12dy-5
緒方 涼介(東洋大)右翼 176/75 右/左 (PL学園出身) |
「ポテンシャルはプロ級!」
PL学園-東洋大とアマの王道を突き進む 緒方 涼介 。走攻守三拍子揃ったポテンシャルは、まさにプロ素材。しかしこの3年間の実績は、まだまだドラフト候補としては物足りない。
(守備面)
右翼手としては、打球への反応、落下点への入り、次の動作を想定したキャッチングなど、安定したディフェンス力があると評価します。特に素晴らしいのは、右翼からのスローイング。これに関しては、充分プロでもアピールできるレベルではないのでしょうか。プロでも、中堅・右翼手などを任せられる素材だと言えるでしょう。
(走塁面)
一塁までの塁間を、4.0秒前後で走り抜けるなど、かなりの俊足の持ち主。通常塁間の目安となるのは、
3.9秒弱 プロで足を売りに出来るレベル
4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類
4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム
4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える
となる。しかし1年生からリーグ戦に出場し、54試合で僅か盗塁は1個。一塁までの到達やベースランニングなどは確かに速いが、出塁してからの盗塁などは正直期待できない。本人も来季の目標を 打率3割5分、5本塁打、15打点とあげていたが、盗塁に関するコメントはないのが気になる。ちなみに2012年度のドラフト指名された左打者のタイムを偏差値化すると、彼の走塁偏差値は 58 となかり速い。しかしシーズン途中に故障して、秋はDHのみの出場。これが、今後の野球人生に影響を及ばさなければと思うのだが・・・。
(打撃内容)
ボールに喰らいつく選手で、ファールで粘ります。更に、ヘッドスピードが非常に鋭いのが特徴。この秋のリーグ戦では2本の本塁打を放つなど、パンチ力も秘めています。
<構え> ☆☆☆☆☆
両足を揃え、グリップを高めに添える強打者スタイル。腰の据わり具合・全体のバランス・両目で前を見据える姿勢など、非常に理にかなっています。打席での集中力もありますし、ほぼ構えでは注文はありません。
<仕掛け> 早めの仕掛け
投手の重心が下がる時に始動し、ボールが来るのを待ち構える「早めの仕掛け」を採用。典型的なアベレージヒッターの仕掛けです。彼が目標に掲げるような長打力と勝負強さを兼ね備えた打撃を目指すのならば、投手の重心が下がりきった時に始動する「平均的な仕掛け」を採用するべきです。そのため少し始動を遅らせた方が、彼の望むバッティングスタイルには近づけそう。
<足の運び> ☆☆☆☆
足を引き上げてから下ろすまでの「間」が取れているので、いろいろな変化に対応できる幅広い打撃ができます。
上げた足を、力強く真っ直ぐ踏み込みます。真っ直ぐ踏み込むということは、内角でも外角の球でも捌きたいという意識が感じられます。また踏み込んだ足元もインパクトの際にブレないので、外角の球にも開きを我慢して捌けます。
<リストワーク> ☆☆☆☆
打撃の準備である「トップ」も、無理なく作れています。基本に忠実に上から綺麗に振りぬき、スイング軌道にロスを感じませんし、最後まで非常に力強く振り抜けます。何よりヘッドスピードの鋭さは、プロ級です。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下げはありますが、静かにジワ~と行われるので目線のブレは大きくありません。体の開きも我慢でき軸足も地面から真っ直ぐ伸びて、体が突っ込んでいません。体軸も、非常に安定しているといえます。
(打撃のまとめ)
実際試合を見ていると、ボールを捉えるセンスには、正直それほどものは感じません。ただこうやってじっくりみてみると、技術的には殆ど完成されており、更にプロの球に力負けしない素晴らしいスイングをしています。
むしろこの段階になると、ボールを絞り込みを工夫したりとか、何か感覚的に得るものがあれば、一気に飛躍する可能性があるのではないのでしょうか。
(将来に向けて)
守備に関しては、今すぐプロに混ぜても通用すると思います。ただ走力はありますが、足でアピールすることは厳しいようです。肝心の打撃に関しては、技術的にも肉体的に充分なレベルなので、あとは自分の創意工夫で何か自分に合うものを見つけて行く段階ではないのでしょうか。それを見つけた時、一気に文句なしの成績が残せそう。
そういった意味では、野球への意識も高いですし、ポテンシャル的に充分プロの器。技術的にも、問題はありません。あとは、自分自身で見出し結果を残すことで、道は開けるはず。ただ大きな怪我をしてしまったことが、今後のプレーにどのような影響を及ぼすのか。個人的には、それをもう少し見極めてからでも、プロ入りは遅くないのかなと思いました。
(2011年 秋季リーグ戦)
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