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釜元 豪(ソフトバンク)外野手のルーキー回顧へ



 釜元 豪(西陵)中堅 180/80 右/左
 




                  「育成枠で唯一指名リストに入れた高校生」





 今年のドラフトにおいて、12球団の育成枠ドラフトで指名された高校生の中で、唯一指名リスト(☆をつけた) に名前を残し、プロでやれる選手だと評価したが、この 釜元 豪 だった。ただ1試合のみの観戦だったので、わからない部分もあり、高い評価を下すほどの確信は持てなかった。しかし改めて、どんな選手なのか思い起こしてみよう。


(プレースタイル)

 プロでも売りにできる快速に、その脚力を生かした広い守備範囲が魅力。更に一定レベルの確かな打力がある選手であり、プロでやれる素材だと評価しました。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間を、3.8秒台で走り抜ける快速で、その足はプロに混ぜてもトップクラス。通常塁間の目安となるのは、

3.9秒弱  プロで足を売りに出来るレベル

4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類

4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム

4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える

ベースランニング、走塁の上手さなども、高くプロのスカウト達からも高く評価されているといいます。こと走塁に関しては、プロでもトップクラスの選手としてアピールできるだけのものを持っている。

 中堅手としても、打球への反応・落下点までの追い方・キャッチングも上手いものがある。また快速を活かし、非常に広い守備範囲の持ち主。ただ捕球してから無理な体勢での送球だったので、強肩と言われるスローイングはよくわからず。残念ながら守備に関しては、ハッキリどのレベルとまでは言えない。ただ少なくても、名手級になれるかはわからないが、一定レベルの守備力があるのは間違いない。


(打撃内容)

 180センチ台の大型野手だが、基本はセンター方向に打ち返す基本に忠実な打者。体に力があるので、外野手の後ろを抜けて行くような長打も見られるが、本質的にはアベレージヒッター。

<構え> 
☆☆☆

 前足を引いて、グリップを下げ気味に構えます。大きな体を背中を屈めて構え、強打者よりイヤらしいタイプだという雰囲気を醸し出します。腰の据わりはよく少し癖のある構えではありますが、両目でしっかり前も見据えられています。自分のリズム打席に立ち、リラックスできているのも好いのではないのでしょうか。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下がる途中で動き出す、典型的なアベレージヒッターが採用する仕掛け。大型ですが、強打者というよりは好打者に近いタイプ。ただ当て逃げするというよりは、スイング自体はしっかり踏み込んで振り切ってきます。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足を引き上げて降ろすタイプなので「間」が取れており、いろいろな球に対応できます。真っ直ぐ踏み込むので、内角の球でも外角の球でも捌きたいタイプ。またその踏み込んだ足元は、インパクトの際にもブレません。そのため外角の球も開かず叩くことができますし、打ち損じも少ないでしょう。

<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備段階であるトップの形を、早めにつくることができています。これにより、早い球に立ち遅れません。ただトップ自体浅いので、それほど強い反発力は期待できません。しかし上からダウンスイングで、最短距離でボールを射ぬきます。

ボールを捉える際に少しバットの先端が下がるのが気になりますが、最後までしっかり振り切ることができています。強く叩くことよりも、無駄なく効率的にボールを射ぬくことを重視しており、強打より好打者なのだと思います。それでもスイングに非力さは感じさせませんし、ボールを捉えるセンスにも高いものがあります。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げはありますが、目線は大きくは動きません。体の開きも我慢できておりますし、軸足も実に安定しています。最後の夏も、プレッシャーに負けることなく高いアベレージを残し続けたのは、この技術に裏打されていたと言えるでしょう。

(打撃のまとめ)

 巧打者にありがちな非力さもありませんし、ボールを捉えるセンスもよく、技術的にもシッカリしたものを持っています。高校生としては、非常に確かな打力を持ちあわせています。


(最後に)

 180センチ台の大型野手ながら、プロで武器になる走力を持ち、高い守備力があり、確かな打力を持ち合わせます。私は、本会議で指名されるのではないかと思っていましたが、育成枠での指名となりました。ただもう少し守備での材料がハッキリしていれば、もっと高い評価ができたかもしれません(逆に育成枠になったのは、肩が弱いなどの要因があったのかもしれませんし)。

 しかしこういった選手が、今後どういったサクセスストーリーをたどってゆくのか、大変興味深いものがあります。ぜひ今度は、一軍でその姿を日本中の人達に魅せつけて頂きたいと思います。個人的には、高校生の育成枠は賛成しかねるのですが、彼に関してはプロに入れて良かったなと思える指名でした。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2011年夏 長崎大会)