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 白崎 浩之(駒沢大)内野手 183/85 右/右 (埼玉栄出身)
 



                   「よくここまで来たね」



 埼玉栄時代から、強打の大型内野手としてプロからも注目されてきた選手。ただ攻守に粗く、3年秋までは打率も2割ソコソコ。素材を期待されての起用だった感は否めず、こういった選手が最終学年で開花するという例は殆どない。しかしこの春は、面白いようにヒットを連発し、東都リーグの首位打者・ベストナインを獲得。この秋も注目される中、好調をキープしている。

(守備・走塁面)

 3年生までは、サードを守っていてもミスが多く安定感に欠けていた。春は、遊撃手として5失策。しかしこの秋は、10試合を消化した時点で失策は僅か1個。実際試合を見ていても、かなり安定感は出てきたことは間違いない。特に課題だった、スローイングの乱れが少なくなってきた。

 ただ元々180センチを超える大型内野手故に、プロの二遊間を担うだけのスピード感がない。プレーにも余計な動作が多く、細かい動きができない。これでは、足の速い走者相手では内野安打を多く許してしまうだろう。こう考えると、この選手はやはりプロではサードか外野あたりだと判断して獲得すべきではないのだろうか。

 一塁までの塁間は、4.35~4.25秒ぐらいで走り抜けます。これを左打者に換算すすると4.1~4.0秒ぐらいに相当する。通常塁間の目安となるのは、

3.9秒弱  プロで足を売りに出来るレベル

4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類

4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム

4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える

となり、走力自体は基準以内。ただ今春のリーグ戦でも1盗塁であり、この秋もここまで0個。けして足で相手を揺さぶるようなプレーは期待できません。ちなみに彼のタイムを4.3秒と想定して、2012年度のドラフト指名選手の右打者で偏差値化すると、彼の走塁偏差値は 51 。ほぼ、平均的な走力だということがわかります。

 そう考えると、遊撃手として期待するのはやめておいた方が良さそう。走力もそれほ期待できない、そういったタイプです。やはり打撃で勝負すべき選手なのですが、実際のところどうなのでしょうか。

(打撃内容)

 基本的に、打撃フォームは春と大きくは変えていないように思います。下級生までは、始動をギリギリまで遅くすることで長打を狙っていました。しかし今春から始動を早めて「アベレージ打者」が採用する仕掛けに変えています。これが動作に余裕を生み、対応力を格段に上げたと言えるでしょう。

 しかし上で通用する対応力を身につけることは出来ましたが、スカウトなどが期待する長打の打てる大型内野手かと言われると、現状はあまり打球が上がらない中距離タイプに変貌しました。そういった意味では、こちらが思うような長打力のある選手としての活躍が期待できるのかには正直疑問です。まして今の統一球では、レギュラーに固定されても、年間10本前後とかそういった選手になりそうです。

(野球への意識)

 この選手が、最終学年で華開かせたのには野球への意識の高さにあると思います。ネクストバッターボックスでは、投手の投げるタイミングに合わせて素振りをしています。前の打者の対戦も集中して見ており、次の打席への意識・集中力を強く感じます。

 打席に入るときには、ラインを踏まないことを意識。まるでバッテリーのような、意外にきめ細やかな性格の持ち主のようです。素振りをする際にも、足のつま先が開かないよう指先まで神経の通わせたスイングが出来ています。打席に入るときには、シッカリ自分の足場を馴らし、打撃へのこだわりを感じます。こういった一つ一つの動作を見ていても、この選手はかなり深いところで野球に対峙していることが伺われます。プロで壁にあたることも少なくないと思いますが、それを乗り越えて行く努力と創意工夫を期待してやみません。時間がかかっても、順応して行ける可能性は感じます。特に元々対応力のないところから始まった選手なので、壁を乗り越えて行ける過程を知っていることは、今後の野球人生で大いなる強味だと考えます。

(最後に)

 二遊間の守備や走力での魅力には欠けますし、こちらが期待するほどの長打力が望めるかは正直疑問です。ただ野球への姿勢はシッカリしていますし、自分の打撃を徹することができれば、プロでも全く通用しないとは考え難いものがあります。一年目から、一軍半ぐらいの位置づけは期待できると思いますし、近い将来レギュラーを奪える資質は充分あるでしょう。逆に彼を評価しないで、あと大学・社会人でどの選手が評価できるのでしょうか?上位指名してまで取る選手なのかは微妙ですが、獲得して損はさせない選手だと評価します。

蔵の評価:☆☆

(2012年 秋)








白崎 浩之(駒沢大3年)三塁 183/85 右/右 (埼玉栄出身)





                「数少ない大物打ち!」





埼玉栄時代から、強打の遊撃手としてプロからも注目されていた逸材。来年のドラフト戦線においても、数少ない長打の打てる野手として期待されている。高校時代から、どれほど成長したのか検証してみたい。

(守備面)

高校時代は、強肩を生かして遊撃手として活躍。しかしフットワーク・キャッチング・スローイング共に、物足りない選手でした。今秋のリーグ戦では、三塁手として出場。今でもフットワーク・キャッチング・スローイング共に上手いとは思えませんが、無難になんとかこなしているように見えました。ただ秋のリーグ戦の成績をみると、12試合で四失策ですから、三塁手としても安定感に欠けることがわかります。そう考えると、上のレベルで三塁を務められるのかは微妙だということでしょう。特にスローイングに課題があった選手なので、距離の短い二塁あたりができればと高校時代書きましたが、フットワークやスピード感、キャッチングなどを考えると、一塁以外なら外野ということになりそうです。そのためにも、なんとか三塁が無難にこなせるまでには向上して欲しいところ。

(走塁面)

一塁までの塁間は、4.35~4.25秒ぐらいで走り抜けます。これを左打者に換算すすると4.1~4.0秒ぐらいに相当することがわかります。通常塁間の目安となるのは、

3.9秒弱  プロで足を売りに出来るレベル

4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類

4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム

4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える

となります。彼の場合、プロの基準に直すと平均からやや速い程度の走力があることがわかります。実際に秋のリーグ戦では2盗塁を決めるなど、プロで売りにできるほどではないにしろ、動けない選手ではありません。

守備は中の下、走力は中の上ぐらいでしょうか。現状は、守備・走塁でアピールできるほどではないことがわかります。






(打撃内容)

脆いながらも、長打力が自慢です。通算では2割ソコソコの低打率で、二部時代に4本のホームランを放っていますが、一部に昇格した今年一年間では1本もホームランが打てませんでした。その原因は何なのか?フォーム分析をして考えてみたいと思います。

<構え> ☆☆☆

両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高く添えた強打者スタイル。腰を深く屈め、両目での前の見据え、全体のバランスは平均的でしょうか。ただ重心が深く沈み過ぎているので、「体重移動」が上手くできない打者なのだろうなというのは伺えます。

<仕掛け> 遅め仕掛け

投手の重心が沈みきって、前に移動する段階ぐらいでカカトを浮かします。カカトを上げおろすだけの動きなので、どの時点が始動なのかはよくわかりません。ただここを始動と考えるならば「遅めの仕掛け」に属し、天性の長距離打者ということが言えます。

<足の運び> ☆☆☆

その場でカカトを上げ下ろすだけのフォームなので、前に体重移動ができません。そのため殆ど下半身は使えずに、上半身だけで打っていることになります。また体重移動ができないということは、ボールを「点」で捉えているわけで、よほどタイミングが合わない限りは、なかなか結果が残らない打ち方なわけです。彼の打率がいっこうに上がらないのには、それなりの理由があるわけです。

ただ動作が極めて小さくロスが少ないのと、踏み込んだ足元がブレないので、体の開きが我慢できているのは好いところでしょうか。ブレの少ない下半身が、この選手の打撃にはあります。

<リストワーク> ☆☆

打撃の準備である「トップ」は、早めに深く取れています。そういった意味では、速い球に差し込まれたり、力負けすることはなさそうです。

ただバットの振り出しは、少し肘が下がって遠回りです。そのため、内角の捌きも窮屈そう。更にボールを捉える時に、バットの先端が下がってしまっています。これでは打球が、なかなかフェアゾーンに落ちてくれません。ヘッドを立てる意識でスイングできれば、もう少しスイング軌道も改善されそう。

ただボールを捉えたあとは、大きな弧を描き、フォロースルーまで力強く振り抜けます。当たりさえすれば、破壊力抜群の打撃を魅せてくれます。

<軸> ☆☆☆☆

カカトの上げ下げのみなので、目線のブレは小さい。また体の開きも我慢でき、軸足にも崩れは少ないように見えます。体軸はしっかりしていますが、体重移動がままならないので上手く回転できないわけです。

(打撃のまとめ)

とりあえず下半身が上手く使えないので、タイミングのとり方に大きな課題があります。上半身はロスがありますが、捉えてからの動きは大きいので、稀にタイミングが合えば破壊力があります。

そういった打球の速さ・強さみたいなものがありますが、今のままの打撃では苦しいですね。これを改善して行かないと、プロでは厳しいでしょう。






(将来に向けて)

三塁守備を無難なレベルに、走力は少しアピールぐらいには。そして何より、打撃での対応力を改善して行くことが不可欠です。逆に言えば、もう少し当たるようになれば、自然と本塁打や打点は増えて来るはず。

3年生までの動きを見ていると、少なくても大学ではそれが改善できる環境ではないことがわかります。そう考えると、あとは自分自身で創意工夫して改善して行くしかありません。自分と結果を残している選手の動きの何が違うのか、そういったことに興味を持つことから始めたいですね。深く追求し努力を怠らなければ、いつか形になって現れるでしょう。その日が来ることを、期待してやみません。


(2011年 秋季リーグ戦)









白崎 浩之(埼玉・埼玉栄)遊撃 183/77 右/右 


強肩・強打の遊撃手として、全国的に注目されている選手です。大型故に、少々肉体のポテンシャルに頼ったプレーをする選手で、まだまだ攻守に粗い印象は否めませんでした。

 残念ながら走力は計測出来ず。ただその動きを見ているスピード感に欠ける印象はあります。しかしそれでも一番を務めているのですから、高校生レベルではそれなりの脚力はあるのかもしれません。遊撃手としてもフットワーク・キャッチング・スローイング共に、昨夏の時点では物足りませんでした。スナップが非常に強い選手で、腕をしっかり振ってスローイングしなくても、一塁までしっかりした送球が行くのも確かです。ただこういった細かい動きが出来ない選手は、スローイングが安定しずらく、むしろ短い距離でそのスナップの良さを活かせるセカンドあたりをこなせるようになると、将来的に大型のセカンドして希少価値が出そうです。

 打撃の方ですが、構えた時に少々肩に力が入ってところが気になります。仕掛けは「遅めの仕掛け」を採用するなど、将来的にも強打者で有り続けられる可能性があります。一度ベース側に足を持って行くので、打つ時に肩が内側に入るクローズスタンス気味になります。このスタイルで無理に引っ張りにかかると凡打の山を築くことになるので、今のスタイルならば、あくまでもセンターから右方向を意識した打撃を心がけるべきだと思います。

 小さくステップしているので、体重移動はどうかな?と思える部分はあるのですが、インパクトの際に足元がブレるようなことはないので、上半身と下半身のバランスは取れているのかもしれません。問題は、トップを深く取れているのは良いのですが、スイングの際にヘッドが下がってしまい、ドアスイングになってしまっております。これだとバットが通り回りになってロスが大きいです。バットを降り出す時に、ヘッドを立ててスイングする意識が持てると、スイング軌道も変わって来ると思います。フォロースルーなどをそれほど利かせる選手ではないので、本質的には打者の間を鋭く抜けて行くタイプの強打者です。打球も強く、潜在能力は秘めていると思われます。

 三拍子すべてが粗いと云うのが、昨夏までの印象でした。この一年で、どのぐらい総合力を引き上げているのか気になるところです。三拍子それぞれにポテンシャルの高さを感じさせてくれそうな選手だけに、アピール次第ではスカウト達からの評価も上がって来るものと思われます。

(2007年・夏)