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飯田 一弥(ソフトバンク)捕手のルーキー回顧へ








飯田 一弥(高知FD)捕手 182/86 右/右 (神戸弘陵-関西国際大中退) 
 




                  「アイランドリーグNO.1捕手!」





 2月の四国遠征で観た、アイランドリーグ選抜の試合。そしてアイランドリーグ選抜が、関東に遠征してきた試合で観た時も、この選手は出場していた。特に何か図抜けたものがある選手ではないのだが、バランスの取れた好捕手として、私も名前をあげた選手。


(ディフェンス面)

 関西国際大中退後、アイランドリーグにやってきて1年目から正捕手に。冷静にプレーできており、地に足の着いたプレーをする選手との印象があります。投手に軽くボールを返球する、配慮型捕手。しかしそのリードは、結構強気に打者の内角を多く要求します。ミットをしっかり示し、グラブも下げません。そのためワンバウンド処理も立ち後れずに、捕球できます。格別何が優れているという感じは致しませんが、全体にバランスのとれたディフェンスです。

 イニング間でのスローイングでは、それほど目立ちません。しかし実戦では、結構キッチリ刺す印象があります。塁間を、大体1.9秒~2.0秒前後で投げ込むスローイングであり、滅法肩が強いとか素早いといったほどではありません。それでもNPBレベルに混ぜても、中の上ぐらいの地肩の強さがあります。ただ到達タイム自体は、プロに混ぜても平均から、少し劣るぐらい。もう少しスローイングタイムは、縮めることができるのではないのでしょうか。それでも実戦向きなので、一年目からファームならば入って行けると思います。


(打撃内容)

 昨年は、30試合 0本 7打点 打率.232厘 と打撃ではそれほど光るものがありませんでした。しかし今年は、63試合 2本 24打点 6盗塁 打率.280厘 と捕手としては、上々の打撃成績でした。春先に観た時も、前年の成績の割には打力があるなあと思いました。特に動画では、外角の捌きに問題があるように見えますが、実際には右方向の打撃を得意としており、きっちりライト前にはじき返すことができます。派手さも長打力もありませんが、広角に打て、打球も実戦向き。特に勝負どころの大切なところで、きっちり仕事を果たしています。

(打撃フォーム)

<構え> 
☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリッリは平均的ですが捕手方向に引いて添えられています。腰の据わり具合はそれほどでもないのですが、背筋をしっかり伸ばし立てています。両目でしっかり前を見据えられ、全体のバランスは平均的で、リラックスして構えられているも好いですね。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 足を軽く引き上げて、回し込んで踏み込んできます。典型的なアベレージ打者の仕掛けだと言えるでしょう。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 始動~「着地」までの「間」が取れているので、いろいろなボールに合わせられます。踏み出す場所は、インステップやアウトステップなども様々で、コースによって使い分けているようです。しかも踏み込んだ足元がブレないので、外角球にも開きを我慢して対応。そのため開きも我慢できるので、右方向への打撃も得意です。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 あらかじめ捕手方向にグリップを引いて構えているので、「トップ」は作れています。バットの振り出しも、上から綺麗に振りぬけており、スイング軌道にロスは感じません。最後までしっかり振りきれていますし、上半身の使い方に大きな欠点は見当たりませんでした。

<軸> 
☆☆☆

 意外に自分からボールを追ってしまう傾向にあり、頭は結構動き目線が安定し難いフォーム。それでも体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。


(打撃のまとめ)

 打撃に脆さも弱々しさも感じないので、ファームレベルならばある程度打てると思います。また勝負どころでは好いバッティングができているので、捕手としては問題なさそうです。ただそうかと言って、特別ミートセンスも、スイングの鋭さも、柔らかさなど何か光るものがあるわけでもありません。集中力が高く、ボールに食らいついて行けるのでしょう。


(今後は)

 守備でも打撃でも地肩でも、何かNPBに混ぜた時に、抜けたものがあるかと言われると疑問です。守備も打撃も、ファームならソコソコやれそうといった印象でしかありません。そのため総合力としては悪く有りませんが、一軍でといえるだけの、図抜けた武器がないのが気になります。上手く第三捕手ぐらいにという期待は抱けますが、チームの正捕手を担うような素材ではないように思えます。

 控え捕手層が薄いと言うのならば、指名しても悪くないと思います。ただ一軍ではという印象が強く、指名リストにまでは名前を残そうとは思いませんでした。果たしてどこまで昇って行けるのか、今後の成り行きに注目して行きたい一人です。


(2011年・関東遠征)