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広神 聖哉(阪神)捕手のルーキー回顧へ



聖哉(22歳・群馬)捕手&一塁 173/85 右/左 (前橋育英出身) 
 




                        「オフェンス型捕手!」





 今年 聖哉 を3回ほど観戦したが、やはりこの選手は、捕手というよりも打撃が売りの選手だという気がする。22歳という若さながら、BCリーグの選抜チームでは、4番を任されるほどの強打者。


(プレースタイル)

 まだまだ荒削りですが、思いっきりがよく気持ちを全面に出すプレーヤー。とにかく一所懸命プレーする姿勢に、好感が持てます。今シーズンは、独立リーグ・BCリーグ群馬で活躍しました。

68試合 打率.301厘(8位) 11本塁打(2位) 46打点(2位) 3盗塁

の、リーグ上位の打撃成績を残しました。


(守備・走塁面)

 塁間は、左打者ながら4.5秒台と、正直遅い部類です。しかし最後まで、一生懸命走ります。足を売りにすることはないでしょうが、この姿勢を忘れない限り、内野安打も何本か拾うでしょう。

 またポジションもDHや一塁など、いつも本職の捕手を守っているわけではありません。スローイング自体は、塁間1.9秒台で投げ込めるなど、けして地肩は弱くありません。ただプロの捕手としては厳しく、あくまでも右の代打要員で、何かあった時にマスクを被る的に第三の捕手的な位置づけになるのではないのでしょうか。そのため捕手としてのセンス・総合力はプロレベルではありません。

(打撃フォーム)

<構え> 
☆☆☆☆

 前の足を軽く引いて、グリップを高く添える強打者スタイル。腰はしっかり据わり、両目で前を見据える姿勢も悪くなく、全体にバランスの取れた構えです。バリバリの強打者で力んで構えてそうですが、身体を動かし自分のリズムで打席に立てています。構えとしては、好い構えだと言えます。

<仕掛け> 遅すぎる仕掛け

 投手の重心が沈んだ時に、開いていた足を戻し両足を揃えます。そこから本格的に動き出すのは、投手がリリースを迎える前後。ここまで遅いタイミングで始動すると、どうしても一定レベル以上の球速・キレに対し振り遅れてしまいます。プロ入り後は、もう少し始動を早めて、動作に余裕を持ちたいところ。

<足の運び> 
☆☆☆

 始動が遅い分、足はチョンとステップするだけ。そのため打てるポイントは限られていて、対応力に課題を感じます。踏み出しは、左打者らしくアウトステップを採用。そのため真ん中~内角よりの球を、引っ張って巻き込む打撃を得意としております。ただ踏み込んだ足下はブレないので、外角の球でも高めの球ならば対応できます。残念なのは、身体の柔軟性に欠け、縦の変化などにどうなのかな?という疑問は持ちます。

<リストワーク> 
☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るのが遅れてしまい、速い球に立ち後れています。ただバットの振り出しは悪くなく、バットの先端も下げないで綺麗にスイングできています。パワフルですが、それほどフォロースルーを使ってボールを運ぶタイプではないようです。彼の本塁打は、恐らく上手く巻き込んで、引っ張った打球が多いのだと考えられます。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げが小さいので、目線の動きは小さく安定しています。身体の開きも我慢できていますし、軸足にも安定感を感じます。体軸を起点に、綺麗に回転できています。

(打撃フォームのまとめ)

 始動の遅さや、タイミングの取り方、柔軟性の部分で、どうしても脆い印象を受けます。ただ打てるポイントは限られていますが、そこに来た球に対して破壊力抜群の打撃を魅せてくれそうです。プロ入り後も、思いっきりよく気持ちの良いスイングが期待できそうです。


(最後に)

 守備位置も限定され、打撃もかなり脆いことを考えると、正直起用は限られてしまうだろうなと思います。ただ打力と思いっきりの良さ・気持ちの強さがあるので、右の代打&第三の捕手的な役割には面白いのではないのでしょうか。一軍の戦力としては微妙ですが、育成ならば、こういった指名もありかなと思える選手です。そう思わせてくれるだけの、彼には一生懸命さがありますから。


(2011年・プロアマ交流戦)