカーブで緩急をつけたり、縦に鋭く落ちるフォークのような球種の習得は厳しそうです。

<ボールの支配>

 グラブは内に最後まで抱えられているので、両サイドへの投げ分けはできます。ただ足が浮いてしまっていて回転しているので、ボールが上吊ってしまいます。また「球持ち」も平均的で、試合を見るかぎり指先の感覚に優れているようには見えません。将来的にも大まかな制球力までで、細かい投球は厳しいと考えます。

<故障のリスク>

 お尻は落とせますし、その割にカーブやフォーク系も投げませんので、体への負担は少なそう。更に振り下ろす腕の角度にも無理がないので、肩への負担も少ないと思います。故障の可能性が低く、タフな活躍が期待できそうです。

<実戦的な術>

 「着地」までの粘りはないのですが、体の「開き」は平均ぐらい。まだ振り脅した腕が、上半身が絡みつくほど、しっかり振れていません。また「体重移動」は殆どできず、上体の力で強引に投げ込んで来るフォームです。そのため打者の手元まで、ボールが伸びてこないのでしょう。

(投球フォームのまとめ)

 投球フォームとしては、それほどタイミングを合わせにくいわけでも、ボールが見難いわけではありません。そのため、もう少し球種を増やすなり、投球の幅を広げて行かないと、だんだん夏に向けて苦しくなるはず。

 「球持ち」もそれほどではないので、将来的にも大雑把な投球になりそうです。「体重移動」なども上手く行っていないので、何処まで生きた球を身につけられるのかも不安です。そういった意味では、まだまだ素材型の域を脱してはいませんでした。


(最後に)

 非常に体格にも恵まれておりますし、素材としても余力はあるので、この一冬の間に球威・球速を増すことが充分予想されます。名門の選手ですから厳しく鍛えられ、故障さえしなければ選抜でも期待が持てます。

 ただその一方で、制球・変化球・実戦的なフォーム・マウンド捌きなど、多くの課題を抱えていることも否定できません。球は速くなっても、実戦で生かし切れない投手で終わる可能性も否定できません。現状は全国でも屈指の左腕ですが、来夏までそうあり続けられるかは微妙だと言わざる得ないでしょう。果たしてどういった形で今後成長してゆくのか、期待半分、不安半分といった選手ではないのでしょうか。上手く成長してゆけば、来年の有力な1位候補になりそうです。



(2011年 神宮大会)