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雨宮 敬(巨人)投手のルーキー回顧へ



 雨宮 敬(23歳・BC新潟)投手 174/83 右/右 (山梨学院大出身)
 




                    「本会議指名されるかも?」





 山梨学院大附属、そして山梨学院大時代と見続けてきて、中背で125~130キロ強ぐらいの、適度にまとまったこの投手を、ドラフト候補と考える日が来るとは正直思わなかった。今やBCリーグにおいて「最もNPBに近い男」と呼べるのが、この 雨宮 敬 投手である。


(投球内容)

 大学時代までの雨宮は、適度にまとまったバランス型投手。しかしBCリーグに入った彼は、常時140キロ前後~MAXで145キロを越えるような球を投げ込む力投派として、見事なまでにモデルチェンジしていた。

ストレート 130キロ台後半~MAX146キロ

 球速云々以上に、球威と勢いを感じさせるストレートは、まさにプロのボリューム感。これだけのストレートならば、プロの打者でも容易に打ち返すとは言えないだろう。

変化球 カーブ・スライダー・フォークなど

 変化球は、カーブ・スライダー・フォークなどもあり、ストライクゾーンの枠の中に、力のあるストレートを魅せつつ、変化球を織り交ぜると言う投球スタイル。この日は、うまくフォークで仕留める場面も観られたが、変化球にはまだ絶対的な精度は感じない。

(投球のまとめ)

 ボールは、適度に両サイドに散っている印象。元々マウンド捌き、投球術に長けた好投手だっただけに、ただ速い球を思いっきり投げ込むだけの投手ではない。ただグイグイと力で押してくる、爽快感のある投球には見応えがある。

<成績から考える>

 ここからは、8月1日現在の彼の成績に基づき、プロの基準にあるか考えてみたい。

25試合 5勝1敗1S 防御率 1.85

 成績表をみると、完投も1個記録していることからも、リリーフだけでなく先発もこなしているようだ。


1,被安打は、イニングの70%以下 ○

 今シーズンはここまで、71回2/3イニングを投げて、被安打は48。これは、被安打率67.0%となり、基準である70%を割っている。すなわち球の威力やコンビネーションに優れていることを示している。

2,四死球は、イニングの1/3以下 △

 71回2/3イニングで、四死球は26個。四死球率は、36.3%と、基準である33.3%と僅かに上回ってしまった。悲観するほどではないが、絶対的な制球力があるわけではないことがわかる。

3,奪三振率は、1.0前後 △

 奪三振は61個と言うことで、奪三振率は、1イニングあたり0.85個。通常0.8個以上取っていると、かなり三振が奪えている印象はある。しかしリリーフならばより1.0個に近い0.9個以上は望みたい。確かにストレートの威力はあるが、決め手がしっかりあると言うほどの絶対的な武器はない。

4,防御率は、1点台以内 ○

 ここまでの防御率は、1.85。先発ならば1点台、リリーフならば0点台は望みたい。ただ1.85と言う数字は基準は満たしているが、絶対的な数字ではない。

<成績からわかること>

 前日に取り上げた 渡辺 貴洋 に比べると、かなり成績のファクターが、基準を満たしてる印象がある。ただこの数字が、すべてのファクターを満たしているわけでも、絶対的な数字でもないことからも、彼は下位指名~育成枠あたりに位置している選手だと言うことを如実に示している。


(投球フォーム)

 お尻をしっかり一塁側に落とせるフォームです。また「着地」のタイミングも悪くはなく、淡泊な印象は与えません。お尻を確かに落とせるのですが、中背で手が大きくない可能性も高く、フォークのような落差のある球種をモノにできるのかは微妙かと。むしろ無理があるようならば、少し挟むのを浅くしてスピリットでもいいかなと思います。

 グラブはしっかりは抱えられておりませんが、最後まで体の近くにはあります。そのため大まかではありますが、両サイドの投げ別けはできます。足の甲の押しつけは素晴らしく、最後までしっかりエネルギーを伝えられます。ただ「球持ち」は並ぐらいで、それほど指先まで力を伝えられていると言う感じは致しません。その辺が、繊細なコントロールを身につけられない要因かもしれません。

 「着地」までの粘りは平均的ですが、体の「開き」は遅く、球の出所は見難い特徴があります。ただ腕の角度をつけすぎており、体への負担は大きいのが気になるところ。故障には、充分注意して欲しいです。振り下ろした腕は体に絡み、「体重移動」はしっかり出来ています。この体格でも、非凡な球威・球速を身につけているのは、体重移動が実に最後まで上手く行っているからでしょう。

<投球フォームのまとめ>

 投球フォームに、大きな欠点はありません。特に「開き」と「体重移動」の部分がしっかり出来ている点は好感。ただより実戦的な投球を目指すのであれば、まだ細部に甘さを残します。その辺をプロで磨いて行ければ、実戦力のある速球派として活躍できる可能性は高そうです。


(最後に)

 現状は、まだ粗いところ、甘いところもありますが、一年ぐらいファームで漬け込めば、一軍の戦力になるのではないかと思います。入団一年目から指名が可能な独立リーグの選手だけに、一年ぐらい戦力になるのにかかっても指名はありだと思います。独立リーグでは、数少ない本会議での指名を期待してみたい選手でした。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2011年 BCリーグ選抜 VS フューチャーズ戦)









 
 雨宮敬(山梨学院大附 2年)右腕。雨宮は、125~130キロぐらいの速球に、縦に切れ込むスライダーを武器にするオーソドックスなタイプ。コーナー一杯にビシッと決まる制球力の高さが自慢。