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庄司 龍ニ(オリックス)捕手のルーキー回顧へ



庄司 龍二(ジェイプロジェクト)捕手 176/80 右/右 (大体大出身) 
 




                     「見に行けば良かった。」





 今年の夏、ジェイプロジェクトは、ジャイアンツ球場で試合をした。元々は観戦予定だったが、この試合を私は結局観戦しなかった。今思えば、見に行けば良かったと反省している。オリックスに指名された 庄司 龍二 といえば、大学選手権で日本一を経験した捕手。特に決勝の青学大戦では、3安打・5打点の大活躍で優勝に大きく貢献。そこで改めて、当時のビデオを見なおして、彼のプレースタイルを思い出してみた。あくまでも今から4年ほど前のプレーだったので、大まかな雰囲気だけでも知ってもらう意味での寸評である。そのことは、あらかじめご了承ください。


(ディフェンス面)

 かなり打者の内角を突く、強気のリードが特徴。グラブを軽く示し、ミットは地面に下げません。そのためワンバウンド処理などにも、立ち遅れる心配はないと思います。ただグラブ捌きは柔らかくていいのですが、キャッチングの際のボール押し込みや、コースから外れた球でも手だけで捕りに行ってしまう雑な一面がありました。その辺が、社会人になって何処まで改善されているのか気になります。

 もう一つの彼の売りは、塁間を1.81秒で到達する、極めて速いスローイングにあります。これは、アマでもトップクラスであり、チームに入っても1,2を争うような存在になるのではないのでしょうか。投手の気持ちを汲み取ってリードすると言うよりは、強気にガンガンと引っ張って行くタイプの捕手です。


(打撃内容)

 大学選手権に出場した時は、まだ2年生で7番打者でした。ジェイプロジェクトに進んでからは、1年目から正捕手として、また中軸を担っていたと聞いています。基本的に払うようなスイングで、ボールを引っ張って巻き込む打撃が得意としています。社会人での彼の動画をみると、そのスイングは変わっておらず、逆に外角への捌きに不安を覚えます。

(打撃フォーム)

<構え>

 大学選手権の時はスクエアスタンスで両足を揃えていましたが、社会人でのものをみると、前足を軽く引いて構えています。グリップも平均的な高さだったのが、かなり高く添える強打者スタイルに。腰を屈めないで、背筋を伸ばすような構えは大学時代から変わりません。全体のバランス・両目で前を見据える姿勢は平均的。打席では、実に強打者らしく堂々としています。

<仕掛け> 平均的な仕掛け

 大学時代も、社会人時代も、投手の重心が沈みきったあたりで始動する「平均的な仕掛け」を採用しています。これは、中距離打者が多く採用する仕掛けで、勝負強さを売りにしているのがわかります。

<足の運び>

 足を引き上げ回しこむタイプで、始動~着地までの「間」があるので、いろいろなタイミングのボールを捉えられます。踏み込みは、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップ。このことからも、腰を早く開いて引っ張り専門の打者であることがわかります。上手く引っ張り込める球は長打を放てますが、外角の厳しいところや逃げて行くスライダーには、脆さを見せるはずです。特に踏み込んだ足元が、インパクトの際にブレてしまうので、開きが我慢できません。外角に投げていれば、まず大丈夫という気は致します。

<リストワーク>

 打撃の準備である「トップ」は早く作れています。そのため、速い球に立ち遅れる心配はありません。ただ何かスイングは特殊で、バットを上から振り下ろしている割に、スイングがかなり遠回りまわるという変わったタイプです。そのため確実性には欠けると言わざる得ません。上手く捉えられれば払うようなスイングで、綺麗に振り抜きます。

<軸>

 足の上げ下げが大きい割には、目線のブレは小さいように思えます。ただ開きを我慢できず、軸足の形も大きく崩れてしまいます。振り終わった後に、体の体勢が大きく崩れてしまうスイングなのです。

(打撃のまとめ)

 始動が早く、いろいろな球を捉えられる器用さはあります。しかし引っ張り専門のスイングで、足元も我慢できないなど、外角の捌きに大きな課題を感じます。またバットの振り出しも遠回りで、打てる球は限られていると思います。そう考えると一軍のレギュラーとしては、正直厳しいかと。このスイングを、プロ入り後いかにも改善して行けるのかがポイントだと言えるでしょう。

(最後に)

 強気なリード、抜群のスローイング・一発長打の打撃などをみると、シーズン通してよりも、短期決戦や代打・途中出場などで持ち味を発揮するタイプかと思います。長くシーズンを任せるには、プレーにムラがあるタイプ。ただ思い切ったプレーをする選手なので、試合の流れや短期決戦での流れを変えるなど、そういったインパクトのある働きが期待できるかもしれません。社会人で5位指名だと、そういった活躍ができれば美味しい指名だと思います。プロ入り後は、どんな成長を遂げきたのか、ぜひ確認してみたい一人ですね。